南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

イトーヨーカドー

2枚抱き合わせると1枚で買うよりも安くなったぞ!

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 今日はお気楽に。

例えば、「1枚〇〇円・2枚合わせるとさらに×割引」という場合、みなさんならどうされるだろうか?

筆者の場合は、欲しい物があれば2枚買ってさらに割り引いてもらう。
どうしても欲しい物がもう1枚見つからなければ、1枚だけ買うという人が多いだろう。

しかし、筆者は、抱き合わせて割り引いてもらってそちらの方が安くなるなら、不要な商品でももう1枚選ぶ。
抱き合わせる商品はもちろん最安値の商品に限るが。

なぜこんなことを書いているかというと、つい先日、阿倍野キューズモールに併設されているイトーヨーカドーで、グンゼのトゥシェオムのレギンスパンツが1250円(税抜き)に値下げされて売られているのを発見したからだ。

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この商品の定価は2500円、税込みで2700円。
1250円なら半額で、税込み1350円になる。

もちろんこのまま買うという選択肢もありだ。

しかし、「2組でさらに3割引き」というシールが付いた商品を組み合わせると合計金額から3割引きされる。

このレギンスパンツもその「2組」商品の一つである。
最初、じゃあ、もう一枚レギンスパンツを買おうかと思った。
2700円の3割引きで1890円になる。

もちろんお買い得だが、支出金額自体は当初予定よりも540円も増えてしまう。
540円あれば、1回分の昼飯が食えるし、週刊少年マガジンが2冊買える。

それにこのレギンスパンツは黒のMサイズを買おうと思っていたが、ほかの色は欲しくない。
欲しくない商品を買ってタンス在庫を増やすのもアホらしい。

そんなわけでどうしようかと悩んで売り場を見ると、ほかにも選択肢がある。

このレギンスパンツは量販店では「カジュアル売り場」の管轄ではなく、「肌着・靴下・パジャマ売り場」の管轄になるのである。
だから対象商品にはパジャマ、肌着、靴下などがあった。

だから、「100円とか200円に値下げされた肌着か靴下を抱き合わせにすれば良いのではないか」と天才的考えが閃いた。
まさに「飛天御剣流奥義 天翔龍閃」である。

探してみると、肌着はサイズが合うものが残っていない。
いくら値引きのためとはいえ、サイズの合わない肌着をわざわざ買ってタンス在庫を増やす必要もない。

と、さらに目を凝らして商品を探してみると、5本指靴下でサイズが合うものが奇跡的に2~3枚残っていた。
価格は値引きされて300円(税抜き)

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レギンスパンツと5本指靴下をレジで計算してもらうと、

1350円+324円=1674円

となった。
そこから3割引きされて、

1674円×0・7=約1172円

となり、結果として2点で1172円で購入することができた。

レギンスパンツの1350円よりも、5本指靴下がセットされて、なおかつ180円近く安く買うことができた。

筆者の完全な作戦勝ちである。
180円あれば、銘柄にもよるが、スーパー万代で350ミリの発泡酒ではないビールが1本買える。

そんなわけで気分良く家路についた。

ところで、筆者は黒を選んだが、なぜほかの色を選ばなかったかというと、売り場に残っていたのは紺とベージュだった。
Amazonで確認するともっとほかの色もあるが、それでも黒しか選ばないだろう。

山田耕史さんがこの商品を強力プッシュしておられるのだが、

http://t-f-n.blogspot.jp/2016/10/gunze.html

興味があったら読んでみてもらいたい。

このレギパンの素材組成は、レーヨン70%・ナイロン25%・ポリウレタン5%で、かなりキックバック性が高い。
しかし、ナイロン素材によって生地に鈍い光沢が発生している。
光沢のある生地を使ったズボンで見た目に違和感がないのは黒だけだろう。

他の色は光沢感があって変な見た目になる。
紺もやっぱり少しおかしい。

これが筆者が黒だけを選んだ理由だ。

グンゼがもし、改良点を探しているなら、素材組成を変えて光沢感をなくすことをお薦めする。
あと、カジュアルパンツとして見た場合、形も少しおかしくてお尻回りと太ももにゆとりがありすぎる。

キックバック性の高い生地をわざわざ使っているのだから、もう少し細身に作った方が良かった。

一見、細すぎると感じても、伸縮性が高い素材なら細くても窮屈ではない。
それならもっと細身にしたほうが見た目が良い。

Amazonのレビューを読むと、素材組成の影響で真夏はすごく暑いという声もある。

たしかにレーヨンも暑いし、ナイロンは暑い。ポリウレタンも暑い素材であるから、「暑い三連星」である。
その割にはこの素材組成は冬は寒いのである。

そういう観点からも今後は素材組成を変えた方が良いのではないか。
しかも売り場は、実用性が重視される量販店の肌着・靴下・パジャマ売り場である。

今後のグンゼの動きに期待したい。

とはいえ、1172円で5本指靴下とセットで買えるなら十分なクオリティである。

それにしてもつくづくと日本の衣料品の安さを改めて噛みしめてしまった。









著名ブランドとコラボする目的をまったく理解しない大手量販店

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 いまだに40年前のチェーンストア理論に縛られ続けている大手スーパーに衣料品のブランド化ができるとは思っていなかったが、やはり失敗に終わった。

イトーヨーカ堂「セットプルミエ」など4ブランド廃止へ
http://www.fashionsnap.com/news/2016-10-05/iy-brand-close/

そごう・西武とイトーヨーカドーのプライベートブランド「セットプルミエ(SEPT PREMIERES)」含む衣料品3ブランドと、「フランフラン(Francfranc)」を運営するバルスとの雑貨ブランド「ボンボンホーム(BON BON HOME)」の計4ブランドを2017年2月期中に廃止する。

ファッションスナップには書かれていないが、他社の報道では、メンズ2ブランドも廃止になり、これで合計4ブランドの廃止である。

「セットプルミエ」はちょうど1年前にゴルチエとのコラボ商品を発売した。
今秋冬商品として高田賢三とのコラボ商品を発売しているが、秋冬商戦がようやく本格化するこの時期に廃止を発表するのはまったくタイミングが悪いと思う。

買う側も売る側もモチベーションはまったく上がらない。
ボンボンホームはすでに以前に廃止を発表しているから、セットプルミエの廃止発表をもう少し遅らせることはできなかったのだろうか?

それにしてもバルスとコラボして雑貨ブランドを作る必要性があったのだろうか?バルスに破格の条件でテナント出店してもらったほうが成功したのではないか。

「追加」という形で年末年始ごろにセットプルミエ終了を発表したほうが良かったのではないかと思う。
流通大手のえらいさんの考えていることはいつもピントが少しズレている。

鳴り物入りでデビューしたゴルチエとのコラボ商品だが、「好調だった」というセブンアイの大本営発表とは裏腹に「売れていない」という評判が業界には流れていたし、SNS上でも広く流れていた。

実際、今夏バーゲンの末期に、昨年秋冬のゴルチエの売れ残り在庫が半額で投入されたのを見たときに、「ああ、これは本当に売れていなかったんだな」と理解した。そして「あとどれくらい不振のイトーヨーカドーがこのコラボ商品を我慢して続けられるのだろうか」と不安に思ったのだが、イトーヨーカドーの我慢は予想以上に短かった。

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(売れ残り在庫を半年寝かせて半額で投入されたゴルチエとのコラボ商品)

ブランド廃止は不採算なら当然だという意見がある。その意見も確かに間違いではないが、我慢して一定期間をやり続けないとブランドなんて認知されない。
たった2シーズンで認知されるなら、みんながブランド衣料を商売にしている。
巨額の赤字なら2シーズンで撤退するのもやむを得ないが、そこまでの赤字でないなら3年~5年は最低でも我慢し続けないとブランドの認知度は高まらない。
今回我慢できなかったイトーヨーカドーは今後何度やってもブランドとのコラボを失敗し続けるだろう。


以前にも書いたが、ユニクロもそうだが大手量販店はすべからく根本的にコラボ商品の扱い方を間違っている。
低価格ブランドが著名ブランドとコラボ商品を発表する意図をユニクロもセブンアイも他の量販店もまったく理解していない。

自社の低価格品のみではブランドのステイタス性が向上しないから、著名ブランドの力を借りるのである。
著名ブランドとコラボをすることで一般消費者から「おお、あのブランドとコラボできるとは、あの著名ブランドからも評価されているんだな。ちょっと見直したわ」と思われることが目的である。
そしてそれによって、自社のステイタス性を向上させられる。

著名ブランドとコラボできるということは、表面的にはそのブランドが相手先をそれなりに評価しているからだ。
(内実は別として)

なら、そういうものはいわば「おかず」だったり「付け合わせ」だったりする。
「米の飯」は自社の通常商品で、おかずや付け合わせと一緒にすることで「米の飯」を美味しく食べてもらうのが理想だ。
通常の食事なら「米の飯」の分量がもっとも多く、おかずや付け合わせは少な目である。

おかずや付け合わせだけで満腹になろうとする人は炭水化物ダイエットをやっている人くらいだろう。

コラボ商品も同じでおかずや付け合わせ程度の数量を製造すれば良いのである。
低価格ブランドの製造枚数は破格に多いから、コラボ商品は経済ロットを最低限クリアできる程度の数量を製造すれば良いと思うのだが、ユニクロも含めて「機会損失」を病的に嫌うために過剰生産を行っている。

その結果が、アンドルメールやゴルチエコラボの投げ売りである。
投げ売りをすることでコラボ商品のブランド価値を毀損している。
また過剰数量を店頭に投入しているから、消費者は「これだけたくさんあれば、値下がりするまで待っても売り切れない」と安心して、定価では買わなくなる。

だったらコラボ商品は1万枚程度作って、売り切れ御免にすればよい。
次シーズンからは売り切れを恐れる消費者は定価で購入する比率が高まる。
コラボ商品でも「機会損失」をなくそうとして過剰生産するのは本当にバカじゃないかと思う。

「過剰な機会損失恐怖症」を克服しない限り、コラボ商品なんて100年やったって絶対成功しないし、ステイタス性は永遠に向上しない。

ダイヤモンドオンラインで、セブンアイの前会長の鈴木敏文氏が連載をされている。

http://diamond.jp/category/s-shuhitsu-suzukitoshifumi


これの2回目だか3回目だかで、珍しく明確に「チェーンストア理論」を否定しておられるくだりがある。
理論そのものを否定しているのではなく、現代社会に理論が適合しなくなってきたという論調で、その認識は正しいと感じる。
それに続けて「コラボしたセットプルミエは売れている」と書いておられるのだが、ああ、この人はやっぱり衣料品に関してはまったくダメだなと感じた。
売れていなかったから、半年間寝かせた売れ残り在庫を半額で店頭投入したり、ブランド廃止になったりするんじゃないか。

この手の経営者がトップであり続ける限り、食品や日用消耗品はどうだかしらないが、量販店の衣料品部門が復活することは絶対にない。

大手総合スーパーの衣料品部門はまだまだ低迷し続けるだろう。
どこが真っ先に音をあげて衣料品部門を廃止するのか見物である。










鈴木イズムは衣料品には通用しなかった

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 セブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長の退任を巡るお家騒動はさまざまな見方で報道されており、事実関係はほぼ表面に出尽くしたのではないかと思う。

各社の報道も鈴木派と反鈴木派にわかれるように見える。
筆者は直接の面識がなくて思い入れも親近感も一切ないので、一連の報道に対しては「へー」という感想しかないが、記事の切り口としては、日経ビジネスオンラインに掲載されていた

セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/040700304/


がもっとも適切ではないかと見ている。

鈴木氏が開いた会見を報じているが、記者の分析をナレーション替わりとしながら、発言が進んでいくという手法を採っており、この分析に共感を覚える。

例えば、

井阪氏をセブンイレブンの社長に登用したのは鈴木会長だ。当時の狙いを説明した後、鈴木会長は井阪氏への不満を執拗に訴え続けていく。

とか

顧問の佐藤氏、後藤氏は、確かに古くからセブン&アイと深い関係があり、鈴木会長や伊藤名誉会長とも親しい間柄だ。しかし、鈴木会長から紹介されて最初にマイクを握った後藤顧問の語った話は、日本を代表する企業の実態とは思えないようなお粗末な中身だった。「伊藤名誉会長と鈴木会長のお部屋を行ったり来たりする役割」「井阪社長のお父様と昵懇の仲」など、理よりも情実や縁故が物を言うような、極めて属人的に経営の意思決定がなされてきた様子が浮かび上がった

とか

だがそもそも、こうした顧問らを間に挟まず、伊藤名誉会長と鈴木会長が直接話し合えばよかったのではないか。またこれまでの説明は伊藤名誉会長にとっても、井阪社長にとっても、ある種の“欠席裁判”とも言える。まっとうな企業としての普通の解決方法があるのではないかという問いに、鈴木会長はこう答えた。

という部分はまさにその通りだと思う。
各報道を読み比べても発言内容は同じなので、発言は記事の通りだったと推測されるが、もし、筆者がこの会見に出席していてもナレーションと同じ感想を抱いたと思う。

伊藤名誉会長と井阪社長を除いた鈴木氏とその側近のみの会見というのはやはり異様だ。
もう老境に足を踏み入れた人たちが取る行動とは思えない幼稚さを感じる。

これに続いて、5月9日号の日経ビジネスでは

「ヨーカ堂100億円在庫買い取り要請が挫折」という記事が掲載されている。
これについては畏友である釼英雄さんもブログで述べられており、

http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/058ed3639848f7edf400b8ffc318d107

にわかには信じがたいが、もし事実だとするならイトーヨーカドーはどんな杜撰な企画・販売・営業戦略を立てていたのかということになり、それを黙認した鈴木氏の責任は重いということになる。

記事によるとこれほどまでの過剰在庫を生んだのは衣料品だとしている。
例えば、11ページでは「前期は139億円の営業赤字で、衣料品の大幅値下げなどによる在庫処分が105億円の利益の押し下げ要因となった。さらに、前期に処分しきれなかった在庫を今期も引き継いでいるため、その値引き販売などで今期も在庫処分損失として44億円を見込んでいる。それが、伊藤名誉会長に買い取りを依頼した不良在庫の一部だと見られる」と指摘している。

また12ページでは「過去数十年間で衣料品の売上高はほぼ半減したのに、売り場面積はあまり減っていない。その結果、衣料品の在庫回転期間は適性水準の約2倍の90日以上になってしまっている」とも指摘しており、さらに機会ロスを異様に恐れるあまり「リミテッドエディションIYコラボ」のワイシャツを60万枚以上作って大量に売れ残りを発生させたとも指摘している。

セブン&アイホールディングスを今の形にし、セブンイレブンというコンビニを業界トップに押し上げた鈴木氏のこれまでの実績は決して否定されるものではないし、過去の手腕が賞賛されることに関しては異論はない。
しかし、こと衣料品に関していえば、大型スーパーの限界が露出したともいえるし、鈴木氏の手腕では通用しなかったともいえる。

「鈴木会長はヨーカ堂を再生できなかった」という見出しでグラフが掲載されているが、鈴木氏が社長に就任した92年に売上高はグンと伸びて1兆5000億円を突破している。しかし、営業利益はその92年をピークにこの24年間下がり続けている。売上高も10年ほど前から1兆5000億円を下回るようになっている。

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93年に営業利益率が低下し始めているのは、トップとしての鈴木氏の責任だけではないだろう。
その前年のトップの責任も大いにある。
常識的に考えて95年ごろまではその前任トップの責任も大いにある。
あらゆる施策はだいたい3年~5年後に良くも悪くも結果が出るからだ。
長く見積もると97年か98年ごろまでは前任の伊藤社長の責任はある程度大きいといえるが、2000年以降の業績低下は確実にトップである鈴木氏の責任である。
トップとしての施策が誤っていたからである。

鈴木敏文という天才——セブンイレブンのすべてをつくり、追われた男
その「才能」と「限界」を語り尽くす特別座談会
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48647


という記事が掲載された。
これは親鈴木派記者の座談会みたいなものだと読めるのだが、その中でもとくに勝美明氏はシンパともいえる。
彼によると「鈴木氏は未来の視点から今を見ていた」そうだが、その未来の視点では衣料品については皆目見えなかったといえる。もしくはまったく現実離れした景色を見ていたか、視点が別方向に流れていたか、幻覚でも見えていたのだろうか。
それにいくら天才といえども老いれば絶対に衰えるのである。それは鈴木氏も逃れられない。
過剰に神格化するのは害悪である。


かくいう筆者も何度か鈴木氏のテレビ出演を見たり、いくらか著作を読んだりしたが、その発言のほとんどは食品に集中している。弁当がどうのとか漬物がどうのという内容ばかりであり、個人的には彼の目利きは食品に対してのみ発揮されたのだと見ている。


日経ビジネスに戻ると、「機会ロスをなくせば必ず売り上げは伸びる」という一節が再三再四登場する。
これこそが鈴木氏の思想だったと思えるのだが、その考え方では衣料品は過剰在庫が増える一方である。
だからヨーカ堂は復活できなかったのである。

元来、大型スーパーの低価格衣料品は実用衣料だが、現在の日本において「明日着用する実用衣料がなくて困っている」という人がどれほどいるのか。またいたとしても肌着、靴下程度ならコンビニでも売っている。何も大型スーパーに駆け込む必要がない。

それゆえ、大型スーパーも低価格衣料品専門店もある程度「ファッション」的な味付けをした売り方を模索せざるを得ない。ファッション的な売り方は嗜好品の部分を増やすということであり、万人が受け入れる嗜好品なんていうのはほとんどない。嗜好品なので好き嫌いがはっきりする。
そうすると全サイズ、全色柄をビッシリそろえると必ず売れ残りが大量に発生する。

ユニクロで奇抜な色柄のアイテムが大量に残って投げ売りされているのを見れば理解できるだろう。

売れなさそうな色柄・デザインの商品は生産数量をグっと絞って堂々と欠品させれば良いのである。
それこそが「ファッション的需要」を喚起する一つの要因となるからである。

「機会ロスをなくせば必ず売り上げは伸びる」という鈴木イズムに縛られている限りにおいては、イトーヨーカドーも他社大型スーパーも衣料品に関して業績が好転することはあり得ないだろう。
日経ビジネスは、ヨーカ堂は食品を柱とした営業力強化を柱として再建案を発表していると結んでいるが、妥当な再建案だといえる。










大型スーパーの衣料品・服飾雑貨にはお買い得品が多い

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 連休の合い間である。
今日と6日を休んで10連休を楽しんでおられる人もいるのではないか。

一昨年くらいから大型スーパーで衣料品や服飾雑貨を買うことが増えた。
もちろん定価では買わない。投げ売り品を買うのだが、この投げ売り価格は正直なところユニクロの値引き価格よりも安い。

以前にイトーヨーカドーでボクサーブリーフと靴下を買ったことがある。
どちらも投げ売りされていてボクサーブリーフは250円くらい、靴下も100数十円だったと記憶している。
西友でも靴下の投げ売り品を買った。
ナイガイがライセンス生産しているニューバランスのスニーカーソックスと、グンゼのトゥシェというブランドである。
ナイガイのは100円くらい、トゥシェも300円とかくらいだった。

そのどれもが品質も良く長持ちしている。
イトーヨーカドーの靴下(正確にはフットカバー)はグンゼが生産を請け負っているそうで、品質も高い。

ユニクロの肌着も評価が高いが大型スーパーの肌着、靴下類も決してそれに劣ってはいない。
むしろ勝っている品番もあるくらいだと見ている。
しかし、売り方の巧みさではユニクロに遠く及ばない。
遠く及ばないから今の結果があるのだが、商品を単品で見ると、そういう評価になる。

ここから導き出される結論は、「いくら物が良くても売り方が下手なら売れない」ということである。
よくメーカーとか工場のオッサンらが「物は良いんだけど」というが、そんなことは何の免罪符にもならないのである。物が良いなら、それを売るための工夫をすべきであり、物の良さだけに胡坐をかいているうちは絶対に売れない。

工夫とは、売り場の見せ方、宣伝・広告・告知、販促政策などであり、これが下手くそならいくら「良い物」でも売れない。大型スーパーの衣料品の苦戦はそれを物語っている。

しかし、一方で、吟味して買えば大型スーパーの投げ売り品はユニクロの投げ売り品よりも値段が安いし、品質も劣っていない。
買い方次第ではかなりお得な買い物ができる。
産地の工場の受注が増えないのも同じ理由である。
「モノハイインダケド」という呪文を繰り返し唱えてもその効果はゼロである。

「大型スーパーの衣料品はデザインがイマイチ」というのは現在には当てはまらない。
見た目のデザイン性もかなり向上している物が多い。


4月下旬くらいからまた大型スーパーで服飾雑貨品を2つ買った。

どちらもかなりお買い得だった。

西友でナイキのリュックを買った。
定価4300円がレジで10%オフになり、税込で4179円だった。

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これを買おうと思った理由は

1、ノートパソコンが収納できるポケットが内部にあること
2、撥水、防水機能があること

である。

この両方を兼ね備えているリュックは、探してみたが低価格ゾーンではほとんどない。

無印良品のリュックは撥水機能はあるが、内部にノートパソコンを収納するポケットがない。
おまけに値段は7980円である。

他のリュックも似たり寄ったりで両方の機能を備えている物がなかった。
おまけに価格はこのナイキよりも高い。

ナイキのデザインがすごく良いとか超ハイセンスとかは思わないが悪くはない。
好き嫌いでいえば好きな方である。

機能が備わっていて価格が一番安くてデザインも及第点なら買わない理由がない。


それと、イトーヨーカドーの平場の靴売り場で「スペルガ」のキャンバススニーカーを買った。
定価7900円が3990円に値下がりしていて、2足買うと6500円というキャンペーン中だった。

「スペルガ」はイタリアのスニーカーブランドでこのキャンバススニーカーに代表されるようなローテクスニーカーに定評がある。
コンバースやプロケッズなどと並んで評価されているブランドである。

最初に見たときは赤、紺、ターコイズが残っており、赤と紺を買おうかと思った。
次に行ったときには紺が売り切れており、赤とターコイズが残っていた。
ターコイズという色が嫌いなのとサイズが大きすぎたので赤を買うことは決まっていた。

ほかにも2足組にできる商品があったのでそれと抱合せて6500円にするかどうかを売り場で悩んだ。
LOTTOというスポーツブランドのスニーカーもこれに当てはめられる。
広島化成というメーカーがライセンス生産している。

ネットでググるとこれは定価が4500円だと出た。
それを3990円に値下げして、さらに2足で6500円にしているのだが、割引幅が少ないので今回は見送った。
1足3990円で買うよりも2足6500円の方がお得感があるが、支出の絶対額は3990円の方が2500円も安い。

裕福ならそういう無駄遣いも良いのかもしれないが、金のない人間は絶対額の支出を抑えるべきである。

よく、1枚600円・2枚1000円という投げ売りの服を「1枚だと600円だから100円損になる」として無理やりに2枚1000円で買うオバハンがいるが、あれは400円を無駄に捨てているのと同じである。
無理に選んだもう1枚は着用しないだろうから、1枚を1000円で買ったのと実質同じである。
どうしても節約したいのなら気に入ったのを1枚だけ600円で買うのが一番効果的である。2枚1000円で買うよりも400円も安いし、400円あれば今夜の夕食に使う野菜を3品買える。

そんなわけでスペルガの赤を1足だけ3990円(税抜)で買った。

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衣料品でもデザインが悪くなく機能的でかつ安い商品が多い。
今後購入を考えている物として西友のプライベートブランドのウインドブレーカーがある。

綿素材とポリエステル素材の2種類があり、綿素材は定価3800円がレジで1900円になる。
ポリエステル素材は定価4500円だがすでに半額の2250円に値下がりしている。

どちらも撥水機能がある。

デザインは悪くない。綿素材はユニクロのコットンパーカとほぼ似たようなデザインである。
だまって着ていればどちらも西友のプライベートブランドだとは気付かれない。

そしてユニクロのコットンパーカに撥水機能はないが西友の商品にはある。
価格はユニクロが定価3990円を2990円に下げたのに対し、西友は1900円にすでに値下げしている。
ポリエステルのは撥水機能付きで2250円であり、これもユニクロよりも機能的であり価格優位性がある。


あとイトーヨーカドーの靴売り場にはけっこう変わった商品が置かれていて、STORMというポルトガルのデッキシューズブランドもあった。その中でもキャンバスデッキシューズがあったのだが、定価13000円と付いている。イトーヨーカドーで13000円のカジュアルシューズを買う客がいるとは思えないのだが、これが3990円に値下がりしている。
このあたりのイトーヨーカドーのマーケティングは本当に機能しているのかと疑問を抱かざるを得ない。

だから売れ残って値下げされてお買い得品になっているのだから、こういう商品は狙い目である。

それにしても大型スーパーの衣料品・服飾雑貨はユニクロよりもコストパフォーマンスに優れている物が増えてきていると感じる。
昔は大型スーパーの衣料品はデザインがダサかったが、それも払拭されつつある。

プチプラが好きな層はそろそろ大型スーパーの売り場に目を向けた方が良いのではないか。
意外な掘り出し物がある。
筆者も引き続き大型スーパーの衣料品売り場をチェックしたい。






 


ゴルチエだけでGMSの衣料品は復活しない

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 10月1日からイトーヨーカドーでデザイナー、ジャンポール・ゴルチエとのコラボ衣料品が発売された。

40代以上の人にとってはゴルチエとは懐かしい響きだろうと思う。

http://www.fashion-press.net/news/15689

セブン&アイ・ホールディングスの新ブランド「セットプルミエ(SEPT PREMIÈRES)」が、2015年秋、イトーヨーカドー、そごう・西武にて販売中だ。また、第1回目のコラボレーションとして、ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)を迎えたコレクションを、2015年10月1日(木)から発売。

同グループのプライベートブランド「セブンプレミアム」の衣料品バージョンとも言える新ブランド「セットプルミエ」。イトーヨーカドーとそごう・西武が共同開発し、上質感のある日常に最適なウェアを提案する。「時代を映す新ベーシック」をコンセプトに、ベーシックでありながらそこに時代をあらわす色・素材・機能・フィット感を追及していく。


ファッションプレスの記事の引用だが、今回のゴルチエは新ブランドのコラボレーション第1弾ということであり、記事を読む限りでは永続的に取り組むという内容ではない。
第2弾、第3弾と違うデザイナーが起用されるのだと推測される。

商品写真を見る限りにおいては、従来のヨーカドー顧客の好むテイストとは少し違うのかなという印象を受ける。
では、国内市場のトレンドに合致しているかというとそうでもなく、ゴルチエ独特のテイストが何となく漂っているように感じる。
実際の店頭で商品を見てみないとなんとも言えないが。

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ところで、発売が開始されたことによって、メディアには「GMSの衣料品は復活するか?」という記事が並ぶようになったがちょっと気が早いのではないかと思う。

ヨーカドーに限らず、GMSの衣料品は苦戦を続けている。

本日の東洋経済オンラインにイトーヨーカドーの下方修正の記事が掲載されているが、
その原因の一つに「衣料品の不振」と挙げられている。


http://toyokeizai.net/articles/-/87684

イトーヨーカ堂は、消費増税や専門店の台頭で衣料品を中心に苦戦し、2014年度の営業利益は18億円に沈んだ(2013年度は112億円)。今年度はプライベートブランド(PB)商品の開発強化などで回復すると見込んでいたが、厳しい状況はそうすぐに変わらなかった。


この傾向はイトーヨーカドーに限らず、イオン、ユニーその他GMSも同じである。

その理由として、ユニクロやしまむら、無印良品、ハニーズ、ウィゴーなどの低価格衣料専門店がかつてのGMSの顧客を奪ったと筆者は考えている。
またそれ以外のファッション用途顧客もある程度これらの低価格店は取り込んでいる。

またまた回顧で申し訳ないが、DCブーム最盛期だった80年代・90年代前半、GMSの衣料品も絶好調だった。
低価格衣料専門店が台頭する前であり、百貨店やブランドショップで買えない人たちはGMSで買っていた。
とくに肌着や靴下などの実用衣料は強かったし、カジュアルやビジネスもそこそこに強かった。

ただし、今の低価格衣料専門店と異なるのは、GMSにファッション用途を求める層は少なかったというところである。学生だった筆者はそう感じていた。

ファッション的な洋服が欲しいという人が当時、GMSの洋服売り場、とくに平場へ出向くことは珍しかった。
せいぜいがマイカルのビブレまでである。

現在のファッション的衣料品を求める消費者は、ある程度の割合で低価格衣料専門店へ出向く。
実用衣料+ファッション衣料の需要を取り込めているのが低価格衣料専門店だろう。

そういう意味においては、GMSは当時も今もファッション衣料需要を取り込めていないといえる。

何もしなければ今後、永久的にGMSはファッション衣料需要を取り込むことはできないだろう。
それを打破するための新ブランドであり、コラボ第1弾のゴルチエであろう。

違和感があるのはメディアの姿勢である。
この第1弾でどれだけ効果が出るのか、ゴルチエでGMSの衣料品は復活するのか、とかなり短兵急な成果を期待しているように見える。

個人的な意見でいうと、ゴルチエだけでヨーカドーの衣料品販売が復活することはあり得ないと考えている。

中長期的に同じような取り組みを繰り返すことで、やっと「ヨーカドーにもファッション衣料はある」とマス消費者に認知されることになるだろう。

ユニクロだってどれほど長い間、この手の取り組みを繰り返してきたことか。

それでやっとある程度までブランドイメージが向上した。(完全に向上したとはいえないが)
90年代後半とか2000年前半のユニクロは、ファッション的というイメージはなかった。
施策を見ると、このころからファッションのイメージを植え付けようと苦心していたが、ほとんどが徒労に終わったと感じられる。

実際にそのイメージが好転し始めたのは2005年以降だろうし、ジル・サンダーとのコラボ「+J」が始まってからだろう。その「+J」にしたって最後期には商品はかなりあまっていたし、驚くほどの値引きで販売されていた。

デザイナーズインビテーション、+Jを経て、やっとユニクロにもファッション的イメージが定着したと見ている。

だからヨーカドーにファッションイメージが定着するのもそれと同じくらいの年月が必要ではないか。
1発花火を打ち上げて一気に何かが変わることなんてほとんどない。

それならイオンの衣料品はかつて東京ガールズコレクションに出展した時点で劇的に好転しただろう。
ところが実際はどうだろう?ファッション衣料を求める層がイオンの衣料品平場で買いたいと思っているだろうか。そんな人はほとんどいないのではないか。

そういえば、以前にイオン関連の人から裏話を聞いたことがある。
その人によると、自社製品開発だか新規事業開発だかのチームは、異様にパリコレをはじめとする海外コレクションを重視すると。
そしてその海外コレクションをできるだけ再現する企画を立ち上げたがるのだそうだ。

しかし、これは自社の顧客を把握していたら絶対にありえない思考である。
まず第一に価格帯が違う。
そしてそこまでハイセンスな商品を求める層は顧客にはいない。

パリコレをイオンの価格帯で再現することなんて不可能だから、最終的にいろいろと妥協した商品が出来上がるのだそうだが、当たり前である。

カットソー1900円という価格帯でパリコレを再現できる、再現しようと考える方がおかしい。

開発の方向性がおかしければいくらパリコレやTGCに入れ込んでみたところで無駄な努力である。

それはさておき。

GMSの衣料品を復活させることは相当に難しいと思うが、本当に復活させるのなら、1発だけの特大花火を打ち上げるのではなく、中長期的な取り組みが必要とされる。

ゴルチエだけで好転することなんて絶対にないだろうが、今回のゴルチエがそのきっかけづくりになれば良いのではないか。
ブランドイメージを好転させるということはそれほど腰を据えて取り組まねばならない案件である。




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