ファッション特化施策で全百貨店がマス層から支持を獲得するのは難しいという話
2025年8月12日 企業研究 1
世間的には「お盆休み」である。
関東は7月15日が「お盆」らしいが、関西生まれ関西育ち関西在住の当方からするとお盆は8月15日である。
2016年、今から9年前のこの時期、当方は東京でインタビュー取材を断続的に続けていた。当時、三越伊勢丹HD社長だった大西洋氏が相手である。
本来であれば、あと数回続けて2017年のどこかの時点で完了するはずだったが、2017年春に電撃解任されてしまったので、そのまま立ち消えとなって今に至る。
2017年春の電撃解任には驚かされ、その概略は把握できたものの、詳細に触れる機会は当方には無かった。
先日、プレジデントオンラインにその当時の詳細記事が掲載されたので、当時を振り返って懐かしく拝読した次第である。
解任当時は、さまざまな情報、推測、噂が飛び交ったが、今回の記事はどこに齟齬があったのかが比較的詳細にかつ正確にまとめられていると感じる。
興味のある方はご一読願いたい。
この解任背景記事は「後編」であり、「前編」は百貨店ビジネスに関する大西氏の独自の考えをまとめたものとなっている。
今回はこちらの記事について考えてみたい。
ご一読されれば理解できると思うが、大西氏は伊勢丹育ちなので、ファッション衣料品に並々ならぬ意欲があることが伺い知れる。
ただ、当方の個人的意見を言わせてもらうと、売上高数千億円の巨大小売グループとしては、ある程度の「大衆」「マス層」を顧客化する必要がある。そして、ファッションに特化した百貨店ではマス層からの支持を得られなくなっているのが現状だといえる。
この記事とてそのことは承知しているようで、冒頭には
立地でも、施設の良さでも、ファッション性でもない。「日本の百貨店改革は、組織と人で負ける」と元三越伊勢丹ホールディングス社長、大西洋さんはいう。
百貨店の衰退を、もうだれも疑わなくなった。「文化の創造・発信拠点」として全国各地で城下町を形成した往年の姿はもうない。過去10年のうちに閉店した主な地方百貨店は約50店に上る。1990年代初めに約10兆円あった業界売上高は30年間でほぼ半減した。
ここ数年の最高益は、吹けば飛びかねないインバウンド客によってもたらされたものだ。成功しているとされる都心の旗艦店でさえ、デパ地下の食品需要と囲い込んだ富裕層の両極によって、イメージが大きく膨らんでいるように見える。ファッション市場を牽引してきた庶民の憧れの的は、国民共有の「思い出」と化してしまうのか。
とまとめられている。
これは以前にも書いたことがあるが2010年代半ば以降の百貨店全体の売り上げ構成比で最も大きいのは「食品」となっている。食品の売上高が衣料品を抜いたのである。
もちろん、店舗ごとの売り上げ構成比は異なっているだろうし、店舗によっては衣料品売上高が最大を占める店舗もあるだろう。だが、百貨店全体をまとめた場合、売り上げ構成比で最大を誇るのは「食品」になっているのが現状である。
ここから導き出される結論は、大衆・マス層にとって、百貨店に関する最大の関心事は衣料品ではなく、食品になっているということになる。
大衆・マス層は衣料品への興味が低下していることは明白である。
ファッション特化型の大西氏の思想に沿った運営だと伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店などのファッションに強い店舗は維持や強化が可能だろうが、地方店・郊外店・小型店は現状維持すら困難になるだろう。
いわゆる特化型専門店としてファッションに特化するという思想は存在しても構わないと当方は思っている。ただし、そのやり方で現在の「大衆・マス層」を獲得することは難しいだろうということは認識する必要があると考えている。
さらにいうと、ラグジュアリーブランド・スーパーブランドを集めるという手法もすでに陳腐化してしまっているし、マス層がそれで踊るわけではないことは証明されてしまっている。好きな人は好きだろうが、興味の無い人は全く興味が無い。そういう存在である。
この記事内では「ルイ・ヴィトン」を導入するかどうかについての熱い意見が交わされているが、そのルイ・ヴィトンを擁するLVMHですら、直近では減収減益に陥っている。
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2025年1~6月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比4.5%減の398億1000万ユーロ(約6兆8473億円)、営業利益は同15.3%減の89億9800万ユーロ(約1兆5476億円)、純利益は同21.6%減の56億9800万ユーロ(約9800億円)の減収減益だった。
とある。もちろん、高い収益性が続いていることは言うまでもないが、成長し続けるという段階では無くなったということになる。
ファッションに特化することで生き残る百貨店はあるだろうが、現存する百貨店全てがそれで生き残れるはずもない。逆にファッション特化で生き残る百貨店の方が百貨店全体の中では少数派だろう。
JR大阪駅併設という好立地であるにもかかわらず、大丸梅田店は低層階以外は閑古鳥が鳴きがちだった。しかし、5階にガンダムベースや仮面ライダーショップ、ゴジラショップなどを核としたキャラクターショップを誘致した結果、5階は平日昼間でも相当数の入店客がある。
この手法は全百貨店が使える物ではないだろうが、逆にいうとファッション特化・強化だけが百貨店の集客装置ではないということでもある。
食品強化の店舗があっても良いだろうし、アニメキャラクター強化の店があってもいい。大衆・マス層を取り込みたいのであれば、ファッション特化以外の施策を模索した方が正解に近いだろう。
このダイヤモンドの記事は表面的で本質捉えてないと思った。
元内部の者からすれば当時の経営陣の数字至上主義は異常。
ベテラン課長があいつらキチ○イ精神異常だと言ってた。
都心三店舗以外は百貨店逆風でキツいのに全然加味しないから現場は疲弊。
仕入れ構造改革も既存の仕事にさらに追加で乗っけてくるから
休日出勤しても間に合わないくらいの仕事量になる。
しかも専門性知見ないサラリーマン担当者がやるから
販売員からするとゴミみたいなモノ売らされてた。
電通の子が自殺する前だったのでサビ残しまくりパワハラ普通の時代だったし。
百貨店はサボって仕事してないと書きこむ人が数年前はよくいましたが、
いつの時代だよwという感じ。
10年前でもバイヤーすら繁忙期は店頭出すくらい人手ケチっててどこも余裕ないのが現実だった。
しかも給料安いし。メンタル病んで休職の社員が大西時代は多かった。
組合の支持失って失脚したのは当然だしむしろ遅すぎた。
結果伊勢丹側の婦人系を中心としたアパレル通の人脈は左遷され三越系が復活。
本店にLV入れたのも三越系にとっては嬉しいことなんじゃないw
アパレル弱くなるのも当然でしょ、販売力は伊勢丹本店最強でも指示計画出すのが三越経営陣なんだからw
大西と杉江の確執が三越系にとっては幸運だったという話。