業界関係者と消費者の評価点は異なる
2015年3月20日 お買い得品 0
さて、先日、ユニクロのコットンカシミヤケーブルクルーネックセーター(名前長っ)を買った。
もちろん、期間限定で値下がりした価格でだ。
ユニクロで商品を定価で買うことは絶対にない。
定価2990円(税抜)が1990円(税抜)になっていた。
この商品は素材違いで昨年秋にも発売された。
雑誌とのタイアップ企画が功を奏したといわれており、メンズ商品でありながら、女性に大人気となり、SやMなどの小さいサイズが先になくなるという現象が起きた。
今回の素材は綿95%・カシミヤ5%という素材。
正直なところ、5%のカシミヤなんて入っても入ってなくてもほとんど変わらないレベルである。
この商品も人気が高く、各店頭とオンラインストアでは在庫状況が少しずつ異なるが、
赤、グリーン、オレンジ、黄色、ターコイズブルー、ロイヤルブルーなどの明るいカラーがほとんど完売状態である。紺も残り少ない。
白、グレー、黒は比較的残っている。
今回の商品は男性の購入が多かったのか、MとLが少なくなっており、Sが残っている。
筆者はグレーと赤を購入した。
筆者が訪れた店では赤、ロイヤルブルーはSばかりが残っており、赤は最後に残っていたMサイズをゲットした。
商品の出来栄えでいうと、セレクトショップのオリジナルとして並んでいてもおかしくはない雰囲気がある。
セレクトショップでなら5000円内外はするだろうから、定価の2990円でもお買い得である。
昨年秋に発売された同じデザインの商品は、ナイロンとポリエステルが合わせて70%、ウール25%、カシミヤ5%という組成だった。
ナイロンとポリエステルが70%入っているので、微妙に光沢があった。
合繊含有率が高いのと、生地が薄手なので真冬での着用はちょっと厳しいのではないかという印象だったが、上からダウンジャケットを着用すれば問題なかっただろう。
筆者の個人的な意見では、今春の素材の方が良いと感じる。
おそらく天然素材好きというバイアスもかかっているのだろうが、触感からしても今春の方が良いのではないかと思う。
ユニクロのオンラインストアを見ると、人気商品だけあって多数のレビューが書き込まれているが、その中で「昨秋の素材の方が良かった」という意見が少なからずあった。
これにはちょっと驚いた。
昨秋商品を評価する人の基準点は「伸びにくい、型崩れしにくい」「微妙な光沢が良かった」というものである。
うーん。
綿セーターは着用すれば必ず伸びる。
洗濯をしても伸びる。
素材にハリというかコシはない。
伸びたり型崩れしたりするのは綿セーターにとって避けられない。
逆にそれが味だともいえる。
合繊が70%も含まれたセーターは綿セーターに比べて伸びにくいし型崩れしにくい。
でもそれを評価する人というのが少なからず存在するのだということも勉強になった。
これが、ごく小規模なブランドのレビューなら「そういう少数派もいるのね」ということになるが、ユニクロの利用者なのでそれなりの数が存在すると考えられるのではないか。
もっともわざわざレビューを書こうと言う人の割合がどんなものなのかわからないが。
しかし、レビューを書いていないサイレントマジョリティーの中にも同様の意見を持っている人は確実に存在するだろうから、それを合わせるとやはりそれなりの人数になると考えられる。
業界関係者が思う「良い物」と一般消費者が思う「良い物」は往々にして異なるということになる。
一般消費者のニーズに沿わせることも有効な販促の手法である。
一方で、業界関係者が思う良い物を、広く啓蒙するのも有効な販促の手法である。
ある意味で告知の上手いユニクロでさえ、素材の説明を浸透させられていない部分があるのだから、他のアパレルブランドはまったく浸透させられていないと言っても言い過ぎではないだろう。
そしてその啓蒙活動とは、素材や製造工程を大げさに盛って神格化させることでは決してない。
このあたりのバランスを保つのはなかなかに難しいのだけど。