南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

IFF

合同展示会の延命策は一般消費者参加型にするしかない

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 合同展示会の延命策は一般消費者参加型にするしかない
 衣料品をメインにした卸売り型の合同展示会が全般的に苦戦している。
繊研新聞社が主催する大型合同展示会IFFの今年7月の入場者数は2万人と発表された。

2万人も来ればかなりの来場者数だが、ピーク時は3万5000人あったのだから、1万5000人の来場者減である。

アパレル合同展は新規で立ち上げられる場合も多いが、昨今の情勢では、数年以上前から長らく続いている合同展示会の来場者数は苦戦傾向にある。
これはIFFのような大型展示会だけではなく、10社前後の規模で開催する小規模合同展も同じである。

その最大の原因として、仕入れ型専門店の減少が挙げられるだろう。
現在、隆盛を誇っているのは、SPA形式の自社企画品を直営店舗で販売するというスタイルである。
その中には外見は同じでもフランチャイズ形式で販売している場合もある。
しかし、どちらの場合でも、特定の単独ブランドのみを販売するのはまったく変わらない。

もう一方で隆盛を誇るのが大手セレクトショップである。
セレクトショップとカタカナ呼びしても元は仕入れ型専門店である。
しかし、チェーン展開し、資本力が増すにつれ、自社企画品の比率を高めている。
逆に、資本力を増すために自社企画品比率を高めたという側面もある。
とくに衣料品は8割~9割が自社企画品で、残りの1割~2割はディスプレイ用途や店舗の味付けように著名ブランドをいくつか仕入れるという形になっている。

大手セレクトショップはビジネスモデルとしては限りなくSPAに近い。

この2つに向けて卸売りすることはほぼ不可能に近い。
両者が探しているのは、自社企画の製造を請け負ってくれるOEM/ODMメーカーである。

そして個人経営に近い小規模専門店はオーナーの老齢化や売り上げ不振、資金繰りの悪化などが原因で、毎年続々と廃業倒産している。

百貨店の現状はほとんどファッションビルと同じで有力ブランド直営店がテナント入店しており、わずかに残った平場は大手アパレルに寡占化されている。百貨店の「委託」と言う名の消化販売形式では、大手しか付き合いきれないというのが実情だろうか。

こうなると卸売りアパレルの販売先は年々減少するばかりである。

卸売りメーカーの販売先が減少しているから、来場者数が減少している。
来場者数が減少しているから活気がなくなり、出展者数も減る。
出展者数が減るとさらに来場者数が減るという悪循環スパイラルに陥る。

廃業した専門店の代わりに、「俺が専門店として参入してやるぞ」なんて個人や企業なんてほとんど現れない。
仮にAという専門店が廃業したらその市場を狙って、新規で専門店を立ち上げるなんていう人はほとんど存在しない。

いくら展示会主催者が声を大にして叫ぼうと来場者は増えない。分母が減り続けているからである。

こう考えると、展示会主催者が展示会を盛り上げるためには一般消費者を呼び込むほかないのではないだろうか。

例えばバイヤーデイと一般消費者デイを分けて、
バイヤーデイは従来型の受注会、一般消費者デイは在庫処分セール、というように日によって出し物を使い分けてはどうだろうか。

また一般消費者は大概がにぎやかなお祭り好きだから、
バイヤーが商談している会場で、同時に一般消費者が楽しめるようなアトラクションを開催するという手段も有効なのではないだろうか。

今は賑わいを見せている新規の合同展示会も回数を重ねるといずれ停滞期が来る。
来場して仕入れる小売業は年々減少しているわけだから、ある程度の規模にまで達するとIFFがそうであるように来場者数を増やすことはできなくなる。

そう考えると一般消費者も呼び込む「何か」を考える必要がある。

「需要がないなら合同展示会なんか廃止すれば良い」という意見も聞こえてきそうだが、それはその通りである。
どうしようも無くなったら廃止するほかない。

主催者が延命を図りたいなら、という前提で今回は考えてみた。

業界紙に掲載されることはメリット?デメリット?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 業界紙に掲載されることはメリット?デメリット?
 各業界に業界新聞が存在する。
繊維・ファッション業界で圧倒的シェアを占める繊研新聞も業界紙である。
もっとも最近は「業界紙」の持つネガティブなイメージを払しょくするために、「専門紙」と自称することが多い。

知り合いは以前、アイスクリーム新聞に勤務していたことがあるし、菓子工業新聞なんていうのもある。
刃物工具新聞もあるし、昨年自主廃業した家庭日用品新聞など、それこそ無数の専門紙が存在している。

メーカーからよく「業界紙に掲載されると、業界内でパクられませんか?」と尋ねられることがある。
これについては、否定しない。そういうこともある。
とくに、昔はひどかったようだ。

サンプルの写真が業界紙(業界雑誌も含む)に掲載された途端、同じデザインを工場に発注し、
その掲載されたメーカーよりも早く店頭に並べるということが半ば堂々と行われていた。
おそらく、今でも類似行為はあるのだろう。もちろん、昔ほど大っぴらにはできないだろうが。

さて、だからと言って「業界紙に掲載されることがデメリットしかない」とは思わない。
一般紙に掲載されても、雑誌に掲載されても、テレビ番組で採り上げられてもパクられる可能性はある。
むしろ、業界外の人間からもパクられる可能性がある。
さらに言うなら、合同展示会に出品することもパクられる可能性が高い。


消費材全般に向けた最大の展示会は「東京インターナショナル・ギフトショー」ではないかと思う。(略称東京ギフトショー)
繊維・衣料品なら最大の展示会は「インターナショナルファッションフェア(IFF)」だろう。

このほかにもいくつも大きな展示会はある。


企業の単独展示会や、仲間企業数社との小規模な合同展示会なら、入場者は主催者側でほぼ完璧に管理できる。
しかし、ギフトショーやIFFのような大規模な合同展示会になると、期間中の来場者数は軽く万を越える。
IFFの発表だと毎回だいたい3万人くらいで、東京ギフトショーだと毎回20万人と発表がある。
これらをすべて事務局側が管理することはできないし、来場者数が多いことが合同展示会のメリットである。
来場者数を規制することは事務局側の首を絞めることにもなる。

P9160258


(2009年9月のroomsの風景)



また、事務局側が受付でいくら厳重に入場管理を行っても、会場内には何時の間にやら怪しげな団体や、胡散臭い個人が歩き回ってしまうこともある。
そして、それらの人々が展示サンプルを撮影して、超特急で製造し販売するという事件は後を絶たないようだ。
近年だと、日本人業者よりもアジア系業者の動きに、出展各社は神経を尖らせている。


しかし、それでも大型展示会に出展するメリットはある。
これまで取り引きの無かった企業と出会える可能性が高まるからである。
だからいまだに大型展示会は無くならない。

話がそれたが、業界紙に掲載されることも合同展示会に出展することも、リスクは大して変わらないのではないか。一般紙・雑誌に掲載されるリスクもあるし、テレビ番組で放映されるリスクも少なからずある。

紳士的な業界紙がほとんどだが、中にはユスリタカリみたいな業界紙もある。
その選別・識別は必要だが、業界紙に掲載されることは、マスコミ対策の第一歩と捉える方が良いのではないか。業界紙と一般紙、雑誌とはまた体質は異なるが、無名のブランドにとって掲載されることは知名度向上の第一段階だと考えている。


掲載されるチャンスを無駄にすることはないのである。

製造業のディスプレイ下手

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 製造業のディスプレイ下手
 国内の大型展示会と言えば、東京ギフトショーや今週始まるIFF(インターナショナルファッションフェア)がある。
IFFよりも、東京ギフトショーの方が、大がかりな造作のブースが多い。
ジャングルみたいに植物を植え込んだものや、アドバルーンを上げたものなどさまざまである。

展示会の出展ブースは派手な飾りつけを行えば行うほど、費用は高くなるので、派手に飾りつけているブースに対して「もったいない。金の無駄やで」と揶揄する方々も多くいらっしゃる。
一方、シンプルすぎる出展ブースも多々ある。
ハンガーに衣服をチョロッとかけただけとか、棚に一列陳列しただけとかで、まことに味気ない。
よく言えば「質実剛健」とか「剛毅木訥」なのかもしれないのだが。


さて、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)という概念がある。
VMDに関しては大家が多くいらっしゃるので門外漢が多くを語ることは避けようと思う。というか積極的に避けたい!

下記のHPにVMDの基本概念がわかりやすく書かれており、参考にさせていただいた。

http://www.f-biz.net/kiso01/kisotisiki004.html

ここに消費者が購入を決める際の心の変遷に順番が書かれているので引用させていただく。

①Attention(注意):「あっ、何かしら、気になるわ。」

  4~8mの距離なので、が決め手になる。


②Interest(関心):「まあ、ステキ!ちょっと覗いてみよう。」

  2~4mの距離なので、デザインが決め手になる。


③Desire(欲求):「コレいいな、欲しいな。」

  1~2mの距離なので、素材感が決め手になる。


④Memory(記憶):「どんな服と合うかしら、でも、ちょっと他の店も見てみようかな。」

  45㎝~1mの距離なので、着まわし感が決め手になる


⑤Action(行動):「やっぱりコレにしよう!コレください!」

  45㎝以下の距離なので、着心地感が決め手になる



という順番になり、遠くからの認知は一番最初は色である。ここには柄も付け足して良いのではないかと思う。
色柄で認知して、さらに近付いて衣服のデザインを知覚する。
その後、さらに近づいて素材感(織り、編み、表面感などなど)を知覚する。
着まわし感というのは、頭の中で「手持ちのあれとあれをコレに組み合わせて~」と考えることであろう。
最後の着心地は、試着してみないとわからない。45センチ以下というよりは、試着して密着した距離であると考えた方が良いだろう。


こう考えてみると、展示会のブース作りも同じで、
まず最初に遠くからでも分かるような色柄や目立った造作が必要となるといえる。

ところが、多くの国内企業は
「うちの商品は触ってもらえればわかる」というスタンスを採っており、
これでは、なかなかお客を集めることは難しい。
なぜなら素材感がわかるためには、1~2メートルにまで近づいてもらう必要があるからだ。
言ってみれば、先の5条件のうちの③番からいきなり始めているようなものである。


これは海外展示会の出展にも通じることであり、シナジープランニングの坂口昌章さんによると
「海外展示会こそ、ブースの造作も含めた遠目からでも分かる演出が必要となるが、国内企業の多くは、ディスプレイをないがしろにし過ぎている」
とのことである。

普段交流させていただいている国内生地製造企業は、フランスのプルミエールヴィジョン(PV)や香港や上海の海外展示会にも出展されるケースが多い。
果たしてブースのディスプレイにも気を配っておられるだろうか?
生地を触ってもらうためにはブース全体の飾りつけも大いに影響する要素であるし、
また、自慢の生地にしても白無地や黒無地ばかりでは、触ってもらうには至らないことも指摘したい。
売り物である生地もやはり、最初に遠目から認知されるのは「色柄」である。
いかに、目を引く特徴的な色柄の生地を開発できるかという点も、展示会で成果を得るためには重要である。

国内企業が、海外の大型展示会で勝ち抜くためには、色柄提案やブース全体のディスプレイからの改善が必要といえる。


続・アパレル店とPOP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 続・アパレル店とPOP

 昨日、POPのことについて書いたが、これは各氏のセミナーを聴きながら数年前から漠然と考えていたことである。繊維・アパレル業界に戻ってから各種のセミナーや講演を聴いているが、やはりPOPやDMなど販促系の内容は少ない。

現在、東京でインターナショナルファッションフェア(IFF)が開催されているが、POPやDM関係のセミナーはない。もっとグローバルというか、マクロというか大きな経済活動の話が多い。販促系のセミナーになると、インターネットやSNS、モバイルを活用する話が多い。なんとなく、アパレル業界人の見栄っ張り、ええ格好しいの体質が透けて見えるような気がしないでもない。


閑話休題。

洋服店がヴィレッジバンガードのようにPOPを強化することに反対の意見もある。それは「きちんとした販売員がいればPOPなどいらないのだから、販売員育成を強化すべき」ということである。これも一理ある。
その場合の「販売員」とは、例えば個店のオーナー販売員のように、固定客の趣味、嗜好、手持ちの洋服、場合によっては収入のレベルまで把握しているような凄腕の販売員のことだ。

自分自身は体験がないが、昔は東京や大阪にも、こういうオーナー販売員さんや、そういうオーナーに雇われていた凄腕販売員さんが多くいたと言われているが、今ではそういう小規模店は少なくなった。地方都市には一部残っているようだが。
こういう販売員さんを複数雇用できるのであれば、ヴィレッジバンガードのようなPOPは必要ない。しかし、全国規模のチェーン店では、それは望めない。そうなると、アルバイトの店番みたいなお兄ちゃん・お姉ちゃんにあやふやな解説をされるよりは、しっかりと説明が書かれたPOPを読んでいるほうがずっと効率的であるし、間違いが少ない。


昨日、メルマガを貼り付けた販促コンサルタントの藤村正宏さんのセミナーを3回ほど聴講させていただいたことがある。

とにかく実例が豊富で面白い。氏の提唱するPOPやDMはかっこよくはないけれども人の目を惹きつける工夫がなされている。
北海道のお土産物屋のPOPなども手掛けておられているので、そのときの事例を挙げる。

商品名「○○」とだけ書かれたお菓子のPOPを見て

藤村氏 「このお菓子はどんな特徴があるの?」
販売員 「有名な○い恋人の類似商品だけども、本家よりも甘さが濃いんです。濃いコーヒーやお茶と一緒に食べたら最高なんです」

こういうヒアリングが行われた後、

「北海道名物のあのお菓子よりも甘い○○、 濃いお茶とどうぞ」
(記憶を頼りにしているので語句は少し違う可能性が高い)

というPOPができた。

こういう考え方を洋服店に当てはめれば、
カーディガンを棚に並べて「カーディガン3900円」というPOPだけを付けるのではなく、例えば、「今、人気のシャツブラウスの上から、少し肌寒い日に羽織ってください」とか「タイトなスキニーパンツと合わせるとかわいいシルエットになります」とでもPOPを付けてみてはどうだろうか?
消費者も活用法がわかって買いやすくなるのではないだろうか。

昨今は過剰な接客(つきまとうような接客)を嫌がる消費者も多いから、どうしても大型店や全国チェーン店はセルフ買いの要素が強くなる。そうした場合にはセールスポイントが手短にまとめられているPOPが効果を発揮する。
また小さな個店でも、オーナー店長が店に完全密着しておくことはできない、たまにはアルバイトちゃんに店番をお願いすることもあるだろうし、お客さんが複数来られて、十分な応対ができないかもしれない。こういう場合に備えてPOPが必要ではないだろうか。

PR
PR






記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード