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南充浩 オフィシャルブログ

知名度が無くて価格が高いブランドをネット通販だけで売るのは難しいという話

2026年2月18日 企業研究 0

一応、今でもほんのちょっぴりだけアパレル関係の報道に少し携わっている立場から言うと、アパレル関係の報道は正直信用性が低いと言わざるを得ない。

報道機関の問題もあるが、アパレル側の情報発信が朝令暮改、朝三暮四であることが珍しくないからだ。

 

1か月前に大々的にアドバルーンを打ち上げておきながら、突如「やっぱりあのブランドは廃止します」なんてことは日常茶飯事である。

そんなわけで、受け取る当方としても「今回の発表はどこまで本気なのだろう」と疑いの目で見るばかりである。

 

 

こんな記事が掲載された。

「シテラ」がブランド休止 公式サイトも閉鎖へ

 

思わず「シテラがブランド休止してらぁ~」とつぶやいてしまったわけだが、シテラってどこのブランドだっけ?と記事を読むとヤマトインターナショナルのブランドだった。

 

ヤマト インターナショナルが展開するメンズウェアブランド「シテラ(CITERA)」が、3月15日付で休止すると発表した。これに伴い、3月16日0時に公式サイトを閉鎖する。

シテラは、「ロウワーケース(LOWER CASE)」を主宰するクリエイティブディレクターの梶原由景と、「ビズビム(visvim)」創業メンバーで、マーケティングディレクターとしてデザインや企画に長年携わってきた永直樹が2016年に立ち上げた。「創造的な移動を続ける都市生活者のための機能服」をコンセプトに掲げ、オンラインストアを中心に展開するメンズウェアブランドとして活動。卸売を行わない実験的なブランドとして知られる。現在公式サイトでは、定価から50〜60%オフの割引率でセールを実施している。

 

 

とのことだが、2016年開始なのでちょうど10年間でブランドを廃止するということになる。オンライン中心(要するにネット通販メイン)のメンズカジュアルブランドとしては長持ちした方ではないかと思う。

開始10年間で休止するということは、10年間見てきたが思った売り上げ規模には到達しなかったということだろう。公式サイトで商品を見たが、画像から見える商品デザインはたしかに悪くない。東京に有象無象あるような新進デザイナーズブランドとか、トウキョウベースが扱ったりしてそうなテイストがある。

ただし、値段が高すぎると感じる。現在50~60%オフの閉店セール中だが、その割引率でアウターが2万数千円~3万数千円する。定価だと5万~6万円台ということになる。スエットパンツが値引き後11000円だから、定価は2万円越えだし、タートルカットソーが7150円だから定価は14300円もする。

3月15日に閉鎖される公式サイトを貼り付けておくのでその目で価格を確かめてもらいたい。

CITERA シテラ

 

 

 

そんなに知名度が無い上にネット通販メインでこの定価ではなかなかに売りにくいことは火を見るより明らかである。

そこそこの高い価格でもネット通販だけで売れているブランドはある。しかし、それはブランド知名度がめちゃくちゃ高かったり、高くすることに成功したブランドに限られている。残念ながらシテラのブランド知名度は高くない。ハッキリ言って低い。その低さで、何万円もする洋服を試着なしのネット通販で買う消費者はそんなにいない。

知名度が低くてもネット通販で売れているブランドもあるが、その場合、商品価格は安い。試着なしに買って失敗しても諦められるくらいに安いから気軽にネットで買うわけである。

新規のネット通販ブランドなら「ブランド知名度をめちゃくちゃ高める」か「失敗しても惜しくないくらい安い」かのどちらを実現させるべきだった。あと、商品デザインはたしかに洗練されていて今っぽいものの、これと言った特徴が無いので知名度が低いために、その他大勢のブランドとして埋没してしまったのではないか。

 

 

さて、久しぶりにヤマトインターナショナルの記事を見たので、久しぶりにヤマトインターナショナルの決算を見てみた。

業界紙時代にはヤマトインターナショナルの決算発表は必ず出席していたし、ファミリーセールも必ず行って買っていた。それほどのヤマト愛好家だった。

そこで今年1月に発表された2026年8月期第1四半期を何気なく見てみた。

売上高 49億5400万円(対前年同期比0・3%増)

営業利益 1億2000万円 (同9・8%増)

経常利益 1億4500万円 (同16・0%増)

当期利益 9700万円 (同8・9%増)

となっていて、前年が不調だっただけに好転している。

 

ちなみに通期は

売上高 205億円(同5・4%増)

営業利益 1億8000万円

経常利益 2億7000万円

当期利益 2億円

となっており、2025年8月期が赤字だったので、黒字転換を見通している。

 

 

さて、今回の決算短信で驚いたのは、ブランド施策のところに

260109_1Q_tanshin.pdf

 

「シテラ」は、スタイルや商品開発等に注力してまいります。

 

と書いてある点である。これは1月9日に発表された文章で、その1か月後にシテラはブランド休止(実質的に廃止)の発表がされているわけである。一体この発表は何だったのだろうか。

1月の時点では決まっていなくて急遽決めたのだろうか?その可能性もゼロではないが、ちょっと朝令暮改すぎるのではないか。

 

 

長らくのヤマト愛好家からすると、ヤマトインターの課題はクロコダイル以外のブランドを育てきれないところにある。

通期決算説明会用の資料ではブランドの売り上げ増加率(売上高の金額ではない)や店舗数増減がそこそこ詳細に説明されているが、いまだに全部クロコダイルとクロコダイル派生ブランドしかない。先の短信で挙げられているシテラもライトニングボルトもペンフィールドも無い。無いということはそれらの売上高も無いに等しいレベルと考えられ、年間売上高200億円のほとんどがクロコダイルとクロコダイル派生ブランドによるものと考えられる。

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シテラは先に述べたようにネット通販ブランド特有のありがちな理由で失敗したし、ペンフィールドとライトニングボルトは一時期ライトオンで見かけたが、ライトオンでも見かけなくなったため、さっぱり実店舗で見かけることがなくなった。主要販路は恐らくライトオンのようなジーンズチェーン店だと思われるが、ジーンズチェーン店そのものが不調なので拡販が難しい状態にあると思われる。

これら3ブランドを開始する以前にもあまたのブランドを展開していたが、どれも今に残っていない。残っているのはクロコダイルとクロコダイル派生ブランドのみである。

老舗であるヤマトインターナショナルが次代に生き残るには、クロコダイル以外にも柱となるブランドを育てることが不可欠だろう。今回シテラが無くなるわけなので、次のチャレンジには慎重を期して何とか成功してもらいたいと思う。

 

 

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