「ファン」が多いだけでは商材は売れにくいという話
2026年3月9日 販促 1
生来、友達と呼べる人間はいない。まあ、親しい知人とか頻繁に挨拶する顔見知りは何人かいる。
その何人かの一人に、小学校の同級生で和菓子屋を営んでいる人がいる。連絡することも無いし、何なら携帯番号も知らない。ただ、道端とかスーパーで会うと少し立ち話をするくらいである。彼は人懐っこいところがあって、向こうからわざわざ挨拶をしてくれる。
そんなわけで、和菓子が要り用になるとなるべく彼の店で買うようにしている。
ただ、残念なことに和菓子が要り用になることが滅多にない。自分が日常的に和菓子を食べる習慣が無いし、その習慣を作ろうとも思っていない。必然的に利用する回数が少なくなる。
いわゆる店主の強いファンではないが(強いファンになるほどに相手の深い人格まで知らない)、かつての同級生でもあるし、こちらが気付いていないのにわざわざ声をかけてくれるから、こちらとしてもなるべく必要な際にはそこで買うようにしている。どうだろうか、微弱なファンという程度だろうか。
何が言いたいのかというと、いくら「ファン」を作っても必要とされていなければ、利用される回数は少ないという当たり前のことである。
15年くらい前に「ファンを作ろう」というマーケティング施策が流行った。もちろん、ファンづくりは大切で必要不可欠であることに異論は無いが、いくらファンを増やしても商材を必要と感じてもらえなければなかなか業績は上向かないし、長続きしない。
その手のマーケティング施策を取り入れたクリーニング店が当方の面識のある範囲内では3~4店あった。そのクリーニング店も3店舗は最近、倒産したり廃業したり業務縮小したりしたと耳にした。
ファン作りの施策を導入してから10数年経過しただろう。導入したから10数年も延命できたという見方もできる。その一方で、ファン作り施策の効果は10数年しかなかったという見方もできる。
需要がゼロになることはないが、クリーニング店の需要は減少し続けている。それは近年の節約志向による家庭洗濯熱の高まりからも証明されている。クリーニング業界の厳しさも再三報道されている。
その店主やオーナーがSNSを通じてファンを大量に作っても、クリーニングの需要自体はさほど増えない。何なら店主やオーナーが個人としてタレント化してしまうだけということも珍しくない。
SNSによるファン作りはビジネスにおいて重要であることは変わりないが、最近は「ファン」が増えても売り上げや企業維持に結び付かないという例も増えてきたと感じる。
余談だが、先日、某有名インフルエンサー経営者たちが武道館を借り切ってカラオケ大会のようなイベントを開催していた動画が公開されたが、観客はスカスカでびっくりするくらい少なかった。世間的には著名なインフルエンサー経営者たちなので「ファン」が多いことは間違いないだろうが、その「ファン」の多さは自身のカラオケ大会会場への集客に関してはあまり役に立っていなかったということになる。
先日、こんな記事を拝読した。
「ストーリー重視」の時代は終わった レイ・イナモト氏が語る、信頼を軸にしたブランド構築:前編(1/3 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン
その中に以下の一節がある。
まとめると、強いブランドを成立させるためにファンは必須ではないし、逆に、ファンがいるだけでは強いブランドにはならない。もちろん、短期的な売り上げだけを見ればファンがいるに越したことはないが、そのファンが熱狂的であればあるほど、裏切られたと感じたときの反発や、ブームが去った後のブランド毀損のリスクは高まると言えるだろう。
とのことで、本来は「ファン」が多いはずのブランドやタレントでも全くその商材が売れないことが少なからずある。記事にもあるように「ファンがいるに越したことはない」のは間違いないが、必ず売り上げに直結するわけでもないというのが今の状況ではないかと思う。
この記事は「ストーリー作りが不要」と言っているわけではなく「ストーリー作りだけでは足りなくなっている」と説いているわけで、それを考慮せずに「ファン作り」だけに注力していると、フォロワー数〇〇万人なのにあんまり売れないというような事態に陥るわけである。
あと、個人的には「需要が少ない分野」は、いくら店主やオーナーがタレント的人気者になったところで、扱っている商材の売れ行きが伸びるということはかなり難しいのではないかと感じる。
もちろん、需要を創造する・啓蒙するという作業は重要だが、それでも需要が増えにくい分野は世の中に多々あるわけで、それを「ファン作り」だけで一気に覆せるということはなかなかに起きにくい。一時期、タレント的にトップがファンを集めた小規模ブランドがあったが、結局のところ継続できずに衣料品ブランドとしては廃業してしまった。有名タレントを起用しても浮上できないブランドというのも珍しい存在ではなくなった。
販促施策の定説が次の段階に移行し始めているということだろうか。
・お知らせや仕事のご依頼がありましたら、インスタグラムにDMを送ってください。
ファンの内容にもよるでしょうね。
単純に面白いとか、顔が良いとかのファンだと商売に繋がらなそうですが、私が知ってるのだと中古車&車パーツ屋、靴&革製品修理屋、自動車整備&チューニング屋さんなんかはファン獲得で成功してる感じでした。
中古車屋さんはYouTubeで毒舌、セクハラキャラだけど誠実な仕事内容で人気になって、全国各地から中古車を仕入れるようになってて、買いに行くとお客さんが飯を奢ってくれたりお土産もらったりもしているそうw
靴修理屋さんもYouTubeで革靴愛を語りながら丁寧な修理を見せて、店名非公開なのに全国から靴が舞い込んで、結局人気になりすぎて手が回らないのかYouTubeは中断してしまいました。一回だけそのお店に靴を預けたことがありますが、狭い店内は送られてきた靴の箱で溢れかえってましたw
チューニング屋さんはブログ、noteでチューニングの闇を暴くような記事をずっと書いていて、こちらも丁寧な作業内容を見せていて、中部地方なのに北海道や九州から自走で車を持ち込みファンがいるそうです。
まぁ、いずれもそこまで規模が大きくないというのと、実際の仕事内容がちゃんとしているのがキモかと思います。衣料品とかの何十億円規模の売上で、そこまで商品で差別化できないと、ファン商法はそこまで有効にならなそう。