今後30数年間はボリューム消費が期待できる老人向け商材
2025年9月3日 売り場探訪 2
何かを得るためには何かを捨てる、という等価交換の法則は多くの場合に当てはまる。
「鋼の錬金術師」は徹頭徹尾その法則で描かれたわけだが、コロナ禍以降にプロ野球OBのYouTube動画を頻繁に見るようになって、それらの中で元ピッチャーが「新しい変化球をマスターしたら元から持っていた変化球やストレートのキレがおかしくなった」という話をしていたことがあった。野球経験者ではない当方からすると「そんなことがあるのか?」と驚くほかないのだが、元プロ野球選手が語っているのだから事実なのだろう。
これもある意味、等価交換なのだろう。
メディアや愛好家は衣料品に対して「こだわり」とか「1点物のナンタラ」とかそういう部分を重視する傾向がある。一方、生地製造にせよ染色加工にせよ縫製にせよ、ある程度の大量生産が必要不可欠となり、一定数量の量産をすることで品質も安定するし、製造コストを抑えられる。
このため、大手チェーン店へ納入したり、大手チェーン店の商品製造を請け負う方がありがたい場合が多い。
クロスプラスの男性用尿漏れ対策パンツ「キープガード」 スギ薬局900店でも販売 | 繊研新聞
クロスプラスによる男性用尿漏れ対策ボクサーパンツ「キープガード」が新たにドラッグストア、スギ薬局の約900店に導入された。既存の200店と合わせて1100店での販売となる。
とのことだが、これは製造側にとってはかなりまとまったロット数になりメリットがある。
キープガードは2層構造で尿漏れをガードしながら、ナノファイン加工でにおいをケア。薄手生地でシームレスにすることで縫い目のあたりを軽減し、股下の切り替え仕様で動きやすくしている。タイダイや迷彩柄などアパレルメーカーならではのデザインも支持されている。
この2重構造を生地で実現しているのか、縫製で実現しているのか、この記事では不明だが、いずれの手法にせよ1100店舗への納入という大量生産だからそこそこのコストで実現しやすかったことは間違いない。さらにナノファイン加工を施しているということで、この加工を施すにも一定のまとまったロット数があった方が便利であることは言うまでもない。
スギ薬局に限らず各ドラッグストア大手チェーンは現在、食品を大幅に強化しているが、これも各社が数百から1000以上の店舗数を抱えることが大きな強みとなっている。
特に「お菓子」や「飲料」などの加工食品メーカーにとってドラッグ大手チェーン各社の店舗数の多さは魅力となる。
以前にもこのブログでご紹介したが綿100%の吸水速乾タオル「エアーかおる」がスギ薬局で、他の販路よりも少し安く、さらに15%オフクーポンも使用できて販売されているのは、納入店舗数の多さによるところのコスト削減・仕入れ価格引き下げが大きいだろう。
製造・加工側の大量生産要望と、愛好家やメディアの希少性重視は両立がほぼ不可能で、それこそどちらか一方を選ぶしかない等価交換だといえる。
食品は各ドラッグストア大手に行き渡ってしまっていて同質化しているので、今後、スギ薬局は「エアーかおる」や今回の「キープガード」のような繊維・衣料製品を強化拡充するのではないかと思われる。
ただし、ファッション性よりは、エアーかおるやキープガードのような機能性商品が重視されるだろう。
その一方で、店舗数が多ければ必ずしも成功するわけではないことは、コンビニウェアを見てもわかる通りである。ファミリーマートではそれなりに定着しているが、後追いしたローソンは定着させられずに消え去っている。店舗数では両社よりもはるかに多いセブンイレブンもウェアには勝算が見えないのか、参入していない。
この辺りは、ブランド衣料品を得意とする伊藤忠商事と組んだことがファミリーマートに成功要因を与えた一因になっていると考えられる。
この辺りの課題をスギ薬局はどのように解決するのか注目したい。
さて、このキープガードだが、特徴は高齢者向けにある。
スギ薬局の担当バイヤーは「高齢化の進行に伴い、男性の尿漏れについて悩む人は多い。そうしたニーズに応えるため、売り場の整備と扱い店舗の拡充が重要と判断した」とする。実際店舗担当者からも、「想定以上に商品の動きが良い」との声が出ているという。
とのことで、高齢化社会を反映してドラッグストアでは「老人向け紙おむつ売り場」が拡大傾向にある。何なら少子化の影響で赤ちゃん向けおむつよりも老人向けの方がスペースが広い店さえある。
そうなると、老人向け紙おむつコーナーの近くに高齢男性向け尿漏れボクサーブリーフを置くことは親和性が高く売れ行きの相乗効果も期待できる。
今回の商品とは別に、かなり以前からグンゼも「男性向け尿漏れボクサーブリーフ」を開発して大手スーパーに納入しているが、具体的数量は発表していないが、展示会などでは「好調・堅調を維持している」と発表している。
現在、最多人口は団塊世代で、次いで団塊ジュニア世代である。団塊ジュニア世代もすでに50歳前後となっており、これらの世代が完全に消え去る(全員死ぬ)のは後30~40年かかる。
その間、紙おむつもそうだが、尿漏れボクサーブリーフなどの高齢者向け製品が大きな需要となるだろう。
現在、話題のリカバリーウェアも健康志向商品というよりは、老化による倦怠感や疲れを緩和させたい老人層が買っているのではないかと思っている。このリカバリーウェア、老人向け紙おむつ、尿漏れ下着などは今後30~40年間は老人の必需品としてボリューム消費が期待できるだろう。
comment
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ミナミミツヒロ的けち人間 より: 2025/09/05(金) 4:26 PM
>話題のリカバリーウェアも老化による倦怠感や疲れを緩和させたい老人が買っているのでは
>リカバリーウェア、老人向け紙おむつ、尿漏れ下着などは
>今後30~40年間は老人の必需品としてボリューム消費が期待できるだろうミナミさん、ここ、アパレルのブログ、ですよねwww
いちおう確認しておきますそして、アパレル市場における労働者としてのボリュームゾーンも
そうした分野にならざる得ないというのも日本では2人に1人は高齢者になるのが確実ですから
おおぜいの70歳前後の老人が尿モレ下着を買い
そこそこの人数の外国人労働者がバカ安実用着をバッタ屋で漁るその谷間に中間層から今にも脱落しそうな若者ごく数名が
GUユニクロ等でファッションを楽しむ1名2名しかいない服好きはこの際除外します
さしあたり、もし私らに出来る仕事があるとするなら
ドラッグストアに巨大パッキンでこうした下着類を
納品する物流業者wの最末端ぐらいでしょうかね?服、ホントに売れなくなったなぁ・・・
正確には、ファッションな服を着たい人
壊滅的に人数が減ったよな・・・そらみんなビンボウになりますわな
なんだかんだでしばらくは人も消費は一番多いマスなゾーンではありつづけそうです
15歳以下がまた一段下がるので、30年後のあたりには国内はまたいろんな業界でいろんな再編がありそうな予感はします
そしてコロナ以降からまたがっつり下がり始めたのは見なかったことにしたい…