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南充浩 オフィシャルブログ

ヨドバシカメラが買った池袋西武には「それなりにブランドを誘致できるんじゃないの?」と思った話

2023年9月28日 売り場探訪 0

そごう・西武が無事に売却されたわけだが、今後についていくつかの懸念が指摘されている。

その中に「洋服ブランドが集まらないのではないか」という懸念がある。もちろんその懸念は正しい。だが、個人的には今後のプランニング次第では現予想以上に集まるのではないかとそんな風に考えている。

友好的な感じではないがすでにルイ・ヴィトンは西武池袋に残留することを発表している。

LVMHジャパン社長「売り場変えない」 西武池袋改装で – 日本経済新聞 (nikkei.com)

「そごう・西武から説明を受けたことがなく、現状の売り場を変えるつもりはない」と述べた。

ルレ社長は西武池袋について「国内でも売り上げが大きく撤退はしたくない」と強調した。その上で「高級ブランドは雰囲気や環境が良好で、路面店であることが大事。家電量販店が上層階に入る百貨店もあり、ヨドバシが池袋に来ることは歓迎するが、百貨店のスピリットを守りながらフロアを考えて欲しい」と主張した。

西武池袋の2階にLVMH傘下のファッション3ブランドを出店する計画が止まっていることも明かした。「(3ブランドは)できれば出店したいと考えている」とも述べた。

とある。

ヨドバシカメラだってビジネスが最優先だから売れる見込みが高そうなショップをわざわざ移転させる可能性もそんなに高くはないだろう。

 

今後の成り行きがどうなるのかは予想するほかないし、その個人的な予想が外れる可能性もある。経営者だって全知全能ではないから、傍から見ていれば意味不明な選択をする可能性も大いにある。

だが、普通に考えれば売れる可能性が高いショップが残りたいと言っているなら最大限それを考慮するだろう。またこれほどまでに買収に対しての報道が広がってしまえば、各地の画一的なヨドバシカメラ店舗の作り方をそのまま押し通すことも難しいだろう。(もちろん、経営者がそれでも押し通す可能性はあるが)

しかし、ヨドバシカメラ梅田店を長年見てきた当方からすると、ヨドバシカメラ梅田店は当初から6階・7階には衣料品ブランドが導入されていた。

2000年ごろだと7階はスーツカンパニーとユニクロだったが。

もともと梅田店はファイブフォックスのコムサシリーズと併設された店舗で、コムサシリーズと一部のファイブ府フォックスブランドが1階から7階まで埋めていた。

そんなわけで、ヨドバシ梅田店を見慣れてきた人間からすると、ヨドバシカメラは意外と衣料品ブランドを誘致する傾向が強い。

この辺りが、ビックカメラやエディオン、ヤマダ電機などとは異なる点だと思っている。ビックカメラなんば店にはヨドバシカメラ梅田店ほどの衣料品店が入っていない。後発のエディオンなんば店は衣料品のかけらもない。

 

さらにいえば、ファイブフォックス撤退後、ヨドバシカメラは2019年11月に一部を増設して「リンクス梅田」を開業した。ここは飲食と衣料品、雑貨が集積している。家電はほとんどない。

このオープンから3~4カ月後に大規模なコロナ休業が始まったのは本当にタイミングが悪かったとしか言いようがない。

当方はオープン内見会には参加しておらず(底辺なので呼ばれてもいない)、コロナ休業が緩和された21年か22年に初めてリンクス梅田を覗いてみた。

その時にはコロナ休業が緩和されたとはいえ、まだ街全体の人出も少なかったため、耐え切れずに閉店撤退したリンクス梅田のテナントも数多くあったのではないかと推察された。理由は歯抜けになったまま埋まっていないテナントがいくつもあったし、すでに出店しているABCマートがアウトレット値下げ品を歯抜けスペースでも販売していたからだ。

リンクス梅田のラインナップを見ると、ユニクロ、ジーユ―、ABCマート、アースミュージック&エコロジーなどショッピングセンターの常連低価格ブランドがほとんどだが、アーバンリサーチサニーレーベルなんかも入店している。

 

ヨドバシ関係の店舗に「いわゆる百貨店向けブランド」が出店しているのは見たことがないが、アーバンリサーチサニーレーベルぐらいのブランドまでを引っ張ってこれるのであれば、ヨドバシカメラの施設改装プラン如何によっては「いわゆる百貨店向けブランド」を誘致することも可能なのではないかと思う。

そしてさらにいえば、「いわゆる百貨店向けブランド」を展開している国内大手アパレル各社は「売上高」に弱い。売上高が稼げるなら柔軟に対応することは得意である。

また、普段「ユニクロなんて」という発言をしている百貨店向けブランドの中の人たちでも、いざ売れるとなるとそのユニクロに倣おうとすることも決して珍しくない。

以前にも何度も書いているが、「ユニクロで売れているアレと同じ素材をくれ」と素材メーカーに飛び込んで来た大手国内アパレルの部長さん(当時)もおられるほどである。イキったことを口走っていても本音は売れればよかろうなのである。

 

もちろん、フロアのプランニング如何であることは大前提だが、ヨドバシカメラが得意とする家電と玩具という売り場は百貨店が失って久しい分野である。失ったというか自ら放棄したというかは微妙だが。(笑)

そして、百貨店のファッション一辺倒ぶりも近年変わり始めている。

繰り返すがフロア誘致のプランニング如何が大前提にはなるが、上手くいくと百貨店が失って久しい家電と玩具売り場が備わった売り場が完成するのではないかと思う。

ファッション一辺倒の百貨店スタイルからの脱却という点においては個人的には期待している。

 

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