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南充浩 オフィシャルブログ

秋物の販売時期を遅らせるというマッシュの施策は適切ではないかという話

2025年5月19日 天候・気候 0

今のご時世で衣料品の販売において最も重要な要素の一つは気温だろう。

結局のところ全般的に、暑かったら夏物は売れるし寒ければ防寒物が売れる。真夏に某ブランドのダウンが売れたというニュースはあるが、じゃあ、某ブランドを越えて業界全体で真夏にダウンが売れるかというと売れない。

それは某ブランドのファン(にわかも含めて)と転売ヤーだけに限られた需要であり、マス消費者にその動きは波及しない。そのニュースを見たところで「ヘー、そうなんだ」と言ってお終いである。

 

 

 

気温要因は四季を通じて最重要ではあるが、とりわけ重要なのが「今年の夏はいつまで続くのか?」ということと「暖冬か否か」ということではないかと思う。

当方が販売員をしていた90年代前半も夏は暑かったが、それでも9月の下旬ごろからは涼しい日が出始めた。だから、当時の販売員の先輩方は8月のお盆が過ぎたころから長袖を着始めていた。まあ、暑いことは暑かったのだろうが、今ほどの猛暑ではないから耐えられたのだろう。

当方は暑がりなので9月下旬まで半袖で過ごしていたが。

それでも10月には「衣替え」のタイミングで長袖シャツくらいは着ていた。

 

 

しかし、今は10月の下旬ごろまでは毎年暑いし、昨年は11月の中旬すぎまで暑かった。そのため、秋物の動きが11月中旬過ぎまで鈍かった。

だから「今年の夏はいつまで続くのか?」というのはかなりの重要事項となっている。

とはいえ、9月末まで暑いというのはほぼ標準化していて、体感気温購買の消費者がマス化していることから、9月末まで秋物はほとんど動かないというのは、すでに定説化していると考えた方が適切だろう。

 

 

そうなると、秋物の店頭入荷時期は早くても9月ごろにするのが当然となる。昔からの商習慣では8月のお盆前後に秋物の投入が一般的だったが、今の気温だと夏が長く続かなかったとしても、9月末までは高気温なので店頭投入後1か月半に渡ってほとんど秋物が動かないということになる。

だから、9月投入の方が投入時期に関しては正解だといえる。もちろん、販売期間の長さとか先物需要とかそういう点に関しては正解とは言えないが、先物需要はそう多くはないのだから、自店の顧客に先物需要が少なければ虫して良いだろう。

今回のマッシュスタイルラボの秋物投入時期の変更は概ね適切な処置だったといえる。

マッシュスタイルラボ、秋物を1カ月後ろ倒し 体感気温に対応 | 繊研新聞

マッシュスタイルラボは今秋、夏の長期化に対応した商品構成に切り替えていく。昨年まで7~9月だった秋物販売のタイミングを1カ月遅らせるほか、半袖や七分袖のアイテムの構成比を上げる計画。

とのことである。

 

 

「昨年まで7~9月だった秋物販売のタイミングを1か月遅らせる」とあるので、販売タイミングは8~10月となる。正直、これでもまだ早いのではないかと思ってしまうが、低価格帯ではないマッシュなら11月からは正規の冬物が売れ始めるから10月までが秋物販売ということになるのだろうと思われる。

とはいえ、逆にマッシュのファンであっても7月からわざわざ秋物を買う先物需要は少ないということがわかる。7月というと「夏」のイメージだが実際のところ、7月20日前後まで梅雨で、梅雨明け後やっと真夏の暑さが来る。いわば梅雨明け早々に「秋物開始」とか言われても消費者の食指は動きにくい。

個人的には8月~10月というのを業界標準化しても構わないと思うし、何なら、9月~11月に遅らせても体感気温的には構わないのではないかとさえ思っている。

 

 

 

さて、そんなわけで気象情報の重要性を多くの業界人が認識しており、気象情報の入手分析が進んでいるが、気象情報は事前に様々な予測が発表され、それが時期が近付くにつれて情報の正確性が高まる。

そんなわけで夏に向けて毎月・毎週様々な情報が発表されているが、今回もまた新しい情報が発表された。これが的中するかどうかは今のところ不明だが、知っておいて損はしないと思っている。

 

 

これによると、エルニーニョ現象になる確率は10%と低く、ラニーニャになる確率もあまり高くはないが、それでもエルニーニョよりは確率が高いという話だが、、途中あたりに「今のところ、今年も夏が長引く可能性が出てきた」と語られている。

今年の夏も猛暑の予想も発表されているが、同時に「平年並み」の予想も発表されている。平年並みの予想が当たった場合、平年並みの暑さが長引くということになる。

そうなると、猛暑だろうが平年並みだろうが、夏が長引くことになり、やはり秋物販売時期は後ろ倒しにした方が良いということになる。

 

 

業界人からはたまに「先物買い需要の喚起」なんてことが提唱されるが、体感温度での購買行動が消費者に浸透してすでに20年くらいが経過しており、その間、さらに夏は高温・長期化している。

そういう状況が定着した今、季節先取りの購買が増えることはあり得ないと考えて、気象情報の入手・分析を拡充した方が賢明だろう。

 

 

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