工場風景の動画の見本
2015年2月13日 未分類 0
製造加工場で自社工場を紹介しようと提案すると「どのように紹介したら良いのかわからかない」とよく言われる。
正直なところ「短い作業風景の動画を自社ウェブサイトに貼るだけでもでも良いですよ」と答えるがどうも納得がいかないようだ。
逆に作業工程をすべて動画化してしまうと長時間になってしまう上に、よほどうまいナレーションと編集が無い限り、小学校の運動会や結婚披露宴の録画を延々と流し続けるのと変わらなくなってしまい、無関係な人が見るには退屈すぎる代物になってしまう。
いくら言葉で説明してもわからないので何か見本はないかなと探していたらあった。
短パン社長のブログである。
http://tanpan.jp/blog/archives/3953
彼は今回、2月末に上がってくる自社製品の春物の綿ニットカーディガンの製造工場を訪問した。
ニット製品がどうやってできているのかを短い動画にまとめている。
4本あるが、それぞれが30秒から1分半未満である。
製造現場を知らない人にはこれで十分なのである。
10分を越える動画を広く他人に見てもらうにはよほどの工夫を凝らす必要がある。
リンクを貼ってもきっと見ない人もいると思うので、彼のブログから動画をパクって貼り付ける。(笑)
山形県のニット工場、セイノーコーポレーションさんである。
まず、リンキング工程
次に編立の工程
編立後の部材のセットの作業
仕上げプレスの作業
ざっとこんな感じである。
自社のウェブサイトに貼り付けるとするなら、全工程をまとめて1分半くらいに編集した動画で十分なのである。
こんなことを書くと、「全工程が伝わらないじゃないか」と産地の人から抗議されそうだが、全工程など伝える必要はさらさらないのである。
そもそも広く見られることが目的なのだから、見やすいように短縮化・編集するのは当然である。
全工程が知りたい人は、工場見学に来るだろう。それにデザイナーやアパレル業者ならまだしも、一般消費者は全工程などそれほど知りたいわけではない。
ただ、一般消費者もどういう工場でどういう作業が行われて製品が作られているのか、その一端を知りたいという人は多いだろう。
またそれを知ることで衣料品に対する愛着も湧くだろう。
今回のニット工場の短い動画でも、決してニットが全自動で製造されているのではないことがわかる。
生地を編むのは機械だが、そこに糸をセットし、機械を調整するのは人間の仕事である。
リンキングも全自動ではないし、ミシンや仕上げプレスも自動化されていない。すべて人間が動かしている。
業界関係者の中でも、生地作りから縫製まで洋服が全自動でできていると勘違いしている輩が存在する。
生地作りだけでも全自動ではない。
綿花を機械にブチ込んで、スイッチを押すだけという作業ではない。
これだけの手作業がある物が数百円で本来は販売できるものではない。
安売りを求める消費者が悪いという声もあるが、製造工程を消費者にこれまで積極的に見せてこなかったアパレル業界、繊維製造業にも問題があるのではないか。
まあ、もっとも昨今の国内アパレル業者の中には満足に工場を見学したこともないデザイナーや企画マンも掃いて捨てるほどいるのだが。(笑)
見たこともない製造工程に人は思いをめぐらせることはできない。
きっと省力化、オートメーション化できているのだろうな、と想像してしまうのは当然である。
各製造加工業者は今回の動画を参考にして、ぜひ自社の製造過程を広く公開してもらいたい。