MENU

南充浩 オフィシャルブログ

低価格ブランドやコンビニ服が好調なのは接客が少ないからではないかと考えた話

2024年1月26日 トレンド 2

今年54歳を迎えるジジイだが、どの分野でも小規模専門店に入店するのは勇気がいる。

気軽に覗くということは心理的にハードルが高い。

例えば、昔に比べてだいぶと店舗数が減少しているが個人経営の30坪くらいのプラモデル屋を初見から気軽に覗くということはかなりためらわれる。

それよりはジョーシンやヨドバシカメラ、ビックカメラなどの家電量販店なら気軽に入店できる。「今日はどんなガンプラが再入荷しているのかな?」という感じで気軽に覗いて店頭をチェックして、目当ての物が無ければ店を出る。

これが20坪とか30坪の個人店ならそう気軽に覗くことはためらわれる。店主がめんどくさい人とは限らないことは重々承知しているが、買う気も無いのに商品をチェックするためだけに入るのはちょっと難しいと感じる。

これは洋服店でも同様で、中規模くらいの専門店やセレクトショップはやっぱり入店するのに敷居が高い。毎日のように商品チェックをするためだけに入るのは勇気がいる。

それに比べると、ユニクロやジーユー、しまむら、無印良品などの低価格専門店チェーンは入店するのが気軽である。大型店なら尚更気が楽だし、ほぼセルフ販売だから中小型店でも販売員は「いらっしゃいませ」と言ったっきり接客をしてこない。だから毎日でも商品チェックのためだけに入店することもためらわない。

一時期仕事が全く無くて暇なときは毎日ユニクロ、ジーユー、無印良品の店頭をチェックしていた。

 

小型店でも全く気兼ねなく毎日でも、いや一日に何度でも入店できるのがコンビニである。

販売員は「いらっしゃいませ」すら声かけしない場合も多々ある。

 

ウェブが普及してから、どの分野でも素人のマス層の声が大々的に見えるようになった。その中には洋服店の過剰な接客に拒否反応や嫌悪感、恐怖感を示すものが少なからずある。

当方は最早ジジイだし、一応はこの業界で仕事としていろいろな店を覗くだけは覗いているので、販売員にガツガツこられても気持ちの良い物ではないが恐怖は感じない。

もちろん販売員側もやりたくてやっていないことが多くて、ほとんどは業務命令、社員教育の結果、業務としてやっているわけである。

90年代でいうと、ファイブフォックスの販売員はガツガツ来るタイプが多かった。仕事を離れた場では違うのかもしれないが。あと、パルグループのLUISもガツガツ来る人が多かった。同じパルグループでもスリーコインズはほぼセルフで販売員があまり近寄ってこないので当方は気楽に入店できる。

そうそう、雑貨でいうとスリーコインズはもちろんのこと各百均も全く販売員が近寄ってこないので気軽に入店できる。その結果、当方が日常的に使う文房具・雑貨類はほとんどがダイソー、セリア、キャンドゥで占められている。

 

ファッション、アパレル業界では低価格ブランドとの差別化のために、高付加価値の1つとして丁寧な接客、懇切な接客を掲げている場合が多いが、それで業績が格段に伸びているかというとそうではない場合が少なからずある。

もちろんそれが好評なブランドもあるが、衣料品市場全体で捉えれば、低価格大手ブランドの寡占化の方が進んでいると感じられ、いわゆる「ちゃんとしたブランド」の裾野が広がっているとは言い難い。逆に低価格ブランドの裾野の方が広がっているといえる。

最近ではファミマを始めとするコンビニのオリジナル服が話題で、報道によれば完売品番も出ていると言われている。

ただ、コンビニ服についていえば、16000店舗という圧倒的な多店舗展開が背景にあるため、各店舗に5枚ずつの納品でも8万枚が必要とされるため、各店舗5枚ずつが完売しているという可能性もある。3カ月間で5枚を完売させるくらいならどんな店舗でもほぼ可能だろう。

 

ファミマのスエットパーカは「数の力」で成り立っているという話

ただ、なぜ大手低価格ブランドが売上高を伸ばし、コンビニ服の売れ行きが決して悪くはないのかというと、個人的には入店する心理的ハードルの低さがあるのではないかと思い始めている。

個人的に考えて低価格ブランドならまだしもコンビニの服なんてよほどの緊急事態にしか買う気にはなれない。例えばいきなりワイシャツが破れてしまったから代わりに着るためとかそういう事態である。

にもかかわらず1店舗当たりの入荷量はあまり多くない可能性があるとはいえ、売れ行きが好調なのは、接客のせの字すら無いコンビニだからなのではないかと思えてくる。

これを「価格が安いからだけ」と考える人がいるが、もちろん安さはあるだろが、綿裏毛パーカ3990円は決して安くない。安いのが欲しいならジーユーの値下げ品の方が安い。990~1990円である。ユニクロの裏毛パーカだって値下がり品は1290~1990円になる。

となると、単に「安い」とは決して言えない。

行き慣れたコンビニ特有の入店の気軽さが根底にあるのではないかと個人的には考えている。

 

そして、業績を伸ばしている低価格ブランドはどこも入店が気軽にできることが共通していると感じる。低価格店でもガツガツ接客が入る店もあるが、当方はそういう店はあまり利用しなくなる。

もちろん世の中には接客されてナンボという嗜好の消費者もおられるから、接客が悪いとは言わないし接客無しが絶対に正しいとも言わない。ただ、今後はそこそこの価格で接客を好む層と、低価格で接客を好まないマス層の乖離はますます大きくなるのではないかと感じる。

 

この記事をSNSでシェア
 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2024/01/26(金) 12:02 PM

    むかーし、最初にユニクロとか無印良品が出てきて良かったと思ったのは、まさに接客無しのところでしたわw
    あとは、無駄にデザインされていない無地の商品が多かったのも。
    地方だと車移動メインだから通勤経路にユニクロとかさえ無くてもコンビニはあって、わざわざ服を買いに行くのも面倒って層にはコンビニ衣料も刺さりそうです。かくいう地方民の私は、パンツはセブンイレブンで買っていますw

  • 123 より: 2024/01/30(火) 10:18 AM

    アパレルうざい接客

    何なんでしょうね?店に入った瞬間に買うor買わないの詮索をし、買わないと分かった途端に音速の末脚で去っていく販売員たち。販売員同士の即決客の奪い合い、お客さんの為の接客ではないことは明らかだし、人間のエゴが見えてしまうことが嫌です。

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ