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南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロ「1500円バッグ」がヒットした背景は「ヨーロッパで評価されたから」だろ

2023年9月27日 トレンド 1

前回、ユニクロのラウンドミニショルダーバッグについてのブログを書いた。

書いた理由は、ユニクロ商品がついにファッションアイテムとして模倣されるという時代の変わりように驚いたからである。

もちろん、これまでもウルトラライトダウンとかヒートテックを他の量販店が後追いすることはあったが、後追いの観点は「機能性」と「販売数量」だった。

今回のラウンドミニショルダーバッグの模倣も「販売数量」という点は変わらないが、機能性というよりはファッション性や話題性にあるという点がこれまでの後追い追随商品とは異なる。

また、かく言うユニクロもウルトラライトダウンにせよヒートテックにせよ、モンベルやミズノの後追い追随廉価版商品だったわけだが、それが逆に「話題性」や「ファッション性」で模倣されるようになるというのは時代の変わりように驚くほかない。

全くの偶然だが、同日にこんな記事が掲載された。

 

令和のバーキン? ユニクロ「1500円バッグ」が英国で大絶賛 模倣品騒動も起きるほどヒットした背景:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン

 

タイミングが同じだったのは、恐らく「模倣騒動」が原因である。今回の模倣騒動によってメディアが「これはホットな話題である」と判断したわけである。一応、大手メディアとは無関係で底辺に細々と暮らす当方も同じ理由で前回のブログに採りあげたので、考え方においては同じだったわけである。

で、この記事はYahoo!のトップニュースにも転載されたので読んだ方も多いだろうと思う。

 

売れた原因は様々考えられるが、最大の原因は「ヨーロッパで話題になったから」だろうと当方は考える。

ヨーロッパで話題になっていなければ日本ではここまで話題になっていないだろう。いかに日本のメディア、衣料品業界、消費者が舶来コンプレックスが強いかである。

もちろん、商品の良さ、1500円という安さという点は大いにある。しかし、それだけならそれ以外のユニクロ商品やジーユー商品と変わらない。このラウンドミニショルダーバッグだけが特別に売れるはずもない。

この記事もそうだが、ヨーロッパで売れた理由を

開発の背景には、ユニクロが「使い勝手」にフォーカスした商品作りに取り組んでいることがある。同商品のコンセプトについては「小さめでも携行品を収納できるものを作ろうということで開発に至った。モノをたくさん入れることを前提に、重量を軽くすることも意識したポイント」(ユニクロPRチーム)としている。

具体的には、500mlのペットボトルを基準にしつつ、鍵やスマートフォンなども入れられるように内ポケットを付けるなど、しっかりとした収納スペースを確保できるよう工夫した。これまで軽くて着心地の良い服を得意にしてきたユニクロだが、そのノウハウがバッグにも生かされているようだ。

ラウンドミニショルダーバッグの大ヒットにつながったのは、英国のインフルエンサー、ケイトリン・フィリモア氏のTikTokへの動画投稿がきっかけだった。

 動画では、小型のバッグからオーバーヘッド型ヘッドフォン・コンパクトデジタルカメラ・鍵・お菓子の袋・財布・リップクリーム・香水・薬などが次々と取り出される様子が映されている。デザイナーズブランドに勤務するというフィリモア氏のおしゃれな身なりもさることながら、小さなサイズのバッグに驚くほど多くのモノが入っていたことが大きな反響につながったようだ。

とある。これはどの記事にも共通している内容である。

 

どれほど大容量なのかと興味を持ったのでついに今年8月に自分でも買ってみてスーパー万代へ行くときに財布と使いまわしのレジ袋を突っ込んで使うようになったわけだが、個人的な感想でいうと「見た目から想像できる通りの内容量」というものである。決して想像以上に収納できるとは当方は感じなかった。

決して粗悪品でもないし使い勝手が悪いわけではないが、「びっくりするほど大容量」とか「画期的な使い勝手の良さ」というのは全く感じなかった。容量も使い勝手も「見た目から想像した通り」というのが偽らざる感想である。

もちろん、53歳のオッサンと世の女性の感じ方やら評価基準は異なることは大いにあると思うが、それでも当方からすると「何もかもが見た目から想像した通り」という使用感想しかない。

当方は別色の商品が欲しいとは思わない。今使っている黒だけで十分である。今秋はコーデュロイ素材の新商品が発売されているが、起毛素材なので着ている洋服との摩擦が大きくなって使い勝手が悪くなりそうだと思っている。

 

前回も書いたようにこの商品の発売は2020年の12月で、3年間のロングセラーということになる。ヨーロッパで話題になるまで2年間くらいかかっているのだが、その間ずっと生産が継続されていたということは一定数量国内でも売れ続けていたということになる。記事にもあるようにこの商品の販売数量や売上金額は公表されていないので想像するしかないが、ブレイクするまでの2年間くらい生産され続けてきたということは一定数量は売れ続けていたという証である。売れていなければとっくに廃止されている。そういう意味では「優秀な商品」だったということがわかる。

 

そんな「優秀なロングラン商品」が発売から3年目に突入して国内でそれまでに比べて大ブレイクが起きている最大の理由は明らかに「ヨーロッパで人気になったから」だろう。いかに日本人が欧米に弱いかを象徴しているといえる。

先日、某素材関係者が「国内よりも欧米市場への参入を目指したい」と言っていたのだが、国内の業者やメディアを振り向かせるには「生産(販売)数量」か「低価格」でアピールするか、「海外市場(特に欧米市場)での高評価」をアピールするか、が最も効率的である。

欧米市場での高評価が必ず日本での大ヒットにつながるわけではないが、かなりの高確率でそうなりやすいことは過去の様々な事物からもわかるので、この某素材関係者の判断は概ね的確だろうといえる。

個人的には「大容量」とか「画期的な使い勝手の良さ」とか書いているメディア関係者は実際に使用してみたことがあるのだろうか?とその点に大きな疑問を抱いている。

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 comment
  • BOCONON より: 2023/09/27(水) 12:26 PM

    そもそも本当に高評価されているのかあやしい気がします。
    欧州は知らず,日本では流行るとしてもこれからでしょう。
            ↓
    https://you1news.com/archives/93018.html

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