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南充浩 オフィシャルブログ

大手チェーン店の寡占化がさらに進行している衣料品販売

2025年8月19日 トレンド 1

90年代~2000年代半ばごろまでは、オシャレな人とそうでない人の格差が激しかった印象が強い。

幼少期なので明確な記憶が無いが、70年代・80年代はその格差はもっと大きかったのではないかと思われる。大学を卒業するまでジャスコで買った服を着ていた当方はもちろんダサい側の人間である。

現在、大阪の都心でぼんやりと通行人を眺めていても、突出してダサい人はほとんど見当たらない。特に若い人の平均水準は低くない。

 

 

じゃあ、全員が名のあるブランド物を着ているのかというと、それは恐らく違うだろう。高価格品を買わずとも、低価格ブランド品の最低水準が上昇していると考えられる。

もちろん、中にはいまだにロゴがたくさん書かれた襟だけがチェック柄のポロシャツとか、20年前風のピチピチTシャツとか、そんなのを着ている人も見かけるが、多数派ではない。

マス層の平均水準が上がっているのは、マス向けのブランドの水準が概して上がっているからだと思われる。

 

 

何も、ユニクロ、ジーユー、しまむらだけではない。それらより少しだけ高いアダストリアもあれば、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングもある。

そのような買い方に慣れてしまった当方には、もうかつてのような「〇〇ブランドのあれが欲しい」という欲求がほとんど無くなってしまっている。何なら今夏、最もヘビーローテーションで着用しているのは、パレットの吸水速乾Tシャツである。品番によってはパレットの商品で十分な物もある。(もちろん、田舎のヤンキーみたいな品番もいまだにある)

 

 

世の中のすべての事象を当方がとらえきれるはずもないのは言うまでもないが、当方の目の届く範囲で言うと、ある程度の水準までの洋服なら、大手の低価格チェーン店でほとんど間に合うのではないかと思えてくる。

マス層のほとんどは大手低価格チェーン店各社が押さえており、少ないこだわり層を中小ブランドが分け合うというのが、国内の衣料品消費の全容だと当方には見えている。

先日、繊研新聞に掲載されたアンケート調査記事は数字的にそれを裏付けているといえる。

専門店大手と主要業態の売上高 大手の好調続く 業態・企業間格差が大きく | 繊研新聞

繊研新聞社が実施した「24年度専門店ランキング調査」は、83社合計の売上高が4年連続増加、コロナ前の19年度実績と比べても2年連続で上回った。売上高合計の7割を占める上位10社が全体の伸びをけん引した。一方で、19年比では減収の専門店が全体の5割強を占めるなど、回復速度にはまだばらつきがある。過去10年間の売上高推移を見ても、大手各社と主要業態それぞれの成長性に差が出ている。

 

とのことで、上位10社が売上高の7割を占めているのが実状である。

 

 

この記事は会員向けの有料記事なので後半は会員以外読めないのだが、これを下敷きにしたコラムが先日掲載された。興味深いので引用してご紹介したい。

《めてみみ》明暗の裏側 | 繊研新聞

繊研新聞社の「24年度専門店ランキング調査」は比較可能な83社計の売上高が4兆8604億5900万円で前年比4.8%増。21年度から4年連続で前年を上回り、19年比でも9.6%増だ。

とのことで、全体を合算した数字は好調だといえる。

 

しかし、内容は大手の寡占化が進んだに過ぎない。

20年に落ち込んだ売上規模がようやくコロナ禍前水準を超えるまで回復した背景にはユニクロやしまむらなど大手の好業績がある。2社を含む上位10社計の売上高は前年比7%増、19年比10%増と全体の伸びを上回り、83社計売上高に占めるシェアも7割に達する。

大手による寡占化が進んだ一方で、回復度合いにはばらつきが見られる。個別に見ると19年比増収だったのは83社中38社で、過半の45社の売上高は依然としてコロナ前の水準に届いていない。

とある。

 

さらに

詳しく見ると、年商1000億円超の専門店14社で19年比減収は3社だけ。ところが年商100~900億円規模の22社中では13社、100億円以下の37社中では29社と、売上規模が小さくなるほど19年比減収の専門店が増える。

 

となっており、1000億円を越える大手チェーン店は14社中、11社が19年比で売上高を伸ばしていることがわかる。一方で、中規模企業(100億~900億円)は半分強の13社が減収、100億以下の小規模店は78%強を占める29社が減収に沈んでおり、大手と中小との格差が激化していることがうかがえる。

要するに、大手はさらに大手になったが、中小チェーン店は伸び悩みどころか規模縮小を余儀なくされている場合が多いというわけである。

 

 

突出しない程度の今っぽい洋服を買いたければ、大手チェーン店各社だけである程度は賄える。そして大手チェーン店のほとんどは低価格品を扱っていてコスパを考慮したり、洋服以外の趣味に支出を優先したいと考えている層にとっては、それらの商品で十分なのである。

ユニクロ、ジーユーには無いデザインの商品が欲しくてもアダストリアやグリーンレーベルリラクシング辺りで手に入ることも多々ある。そうなると、わざわざ高いブランド品を買わずともそちらで済ませようとする人が増えることは当たり前だろう。

 

 

大手間の競合は当然、今後も激化するが、マス層ではない客層を分け合うことになる中小チェーン店同士の方がより激しい競合にさらされることになる。こだわり層を狙うブランドや店は、今後さらに厳しい局面を迎えることが増えるのではないだろうか。

 

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 comment
  • ミナミミツヒロ的けち人間 より: 2025/08/22(金) 9:44 AM

    ミナミさんはホント造語上手だよな

    >「突出しない程度の今っぽい洋服」
    > を買いたければ、大手チェーン店各社だけで賄える
    >(大多数の消費者には)それらの商品で十分なのである

    1億総カジュアル化・らくちん化が達成されて30年
    アイテム別のデザインは既に完成・熟成されきっている

    あとはいかに安く・こなれたふうに作るか・それだけです
    そしてその技術もここ10年でほぼ完成した

    「ちょう・ちょう・こだわってます!」という世界も
    あるにはあるけど、販品のオネダン10倍~では
    沢山売るのはもちろん無理だし、5着10着うるのすら厳しいでしょう

    雇用主が無くならない安心感と引き換えに
    最低賃金+150円ぐらいの賃金で
    大手で働くしかないんじゃないのかなぁ
    この業界で生活していくには

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