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南充浩 オフィシャルブログ

1万6000店舗という店舗数の多さを起点としたファミマ服のビジネスプラン

2026年4月10日 企業研究 0

以前にも書いたが、コンビニ大手のファミマの衣料品販売は店舗数の多さを起点に組み立てられたビジネスプランが優れていると痛感している。

ファミマの国内店舗数は1万6000店。出退店で上下動があり、1万5000店台に後退することも多々あるが、計算しやすいように1万6000店として話を進める。

 

 

先日、ファミマの2026年2月度決算で、衣料品販売額が年間200億円を突破していることが報じられた。

その一例がこれ。

ファミリーマート 衣料品ブランド200億円突破 | THE SEN-I-NEWS 日刊繊維総合紙 繊維ニュース

 

ファミリーマートが展開する衣料品ブランド「コンビニエンスウェア」の売上高が200億円(2026年2月期)を突破した。前期比1・5倍以上の売上高で、新たに投入した商品が次々ヒットしている。今春夏シーズンから店内の専用什器(じゅうき)を1台から3・5台に増やすなど

とのことである。

1・5倍の増え方はたしかにすごい。しかし、これを持って「ファッション好きがこぞってファミマで服を買っている」という論調を識者が醸すのはいかがなものかと思う。

実は、1万6000店舗という数字で割り算をしていくと、ファミマの衣料品売上高は1店舗当たりではそう大した金額ではないことがわかる。試着室も無いコンビニなので、通常のアパレル店ほどの売れ行きは到底望めない。逆に総店舗数が莫大だから、1店舗当たりの売上高はそう多くないが、総店舗数を掛け算すると100億円、200億円という売上高を稼ぐことができるというロジックで組み立てられている。そのロジックがすごいと思う。

 

 

前年度のファミマの衣料品売上高は130億円だった。これを1万6000店舗で割ると1店舗あたりの平均年間売上高は81万2500円となる。

1店舗当たり、たったの年間81万円強の売上高で130億円が達成できてしまう。これを12か月で割ってみよう。

すると1か月の平均売上高は6万7708円ということになる。1か月で6万8000円弱しか売らなくて済むという話になる。1か月6万8000円弱ということは、1日あたりだと30で割ると2256円になる。1日にたったの2256円ずつ売ればノルマは達成できるというわけで、スエットフーディー1枚売れば容易に達成できてしまう。

各店舗にとって非常に無理の無い数字となっていることがわかる。

 

 

 

26年2月度は売上高200億円を突破したので、同様に割り算してみよう。

200億円を1万6000店で割ると、1店舗あたりの平均年間売上高は120万5000円ということになる。前年度よりも40万円くらい伸びている。

この12万5000円を12か月で割ると、1か月あたりの各店舗の平均売上高は10万4166円となる。

10万4166円をさらに30日で割ると、1日あたりの売上高は3472円となる。毎日3472円売り続ければ総店舗合計で年間200億円は達成できるということになり、非常に無理の無い設計となっていることがわかる。

スエットフーディー1枚と靴下1足売れば容易に達成できる金額といえる。

 

 

1店舗あたりの売上高について話を進めてみると、この金額達成がどれほど容易であるかは販売員を経験した人なら誰でもわかるだろう。

かつて、6年強、大阪・天満の在庫処分店で断続的に販売員として従事した経験でいうと、コロナ禍を除いて、どんなに売れ行きが悪い日でも2万~3万円くらいの売上高はあった。仮に毎日3万円しか売上高が稼げなかったとしても、1か月で90万円の売上高となり、ファミマの年間売上高近くになる。

 

 

さらに注目すべきは、ファミマ店舗の中での衣料品の陳列量が増えている点である。当初は棚1台だったのが3台となっているから、陳列量は3倍に増えている。恐らく品番数も最低でも2倍には増えているだろう。今年3月末からは3・5台に増えているから量も型数もさらに増える。

量と型数が増えれば、売上高も増えやすい。売上高増と言っても、先ほど割り算したように各店舗で毎日1000円程度売上高が増えれば達成できることがわかる。非常に無理が無い。

 

 

 

次は売上高300億円に挑戦するとのことである。

売上高300億円を目指す「コンビニエンスウェア」 落合宏理が語る急成長の理由

 

先ほどと同じ計算をすると、各店舗は1日あたり5208円を販売しなければならない。これで1か月15万6250円となる。これを12か月続けると年間187万5000円、1万6000店舗で300億円となる。

ちょっとノルマのハードルが上がってきたなと感じる。1日当たり1800円増の売上高が求められるので、スエットフーディー1枚と靴下2セットか3セットが毎日売れなくてはならなくなる。

とはいえ、1か月15万円の売上高なんて通常のアパレル店なら倒産レベルの売上高の低さといえる。

 

 

ファミマの衣料品販売の巧みさは、店舗数の多さを逆手に取ったビジネスプランで、1店舗あたりの売上高は小さくても総合すると大きくなるという考え方に基づいている。

さらに、この「店舗数の多さ」という考え方は衣料品製造にも生かされており、1店舗あたりに1型5枚ずつを配送するだけで8万枚の生産ロットを確保することができる。1型10枚なら16万枚である。ユニクロ、ジーユー、しまむら、ワークマンなどの大手チェーンブランドを除くと、今の国内アパレルで1型8万枚とか16万枚の生産を発注できるところは少ない。製造側にとってもファミマからの注文は美味しいから1枚あたりの生産コストを大幅に引き下げることが可能になり、ファミマ服の粗利益率は高まる。

 

 

ゼロから店舗数を増やすことは資金繰りでも労力的にもかなり厳しい作業となる。しかし、ファミマの場合はすでに1万6000店舗が存在していたところに衣料品を投入したわけだから、その資金繰りと労力は必要なかった。このため、本社も現場も疲弊が少ない。

「既存店舗数の莫大さ」を起点に組み立てられたロジックの凄さである。

 

 

とはいえ、ファミマの衣料品売上高が無限に伸び続ける未来は想像しにくい。莫大でも店舗数には限りがあるし、店舗面積も決まっているわけだから衣料品の陳列量も各店で無限に増やすわけにもいかない。さらにいうと、ファミマの売上高は全店で3兆円強あるから、たかだか200億円、300億円の衣料品はメイン商材では決してない。あくまでも衣料品販売は余技であり、メイン商材は食品類であり雑貨類であり、各種チケット手続きなどである。それらを犠牲にしてまで衣料品販売に全振りするような愚策をファミマは絶対に採らないだろう。

今のファミマ首脳陣が衣料品販売の限界を何百億円と見込んでいるのかに今後は注目したいと思う。

 

 

 

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