ライトオンが上場廃止へ ジーンズカジュアル専門店の新たな形はあるのか?
2025年11月17日 企業研究 2
個人的には、洗濯時の重さと乾きにくさからジーンズを穿く回数は若い頃に比べて大きく減っているが、持っていない人は一人もいないだろうと思われるほどのベーシックアイテムとなっている。
一時期、若者のジーンズ離れと言われたが、その当時も40代~70代の高年齢層ではジーンズ着用者が多かった。最近では若者もある程度はジーンズ回帰しているため、本当に老若男女問わずに所有しているベーシックアイテムだといえる。
しかしながら、2000年代以降、ジーンズの「買い場」は大きく変わったといえる。
それまでは、ジーンズ専業メーカーの商品を広く取りそろえたジーンズカジュアル専門店が主流だった。リーバイス、エドウイン、ビッグジョン、ボブソン、ラングラーに代表される大手専業メーカー品である。
百貨店の高級服か、ダイエーのダサい安い服しか選択肢が無かった70年代・80年代には、当時の若者がそこそこ値ごろでマシなカジュアルを買う店はジーンズカジュアル専門店しか無かった。そのため、個人経営の専門店、地域エリアチェーン店、全国チェーン店と各規模のジーンズカジュアル専門店が多く存在していた。
そのジーンズカジュアル専門店チェーンも凋落してしまい、業界1位、2位だったライトオンとマックハウスが経営不振によって買収されたという事態は、それを象徴している。
マックハウスはジーエフに買収され、社名をジーイエットに変更し、アパレルと同時にビットコインを扱うようになると発表されているので、こちらは明らかに「脱ジーンズ専門店」の方針を取っているといえる。先日、同じジーエフ傘下のジャヴァがジーイエットの傘下になると発表されている。このことからも脱ジーンズ専門店路線は加速することは間違いない。
ジーイエット、ジャヴァコーポレーションを子会社化 百貨店販路で新規客狙う | 繊研新聞
ジーイエットは11月13日の取締役会で、ジャヴァコーポレーションの子会社化を目的とする基本合意書の締結を決めた。
とのことだが、かつてロートレアモンやビッキーなどのブランドを擁し百貨店、ファッションビルで人気を博した企業である。それがいくら社名が変わったとしても、マックハウスの子会社になる未来が訪れるとは、10年前でも予想できなかった。
恐らく、ジーエフはダボハゼ的に買い漁ったアパレルをジーイエットの傘下に置くことで有機的に動かそうとしているのではないかと思う。想定通りに有機的に動くかどうかは別として。
一方、ライトオンは買収以来1年が経過したが、それほど大きな路線変更は消費者視点では行われていない。
しいて挙げれば、不採算店の撤退が加速していることと、店内の商品陳列量が体感的に半分くらいになっているので、仕入れ量を抑えているということくらいだろう。
ただ、来年以降はライトオンの再建への取り組みも加速しそうである。
ワールドは14日、ライトオンを株式交換で完全子会社化すると発表した。2026年3月1日付で実施する。ライトオンは東証スタンダード市場で上場廃止となる。完全子会社にすることで、ライトオンの再建スピードを早める。
とのことで、完全子会社化し上場廃止となることで、様々な施策の決定速度と実行速度は劇的に上昇するだろうと思われる。
果たして、ライトオンはどのような店になるのだろうか。今のところは、陳列商品量は減らしたものの、従来型ジーンズカジュアル専門店的な店構えは維持している。
これをある程度は維持して行くのだろうか?それとも全く異なる品揃えと内装の店舗へリニューアルするのだろうか?
他の大手ジーンズ専門店チェーンはすでに倒産してしまっている。地域有力チェーン店は残っているが、多くは高額カジュアルセレクトショップ化している。一方、ポイント(現アンドエスティ)やアーバンリサーチのように完全に業態を変えて、大手SPAチェーンや大手セレクトショップチェーンに変貌している企業もある。
いわゆる、中価格帯カジュアルメーカーからの仕入れ品だけで商品構成を行っているジーンズ専門店は、現在では事実上ほぼ存在していない。
完全子会社化したライトオンはその形態を維持するのか?維持できるのだろうか?
現在のマス層にはそれは売れにくいのではないかと思われる。売れるのであればその形態の企業が複数残っていてもおかしくないからだ。
じゃあ、どの価格帯の商品を揃えるのかは別として、現在の有力大手チェーン店のようなモダンな内装のマストレンド品を狙うというのも埋没する危険性が高いと感じる。
各地のファッションビルやショッピングセンターを覗いて見ても、似たような内装で似たような品揃えの店舗ばかりで印象に残りにくいと感じられる。「金太郎飴的だ」と評した業界人もいるが、その印象には同意できる。似たような内装で似たような商品の店がすでにひしめき合っているところに、今更ライトオンが衣替えして参入したところで、埋没してしまい、多くの人からの支持は受けにくいのではないかと思われる。
ワールドがライトオンを買収した理由と勝算は正直なところ、今でもさっぱりわからない。どのようなビジョンやプランを描いているのだろうか。
ワールドはジーンズカジュアル専門店の新たな形を提示できるのかどうか、その一点だけに個人的に注目している。
comment
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ミナミミツヒロ的けち人間 より: 2025/11/18(火) 10:13 AM
この記事、秀逸ですなぁ・・・
「さすが長年掘り下げてきた分野がある業界紙出身者だ」
と思わせる内容です>中価格帯カジュアルメーカーからの仕入れ品だけで
>商品構成を行っているジーンズ専門店は、
>現在では事実上ほぼ存在していない。そこで各社疑似SPA化してやっすいネームを調達して
モノ作りを始めた訳ですが、GUウニクロの3割高いこれでは売れる訳がありません
そして、屋台骨であった専業ジーンズメーカーの
商品売上は30年前の7割減に・・・専用什器や販促品ノベルティに力が入っていた
90年頃が今となっては夢のようです14ozのジーパン履くメインが何もかも
メンドクさくなった高齢者だけになる
時代が来るとは思わなかったよ・・・ふつーの人そこらへんの人が
8000円ぐらいのGパン2,3本持ってた
時代があったんですよね、昔はそんなワタシが今履いてるのは
イオンで800円也の化繊ずぼんwwwwマァいいんです。履いてるもん価格が1/10
になっても、かせぎが1/10になった訳じゃ
ありませんからww
ワールドの買収の狙いは
ロードサイドの出店ノウハウと人材ではないかとみています。
ワールドのブランドポートフォリオのなかで
唯一欠落しているのはNSCからロードサイドです。
北関東で3店舗テストマーケティングしてますが
全く広がらないです。
ユニクロ
無印にあってワールドに無いものがそこです。
工場を買収したり
エムシーファション買収したりしてスパーク構想の完結に向けて
ライトオンの買収が1つのきっかけですね