南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ポイント

ファッションへの憧れは再構築できそうにない

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 先日、ポイントの各ブランドがZOZOTOWNでさっそく「最大7割引きセール」を開催していた。

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これを見て、「もう早々とそんなセールをやっているのか、定価で販売する期間はどれほど短いのか」とお嘆きになる業界関係者が少なくない。

しかし、その一方で「ファッションが好きな人は入荷時に定価で購入しており、売れ残った商品を値下げして処分するのは当然。ファッション好きはシーズン当初に買ったという満足感に高い金を払っている」という指摘もある。

これはどちらの見方も正しい。
ついでにいうと、ポイントは入荷時から一定の期間が過ぎると自動的に値下がりする方式を採っており、別にZOZOで大々的に謳わなくても、各店舗でも常に同じようなことが行われているので実は嘆くには値しない。
ただ、今秋は店頭での割引商品の陳列が少ないのでオカシイな?と思っていたのだが、案外、値下げ商品をZOZOに集約していたのかもしれない。


それはさておき。


以前に衣料品を購入する人は3つのグループがあると書いた。

1、シーズン初めに定価で買う「ファッションが好きな人」
2、体感気温に合わせて定価で買う「実需型」の人
3、セールでしか買わない人


である。

それぞれの人口比率は1を頂点に、2、3とピラミッド型となっている。

一番ありがたい1のお客は、人口的にはもっとも少ない。
しかもその人口は年々減少しているのではないかと個人的には感じる。

2、3の人口は相対的に増えているのではないか。
2と3のどちらが増えたのかは難しいが、個人的には3が増えたのではないかと感じる。
筆者自身は間違いなく3である。


さて、ファッション製品を定価で販売するなら、1のお客を増やさねばならない。
DCブランドの販売に長蛇の列が作られたバブル期は1のお客が相当多かったのだろう。
時代の風潮というのもそちらに向かっていた。
また、DCブランドの服と、量販店の服ではまったくデザイン、色柄が異なっていたということも大きいだろう。
使用素材の質も雲泥の差だった。
国民の所得も多かった、もしくは将来的に多くなると信じていたという時代背景もある。


長らくお付き合いのあるデザイナーズブランド、RBTの東哲平くんは「ファッションへの憧れを再構築しなくてはならない」と主張しているが、まったくその通りだと思う。
バブル期はファッションへの憧れというものも大きかったのだろう。


しかし、ファッションへの情熱がまったく無い筆者からすると、「ファッションへの憧れ」というものが再構築できるとはちょっと思えない。
なぜかというと、低価格商品の見た目は格段に向上し、見た目だけならいわゆる「ブランド品」との遜色はなくなった。
またバブル期と異なり、最新のファッションに身を包んでいるからと言って、男女ともそれほど異性にモテるわけでもなくなった。さらに言うなら、異性にモテたいと思っている男女もバブル期よりは減っているだろう。
可処分所得も減っているだろうし、今後、収入の増える見込みも少なくなったと感じている人も多いだろう。


よくネットニュースなどで「男受けしないファッション」みたいな特集がある。
そうすると必ず女性が「男にモテるためにオシャレにしているのではない」という意見を書き込む。
これはこれで事実なのだろうが、そうするとファッションとは仲間内での楽しみ&自分の趣味という部分が大きいことになるが、そういう人は残念ながら少数派だと言わねばならないだろう。

そして製造背景から業界構造までがほぼ明るみに出ている状況とも相まって、「ファッションへの憧れ」を再構築するのはかなり困難であろう。


結局、1のお客を如何に自社店舗、自社ブランドに取り込むかということが、各社が取り組むべき喫緊の課題であるし、言葉は悪いが、1のお客を如何に他社から奪い取るかということになる。
限られた小さなパイの奪い合いというのが筆者の目に映る衣料品業界の姿である。


そんなわけで、よほどのカリスマが出現するか、史上最高規模の好景気が到来するかしなくては、バブル期やそれ以前のような高価格ブランドのファッションブームは起きないだろうと感じる。
それよりも自社の顧客数を確実に把握し、そこに売れるための枚数製造と商品構成、そこへアピールするための発信に徹するのが手堅いやり方であろう。

もし「憧れ」が再構築できるとするなら、マスではなく、小コミュニティの中だけだろう。
如何にファッションで盛り上がれる小コミュニティを作れるかがカギになる。ちょうど、女性が仲間内で「かわいい」と言われるためにオシャレをするように。

やはり寒くなると強い

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 10月に引き続き、11月の商況も全般的に良くなかったと聞き及んでいる。
11月に入って気温は低下したが、下旬からは12月上旬から始まるプレセール待ちの消費者が増えるため、売上高が毎年伸びにくい。

そんな中でもユニクロは11月も既存店実績を更新した。
寒くなるとユニクロは強いと改めて実感する。

ユニクロの11月商況は
既存店売上高が前年比7・7%増
既存店客数が同5・7%増
既存店客単価が同1・9%増


ポイントは
既存店売上高が前年比1・3%減
既存店客数が同2・3%増
既存店客単価が同3・5%減


マックハウスは
既存店売上高が前年比9・0%減
既存店客数が同5・9%減
既存店客単価が同1・9%減


ハニーズは
既存店売上高が前年比11・8%減
既存店客数が同13・9%減
既存店客単価が同3・6%増

となっている。

ユニクロはやはり冬に強い。
それと11月下旬の創業感謝祭が効いている。
12月のプレセール待ち消費者を先取りしたといえる。

ポイントは客数は増加しているが、客単価が減少している。
マークダウン商品の購入客が増えたのだろう。

マックハウスは厳しい。
同じジーンズカジュアルチェーン店であるライトオン、ジーンズメイトともに20日締めの11月度商況は厳しかったので、ジーンズカジュアルチェーン店は軒並み苦戦したといえる。

もっと厳しいのがハニーズだ。
客単価が増加して客数が大幅に減っている。これは同社の注釈にも書いてあったように価格改定で客離れが起きたのだろう。早い話が、値上げが受け入れられなかったといえる。

ハニーズはトレンド商品を安価に販売することで若い女性に支持されてきた。
月次報告だけで判断をするなら彼女らはトレンド商品もさることながら、ハニーズを支持してきたのは「安価」という部分が大きかったと読みとれる。
今後、材料費や人件費の高騰などで価格を上げる場合には一層の注意が必要となるだろう。

小康状態?の各社5月商況

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 各社の5月売上速報が出そろった。
ゴールデンウィークは例年よりも寒かったが、ゴールデンウィーク明けから気温が急上昇した。
結果的にはこの気温の急上昇が効を奏したというのが全般的に共通するだろう。

ユニクロは
既存店売上高が前年比10・9%増
既存店客数が同17・0%増
既存店客単価が同5・2%減

ポイントは
既存店売上高が前年比2・8%増
既存店客数が同6・3%増
既存店客単価が同3・2%減

マックハウスは
既存店売上高が前年比2・8%減
既存店客数が同3・2%減
既存店客単価が同0・4%増


ハニーズは
既存店売上高が前年比1・6%減
既存店客数が同8・2%減
既存店客単価が同7・8%増

となっている。

これを見ると、ユニクロが絶好調と感じるのだが、

一昨年のユニクロの5月商況は
既存店売上高が前年比10・3%減
既存店客数が同11・9%減
既存店客単価が同1・8%増

だったので、一昨年並みに回復させたという方が実状に近いだろう。

一方、マックハウスは売上高微減にとどめたが、ライトオン、ジーンズメイトと合わせて見ると、ジーンズチェーン店は全般的に苦戦傾向にあるといえる。
ブルージーンズを主力商品とすることで、カラーパンツ・花柄パンツブームから外れてしまっているのではないだろうか。

またハニーズは4月、5月の客数の減少幅の大きさが気になる。
これはとりもなおさず、「買い上げ客数」のことだから今春物は消費者からの支持を得られていないということになる。

さて、6月は28日ごろから各施設が本格的なセールに入る。
それに先立ってすでに4割近く(筆者体感)のショップがすでにプレセールを開始している。
6月13日に先行オープンする「あべのハルカス」はオープニングセールからそのまま夏セールにつながるわけだから、それらは80日~90日にも及ぶめちゃくちゃに長い夏セールを行うことになる。

その一方で7月12日からセール開始のルミネ、7月17日開始の三越伊勢丹があるわけだから、セールの分散化度合いは昨年夏以上ということになる。

この斑模様のセールが6月商況にどう影響するのかが興味深い。

ここ数年、4月は比較的寒い

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 4月の各社売上速報が発表された。

そういえば今年のゴールデンウイークは例年にも増して涼しい日が多かったように感じる。
7年くらい前には30度越えのゴールデンウイークもあったから、そのころと比べると気温は大違いである。
二酸化炭素によって温暖化云々がやかましく言われているが、実は二酸化炭素によって地球が寒冷化するという学説もあり、このあたりはまことにあやふやである。

それはさておき、各社とも4月の低気温であまり売上高は伸びなかったとしている。
しかし、思い返してもらいたいのだがこの数年4月はずっと気温が低かった。
今年始まったわけではない。昨年も4月20日ごろまで寒い日があったし、一昨年もそうだった。
なぜ、過去数年のデータを基に「寒い4月」の対策を打たなかったのか理解に苦しむ。

ユニクロは
既存店売上高が前年比3%減
既存店客数が同3・7%増
既存店客単価が同6・5%減



ポイントは
既存店売上高が前年比2・3%減
既存店客数が増減なし
既存店客単価が同2・3%減



マックハウスは
既存店売上高が前年比11・4%減
既存店客数が同12・6%減
既存店客単価が同1・4%増



ハニーズは
既存店売上高が前年比9・1%減
既存店客数が同11・5%減
既存店客単価が同2・8%増



だった。

ポイント以外はすべて客数が減っていることがわかる。
3月は衣料品販売が好調だったが、4月はそれと真逆になった。

ユニクロは昨年も4月、5月は既存店売上高が前年割れなのでそういう特性なのだろう。
実用衣料としての側面が強いので暑すぎる・寒すぎるという気温要因が売上高を左右すると考えられる。
前年実績ベースで見ると、冬と真夏が強く春と秋はそれほどでもない。
冬はヒートテックとダウン、夏は吸水速乾商品がけん引しているのだろうが、気温が暑すぎもせず寒すぎもしない春と秋はお得意の「機能商品」がそれほど求められないと考えられる。
もちろん靴下や肌着やちょっとしたカットソーなどの買い替え・買い足し需要はあるが、爆発力は無い。

マックハウスの苦戦はブルージーンズを基調とした品ぞろえにあるのではないか。
今春は例年にも増してブルージーンズの動きが鈍く、カラーパンツ・ホワイトジーンズ、レディースの花柄パンツにボトムスの売れ筋が集中している。

しかし、ジーンズカジュアルチェーン店は店頭を見る限り、ブルージーンズとベーシックな色合いのチノパン、ワークパンツの見え方が多すぎて、世間的なトレンド商品も置いてあるのかもしれないがあまり目立たない。

景気の浮揚感はたしかに感じられる部分もあるが、ゴールデンウイークが終わった5月、6月は各社とも厳しい商戦を強いられるのではないかと思う。

タンス在庫にない商品はやっぱり売れ易い

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 3月度は各社とも比較的好調だったようだ。

ユニクロは
既存店売上高が前年比23・1%増
既存店客数が同30・0%増
既存店客単価が同5・4%減

ポイントは
既存店売上高が前年比11・1%増
既存店客数が同8・6%増
既存店客単価が同2・3%増


マックハウスは
既存店売上高が前年比5・8%増
既存店客数が同3・3%増
既存店客単価が同2・4%増


ハニーズは
既存店売上高が前年比13・0%増
既存店客数が同7・6%増
既存店客単価が同5・0%増

と軒並み好調だった。

各社が伸びた原因は、今年3月は過去に比べて暖かい日が多かったことと、昨年・一昨年とは異なりビタミンカラー、ネオンカラーと言われるような明るいカラーが一転してトレンドに浮上したことだろう。
これまで、カラー傾向もベージュやネイビーなどベーシックで変わり映えのしないシーズンが続いた。
いくら「ネイビーがトレンドですよ」「ベージュがトレンドですよ」と業界がステマをしてみたところで、ネイビーやベージュの衣料品なんて物は消費者は複数枚すでに所有している。
別に新しく買い直す必要もなく、手持ちのタンス在庫を再登板させれば済む。

ところが今回のビビッドな黄色やオレンジ、グリーンなどというカラーのアイテムは手持ちが少ない。
目新しい商品なら何枚か買っておく必要がある。

ユニクロの大幅な伸びはメンズ・レディースのレギンスパンツの販促効果だと思われるが、そのレギンスパンツも売りは鮮やかなカラーリングである。
レギンスパンツという文脈でとらえるよりも、カラーリングの一環と捉えた方が良いのではないだろうか。

景気回復期待効果やバブル期待効果は幾分かあるかもしれないが、目に見えて効果が出るにはまだ時間はかかるだろう。
それよりも新しいカラーが大々的に打ち出されたことによる各社の好調と考えた方が良いのではないか。

月並みな感想だが、目新しい物・手持ちにない商品は売れるということだろう。

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