どの分野でも新規入門者の獲得が必要不可欠だという話
2024年12月6日 考察 0
どの分野の商材・サービスに対してもそうだが、年齢を重ねると嗜好が変わる場合が多い。
当方も基本的な嗜好はあまり変わっていないと思っているが、物欲は薄れてきた。そこそこ安くてそこそこ普通に見える衣料品ならブランド名にはあまりこだわらなくなっている。
若い頃のように「今月給料が入ったら、〇〇ブランドのナンタラジャケットを絶対に買いたい」とは思わなくなってしまった。そこまでして絶対に欲しいと思う服なんて今は無い。
強いて物欲があるとするならガンプラくらいだろう。腕時計には元々興味が無いし、スマホも別に最新機種に興味が無い。スニーカーなんて別に集める趣味も無い。
テレビ番組を見ない代わりにプロ野球選手やOBのYouTubeをよく見るが、彼らも30代後半とか40代になると、同じ事象でも若い頃と捉え方が変わったという話をよくしている。
人間は誰でも年を取るとある程度、嗜好が変化する。そしてそのうちに必ず死んでいなくなる。そのため、ブランドや店、企業、分野は常に新しい顧客を獲得し続ける必要性に迫られる。
かつて、新日本プロレスが経営難に陥り、ブシロードに買収され再建を成功させたが、その際、ブシロードの会長があの有名な言葉を会見で述べた。
「私は新日本プロレスを買収したとき、『すべてのジャンルはマニアが潰す』と言った。この考えは今も変わらない」
プロレスという分野には根強い古参マニアファンがいる。しかし、マニアの意見というのはマニアック過ぎて初心者にはよくわからない部分も多々ある。これはプロレスに限らずどの分野でもそうだ。ガンプラしかりファッションしかり。マニアックな意見がその分野でノイジーマジョリティとなれば、めんどくさいので新規客、新規入門者は減る。
マニアが永遠に生き続けてくれればよいが、加齢で嗜好が変わって離れることもあるし、嗜好が変わらなくてもそのうちに死んでいなくなる。新規客がいなくてマニア客が死に絶えればその分野やブランド、店は終わる。
だから、新規客の獲得は重要なのである。
つい先日、いきなり2025年テレビ放映開始のガンダムの新作アニメが発表された。
「機動戦士ガンダム ジークアクス」である。
公式PVなのだが、見てもらえばわかるように、主役メカはガンダムシリーズとしてはかなり異質なデザインである。あらすじを読むと、ガンダムは別に存在していて、これはジークアクスというモビルスーツなのだということになる。
あと、キャラクターデザインもかなり異質で、より平面的でディフォルメされている。
当然、当方も含めて初代ガンダムから見続けているマニアからは拒否反応が出るわけである。ただ、当方は拒否反応もありながら好奇心からとりあえず見てみる派だが、強固なマニアになると絶対に認めないという反応にもなる。
しかし、45年間も続いてきた「ガンダム」というコンテンツを今後もさらに永続させようとすると、常に新規客を取り込み続けなければならない。
そのために、ガンダムは毎回趣向を変えた新作アニメを放映し続けており、それゆえに45年間も続いてきたといえるだろう。
復活してから26作も作り続けられている仮面ライダーシリーズも同様である。毎回とんでもないデザインの仮面ライダーが生まれるが、それゆえに続いているといえる。
しかるに繊維・衣料品業界はどうだろうか。
あくまでも当方個人の感想だが、業界内で一目置かれている国内ブランドや国内企業に限ってマニア度合が高く、新規入門者を寄せ付けにくいという印象を受ける。(例外はあるし、異論も認める)
もちろんマニアの意見や感覚も重要だが、それだけで凝り固まってしまうと新規客の獲得は難しい。そして、今のマニア客も絶対にいつかは死んで全員いなくなる。
そうなるとブランド活動も企業活動も終わってしまう。創業者や現在の経営者が自分の代で廃業、売却するというのなら、そういう姿勢でも全く構わないと思う。
しかし、次世代・次々世代へとブランドや企業を残したいのなら、ド素人の新規客を獲得するハードルの低さが必要不可欠になる。
全く非公式の雑談レベルだが、先日、タビオの現場の一社員から「店頭ワゴンの3足1000円靴下をもっと拡販するような取り組みもやりたいんですね~」という個人的な意見を聞いた。
1足1000円を越える靴下ばかりではいくらデザインや色・柄が良くてもハードルが高い。そういうのを好むのはマニアとかマニアとまでは行かなくてもある程度ロイヤリティの高いファンがほとんどだろう。新規客を獲得するという意味では「3足1000円商品」の拡充は取り組んでも良いのかもしれない。まあ、上手く行くという確約は無いが、上手く行かないという確約も無い。要は取り組み方次第だろう。
まあ、そんなわけで来年1月17日の発売日にはジークアクスのプラモデルを買いに近所のジョーシンへ行って、開店前から並ぶ予定である。