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南充浩 オフィシャルブログ

低価格子供服の需要はさらに高まりそう

2014年11月12日 未分類 0

 先日、若い男性デザイナーさんと子供服談義になったことがある。
奥様も働いておられるので、お子さんを保育園に通わせているそうである。

筆者もその昔子供たちを保育園に通わせていたことがあるのだが、毎週月曜日の朝には、3日分から数日分の着替えを持参する。
なんだかんだで子供たちは服を汚すからそのたびに着替えさせる必要があるからだ。

そうすると結構な枚数の服が必要となるし、それらは毎日のように洗濯を繰り返すのですぐに傷んでしまう。

筆者の家庭ではお下がりでいただいた洋服やらユニクロの値下げ品やら、西松屋で買った洋服やらを保育園用にしていた。

それから10数年くらいが経過しているのだが、先の若いデザイナーさんも保育園用の服は西松屋やユニクロだそうである。消費行動はあまり変わっていないようだ。

筆者とは違って若いデザイナーさんはオシャレでブランドにもこだわる人だが、保育園用の子供服となると、やはり高額品やブランド品はちょっと着用させるのがもったいないと感じるそうで、そのあたりは筆者と変わらない考え方といえる。

現在、共働き家庭が増えているが、共働き家庭が増えれば増えるほど、低価格子供服の需要は伸びるのではないかと考えている。
自宅に祖父母のいない核家族が増えたことで、共働き家庭の子供は保育園に通園するほかない。
保育園への通園児童が増えれば増えるほど、お着替え用としての低価格子供服の需要は増えると推測できる。
一方、土日くらいしか高額ブランド品は着用することがないからそれほど損傷もしない。買い替え需要や買い足し需要は今後さらに低下するのではないか。

現に、西松屋は毎年増収しているし、ユニクロは今秋冬から子供服を強化している。

高額な子供服ブランドというのは本当に趣味の世界になったと言えるのではないか。

子供服業界は大人服業界に比べて小規模業者が数多く存在する。
小規模ブランドの数も多い。
彼らは一様に、ファッション性の高い子供服を提案しており、ロット数も小さいので必然的に西松屋やユニクロよりは販売価格が高額にならざるを得ない。

小規模業者の多くは子供へのファッション衣料を提案したいという情熱は高い。
しかし、現在の社会情勢や今後の共働き家庭のさらなる増加を考えると、そういう子供服の需要はさらに減少するのではないだろうか。
共働き家庭の増加によって可処分所得が増えれば、高額品やファッション衣料が動きやすくなるが、子供服というジャンルに限って言えばそれはあまり当てはまらなさそうである。

もちろん、ファッション衣料としての子供服の需要はゼロにはならないが、その市場規模は良くても現状維持、悪くすると縮小傾向にあると考えられる。
両親や祖父母がファッションに無関心なのではなく、日常生活においてそういう物の着用シーンが今後も減り続けるだろうからである。
いくら関心が高くても着用シーンが少ない物をわざわざ大量に買い込む人はあまり存在しない。

そういうファッション衣料としての子供服ブランドとして残るためには競争とパイの取り合いがさらに激しさを増すだろう。

10月末にブーフーウーという子供服アパレルが経営破綻した。
昨年はフーセンウサギとシャーリーテンプルが倒産した。

今後も高額品を扱う子供服ブランド、ファッション性の高い小規模子供服ブランドはさらに淘汰されるのではないかと考えられる。

子供服という市場は、マスは低価格品、ニッチ市場として高額品やファッション性の高い商品という構図がさらに鮮明になるのではないかと推測している。

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