
「アニメがメインカルチャー」であると強く再認識したという話
2025年3月19日 トレンド 0
当方はテレビ番組をほとんど観ない。
当然、スポーツ中継もほとんど観ない。最後に観たのは、23年秋の日本シリーズで阪神が優勝した最終回くらいである。それ以前の回はあまり観ていない。
当然サッカーもほとんど観ない。ワールドカップで日本代表の試合が中継されていても観ない。
理由は2時間~3時間も観続けるのがめんどくさいからである。ただ、結果は知りたいから途中経過はインターネットで確認する。
だが、スポーツ観戦が嫌いというわけではない。そこそこには興味を持っている。まあ、当方の性分からすれば途中経過と結果が分かってあとはダイジェストを観ればそれで満足してしまう。
そんな当方でもMLBの大谷翔平選手の活躍には注目している。もっとも試合中継を観たことは一度も無いが。
その大谷翔平選手が東京でカブスと開幕戦を戦っていて、相当な観客数とテレビ視聴率の高さを記録していることは報道で知っている。カブスにも日本人選手2人が在籍しているから尚更人気が高いことも納得できる。
先日、ワコールが大谷翔平選手とスポンサー契約を結んだ。
ワコール 大谷翔平選手とグローバル広告契約を締結 | 繊研新聞
ワコールはメジャーリーガーの大谷翔平選手とグローバル広告契約を締結した。新たなキャンペーンスローガン「Empowering. WACOAL」(エンパワーリングワコール)の下、大谷選手を起用した広告コミュニケーションを2月17日から順次行う。
とのことだが、当方は当初このスポンサー契約については実は懐疑的に見ていた。ワコールのスポーツラインの「CWX」の広告だけなら適任だろうと思うが、女性肌着が主力なのにワコール全体との契約というのはどうなのだろうか。というのが当方の懸念だった。
大谷選手を見て、女性が肌着を買おうと思うのだろうか、というふうに当方は考えたわけである。
ただ、この解説動画を観て考えが完全に変わった。
アンケート調査記事をまとめなおした内容だが、これによると、大谷選手は女性人気も圧倒的1位である。となると、大谷選手の起用を見て肌着を買ってみようかと考える女性は一定数いるのではないかと考えられる。
大谷人気のすさまじさである。
大谷選手自身がこれほど高い人気を誇っており、東京でのMLB開幕戦、開幕戦に先んじた巨人、阪神との交流戦ともに高い視聴率と入場者数の多さを誇った。
言ってみれば、大谷選手が来日して出場しますよ、とアナウンスするだけで高い興行収入と視聴率が見込めるわけである。また、日本国内の販促に限れば、ドジャースの他の2人の日本人選手、カブスの2人の日本人選手を前面に打ち出せば容易に興行は成功することに異論のある人はいないだろう。
にもかかわらず、MLBは今回の東京シリーズの販促の一つとしてアニメコラボを選んだ。
まず、1つ目はこれ。
CHIIKAWA×MLB TOKYO SERIES 2025
ちいかわとMLBのコラボグッズ販売である。
ちなみにこのちいかわコラボは現在、ネット内では「転売ヤー殺し」として賞賛を浴びている。発売開始と同時に転売ヤー(クソ)による買い占めで売り切れたのだが、そのわずか数時間後には公式が「受注生産」を発表したため、転売ヤーの抱えた商品は売れなくなったのである。そりゃ誰でも公式から定価で買えるなら、わけのわからん転売ヤーから高い商品を買わなくなる。転売ヤーに悩まされている各商材も見習ってもらいたい施策だ。
次にこれ。
「MLB東京シリーズ by グッゲンハイム」の開催を記念して、アニメ「鬼滅の刃」とのコラボレーションムービーを公開 | エム・エル・ビー・ジャパン株式会社のプレスリリース
MLBと鬼滅の刃のコラボである。
コラボ商品を発売すると同時に、オリジナルアニメ動画も制作して公開されている。
この販促には驚かされた。MLBというスポーツ興行が販促としてアニメコラボを行い、なおかつオリジナルのアニメ動画まで作成してしまっている。これは今までにあまり無かった傾向ではないかと思われるからだ。
先にも述べたように大谷選手自体をアピールするだけで興行収入と視聴率は確実であるにもかかわらずである。その大谷選手はワコールには販促ツールとして使用されているわけである。
しかし、それよりもアニメコラボの方が有効な販促手段だと判断されたということになる。以前から書いているようにいまや完全に「アニメがメインカルチャー」となっている。
結局、アニメや漫画というのは、老若男女すべてに通じやすいメインカルチャーに現在はなってしまっているということがこの動きからもわかるだろう。
またインターネットの普及によって、アニメや音楽などが同時期に全世界で視聴できるようになったことも大きい。日本のアニメは現在、だいたい3カ月おきに新作が放送・配信されるが、これが国内のみならず海外も同時期に視聴していることが多く、新作アニメには外国から多くコメントが寄せられている。
今回の2つのアニメコラボは海外からもコメントが同時に寄せられている。
国内のほぼ全世代に通じるだけでなく、海外に向けてもアニメコラボは響きやすい施策となっている。生半可なタレントやデザイナーとコラボするより世界的にマスに響きやすいといえる。
このアニメ人気はいつまで続くのだろうか。当分は続くと個人的には見ているが、長期的には衰退する可能性は低ゼロではないだろう。ただ、アニメ人気が衰退したからと言って、タレント人気やデザイナー人気が復活するかというとそちらの可能性は限りなくゼロに近いと個人的には見ている。