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南充浩 オフィシャルブログ

米国で再破産申請したフォーエバー21が日本でも事業終了へ

2025年10月2日 企業研究 1

ご存知の通りに、フォーエバー21が終了となる。

23年春に再々上陸してからの終了なので、3度目の終了である。引き金は日本市場での不振と言うよりもアメリカ本国での再経営破綻によるところが大きい。

「フォーエバー21」日本事業終了 23年春に再々上陸

アンドエスティホールディングス(旧アダストリア)は、米ファッションブランド「フォーエバー21(FOREVER21)」の日本事業を今期中(2026年2月期)に終了すると発表した。日本はライセンス事業として展開しているが、米フォーエバー21本社が今年3月に2度目の破産申請を出したことに伴い、米国からのデザインや商品の供給が途絶えていた。

とのことである。

 

すでに今年3月に報道されたようにアメリカ本国で2度目の破産申請がなされた。アダストリア側はこの直後は「日本事業は継続」とのコメントを出していたが、結局は継続できなくなった。

今年夏ごろから日本での店舗閉鎖が始まり、10月には全店舗が閉鎖となる。

すでに8月から9月にかけて店舗を立て続けに閉店しており、現時点で唯一営業中のららぽーとTOKYO-BAY店(千葉)も10月13日に閉まる。アンドエスティHDは「業績(26年2月期)への影響は軽微」としている。

全店舗とは言っても、この2年間でピーク時でも7店舗しかなかったため、コメントにもあるように業績への影響は軽微であることは間違いない。

 

 

同社による「フォーエバー21」は23年春にスタート。22年9月に伊藤忠商事が日本国内の販売権を取得し、旧アダストリアの子会社Gate Winがライセンス生産・企画・販売する形で、同年4月にららぽーと門真(大阪)に1号店を出した。かつてのファストファッションのイメージとは一線を画し、平均商品単価は約4000円のクオリティの高いライセンス商品として再構築した。当時は売上高計画として25年に100億円達成を掲げ、その6割をECで想定し、店舗数は15店舗を見込んでいた。

 

とあるように、25年に売上高100億円を目指しており、6割がEC、店舗数15店舗が計画だった。要するに店舗売上高は40億円でこれを15店舗で達成しようとしていたわけで、1店舗当たり2・67億円の売上高が必要になることがわかる。

現実的には25年7月までは7店舗体制だったので、1店舗当たりの売上高が想定通りだったとしても店舗売上高は、「最大」でも計画値の半分の20億円内外だったと考えられるが、現実的にはもっと少なかっただろう。20億円というのは予想される最大値である。EC売上高はどうだろうか。これは全く手がかりがないので分からないが、23年以降のウェブ上での露出を見ているとそれほど高くないと感じられるため、最大でも10億円程度だったのではないだろうか。

 

この時点で当初計画値に遠く及ばないことがわかる。

その上に「本国からデザインや商品供給が止まった」わけだから、事業として継続するのは難しい。継続できるとするなら、ブランドごと日本が買い取るしかない。日本企業(伊藤忠かアンドエスティが)が買えば、100%自社企画で自由に運営できるが、それは現実的な選択肢ではなかっただろう。

 

ライセンス生産の仕事を少しでもかじったことがある人ならご存知だろうが、ライセンス生産には必ず「アプルーバル」という作業が不可欠になる。

ライセンス先が商品デザインをすると、ライセンス元に「このデザインでOKですか?」というお伺いを立てる。これがアプルーバルである。ライセンス元が「OK」なり「ここをこのように修正してください」と注文をつけるかのどちらかである。この作業を経て製品化される。

 

記事中にあるように「破産後、デザインの供給がなかった」というのは、このアプルーバル自体が機能しなくなっていたのではないかと考えられる。また、それ以上に、ライセンス元は通常シーズン初めに「シーズンテーマ」とか「重点的な色・柄」などのデザインソースを普通は提示する。これが無かったらライセンス先が好き勝手な商品デザインをすることになる。

恐らくはこの提示自体も無くなっていたのだろう。そうすると必然的にライセンスブランドは成り立たなくなるから、アンドエスティがブランド終了を決めるのは極めて当然だといえる。

 

 

 

SNSやウェブ上での反応を見ていると、今回の日本撤退について「日本市場が悪かったから」と受け取っている人が多いように感じるが、実際は日本市場の商況も良くはなかっただろうが、それ以上にアメリカ本国での商況が厳しかったといえる。そうでなくては2度目の破産など起きなかっただろう。破産するほどに売れ行きが厳しかったと考えられる。

 

ではなぜ、フォーエバー21が日米ともに、特にアメリカでも復活できなかったのか、である。ZARAやH&Mは生き残っている。

個人的には、フォーエバー21はZARA、H&Mに比べるとブランドイメージが薄いと感じる。黄色い看板くらいしか思い浮かばない。例えばZARAならメゾンコレクションの低価格版というコーディネイトやショップイメージが涌く。H&Mもじっくり見るとベーシックカジュアルが多いが、GAPやアメリカンイーグル、オールドネイビーなどのベーシックアメカジに比べると、ちょっとヨーロッパ風のデザインが入っている。しかし、当方の不勉強もあるのかもしれないがフォーエバー21には黄色い看板くらいしかイメージが涌かない。

 

これは日本市場でも同様ではないかと感じる。ジーユーもあれば、アメリカンホリックもある。低価格レディースカジュアルブランドなんて国内には掃いて捨てるほどある。フォーエバー21でなければならないという理由は商品的にもイメージ的にもコーディネイト的にも個人的には見当たらない。(前回の上陸時も同様)

日米ともにあまたあるブランドに埋没してしまい存在感が示せなかったため、売れ行きは伸びなかったのではないかと思える。

極言すればフォーエバー21というブランドは日米ともにすでにブランド寿命が尽きていたのではないだろうか。

 

また、何十年か後に復活することもあるかもしれないが、当分の間、フォーエバー21というブランドは日本はもちろん米国本国でも復活することはないだろうと思われる。

 

 

 

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 comment
  • anonymous より: 2025/10/02(木) 4:41 PM

    次は◯甚のエディ・バウアーか?!

    伊藤忠には気をつけろ!が界隈の合言葉になったりして
    つーか、ABGが上手いのか??

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