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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販だけで服と靴を買うことの難しさ

2025年1月15日 ネット通販 1

ネット通販で物を買うことに手慣れてきた。

台所用品や日常使いの雑貨、本、ガンプラなどは全く気にせずに大きさや仕様、値段だけで買う。だが、洋服と靴は難しい。どちらも身に着ける物なのでサイズ、素材感などが気になるし、それを間違えると全く役立たずのガラクタになってしまう。

もちろん、交換可能な物も多いが、手間と送料が余計にかかってしまってめんどくさい。

 

洋服と靴に対しても「ネット通販万能論」を唱えている人はどういう認識をしているのか疑問を感じる。特に業界関係者がそうであると、疑問しか感じない。

《視点》靴を販売する価値 | 繊研新聞

最近、複数の個店専門店に共通して、靴が集客に貢献していることに気付いた。サイズ別に在庫を持つ負担はあるが、リアル店舗で販売する価値の大きいアイテムなのだと実感する。

ECで購入できても「サイズを確かめたい」のが消費者心理。ある都内の専門店のオーナーは、扱っていた長靴の人気が高まり、試し履きの来店者が後を絶たなかった経験があると苦笑する。

とある。

通常の靴はサイズピッチが5㎜刻みなので試着無しに買うのはかなり難しい。手持ちの靴の同型異色を買うなら試着無しでも買えるが、今まで履いたことも無い靴を試着無しでネット通販で買うのは難しい。

ECで購入できても「サイズを確かめたい」のが消費者心理 どころの話ではない。

このコラム氏は業界関係者なのにサイズ感に無頓着なのだろうかと訝しく感じる。

 

売っている店がわからないとか、店が無いとか、店があっても遠方で行きづらいとか、そういう理由でもない限り靴は試着してからしか買わない。それが返品・交換を防ぐ最も確率の高い買い方・売り方だろう。

 

 

衣料品の場合、サイズ感に加えて素材感も重要になる。

形やシルエットも左右するので重要だが、それ以上に素材感も重要で、動きやすい・動きにくい、思ったよりも寒い・暑い、などの身体への不快感につながる場合がある。

洋服のネット通販で素材感が伝わりやすいのを当方は見たことが無い。もちろん各業者も最近では着用して少し動いてみる動画をアップしてわかりやすさに努めていることは理解するが、モデルが30秒くらいゆるく動いたところで素材感が全て伝わるはずもない。

ユニクロでさえ、公式ネット通販で見てから実店舗へ行って実物を触ってみると想像と全く異なる場合がある。ウェブで見ただけの商品をネット通販で買うとそういうケースはもっと多いことは当たり前である。

 

 

そういうときに役立つのが消費者レビューである。

業者側も荒しのようなレビューは削除しているのだろうが、それでも「生地が思ったよりも薄いです」とか「思ったよりもサイズが大きい」などのコメントがあって大変参考になる。

実際にそのレビューを読んでから買った服がレビュー通りだったので失望せずに済んだこともあった。

しかし、消費者レビューが無い商品は困る。画像とショート動画と、業者の商品説明文だけで判断しなくてはならないからだ。そして、商品紹介がキッチリと書かれている業者ならまだしも、極めて感覚的なことしか書いていない業者ならその説明文は全く参考にならない。読むのさえ時間の無駄である。

できれば、商品説明文に生地のオンス数やゲージ数も書いてもらいたいと強く願っている。

 

 

そんなわけで正月バーゲンも終わって、さらなる値下げ品を買おうかと思って、久しぶりに無印良品の公式サイトを見てみた。

すると「洗える中綿ステンカラーコート」というのを発見した。定価9990円が5990円に値下がりしている。色は黒とダークモカブラウンしかない。

紳士 洗える中わた ステンカラーコート | 無印良品

素材組成は表地ナイロン100%・中綿ポリエステル100%・裏地ポリエステル100%とある。商品画像と素材組成から当方は、そこそこかっちりしたナイロン生地の表地ではないかと想像した。おまけに「生地の厚さ 中厚手」と書いてある。

普通に考えれば、そこそこの厚みのあるナイロンに中綿を入れたと解釈できる。

ユニクロのハイブリッドダウンコートみたいな触感をイメージしながら、夕方に無印良品に立ち寄った。実物を触ってみると、表地も薄く中綿も薄い。そして柔らかい。軽量薄手中綿ジャケットとしても当方には物足りなく感じられた。

これは真冬は恐らく寒いだろうと思われるし、何よりもヨレヨレになりやすいとも感じて即座に買うのをやめた。

ネット通販の画像だけを見て買うことがいかに危険かと改めて痛感した次第である。

 

さらにこの商品が解せないのは、公式通販サイトの商品説明に「中わたの一部に、植物由来の原料を使用しました」との一文がある点である。

素材組成には「ポリエステル100%」と書いてあるのに「植物由来の原料」とは一体どういうことなのか?当方は植物由来のポリエステルという存在があることを知らない。もし、知っている方がおられたらぜひともお教えいただきたい。生来の不勉強を修正したい。

「ググったら、「ポリエステル繊維はテレフタル酸とエチレングリコールから作られますが、このうちエチレングリコールを植物から作るのが主流になっています。 この形ですと全体の約30%が植物由来原料になります。」とか出てきました。

東レとかもサトウキビ廃糖蜜を粗原料とする植物由来エチレングリコールを使ったポリエステルを作ってるみたいっす」

というコメントをさっそくいただいたので、修正させていただく。こうやって教えていただくことはありがたい。

まあ、そんなわけで、洋服と靴の販売がネット通販で十分といえるのは、なんとも解せない風潮だと改めて感じたわけである。まさに百聞は一見に如かずである。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2025/01/15(水) 12:01 PM

    ググったら、「ポリエステル繊維はテレフタル酸とエチレングリコールから作られますが、このうちエチレングリコールを植物から作るのが主流になっています。 この形ですと全体の約30%が植物由来原料になります。」とか出てきました。

    東レとかもサトウキビ廃糖蜜を粗原料とする植物由来エチレングリコールを使ったポリエステルを作ってるみたいっす。
    https://www.toray.co.jp/sustainability/articles/vol02.html

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