
ユニクロのバッグがホットトレンドとして模倣されるようになった時代の変化
2023年9月26日 トレンド 1
衣料品の業界には「トレンド」というものがあり、各ブランドでトレンド情報に沿った商品が発売される。もちろん、トレンドに沿う必要は無いが、売れやすくすることを考えればトレンドに沿う方が容易い。トレンドに沿うのも無視するのもどちらもブランドの姿勢として存在している。
めちゃくちゃ大雑把に言えば、例えばスキニーパンツが登場したときに多くのブランドがスキニーパンツを提案した。しかし、中にはブランドコンセプトやブランドターゲットを考慮してスキニーを提案しないブランドも少数ながらあった。どちらもブランドの姿勢としてはありである。どちらの姿勢を取ろうと、要は売れればそれで良いのである。
で、通常は高額でステイタス性の高いブランドが発信したトレンドを低価格の大衆向けブランドがそれに倣うというのがこれまでの業界の定着した構図だった。
トレンド発信の根本がラグジュアリーブランドだったり、高額デザイナーブランドだったりということが多いが、逆にストリートブランドからのトレンド発信もあった。もちろんそのストリートブランドも低価格マス向けブランドではないが。
それが、今回は逆でマス向けブランドの最たる例であるユニクロが商品を模倣されたとして声明を発表したので驚かされた。当方世代の感覚からすると「あんなもんをわざわざ模倣するのか」である。
「最もホットなアイテム」ユニクロ ラウンドミニショルダーバッグの模倣品が流通、法的措置を検討 (fashionsnap.com)
ユニクロが、人気商品「ラウンドミニショルダーバッグ」の模倣品・類似品がインターネット上の通信販売サイトなどで流通していることが確認されたことを受け、ファーストリテイリングのコーポレートサイト上で注意を呼びかけている。現在、該当商品について調査を続けながら模倣品を製造販売している会社に対する法的措置を検討しているという。
とのことである。
一般的に模倣品を買う場合、オリジナル商品の価格が高くて手を出しにくいから、それより安い模倣品を買おうという消費者心理が働く場合が多い。
いわゆる違法コピーでなくとも「〇〇ブランドのダッフルコートは高すぎて買えないから、それより安い××ブランドのダッフルコートで手を打とう」、そういう消費者心理が働く。(当方の買い方はこういうのが多い)
しかし、このユニクロのラウンドミニショルダーバッグは定価1500円しかしない。もちろん、世の中は下を見ればきりがないから、990円のミニショルダーとか590円のミニショルダーなんて商品もあるだろうが、1500円という商品は定価でも買いづらいと感じる人はほとんどいないだろう。
これをわざわざ模倣して売ったところで1500円未満でなければ売りにくいので、業者側もさほどメリットはないし、そこまで「本物が高くて買えない商品」でもない。
となると、これをわざわざ模倣した業者は低価格客目当てで模倣したのではないということになる。業者は恐らくはホットトレンドアイテムだと認識したから模倣したと考えられるだろう。
ではなぜホットトレンドアイテムなのかというと、理由をご存知の方も多いとは思うが引用させてもらう。
世界で最もホットなブランドはプラダ、アイテムはユニクロの「ラウンドミニショルダーバッグ」 Lystが発表 (fashionsnap.com)
最もホットなアイテム1位に選出されたユニクロのラウンド ミニ ショルダー バッグは、TikTokで5900万回以上再生され話題を呼び、様々なカラーリングで販売され何度も完売してきた。
である。
この商品はざっくりとまとめると
「ラウンドミニショルダーバッグ」は2020年12月の販売開始後、TikTokで5900万回以上再生されるなど話題を集め、今年4月にはLVMHグループのファッション商品の検索エンジン「リスト(Lyst)」によって「最もホットなアイテム」に選出。
という経緯があり、発売からすでに3年が経過しようとしているロングラン商品である。当方は興味が無かったからその動向はスルーしていたが、海外で話題になるまでは継続できる程度にはほどほどに売れたアイテムだっただろうと考えられるが、一躍日本でも注目されたのは記事中にもあるように今年4月以降である。生来、舶来コンプレックスが強い日本の消費者やメディア、業界人なら当然の反応だろう。
で、その結果、模倣されるに至ったというわけである。
これまでもユニクロ商品を模倣する動きはこれまでも多々あった。西友やイオン、イトーヨーカドーなどがウルトラライトダウンジャケットと似たような軽量ダウンを売ったことがあったし、保温肌着のヒートテックの大ヒット後、どこの低価格ブランド・量販店も保温肌着を発売するようになった。
これらはいずれも「売れているから」というのが追随の理由である。決してファッション的にどうこうという理由ではない。
そして、インナーダウンにせよヒートテックにせよ、ユニクロもまた追随後発商品なのである。インナーダウンはモンベルの物、ヒートテックはミズノのサーモブレスの追随後発廉価版というのが業界内の定説である。
しかし、今回のユニクロへの模倣というのは、ホットトレンドが第一の動機だと考えられるから「時代は変わった」と驚かされてしまう。ユニクロはトレンド牽引ブランドの一員となってしまったということになる。
個人的にこのラウンドミニショルダーを試すために8月に定価で購入してみた。
ヨーロッパでは低価格もさることながら、大きさの割に内容量が多いというところが絶大に支持されたという記事を読んだことがある。内容量が大きくコスパが高いというところが評価点だと言われている。
で、実際にスーパー万代への買い物に行くときに毎回使ってみているが、財布と使い古したレジ袋を入れるにはちょうどいい大きさである。ついでに財布にはいつも万代のポイントカードが入っている。
ただヨーロッパで評価されたように「内容量が大きい」とは当方には感じられなかった。男女で使い勝手の良さというのは異なることはあるだろうが、決して小さいとは言わないが、褒めたたえるほどに大きいとも思わない。
2018年にジーユーで990円か790円かに値下がりしていたコーデュラナイロン製のサコッシュを買ってこの5年間いつもスーパー万代に買い物に行くときに使ってきた。
サコッシュは「マチ」が無くて薄い。このサコッシュと比べるとラウンドミニショルダーは「マチ」があるので、サコッシュよりは内容量は大きくなる。
しかし、当方の個人的感覚では驚くほどの内容量とも思えない。言語化するなら「見た目から想像できる通りの内容量」という感じである。
そんなわけで、ラウンドミニショルダーは悪い商品では決してないが、ヨーロッパ人たちが高く支持する理由も当方には分からない。当方は無難に黒を買ったが、異なる色を2つも3つも買いたいと思うような商品ではないというのが当方の正直な感想である。
それにしてもくどい様だが、ホットトレンドアイテムとしてユニクロが模倣されるようになるとは「時代も変わった」と痛感せざるを得ない。
サコッシュは便利ですね。僕はATM使うとき肩に下げて行きます。
それはとも角,こういうのがカッコいいんだって本気で言ってるのだろうか?
↓
https://monomax.jp/archives/178954/
実際ネットでもごく最近までこの >11 みたいにミニショルダーなんてダサいバッグの代表みたいに言われていたし,僕もジイサマ以外使っているひとはあまり見たことがなかった。
↓
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/6065294.html
まあ世の中ほとんどの人にとってオシャレ=流行りではあるし,ミニショルダーバッグしょって子供の手を引いて歩いているお父さんなどはほほえましいし,ユニクロも商売繁盛でめでたい。
けれどもそれより僕は最近ますます世の中大部分のひとはユニクロ・GU 以外に選択肢も興味もなく,上下真っ黒だらけ,個性もおしゃれも何もなくなりつつある,というのが実態のように見えて何やらもの哀しい気分になってしまいます。