12月中旬から倍増以上の437万点の投入を計画するワークマンのリカバリーウェア
2025年12月23日 トレンド 0
ワークマンのリカバリーウェア「メディヒール」が11月末までの3カ月間で当初目標だった200万点の販売を達成した。正確に言うと211万点なので当初目標を11万点も超過したことになる。
販売数量だけでいうと、2025年の衣料品販売における最大のヒット商品は「メディヒール」だろう。これだけの数量を3カ月間で完売する衣料品は今の業界には見当たらない。
さらにいえば、リカバリーウェアの用途のほとんどは「寝間着」であり、ファッションではない。ファッションでは特大ヒット商品が生まれずに、寝間着で特大ヒット商品が生まれるという点も、現在の日本人マス層のファッションへの関心の低さが伺えるのではないだろうか。
発売当初は、やはり長袖Tと同生地の長ズボンが圧倒的な足の速さで売れていて、シーツは結構な数量が残っていたが、10月ごろからそのシーツも売れ始め、11月には店頭からほぼ姿を消してしまった。
服が売り切れて買えないからシーツでも代わりに買おうかという人が増えたのだろうか。
そんなワークマンだが、12月以降もさらに強気な計画で大増産する。
ワークマンのリカバリーウェア「メディヒール」 体制再構築で需要に応える | 繊研新聞
メディヒールは21年に作業者向けに販売を開始し、25年春夏までで累計約170万点を販売。昨秋から一般客にも人気が広がり欠品が目立ったため、今秋冬物は24型に増やして前年の約10倍を生産した。9月1日の発売から即欠品と何度かの追加を繰り返し、実売期間平均16日で完売。11月末までに211万点を販売した。
とのことで、さらにその増産計画については
需要に対する供給不足解消のため、生産拠点を東南アジアから中国に移し、納期短縮と量産が可能な体制を整備した。12月中旬~26年2月に、秋冬物の倍以上の437万点を投入する計画だ。通年物と合わせて26年春夏物の一部を投入予定で、実売期前に12月中旬から来春夏物の3分の1の投入を開始する。
とある。
よく、一般メディアは「25年秋からスタートしたメディヒール」という報道をするが、それは誤りで21年から販売を開始している。作業員向けとあるものの、そのころからすでに一般客向け店「ワークマン女子」にも並んでいたことから、購入客が作業員だけでなかったことは明白である。
24年の販売実績はすでに20万点に達しており、近年の国内衣料品業界の水準で言えば、大ヒット商品である。
これをさらに10倍に拡大したのが25年9月からの販売戦略だった。
12月中旬から2月下旬までの間に今秋物の倍以上の437万点を投入するということなので、今秋に買い逃した人も恐らくは購入することができるだろう。
記事中にもあるように「出せば売れる状態」というワークマン側の認識は極めて正しい。
では、メディヒールがこれほどの大ヒットになった要因はなんだろうか。個人的には「低価格」にあると考えている。
以前からも書いているように、メディヒールの長袖Tシャツと同生地の長ズボンは各1900円なので上下を揃えても3800円に留まる。
この価格より安いのは、「靴のヒラキ」が展開している遠赤外線効果の血行促進パジャマしかない。実はこのパジャマもメンズはすでにネット上では完売している。レディースはまだ残っていて、価格は税込み2948円である。
疲労感が軽減されるかもしれないというあやふやなパジャマごときに1万円以上をポンと支出できる人はあまりそう多くないだろうと当方は思っている。ましてや2万円台なんて、通勤用のコートが買えてしまう。
そうなると、メディヒールの3800円という価格は試しに買ってみようかという気になるし、効果が無かったとしても諦められる価格である。
今、メディヒールが買えなくて困っている女性はさらに安いヒラキの血行促進パジャマを買ってみてはどうだろうか。
さて、12月からの大増産計画はかなり積極的だが、懸念はある。
1つは生産地を中国へわざわざシフトさせたという点。現在の日中関係を考えると、現地にワークマンの日本人社員が出張することに対するリスクが高まっているし、いつ何時、工場が稼働できなくなるような政策が中国政府から実施されるかもわからないという不安もある。
そして、今後どこまで増産姿勢を続けるか、である。
12月からの437万点は恐らく計画通りに完売することになるだろう。当方は1900円のシングルサイズのシーツを買いたいと思っている。
大手合繊メーカーの社員間では「2026年の生産計画は700万枚らしい」という噂も流れているから、26年下半期も300万点以上の生産があると考えられる。
これも恐らく完売できるだろう。
ただ、リカバリーウェアの着用効果は短ければ10日~2週間程度で体感できるとされるが、長ければ3ヶ月くらいで体感できるとされる。
そしてその体感は公式発表で70~75%、以前紹介したアンケート調査記事では50%となっていて、万人が効果を体感できるわけではない。
そうなると、今年秋に買ってとりあえず1年間着続けた結果、体感できなかったという人は27年物は買わなくなる。単なるパジャマで良ければその辺りで上下セット990円のスエットで構わないからである。
また、行き渡ってしまえばそれまでの何百万枚ペースで売れ続けることは難しく、買い替え・買い足し需要だけになるので年間販売数量は減る。大増産路線をどのタイミングで止めるのか、その流れを読んで決断するのが次のワークマンの課題となる。失敗すると大量の不良在庫を抱える。いわゆる「出口戦略」をいつ、どのように設定するのかがカギになる。