
ワークマンカラーズにベンチマーク先として個人的にオススメしたいブランド
2025年2月27日 企業研究 0
先日行われたワークマンの会見の様子が各メディアで報道された。
その中でも群を抜いて詳細に報じたのはファッションスナップドットコムではないかと思う。
男性の買い物難民を救うポジションに、ワークマンが新生「Workman Colors」披露
当方は関西在住のため、欠席したのだが会見の中身はこの記事を読んで認識した。
個人的にはワークマンは難しい領域に足を踏み入れようとしていると感じる。メンズ・レディース・キッズという商品構成から考えて、若いファミリー層ではないかと思う。
近年の晩婚化の影響から、小学生の子供がいても夫婦ともに中高年という場合も珍しくはないが、一般的な生活スタイルから考えると、20代後半~30代後半(40歳ジャストくらいまで)の夫婦がターゲットになると考えられる。
記事の賞品写真を見た限りの印象でいうと、メンズのマルチストライプのシャツだがターゲット設定には合っていないと感じる。また「日本と韓国でのマーケットリサーチを実施し」とあるが、このファミリー層の成人男性が韓国トレンドに興味を持っているかというと、多分ほとんど持っていないだろうと思われる。韓国トレンドを取り入れたいのであれば、もっと若い世代の男性に向けるか、同じ年齢層でも生活スタイルの異なる男性層に向けた方が適切ではないかと思う。
ちなみに当方は韓国トレンドに微塵も興味を持っていない。
「ここ5、6年、社内は#ワークマン女子一色でした。本当にどうなっていくか分からず、皆んなで一つのボールを追いかけているような状態だったため、他のブランドに割く人員が少なくあまり力を入れられなかった」と土屋 専務取締役。
という発言がこの会見でもあったようだが、同じ主旨のことは以前に送付されたプレスリリースにも書かれていて、実際にそうだったのだろうなと思わされる。
ただ、これは極端な言い方をすると「物作り系メーカーや工場がファッション化で浮かれている」というよくある状態に過ぎないと当方には読める。実際に物作り系メーカーや工場がオリジナルのトレンド型カジュアルファッションブランドを設立すると、このような「浮かれた状態」になるのを過去に何度か見ている。それほどに「トレンド型ファッション」というのは楽しい物なのである。しかし、楽しいことばかりではないのがトレンド型ファッションビジネスであり、不振アイテムの在庫処理や商品計画の高精度化など頭を悩ませる問題も数多くある。
個人的には、メーカー気質が極めて強いと感じられるワークマンは、この分野に足を踏み入れるのは得策ではないと見ている。
世間的にも比較的評価されているジーユーですら、不振アイテムが季節ごとに複数品番生まれて、590~990円程度に値下げされて処分されている現実がある。
まあ、当方はその最終処分品ばかり買っているわけだが。(笑)
なぜ、ワークマンがメーカー気質の強い企業だと感じるのかは、この会見で「トレンド」と言いながら、生産体制や生産リードタイムの話ばかり出ているからである。
これは工場気質、メーカー気質の強い企業特有の反応だと感じられる。
それはさておき。
ただ、機能性服に重点を当てているという点においては評価したい。あくまでも個人的な感覚に過ぎないが、機能性服という視点と洋服のデザインがマッチしていないと感じられる。またベンチマークがシーインと韓国トレンドというのも設定ミスではないかとも思っている。
もし、当方がかかわる立場であるなら、ベンチマークはダイワピア39かアダストリアの「ヌメラルズ」あたりに設定する。
「ニコアンド」の「ヌメラルズ」25年春 30代向けにシンプルな機能服 | 繊研新聞
アダストリアの「ニコアンド」は、男性向けがメインのオリジナルレーベル「ヌメラルズ」で25年春に商品をアップデートする。スポーティーなカジュアルウェアを販売してきたが、主な客層の30代に合わせ、機能性素材を使ったセットアップスーツなどのシンプルなアイテムを増やす。
アウターで1万3000円台、トップが4000~8000円台。ニコアンドの一部店舗と自社ECで販売する。
とある。
ダイワピア39はセレクトショップ好きの層からは評価が高いが価格も高い。ヌメラルズはそれよりも価格は抑えめである。
仮に当方なら、ダイワピア39とヌメラルズの廉価版としてワークマンカラーズを設計してみる。価格は先ごろワークマンが発表した価格帯のままで、商品デザインのテイストを韓国トレンドではなくダイワピア39かヌメラルズに寄せる。
その方が、例えばユニクロやグローバルワークに飽きている若いファミリー層を獲得しやすいのではないかと当方は愚考する。
余談だが、当方はヌメラルズの処分値下げ品を何点かドットエスティ当時(現在はアンドエスティに改名)に買ったことがある。ユニクロにはないデザインテイストでそれでいて機能性があったので、当方としては結構満足している。そんなわけでワークマンには韓国トレンドよりもこの辺りのベンチマークをお勧めしたいと考えた次第である。