セブンイレブンがカジュアルアパレル製品を強化するメリットは少なそう
2026年2月17日 企業研究 0
先日、セブンイレブンがアパレル強化を打ち出したと、ワールドビジネスサテライトで放送された。
セブン 新戦略「出来たて」「アパレル」 | ワールドビジネスサテライト 2026/01/26(月)22:00のニュース | TVでた蔵
出来立てマシンに続き強化するのがアパレル。北海道などの一部店舗で先行販売。阿久津社長は「何か一つで今の複雑な課題を解決できるものではないと思っている」などと述べた。
とのことで、具体的な商材を当方は目にしていないから、判断は難しいが、セブンイレブンにとってはあまり益はないのではないかと思う。
従来からコンビニでは衣料品は販売されていた。急に要りようになった際に、不可欠な商材が多かった。肌着・下着、靴下、ストッキング、タオル、ハンカチ、ワイシャツ、ネクタイなどなどである。
突然、泊りがけの出張に出かけなくてはならなくなったとか、急に靴下やストッキングが破れたとか、急に仕事関係の葬儀に参列しなくてはならなくなったとか、そういう際に不可欠な繊維製品はコンビニで売られていた。
これはこれで、相応の需要はあっただろうと思われる。
このコンビニ需要に対抗するために、ジーンズメイトが24時間営業を打ち出したことはもう昔話になっている。
不可欠衣類のコンビニ販売は消費者需要に沿ったものだが、ジーンズメイトの24時間営業はどうだったのだろうか。需要がゼロだとは思わないが、真夜中にカジュアル服を買いたいと思う人間がどれほどいるのだろうか?当時から疑問でしかなかった。
結局、廃止されたということは当初の狙いが外れていたということになる。
閑話休題。
今回のセブンイレブンの発表は、従来型の必需衣料品ではなく、恐らくはカジュアル衣料品の強化だろうと推察される。一部のメディアでは、昨年10月に終了した関西万博で発売した「セブンロゴ」入りのカジュアルTシャツを柱に据えるとも報道されているから、カジュアル衣料品の強化ではないかと考えられるわけである。
この原因は、取りも直さず、ファミリーマートのファミマ服の「好調報道」を受けてのことではないだろうか。
コンビニ大手3社は、セブン、ファミマ、ローソンとなっていて、年間継続でカジュアル衣料品を発売し続けているのは現在、ファミマだけである。
ローソンも後追いをしているが、それは継続性が無く、スポット投入に留まっている。ローソンの場合はフリークスストアとのコラボ服だが、年に何度か1型をスポット投入するだけの「イベント企画」に過ぎない。ネームバリューはそこそこ高いと思われるが、年間継続できないのは、ローソンにそのノウハウが無いからだろうと思われる。
「まともに売れる」オリジナル衣料品を企画製造すること自体もノウハウが必要だが、それ以上にそれを年間継続させるためには相応のノウハウが必要になる。1回こっきりのスポット企画投入なら、それに比べると非常にハードルが低い。
ファミリーマートのアパレル品もSPAやセレクトショップに比べると、年間MDはさほど精度は高くないと思われるが、それでも年間MDは存在しているだろう。しかし、ローソンはそれが存在していない、もしくは確立できていないということが考えられる。そのため、年間に何度かスポット商品としてフリークスストアとのコラボ品を投入するにとどまっていると考えられる。
各メディアによると、ファミリーマートのノウハウは大手総合商社内でダントツで繊維が強い伊藤忠商事のバックアップに拠るところが大きいとされているが、ローソンにそのような後ろ盾は無い。
さて、今回のセブンイレブンだが、当方はローソン並みの対応で終わるのではないかと思っている。
繊維製品の年間展開ノウハウが無いのはセブンイレブンとてローソンと同様だろう。旧体制なら、まだノウハウ確立も実現できたのではないかと思う。
なぜなら、傘下に衣料品に強いと言われてきたイトーヨーカドーがあったからだ。
しかし、イトーヨーカドーはベインキャピタルに売却されてしまった上に、イトーヨーカドー自体も自前の衣料品平場を廃止してしまっている。もうイトーヨーカドーからバックアップを受けることができない。
仮にイトーヨーカドーが傘下に残っていたとしても、晩年は衣料品部門が弱体化していたからまともなノウハウを移植できなかっただろうが、部門そのものが無くなった結果、その可能性はゼロになったといえる。
ただ、失敗と検証を繰り返しながら修正して、中長期的にアパレル強化を達成するのであれば、それは可能だろう。しかし、株主からの評価ばかりを気にしている今のセブンイレブンにそんな腰を据えて新分野をじっくり育成することができるほどの忍耐力があるのだろうか。短期間での成果を過剰に求められるなら、新分野は確実に失敗するだろう。
さて、最後になるがコンビニのカジュアル衣料品とはそんなに美味しい商材なのだろうか?「成功した」と喧伝されているファミリーマートの衣料品は年間130億円の売上高である。そこら辺の中小アパレルなら130億円というのは大きな売上げである。しかし、ファミリーマートのチェーン店全店売上高は年間3兆3000億円強である。はっきり言ってアパレル売上高の130億円というのは、あっても無くてもどっちでもいいと言えるレベルに過ぎない。
それはローソン、セブンイレブンにも通じる話で、セブンイレブンのチェーン店全店売上高はファミマの3兆円よりも大きいから100億円レベルのカジュアルアパレル製品なんてあっても無くても変わらないという存在でしかない。
ファミマ型カジュアルアパレル製品は、セブンイレブンにとって、労多くして益少なし、という「鶏肋」のような存在に落ち着くのではないかと個人的には見ている。