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南充浩 オフィシャルブログ

中途半端なライフスタイル提案型ショップに存在意義を感じない

2015年4月10日 未分類 0

 最近、猫も杓子もという感じでライフスタイル提案型ショップが増えている。
多分、洋服が売れないから、雑貨を取り入れてついでにカフェも併設して「ライフスタイル提案型ショップ」と銘打っているのだろうが、大型店や超大型店ならまだしも中型店・小型店では到底売れっこないと感じる。

中型店・小型店なら、売りにくい洋服なんて止めてしまって雑貨店&カフェにした方がまだ効果的ではないかとさえ思う。

坪数が20~50坪程度の店で、洋服と雑貨と家具と一部食品を置かれたところで、すべての品ぞろえが中途半端すぎて、どの分野の顧客も満足できないのではないかと思う。

そんなわけで筆者は常々、中途半端な「ライフスタイル提案型ショップ」に批判的だったのだが、先日、そんな記事が繊研プラスに掲載された。

多分、行かない
http://www.senken.co.jp/column/metemimi/lifestyle0407/

「本当に自分の生活の質を大事に考えて暮らしている消費者は、多分、いわゆるライフスタイル提案型ショップには行かないと思う」。ある専門店のトップがこんな持論を明かしてくれた▼ここで言うライフスタイル提案型というのは、「最近SCでも増えている、服も雑貨も置き、時にはカフェまで併設している店のこと」だそうだ。「出店直後にはにぎわうが、しばらく経つと珍しさが薄れ、その他大勢の中に埋もれることが多い」▼いわく「消費者は日常に使うものなら、SC内や近隣のユニクロやイケア、一格上の良いモノが欲しい場合は、SC外にある自分の好みのハイブランドと、店を使い分けている」

とある。

これはその通りではないかと思う。

とくにここで取り上げられているショッピングセンター内の中型店ではあまり効果がないし、指摘されている通り競合が多すぎて埋没してしまっている。

個人的な話をすると、人様に誇れるようなライフスタイルはない。
特定のブランドの大ファンだということもないから、洋服から家具から雑貨から食器までを一つの特定のブランドでそろえようと考えたこともない。

普段カジュアルを着ることが多いから、ユニクロ、ライトオン、無印良品、GAP、オリヒカあたりを愛用している。
スーツならスーツカンパニーが多い。

家具類はなんだろう?雑多であり、ニトリとかロードサイドの低価格家具店でその都度買うという感じである。
イケアには行かなし買わない。組み立てるのがめんどくさいから。

食器なんてしばらく買ったこともないし、雑貨も買う場所は適当である。ダイソーやセリアの場合もあるし、無印良品の場合もある。フライングタイガーで買い物をしたことがないし、今後も買わないだろう。

家電ならジョーシンとかヨドバシカメラとかエディオンだ。ヤマダ電機は好きじゃない。

カフェならドトールが一番好きだ。
スターバックスコーヒーはそんなに好きじゃないからほとんど行かない。

ざっとそんなライフスタイルだ。

筆者のような人間からすると統一されたライフスタイルにこだわる人間がそんなに存在するのか?と不思議でならない。
むしろ、各ジャンルの専門店を予算とシチュエーションによって使い分けた方が効果的ではないかと感じる。

ファッショニスタと呼ばれる人はまた違うのだろうと思うのだが、そんな人種が国内にどれだけの人数が存在するのだろうか。
先日の各層の分類ではないが、そういう人に向けた店舗があっても良いだろうが、そこで満足な営業活動ができる店舗数はかなり少数にならざるを得ない。
マスに向けては無理である。

そして文中に出ているようにマスに向けた商業施設であるショッピングセンター内で、ニッチな市場に向けたライフスタイル提案型ショップを展開しても採算ベースには乗らない。

逆に突き詰めたライフスタイルを持つ人が、プロデュースなり企画なりしたライフスタイル提案型ショップというのは、筆者には理解できないが、バックボーンがしっかりしているからそのターゲット層には支持されやすい。

ところが、残念なことに、大手のアパレル企業に勤務しているスタッフはそんな突き詰めたライフスタイルをあまり持っていない。一つには収入が少ないせいもある。
こだわりたくてもこだわれないという部分もある。

一般的にアパレル企業の給与は世間の平均よりも低い。

そんなスタッフで構成されているアパレル企業がライフスタイル提案型ショップなんてものを企画しても、所詮は欧米や国内一部企業の成功例のパクリか、それの劣化コピーにならざるを得ない。
いわゆる「なんちゃってライフスタイル提案型ショップ」といえる。

さて、繊研プラスのコラムではこう締めくくっている。

あえて、自店は服に特化することを決めた。同じSC内に軒を連ねる低価格SPA(製造小売業)や都心のハイブランドとは一線を画すため「ちょうど良いクオリティとデザイン」に立ち位置を定め、商品の質を上げてその分、販売価格も上げた▼すると、売れ行きが伸び始め、出店の引き合いも多くなったそうだ。「全てはカバーできないと考え、得意なことだけに絞ったから、お客の気持ちに寄り添うことができた」。そもそもライフスタイル提案とはそういうものなのではないだろうか。

とのことである。

この発言主の専門店は大型店ではなかったのだろうと想像する。
中小店が総花的なライフスタイル提案型ショップを作っても中途半端な品ぞろえにならざるを得ないから、この発言主のように、すっぱりと諦めて得意分野に特化する方が得策だろう。

特化したことによって、予算と目的によって買いまわる店舗を変えるという大多数の消費者に支持されたというわけだ。「この分野なら発言主の店だ」というように。

それこそが中小店の生き残る道ではないかと思う。

結論は何かというと、個人的には、中途半端な「なんちゃってライフスタイル提案型ショップ」は大嫌いし、まるっきり存在意義を感じないということである。(笑)

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