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南充浩 オフィシャルブログ

ユナイテッドアローズにとって上手い損切りとなったコーエンの売却

2025年11月10日 未分類 0

ユナイテッドアローズからコーエンの売却が発表された。

コーエンの業績は伸び悩んで停滞を続けていたからユナイテッドアローズとしては極めて当然の措置といえる。

 

ユナイテッドアローズが赤字続きのコーエンの全株譲渡へ、旧マックハウスと基本合意書締結

 

ユナイテッドアローズが、連結子会社で「コーエン(coen)」を運営するコーエンの全株式をジーイエット(旧マックハウス)に譲渡すると発表した。11月7日付で具体的な協議を進める旨の基本合意書を締結。株式譲渡契約日は12月25日、株式譲渡日は2026年1月31日をそれぞれ予定し、譲渡額は今後の協議で決定する。

 

とのことである。

ちなみにコーエンの業績は

同社の発表資料によれば最低でも直近3年は最終赤字と債務超過に陥っている。2025年1月期の通期実績は、売上高が104億2300万円(前期比108.9%)、営業損失は3億6000万円(前期は3億3700万円)、純損失は6億6800万円(同4億2200万円)で、債務超過額は38億1000万円

 

という有様で、売上高こそ100億円はあるが、赤字続きな上に債務超過なのでユナイテッドアローズとしては売却するのは当たり前で、むしろ有効な損切りが出来たと喜んでいる状態ではないかと思われる。

 

各記事でも再度触れているように、コーエンは2008年5月にスタートした低価格カジュアルブランドだった。

スタート当初はZARAやH&Mの上陸とほぼ同時期なのでファストファッションブームの一環対策として捉えられた。ユナイテッドアローズとしても初の低価格ブランドだったということもあって、メディアからは注目を集めた。

 

 

しかし、売り上げ規模は拡大せずに2025年を迎えている。

スタート当初は、今のジーユーをもう少しカラフルにして、今のウィゴーからファンシーさを軽減したようなテイストの服が多かった。

ただ、このテイスト路線は結局のところ拡大できずに終わった。

 

断続的に店頭やネット通販で商品を眺めているが、何度かテイストは変わっている。恐らくは売れ行きが伸びないことから何度かテイストを変更している。直近の商品をネット通販で見てみると、当初の若者向けよりもターゲット層を上の年代に変更した印象が強い。

在庫処分の今夏商品を見ていると、ベーシックテイストが強まっていて、20代半ば~30歳前後がターゲットになっていると見える。夏物ということも手伝ってか、グローバルワークあたりとほぼ同じようなデザインラインナップに見えた。

 

 

もちろん若者に売れないからターゲットを変更するという戦術は正しい。

しかし、グローバルワークに近い商品を展開するのであれば、何らかのアドバンテージは必要になる。何のアドバンテージもないのであれば、グローバルワークを買えば済んでしまう。しかもブランド規模はグローバルワークの方がコーエンの5倍くらいあるからマジョリティーはグローバルワークとなる。

 

 

低価格カジュアル市場は、ユニクロ、ジーユー、しまむらが圧倒的なシェアを確立してしまっている。そのほか、旧アダストリアのアンドエスティ、無印良品、ワークマンなどの大手がひしめき合っている。レディースでもハニーズですら500億円の売上高がある。

そのように見てみると、コーエンは低価格カジュアル市場からはじき出されてしまったといえる。また売り上げ規模と店舗数(直近で76店舗)から見ても、低価格を維持できるような生産・仕入れロット数はかなり厳しい状態にあると思われる。営業赤字と債務超過はかなり無理をして粗利を削って低価格商品を実現させていたからではないかとも思われる。

今後、コーエンが売り上げ規模を拡大できる余地は国内市場には残されていないのではないかと個人的に見ている。

ちなみに現時点でのコーエンの今年度売上高は、前年比5・1%減の48億1000万円と発表されているから、本決算でも100億円を割り込む確率が高い。

コーエンが無くなることでユナイテッドアローズが受ける影響は軽微だろう。売上高は100億円前後低くなるが、営業利益は好転する。

 

 

そんなわけでユナイテッドアローズからすると有効な損切りとなるが、買収する方の意図はわからない。

買収するのは旧マックハウスのジーイエットだが、ご存知のようにこの会社は物流大手のジーエフの子会社である。

ジーエフは近年、アパレル企業を積極的に買収している。その多くが、勢いを失いつつあるアパレルや経営が悪化しているアパレルばかりである。

ジャヴァ、テットオム、シティーヒルなどである。

 

 

個人的には、勢いがあるアパレルを買収するなら理由はわかりやすいと思うが、勢いが無くなった会社ばかりを買収して何がしたいのか理解できにくいと感じている。節税対策だろうか?(笑)

このダボハゼ的アパレル買収の姿勢を見ていると、10何年前のライザップを思い出さずにはいられない。あの時も似たような状況のアパレルばかりを買収していた。それでいて、価格帯もターゲット層もすべてバラバラな各社を寄せ集めたため、シナジー効果なんてこれっぽっちも産まれなかった。その後、ライザップは傘下のアパレルの多くを手放したから、あれは一時の気の迷いだったとしか思えないほどである。

今のジーエフには当時のライザップと同じ匂いを感じてしまう今日この頃である。

 

 

 

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