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南充浩 オフィシャルブログ

製造技術の高さだけでは売れる商品は作れない

2015年4月3日 未分類 0

 繊維ではないが、家電関係の製造業に関して、こんな記事が紹介されていた。

「日本の町工場は農業になる」 シリコンバレーに26年、製造業に携わる経営者が語る、日本の危機と可能性
http://techpeople.jp/2015/03/beans1/

テレビとか家電関係なので一概に繊維製品に当てはまらない部分もある。
その中で一番、印象に残ったのが次の一節である。

日本の中小企業を盛り上げようというプロジェクトを5年くらい前からやっていますが、最近は半分絶望しています。結局みんな井の中の蛙です。ものづくりだ、匠の技だ、といいますが、だから何だって思います。

これは私のポリシーですが、「売れてなんぼ」でしょう。昔は大手からの仕事があったから、頼まれて作っていました。だけどそれで世界に挑戦できるかというとできません。

下請けという体質だったので、セールスもマーケティングもいません。中小町工場も、2代目3代目と世代が変わって、もうちょっとできるかな、とおもっていましたが、親が景気よかったものですから、すごく甘やかされています。

とある。

これは繊維製造業にも当てはまる部分があるのではないか。
とくに昨今は日本製ブームで「匠の技」がクローズアップされているが、その匠の技は製造するという技術に関してであり、「売れる」物を企画する技能とはまた異なる。
極論をすれば、匠の技で作られていてもカスみたいなデザインならそんな商品は売れない。

そして

いわゆる「匠の技術」というのがいかにだめかということを理解した上で、どうするべきかを考えることが大事でしょう。iPhoneの表面加工も過去の話です。本当にそれで儲かっているでしょうか?しかもそれは、氷山の一角です。日本の90%以上が中小企業ですから、氷山の一角がフォーカスされても意味がない。

ともある。

これもその通りで、繊維製造業にも当てはまるのではないだろうか。

そして繊維製造業者は、形のないものに代金を支払うことをとても嫌がる。
この悪癖を直さない限りは、マーケティングとかデザインなんて夢のまた夢だろう。

例えば、機械類にはポンと数百万円を支払えるが、デザインやマーケティングリサーチ、広報販促などに代金を支払うことにひどく抵抗を感じるようだ。
過去に付き合いのあった繊維製造業者の8割近くがそうだという体感がある。

最近はそうではない製造業者も増えて、産地発のブランドも増えて来つつあるが、そうでない製造業者はまだまだ多い。

今回取り上げた記事の論調はすべて賛成ではないが、とかく「匠の技」に酔い易い傾向がある国内の製造業者、国内デザイナー、国内の消費者にとっては良い刺激材料となるのではないか。

生地も洋服も工業製品なのだから、この記事で示されている部分も理解できなくては進歩は望めないだろう。

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