「今年の気温だけ」を前提に衣料品のマーチャンダイジングを決める危険性
2025年12月17日 天候・気候 0
今冬の気温予想は、関東から西は「平年並み」との長期予報が出ていることはご存知の通りである。
ただ、毎日が平年並みの気温なのかというとそうではなさそうで、寒波の日と暖かい日が周期的に入れ替わって、平均するとプラスマイナス0の平年並みになるという予報である。
そして、17日まで過ぎたがその可能性は体感的に高まっている。
12月上旬に寒波が来た。各地はだいたい3~5日で過ぎ去り、その後暖かい小春日和が続いた。
また今週月曜日は寒かったものの、翌日からは昼間は比較的暖かかった。
さて、21日ごろから10年来の高温になるという予報が大々的に先日発表された。
気象庁は15日、沖縄地方を除く日本の広い範囲に「高温に関する早期天候情報」を発表しました。
北海道・東北・関東甲信・北陸・東海・近畿・中国・四国・九州北部・九州南部奄美地方では12月21日頃~29日頃、この時期としては10年に一度程度しか起きないような著しい高温になる可能性があるとしています。
とのことで、29日まで高温が続くなら、年末大掃除は大助かりである。

ただ、気象予報士や媒体によって少しずつ予想は異なっており、Yahoo!天気予報だと29日の大阪市の最高気温は12度と現時点では予想されており(予想気温は毎日変わる)、めちゃくちゃ寒いわけではないが異常高温とまでは言えない気温に落ち着いている。
とはいえ、昼間に12度もあればかなり温暖な小春日和だということにはなる。
どうやら、年末年始は比較的暖かい気温が続きそうで、1月2日までは現時点では、大阪市内の最高気温は12度くらいで安定している。
本当に年末大掃除には大助かりである。24年年末、23年年末と厳しい寒さの中で大掃除に励んでいたので、非常に嬉しい限りである。
冬物衣料品の販売だが、21日ごろから高温になったとしても12月に2度、小規模ながら寒波が襲来しているので売れ行きが鈍ることはなさそうである。
また、朝晩はそれなりに気温が低いので保温肌着類などは特に堅調な動きを維持できるのではないかと思う。
問題は正月明けに寒波が来るのかどうか、である。寒波が来たら冬物衣料品の販売は好調に終わるのは間違いない。
このように、寒さが大前提である冬の気温さえ年毎に安定しない。
消費者視点でいえば、その冬よりも春と秋の方が全く不安定で予想することは不可能である。近年「意外に涼しかった」という秋は存在しない。秋の問題は残暑がいつまで続くのかという点で、大阪だと10月中頃まで暑いのは毎年の標準装備になっている。
一方、春は秋以上に不安定で予想が難しい。桜が開花するほど高温が続く3月もあれば、2011年のようにダウン無しでは過ごせないほど寒い3月もある。4月も同様だ。初夏のように暑い4月もあれば、今年のように下旬までヒンヤリした4月もある。
そんな中、こんな記事が掲載されていた。
変わるセレクトメンズのMD 「寒い春」前提に商品投入 年明けに冬アウターも | 繊研新聞
セレクトショップ各社は、26年春夏のメンズで気候変動に対応し、MDを見直す。25年の4月は低気温の日があり春物売れ行きが鈍かった。
とあるが、この方策はどうなのだろうか。当方には疑問しかない。
彼らは25年4月の冷涼さだけに心を奪われているように感じられてならないが、今年ほど冷涼だった4月が過去にどれほどあっただろうか?
26年4月が今年と同様の気温推移になるとは限らない。何年か前のように初夏のような暑い4月になる可能性も低くない。
もちろん、気温推移に合わせて商品投入したいという意図はわかるが、「寒い春前提」という基本設定がおかしいのではないか。
4月が必ず寒いとは限っていないのである。にもかかわらず、それを前提にすると予想が外れた時に相当な痛手を被ることになる。
例えば、コロナ禍が始まった2020年4月は相当に気温が高かった。26年4月が同様だったらどう対処するつもりなのだろうか?
2019年12月はかなりの高温が続いていて、当方が体験した中でもとびっきりの高温だったと記憶している。
この高温によって翌年防寒着類の仕込みを減らしたブランドが相当数あった。ただ、翌年12月から翌々年2月にかけては寒波の襲来があった。その際、防寒アウター類が飛ぶように売れて在庫がショートしたブランドも多々あったが、某コンサルタントが「寒波が来るなんて聞いてないよ~」という意味不明の泣き言をブログ投稿していた。
どうして、2019年12月の気温が毎年続くと思えるのかその短絡的な浅慮には驚き呆れるしかなかった。
「寒い4月前提」という基本設定は、その轍を踏むだけではないのだろうか。