食品特化回帰の大手総合スーパー、プチ総合化するドラッグストアと食品スーパー
2025年9月25日 売り場探訪 1
つい先日、江上剛氏の著書「二人のカリスマ」の文庫本を読了した。
これはイトーヨーカドーの実質創業者である伊藤雅俊氏とその後継でセブンイレブンの国内での伸長に大きな役割を果たした鈴木敏文氏の2人をモデルとして、史実を脚色したビジネス小説である。
感想文はまたそのうちに書くこともあるだろう。
単行本の発売は2019年、当方が読んだ文庫本の発売は2023年2月である。単行本としては2020年以降のイトーヨーカドーの事実には触れていないだろうし、文庫本も2019年以降のことには触れられていない。
史実を元にしたフィクションだと言っても、イトーヨーカドーの立ち上げから変遷はなかなかリアルである。大きな流れとして戦後直後に開業したヨーカドーは衣料品店だったが、そのうちに食料品も扱うようになり、総合スーパー化して全国チェーンになった。何かの単品商店から総合化して全国チェーン化するというのは、戦後に創業された大手スーパーマーケット全社にほぼ共通するあゆみである。ダイエーは薬局だったし、3者が統合したジャスコだが、岡田屋は呉服店だった。
総合化したイトーヨーカドーだが、先日、アダストリアとの共同ブランド「ファウンドグッド」の終了を打ち出した。これによって、イトーヨーカドーは食と衣料品を除く身の回り品に特化することになった。
ヨーク・ホールディングスは9月3日、2027年度以降イトーヨーカ堂はフード&ドラッグ事業に専念すると発表した。
都内で開催された戦略発表会で、ヨークHDの石橋誠一郎社長が明らかにしたもの。
数十年かけて総合化したイトーヨーカドーが単品スーパーに戻るというのは盛者必衰、生々流転を感じさせられてならない。
さて、この著者は令和元年(2019年)の日付のあとがきで、
総合スーパーが行き詰まりコンビニが登場し、コンビニもいろいろと変わりながらきたが、また何か新しい業態が登場するだろう。
というような意味合いのことを書いていて、その「新しい業態」の実例として「ドラッグストア」を挙げている。
近年、ドラッグストアが単なる薬局ではなく、食料品を扱うようになって「食品スーパー化」しつつあるということは多く報道されている。
著者も「今後、ドラッグストアの総合化はありえる」と結んでいる。
ちょっと前置きが長ったらしくなったが、コロナ禍くらいから当方が愛用している「スギ薬局」だが、指摘されているようにとみに総合化していると感じる。
食料品だけでなく、繊維製品も扱い始めた。
当方がまず目についたのが、綿100%吸水速乾タオル「エアーかおる」である。その後、エアーかおるをPB化したような今治タオルの販売も開始している。
以前にも書いたようにドラッグストアの強みは圧倒的な店舗数の多さである。これはコンビニにも通じる。通常のスーパーよりも断然に多い。1店舗ずつに数個ずつ配布してもトータルの仕入れ数量・製造数量は何万個という数になる。これはコンビニも同様である。
繊維製品は生産ロットが多ければ多いほど1点当たりのコストは安くなる。
これを利用したのがスギ薬局の「エアーかおる」であり、ファミマのコンビニウェアである。
スギ薬局でエアーかおるを見たときに、そのうちに衣料品も開始するのではないかと当方は思っていたが、ついにその動きが顕在化した。
先日、いつものように行きつけのスギ薬局に行くと、リカバリーウェア「ReD」の販売コーナーが新設されていた。

その前にはスギ薬局でクロスプラスの開発した尿漏れ対応のボクサーブリーフの発売開始も発表されていた。
ちょうど、当方が行った店では、ReDの隣に尿漏れボクサーブリーフのコーナーが設置されていた。
これはスギ薬局、ReDともにウィンウィンとなる上手い手段を考えたものだと感心してしまった。
リカバリーウェアは一応「医療機器」と銘打たれている。先行している「バクネ」や「りらいぶ」はどこで売っているのか当方にはインターネット通販くらいしか思い当たらない。
それに比べると、ワークマンのメディヒールは全国1000店舗以上あるワークマンで売られていて非常にわかりやすい。ReDがスギ薬局で販売を開始したのは非常に上手い。またスギ薬局側としても上下セットで7900円くらいのReDが売れれば客単価アップにもつながりやすい。
ドラッグストアを津々浦々行き着くしたわけではないから、見落としている可能性もあるが、ドラッグストアで衣料品が大々的に販売されているのはかなり希少なのではないかと思う。それだけに上手い着眼点だと感じた。
リカバリーウェアは一応は医療品の括りなのでドラッグストアとの親和性は高い。ついでに言うと、大人向け紙おむつが子供向けを上回る勢いでドラッグストアで売れているから、尿漏れボクサーブリーフとの親和性も高い。またタオルは入浴や洗顔、介護との親和性が高い。
単純なファッション衣料がドラッグストアに並ぶ可能性は今後も著しく低いと思っているが、ドラッグストアの本業である分野と親和性が高い衣料品・繊維製品は今後さらに店頭に並んで、江上氏があとがきで指摘したように「ドラッグストアの総合化」が起きるのではないだろうか。
一方、当方が愛用してる食品スーパーであるスーパー万代も負けていない。たとえばトイレットペーパーや歯磨き粉なんてスギ薬局よりも安いことが少なくない。(価格は期間によって変動している)
また食料品の価格においてはスギ薬局を下回っている物も多い。
スーパー万代も身の回り品や一部の衛生品を扱っており、プチ総合化しつつある。
総合スーパーが食品特化に回帰して、ドラッグストアと食品スーパーがプチ総合化しつつある現状には隔世の感がある。
北関東のうちの近所のヤックスドラッグだと、高齢女性向けっぽい普通の服とかもちょっと置いてあったり、下着類とかは男女とも置いてあったりしますね。ほとんど小型スーパーみたいな感じ。