
「ネット通販=タイパの良さ」とは必ずしも当てはまらないという話
2025年2月28日 ネット通販 1
買う側にとっても売る側にとってもネット通販はすっかり定着したと感じる。
2010年代のような「ネット通販夢想論」はだいぶと見かけなくなったし、アパレル業界において言えば、ネット通販売上高が横ばいから減少に転じているブランドも少なからず見かける。
2010年代では「実店舗は売れにくいが、ネット通販なら何でも売れる」みたいな意味不明な解釈をするアパレル業界人も多く見かけたが、現在そんなことを言っている人はほとんどいない。よほど物の分からない人かポジショントーカーである。
2010年代はアパレル企業内でもネット通販部隊と実店舗部隊での対立とか売上高の奪い合いとかそういうことが多発していたが、査定方法も変わり、現在そんな対立を引き起こしている企業はほとんど見かけなくなった。
会社からすればネットであろうが実店舗であろうがどっちで売れても良いのである。となると査定方法を変えればどちらの部隊からも不満は出ずに協力体制が構築できる。
これは買う側からしても同様で、欲しい物が手に入ればネット通販であろうが、実店舗であろうがどっちでも構わないのである。買い方にコダワリを持っている人はよほどの少数派だろう。
売る側の査定方法もネット通販と実店舗の境目が無くなると同時に買う側もネット通販と実店舗の境目が無くなっているというのが現在の正確な状況だろう。
実際に当方の消費行動で考えると、ネット通販でしか買えないときはネット通販を使うが、実店舗でしか買えないときには実店舗で買う。どちらかでの買い方に固執することは全くない。
例えば、当方の唯一の趣味であるガンプラだが、コロナ禍前まではほとんどをAmazonで買っていた。理由は安かったからである。
定価の20%オフは当たり前、30%オフも珍しくなく、50%オフの商品も多々あった。これに対して当時の家電量販店の店頭だとせいぜい20%オフが限界だった。
となると、どちらで買うかは明白である。よほどジョーシンのレジの人と接触したいというおかしな欲求のある人しか実店舗は選ばない。
だが、コロナ禍からガンプラの品薄状況が始まり、今も続いている。
Amazonは転売ヤーの高値出品ばかりになるとともに新商品も一瞬で完売してしまっている。ヨドバシも同様である。となると、ジョーシン、エディオン、ヨドバシあたりの実店舗に発売日の開店前に並ぶ方が入手しやすい。だから当方は目当ての機体が発売されるときは必ず実店舗の開店前に並んでいる。
実店舗に開店前に並ぶと確実に買える場合が多いし、値段は定価である。ヨドバシなら10%オフでさらに10%ポイントが付く。Amazonのように転売ヤーからぼったくられることが無い。
衣料品でも同様で、ユニクロ、ジーユ―で買う際は必ず、一度実店舗で現物を触ったり試着してから買う。実店舗にあれば実店舗で買うし、無ければネット通販で買う。逆もしかりでネット通販で品切れになっていれば実店舗で買う。
これが可能になった要因としては、店舗在庫検索システムが出来上がったことと、その精度の向上にある。
ネット通販で見かけた商品がどの店舗にザックリどれくらい残っているのかというのが分かるようになっている。これのおかげでネット通販で無い物は在庫が残っている店舗で買いやすくなった。
これをオムニチャネルというのかシームレスというのかはIT業界人ではないのでどっちでも構わないと思っているのだが、衣料品に関して言うと、実店舗で一度触ったり試着してから買いたいというのが当方の意見である。
理由はサイズ感が合わなかったとか生地が思ったより分厚かったとか薄かったとかという理由で返品・交換するリスクが低下するからである。
実際、つい先日にユニクロのテイパードワイドジーンズが定価3990円から期間限定で2990円に値下がりしたので買おうかと思って実店舗へ行ってみた。触ってみるとデニム生地が思ったよりも薄い。それで買うのをやめた。
当方ごときがそのような購買行動をしているのだから、世の中の人の多くも同様だろうと思っていたら、こんな記事が掲載されていた。
商品を買える店舗がわかることを購入の判断材料にする人は約7割。購入店舗をネットで調べる行動が当たり前に【商品探しの意識調査】 | ネットショップ担当者フォーラム
商品購入前に商品がどの店で買えるか調査した経験を聞いたところ、「いつも調べる」「よく調べる」「ときどき調べる」の回答者は合計すると72.8%に達した。
また、ほしい商品がどこの店で買えるかをインターネット上で探した経験を聞いたところ、82.1%が「はい」と回答。2021年に実施した同様の調査では76.8%が「はい」と答えており、4年間で5.3ポイント上昇した。
「取扱い店舗を探す」機能を使った後、その店舗で商品を購入した経験を聞いたところ、63.6%が実際に店舗で商品を購入をしたことがあると回答。内訳は「数回購入したことがある」が48.1%、「頻繁に購入している」が5.4%、「1度だけ購入したことがある」が10.1%となっている。
とある。
多くの人は当方と同様で目当ての商品が手に入ればどっちで買っても構わないと考えているということだろう。商品を手に入れることができるなら、ネット通販だけだと心もとなく、実店舗という別販路がある方がより手に入りやすい。実店舗が複数存在するということは大きな安心感がある。
「若い世代を中心にタイパ(タイムパフォーマンス)を重視した思考や行動が求められるなか、購買行動においても事前リサーチすることでタイパを意識する消費者が増えている。一見ネット購入が手軽(タイパ)に思えても、確実に商品がある店舗を見つけて実店舗で購入する方が、結果的にはタイパになるという、新しい消費行動の形が見えてきた」
と締められているが、「ネット通販での買い物=タイパの良さ」では決してないと最近強くそう感じている。
たしかに実店舗へ行く時間と交通費は節約できるが、荷物が到着する日時には待機している必要があるし、置き配だと盗難される可能性も捨てきれない。実店舗は購入してすぐに持ち帰れるというメリットがある。さらにいうと、衣料品の場合はサイズ感や素材感が合わないことで返品・交換が生じるとその返送も手間がかかるし、返送料金も発生する。
そのため衣料品に関していえば、実店舗で試着してから買う方が実はタイパ・コスパが良いといえる側面もある。
結局のところ、消費者はメリットを感じる方から買うのだから、ネット通販と実店舗を使い分けることが今後はさらに増えるだろう。
また、一人の人が買う量というのもある程度決まっているのでネット通販と実店舗はそれを分け合うという形になる。ネット通販だけが無限に伸びるとかそんな現実は中期的にもやってこない。
ネット通販がバラ色の未来かのように吹聴するIT業界人やポジショントーカーが激減したが、今後はそれらがさらに顧みられなくなるのではないかと思う。
23年目のカーオーディオが壊れた。取付工賃込で数万円掛かるのでラジカセで代用と考え 家電量販店とリサイクルショップを廻り めぼしい品番を控えネット検索の末 ヤクオフで 7200円で落札(5400円始まり)
オークションのカラクリ(出店者の知人がグルで価格をつり上げるなど)は不明だが 新品売価が平均25000円位なので 届いた商品の程度からはマズマズの買物だった→保証期間は無いので故障したら泣き寝入りだが
家電量販店では 商品の前でスマホ検索の人が数多くいた ツワモノ(?)は店員さんにスマホを見せながら価格交渉をしていた
家電に関しては 冷蔵庫の故障など緊急な場合を除き 実店舗がショールーム化していると感じ 入店人数に対して買上率はイマイチなのだろう