月別: 2月 2018 (1ページ / 2ページ)

ウェブに無理解な「アホな指示」に失笑を禁じ得なかった話

アパレル業界は本当にロジカルに考えられない人が多い。
とくに昔ながらのやり方で育ち、独学で個店や小規模ブランドを運営している人にそういうタイプをたびたび見かける。

先日、ある高額洋服店でのやり取りをそれとなく聞いていたら、アホな指示ばかりで失笑を禁じ得なかった。
ほぼ個店といえる小規模な店なのだが、まるで的外れな指示を出していた。例えば、

 

1、ブログを1日に3回アップしてほしい
2、ZOZOTOWNに出店しているブランドに取引ができないかどうかを片っ端からアプローチしろ



である。

普通に筋道立てて考えられる人間なら、この指示がいかに馬鹿げているかが瞬時に理解できるだろう。
まず、1だが、ブログを1日に3回も更新したら読者からすれば鬱陶しいことこの上ない。
読者は専業主婦やニート、年金生活者に限られているわけではなく、仕事を持っている人も多数いる。
そういう人たちがいくらブログを愛読してくれているからといって、1日に3回も更新すれば仕事をしている人間にとっては鬱陶しくて仕方がない。
逆にいえば、その指示をした人は、自分がその立場になってなぜ考えられないのだろうか。
愛読しているブログがあったとして、毎日3本ずつ更新なんてされたら、ただでさえ仕事をしていて時間がないのに、とてもではないが全部は読み切れないだろう。更新頻度が高すぎて、そのうちに読まなくなる。

次にZOZOTOWNに出店しているブランドへのアプローチだが、現在、ZOZOTOWNに出店しているブランドは約4000あるということを知っているのだろうか。
以前のZOZOTOWNはユナイテッドアローズやアーバンリサーチなどの中級価格帯のオシャレブランドの出店しかなかったが、現在はウィゴー、ジーンズメイト、タカキューなどの低価格ブランドの出店数が増えている。
ウィゴーやジーンズメイト、タカキューの1900円とか2900円の商品を仕入れて店に並べたいのだろうか?
彼らからすれば投げ売るほどに過剰在庫を抱えているから喜んで卸してくれると思うが。(笑)

このアホな指示から導き出せる結論はただ一つ。
この人たちはウェブをまるで理解していないし、もしかしたらインターネットの画面すらほとんど見ないのではないかということである。

もし、まともにインターネットの画面を1日に20分ずつでも見ていれば、こんなアホな指示は恥ずかしくて出せないだろう。

しかし、これが個店レベルのたたき上げの年配層の感覚であることもまた事実で、アパレル業界はなるほど凋落するはずである。

一見するとウェブを重視しすぎているかのような指示だが、その根底には無理解とウェブの軽視がある。
ウェブなんて単なる道具に過ぎないから、重視しすぎるのも軽視しすぎるのもどちらもダメで、さらにいえばこの手の無理解な年配層は害悪でしかない。

それにしても、この程度の人がそれなりになんとかやってこられたのが、2000年までのアパレル業界で、勘と度胸とどんぶり勘定(K・D・D)で何とかなってきた業界だった。
バブルが崩壊していた90年代半ばでもそんな雰囲気はあった。

もちろん、商売において勘と度胸は必要だが、どんぶり勘定は不要だし、それらのみではどうしようもない。
アホな指示と場当たり的政策のオンパレードで現場は嫌気がさしてしまうし、アホな上役は確実に軽蔑される。

それにしても現在のアパレル業界はこの手のウェブ無理解派と、スタートアップ界隈の「騒ぎ屋」に毒されたウェブ妄信派との二極化が進んでいると感じる。

ウェブ妄信派はマスコミにも多く、企業やブランドの評価を「EC比率の高さ」に置いている。
しかし、何度もいうようにウェブなんてものは道具に過ぎなく、そのブランドが実店舗で売れているならウェブ通販に力を入れる必要もないし、実店舗で売れない商品がネット通販では売れるなんていうこともあり得ない。
なぜ、EC比率が高まれば、アパレル企業やブランドの業績は上向くと無邪気に信じられるのかまったく理解ができない。

一方の無理解派は、なんだか「ウェブはすごいらしい」「ZOZOTOWNは売れているらしい」というところで思考停止しており、ZOZOTOWNの現在の出店ブランド数さえ確認しない。
その結果、4000あるブランドにすべてアプローチしろなんていうアホそのものの指示を出してしまう。

また、ZOZOTOWNに低価格ブランドの出店が増え、客単価が低下しているという現状の問題点を理解していないから「ZOZOTOWNに」なんていう安易な指示を出してしまう。

その結果、ますます業績は低迷する。

いつの時代だってどんな業界だって、効果的な施策は正しい現状認識に基づいて立てられる。
勘と度胸とどんぶり勘定と思い込みだけで立てた施策なんて使い物にならない。

見切り発車で走りながら修正するという方法はあるだろうが、先の2つの指示なんて試すまでもないほどの愚策である。
それはブログというメディアの性質を正しく理解していないし、ZOZOTOWNが抱えている現在の問題点をまったく理解していない上に成り立っている。

この手の上層部が定年退職を迎えればもしかしたらアパレル業界の不振は底打ちになるかもしれない。
それまであと15年くらいは必要だろうから、その間に一体どれほどの企業やブランドが消滅するだろうか。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

手持ちのスニーカーでの「疲れにくいランキング」ベスト5

先日、無印良品で値下がりしていたメッシュスニーカーを買った。
実は黒いスニーカーを持っていなかったので、黒を買ってみた。
定価5990円が2000円(税込み)に値下がりしており、実に4000円引きである。
あと、ライトグレーと紺があった。

疲れにくいかどうかを早速、立ち仕事で試してみた。
立ち仕事は、もちろん、在庫処分店ラック・ドゥの店頭業務でだ。

6時間以上の立ち仕事で足裏が痛くならなければまずまずの履き心地と判断する。
逆に足裏が痛くなれば、立ち仕事にはその後履かないようにする。

これが自分の基準である。

結果は見事に足裏が痛くならなかった。
今後愛用することに決めた。

このスニーカーの特徴はアッパー素材がふにゃふにゃであるところだ。

下げ札の説明書きを読むと、「かかと部分の芯材をなくして足あたりを良くした」と書いてある。
たしかにかかとはふにゃふにゃで、かかとを踏んでも履けるくらいだ。

そのほかのアッパー部分も通常のポリエステルメッシュスニーカーに比べて柔らかい気がする。
もしかしたら単なるプラシーボ効果なのかもしれないが。

アッパー素材がふにゃふにゃだからホールド感がなく、頼りないと感じる反面、足先への圧迫感はほとんどない。
まるで履いていないかのようだ、といえば言い過ぎだが、通常のスニーカーに比べてそれほどソフト感がある。

今後、注意が必要なのは耐久性がどれだけあるかだと思う。
芯地が無くて柔らかいなら耐久性が低い可能性がある。
逆に固くてガッシリしたスニーカーはアッパーに耐久性がある。

それにしても芯地を排除して柔らかいスニーカーを作るとは、無印良品の企画力はすごいと感じる。

通常のブランドだと、耐久性を犠牲にするだろうから、こういう商品は開発しない。
ABCマートを筆頭とする靴専門店ではあまりこういう商品は見かけない。
恐らく、スポーツ競技には不適合なのだと思う。だからまともなスポーツブランドは芯地を使わないスニーカーなんて作らない。

しかし、一般人の街履き用と割り切ってしまえばこういうアプローチも可能で、快適な履き心地を提供できる。

国内のアパレル業界には、いまだに、無印良品やユニクロなどの低価格ブランドの企画力を侮っている人が多くいる。
またアネロのリュックを馬鹿にしている人も珍しくない。

ところが、そういうアパレル業界人が作る商品は十年一日のごとくまるで変化も進歩もない。むしろ退化している。

ごく少数のマニアに向けるならそれでもOKだが、彼らはマス層に売りたがっていて、その言動には矛盾がある。
例えば、バブアーのオイルドコットンジャケットなんて、ぬるぬるするしオイルのニオイがするし、通常に着るには極めて不便である。
昔ながらのマッキントッシュのゴム引きコートだってそうだ。不便極まりない。

だから、いくら渾身の力を込めて叫んだところで、マス層には広がらない。おまけに値段だけは高いから、こんなものがマスに広がるはずがない。

だが、それらを支持する少数のマニアは存在する。
そういう商品なのだから、彼ら向けに細々と継続すれば良いだけの話で、それを「本物だ」と言って大衆に押し付けようとするから、売れない。いくら「本物」でも高くて不便な商品なんて売れるはずもない。そんな物好きはどこの国にもごく少数しか存在しない。

逆に無印良品に限らず、低価格ブランドの方が最近ではこういう挑戦的な企画が多い。
ワークマンの高機能ウェアだってそうだ。

個人的には、大資本を手にした低価格ブランドと、資本力・企業体力に劣る昔ながらのアパレルはますます格差が広がると見ている。
逆転の可能性はほとんどゼロに等しいだろう。

ところで、現在、当方の手持ちのスニーカーで「立ち仕事で疲れにくいランキング」を発表したい。
もちろん体型やら足の形に個人差があるから誰にでも適合できるものではない。あくまでも参考程度に。
この無印良品のスニーカーもランクインしている。

1位 ナイキエアマックスインビガープリント

2位 リーボックフューリーライト

3位 無印良品の芯地のないメッシュスニーカー

4位 無印良品の疲れにくいスリッポン

5位 無印良品の疲れにくいキャンバススニーカー

となった。
心残りは、評判の高いリーボックポンプフューリーを試せていないことである。
幾人もの人から「めちゃ疲れにくい」という評価を聞いているのだが、残念なことに安売りされていない。
高いと2万円を越えるし、安くても1万円以下では見たことがなく、当方が得意とする5000円以下でたたき売られているのを見たことがない。

いつか金持ちになったあかつきには、1万円くらいのポンプフューリーを購入して試してみたいと思う。

1位は、今年の正月にアダストリアの通販サイトドットエスティで買ったナイキエアマックスインビガープリントである。
アッパーの圧迫感もさほどなく、立ち仕事でもほとんど足裏が痛まないナイキのエアクッションはすさまじい。
これは定価9000円が6000円に値下がりしたのを買った。

異なる色柄なら、ネット検索すると5000円に値下がりしているものもあるので、今度はそれを買ってみたいと思う。
値段もさほど高くなく、抜群の疲れにくさなので何色かそろえても損はしない。

2位のリーボックフューリーライトは無印のメッシュスニーカーとは設計思想が逆で、アッパーはめちゃくちゃに固い。
かかとと足側面にはガッシリした芯地が入っているらしく、めちゃくちゃ固い。
当初は何度か靴擦れができた。痛かったよう。(ノД`)・゜・。

クッション性はエアマックスには劣るが悪くない。ただしアッパーが固いので履き慣らすには時間がかかる。

3位はこの芯地のないメッシュスニーカーで軽量とリラックス感を評価した。
ソールのクッション性も悪くない。

4位・5位は無印のキャンバススリッポンとキャンバススニーカーで、「疲れにくい」と謳っているのは嘘ではない。
簡素なローテクキャンバススニーカーでここまで疲れにくいのは、驚く。
おまけに低価格で、シーズン終わりごろには1990円にまで値下げされて売られている。
これこそ何色かそろえても損はしない。

ただ、アッパーがキャンバス素材なので、真冬に着用するにはちょっと寒々しい印象を与えるかもしれず、その点を考慮して4位と5位にした。

まだ様々なスニーカーを持っていて何度も履いているが、この5足に及ぶ「疲れにくさ」はない。
この5足以外は捨てても惜しくないとさえ思う。

靴においては、無印良品がジーユーよりも進んでいると感じる。機能性もデザイン性も両立させつつあるから、昔ながらのブランドはますます窮地に追い込まれるだろう。当方は高みの見物と決め込んでいる。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

マニア向け商品をマス層に売ろうとするのは愚の骨頂

先日のダイヤモンドオンラインの森岡毅さんのインタビューが面白かったので、早速、Amazonで「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」(角川文庫)を買って読んでみた。

それほど分厚い本ではないが、テーマパークのみならずさまざまな業種に参考となる事例が書いてあった。
もちろんアパレル業界にもだ。

それを一度に書くと異様な長文になって読みにくいだけなので、今回は1個だけ取り上げたい。
そのほかは、またネタが無くなったときにでも。(笑)

USJというのはもともとハリウッド映画のテーマパークとして開設された。
映画そのものをほとんど見ない当方にとってはハリウッド映画の魅力はほとんどわからない。
年に1本も見ないし、見るのはほとんど日本のアニメか日本の特撮映画くらいだ。
あ、例外としては「永遠のゼロ」を見た。映画よりも小説の方がよかったというのが率直な感想だ。
今春は「ウルトラマンジード」の映画を久しぶりに見ようかと迷っているところである。

なので、USJがハリウッド映画をテーマとしているにおいては、まったく興味がなかった。
いまだに一度もUSJに行ったことがないし、多分これからもよほどのことがないと行かないだろう。

オープン当初、そんな当方なので、USJはピンと来なかった。
案の定、オープンして3年目くらいから凋落し始めてきた。

ところが2010年あたりからUSJの人気が回復してきた。
この本の著者の森岡さんがその立役者だとされている。

人気が回復してきたあたりからハリウッド映画以外の取り組みが増えた。
例えば、漫画やアニメで人気の高いワンピースや、人気ゲームのモンスターハンターである。
正直に言って、当方のような人間からするとハリウッド映画よりこちらの方がずっと親しみやすい。
しかし、ハリウッド映画ファンからは「なんで日本のアニメやゲームを取り込むんだ?」という疑問の声があることも事実だ。

施設のコンセプトと照らし合わせるとおかしいのは明らかだからこの批判は正しい。

しかし、森岡さんは著書の中でこんな内容のことを書いておられる。

「USJが年間集客400万人で良ければ、ハリウッド映画に特化したテーマパークのままでも行けた。しかし、年間集客1000万人を獲得するにはハリウッド映画に特化した施設では実現できなかった」

とのことで、森岡さんは

「映画に特化した施設ではなく、映画を含めたフィクションエンターテイメントを包括した施設に再定義した」

とも書いておられる。

400万人ならハリウッド映画に特化したマニアックな施設で運営が可能だったが、1000万人を獲得するにはマス層に向けた施策が必要だったということになる。
当方のようにハリウッド映画に何の興味もない日本人だって少なからずいる。

この部分を読んだときに、アパレル業界はここの区別ができていないのではないかと感じた。
いや、常々感じていたことを森岡さんに言語化してもらったというべきだろうか。

アパレル業界やそれに付随するメディア業界、ウェブ業界はいまだにこの区別ができていない。

マニア向けの商品をマス層に売ろうとして、それが売れないからといって「消費者の感性が退化している」と責任転嫁をしているのが、業界の実情といえる。

業界の人の多くは、マニアな嗜好を持っていて、その己の嗜好をそのままマス層に売ろうとしているに過ぎない。

例えば、デニム生地だ。
スキニーブームによって必然的にストレッチ混のデニム生地が主流素材となる。
肌に貼りつくようなという意味を持つスキニージーンズは、当然、ぴったりとした細身シルエットになる。
これを綿100%デニム生地で作ってしまえば、相当に動きにくくなる。
スキニージーンズはストレッチ混デニム生地があってこそ生まれたデザインといえる。

ストレッチ混デニムは、伸縮性があるから動きやすく、それに一度慣れてしまうとスキニーに限らず、細身ストレートやレギュラーストレートにもストレッチ性がないと消費者は快適さを感じなくなる。
ノンストレッチでそれなりに支持されるのは、現在ではワイドパンツくらいだろう。
そのワイドパンツですら、形状を安定させる目的からストレッチ混素材が使用されることもある。

そこに対して「ポリウレタン弾性繊維は数年で断裂するから綿100%デニムの方が優れている」といくら叫んだところで徒労でしかない。
なんでそんな動きにくい生地のズボンを我慢して大衆が穿く必要があるのか。
それにストレッチポリエステルも開発されており、こちらならポリウレタンよりも耐久性がある。

「綿100%デニム生地が良い」というのは単なるマニアの嗜好で、その嗜好をマス層に押し付けるからブランドは支持されないのである。
ポリウレタン混のストレッチ生地が嫌いなら、耐久性のあるストレッチポリエステルを使ってストレッチ生地を作れば良いのである。
その努力なしに「綿100%ガー」なんて叫んでもアホの遠吠えでしかない。

ツイードしかり、ウールのスーツしかり、革底の革靴しかり、だ。

最近のツイードはほとんどが薄く軽くなっている。おまけにストレッチ混のものもある。
本来の重くてガッシリしたツイードとはまったく異なってしまっているが、「ツイードとは重くてガッシリしたもの。軽量ツイードは邪道」なんていくら叫んでも大衆は昔ながらの重くてガッシリしたツイードジャケットなんて着用しようとは思わない。
「本物ガー」なんて叫んでも無意味だ。

ここで優れた企画マンなら、己の趣味と大衆向けの商品を切り離して考えることができる。
自分はガッシリした昔ながらのツイードを着るが、大衆向けにはそれよりも軽量化したツイードを発売する。
そしてそれとは別個に(別ブランド、別ライン、特別品番などで)マニア向けツイードを作る。
デニム生地も同じだ。

マニアが満足するマニア向け商品は少数からしか支持されない。
マス層に売りたければ、そこが求める商品を提供するしかない。
USJがハリウッド映画縛りをやめたのはそういう理由だ。

ところが業界人はどうだろうか。いまだにマニア向けの「本物」がマス層に売れると思っているし、売ろうと試みて散々失敗を繰り返している。

それはかつて、我が国アパレルがDCブームやビンテージジーンズブームを経験した成功体験が忘れられないからだろう。
何万円もするようなDCブランドやビンテージジーンズがマス層に飛ぶように売れた。
ビンテージジーンズなんてマニアックな仕様であればあるほど評価された。

しかし、そんな時代は2005年までで終わっている。
今後、そういうマニアな服のブームは絶対に起きない。
そういうブームの復活を夢見続けている間に、我が国アパレル業界はますます斜陽化する。
まあ、企業数が多すぎるので何割か減ったくらいがちょうど良いのだろうけど。
せいぜい、売れないマニアな嗜好をいつまでも大衆に押し付け続けるがいいさ。

それにしても、「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」は一読をお勧めする。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

ストライプデパートメントの事業計画が控えめであることは正しい

ストライプインターナショナルとソフトバンクが提携し、合弁会社ストライプデパートメントを設立し、ECモールを開設した。
これに対して様々な意見があるが、個人的にはピンと来ない。
いつも眉唾で見ている経済系インフルエンサーやスタートアップ界隈も賛否両論に分かれている。

期待している人たちには申し訳ないが、彼らの目論見ほどは広がらないのではないかと見ている。

「日本一のファッションECデパートに」ストライプとソフトバンクの合弁会社がF2層向けオンラインモール開設
https://www.fashionsnap.com/article/2018-02-15/stripe-department/

ターゲットはF2と分類される35歳~49歳の女性で、百貨店ブランドをそろえる。

スタート時は、百貨店で取り扱いがある「ビューティフルピープル(beautiful people)」「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」「アキラ ナカ(AKIRA NAKA)」といった国内ブランドや、三越伊勢丹のプライベートブランドなど約600ブランドのアイテム計6万点以上をラインナップ。

とのことで、

アパレルと雑貨が6対4、今後はスポーツアパレルや美容・健康分野を増やし、セレクトショップや海外のハイブランドの出店も視野に入れている。基本的に委託販売で、物流は外注。客単価は1万5,000円を想定し、取扱高の目標は初年度16億円、3年後に100億円。事業計画として、取り扱い3000ブランド、購入顧客数300万人、1000億円の取扱高を目指す。

としている。

百貨店ブランドや百貨店価格帯を扱うECというのはたしかにあまりなかったから、挑戦してみる価値はあると思う。
しかし、なかなか上手く行かないのではないかと思う。
実際に、事業計画もそれほど大きくない。
初年度の取扱高は16億円と抑えているし、3年後の取扱高も100億円と控えめだ。

取扱高というのは、出店テナントの売れた総額で、ストライプデパートメントはそこから手数料やら出店料をもらうという形になっている。
取扱高が16億円というのは、初年度の出店ブランドすべて合わせた売上高が16億円ということで、商品単価の高さや出店ブランド数から考えるとそれほど大きな数字とは言えない。

むしろ、かなり控えめに見積もっているといえ、ストライプデパートメント側もかなり慎重である。当方としてもこれくらいが妥当で、もしかしたらこの見積もりを下回るのではないかとも思っている。

そもそも衣料品をEC、ネット通販で買う人は業界人やスタートアップ界隈が想像しているより少ない。
先日アップした当方のブログでもそれをまとめている。

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい

・1年に1回以下服をECで購入する人が8・6%
・直近の1年間は購入していない人が13・5%
・インターネットで服を買わない人が36・0%

という数字になっており、合計すると58%強にもなる。
いかにインターネットで服を買う人が少ないかである。

で、インターネットで服を買う場合、

・試着したことがあったり、以前に買ったことがあってサイズ感がわかっている
・生地を触ったことがある

この2点をクリアできない限りは高額な洋服は売れにくい。

先日の記事でも紹介したが、圧倒的に利用されているのはユニクロ(22%)で、それにニッセン、セシール、ベルメゾン、ゾゾ(それぞれ9%ずつ)と続く。
どれも低価格帯の商品を扱っているところばかりだ。

唯一ゾゾだけは違う印象があるが、ゾゾも近年はウィゴーやタカキュー、ジーンズメイトなどの低価格ブランドの出店が相次いでおり、低価格帯の商品量が増えている。
ゾゾの利用者(9%)の何割かはこれらを利用しているのではないかと見ている。

インターネットで購入される衣料品の主力は、サイズ感が厳密ではないTシャツ類・カットソー類・セーター類となり、あとは肌着や靴下となり、これもブラジャーやガードル、コルセットなどのファンデーションは除いてサイズ感が厳密ではない。
オッサンがワイシャツの下に着る肌着Tシャツなんて1センチや2センチ小さかろうが大きかろうが大した障害ではない。
靴下だって同じことだ。1センチ小さいからといってさほどの弊害はない。

こう考えるとストライプデパートメントが狙っている百貨店価格帯の衣服がそう簡単には売れるのかと疑問に感じる。
恐らくは売れないだろう。だから取扱量が控えめに16億円となっているのではないか。

またターゲット層としているF2層がそれほどネットで高額衣料品を買うかどうかも怪しい。
当方はほとんど買わないと見ている。

もちろん、ユニクロやらニッセン、セシール、ベルメゾンなんかの低価格品は買うだろうが、試着もせずに生地も触らずに1万円を越える服をネットで買う人がそれほど多いとは考えられない。

返品・交換のめんどくささを考えると、触ったこともない衣料品をインターネット通販で買う場合は、「もし合わなかったら捨てても惜しくない」という値段帯に限られるといえる。

この辺りを冷静に考えて、初年度取扱高(くどいようだが売上高ではない)を16億円と控えめに設定しているのではないかと思う。
新しい物好きのスタートアップ界隈ですら否定論が散見されるのはこの辺りを踏まえてで、無条件にワクテカしているスタートアップ界隈はよほどに無邪気な性質なのだろう。英語でいうところのnaiveである。

また、ストライプデパートメントの集客もなかなか難しい。
そもそも知名度がない。
凋落しているとはいえ、ニッセン、セシール、ベルメゾンがゾゾと同率で利用されているのは、以前からカタログ通販としての知名度が強固だからだ。
またカタログを利用していた人たちの中にもインターネット利用へ乗り換えた人も多いだろう。

そのどちらもストライプにはない。

さらにいえば「ストライプ」という社名・ショップ名とF2層もミスマッチである。
ストライプインターナショナルといえば、アースミュージック&エコロジーやイーハイフンワールドギャラリーなどのブランドが知られており、圧倒的に10代・20代前半の若い女性層(F1層)での知名度が高い。
当然、社名に対するイメージも若い女性層と密接にリンクしており、F2層とはマッチしない。
F2層の人で、ストライプという社名を聞いて自分たち向けの衣服を販売しているとイメージする人がどれほどいるだろうか。
恐らくほとんどいないのではないかと思う。

「あ~、若い女の子向けね」と思う人がほとんどだろう。

となると、社名・ショップ名に「ストライプ」の冠を付けてF2層を狙うというのは得策ではない。

ある知り合いが「ソフバンデパートメントという名前の方がよかったんじゃないですかね?」と言ったが、ソフバンではあまりにダサいが、ストライプを冠する必要性はまるでなかったと思う。

ソフバンとストライプでSSデパートメントか何かの店名の方がよかったのではないか。

そんなわけで、ストライプデパートメントが爆発的に売れるということは考えにくく、ストライプインターナショナルが展開するメチャカリ同様に少数安定的な売れ行きで推移するのではないかと思う。

市場を開拓するにはさまざまな挑戦が必要となり、今回も貴重な挑戦だとは思うが、これは嚆矢に過ぎず、すぐさま成功をおさめられるような事業プランではない。
目標に掲げている取扱高1000億円に到達するには相当に長い期間が必要となるだろう。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

スポーツ向け素材を使用した機能性スーツはメンズスーツの主流になる

ファッション初心者で顔も体型も残念な人がいたら、男性なら間違いなくスーツを着ることをお勧めする。
世のビジネスマンを見てもわかるようにスーツがめちゃくちゃ似合ってないオッサンはいない。
どんなにブサだろうとデブだろうとスーツを着ていれば「ひどくダサく」は見えない。

これがネルシャツだとかトレーナーだとかパーカだとか純カジュアル服を着るともうだめだ。
すごくかっこ悪い。
だから会社でのスーツ姿はそんなに悪くないのに、休日にカジュアル服で会うとひどくモサっとした感じになる人が多い。

スーツはある意味で「完成された形」となっているため、今後も大きくは形は変わらないだろう。
もちろん、トレンドによって細くなったり太くなったりVゾーンが狭くなったりはあるだろうけど、大きく姿を変えることは考えにくい。

しかし、今後はスーツの使用素材が大きく変わり、カジュアルシーンでの着用が増えるのではないかと思う。

普段、スーツを着用しないのでどんなに上質な商品を見ても「買いたい」とは思わない。
ところが、昨年の秋口だったと記憶しているが、雑誌を読んでいて「このスーツは一度試してみたいなあ」と思う商品があった。
オンリーの「トラベラーズシリーズ」だ。

いわゆる、出張・旅行に適したシワになりにくいスーツである。
オンリーの2017秋冬商品はウール100%素材となっているが、個人的にここに不満がある。
もちろん、従来からのスーツファンはここが良いと判断するだろうということは承知の上だ。

シワになりやすいというウールの特性を克服した点はすごいと思うが、ウールは虫に食われるという欠点がある。
保管にはかなり気を遣う。
その部分でのイージーケア性は低い。

だから、最近、注目しているのは合繊機能素材を使用した高機能スーツである。

先日、小島健輔さんが、ミズノが発表した「ムーブスーツ」を取り上げておられたが、これはポリエステル100%でストレッチ性・洗濯性・防汚性・耐久性がある。
価格も28000円とツープライススーツ並みの低価格となっている。
もともとは野球ユニフォーム用に開発した素材なのだそうだ。

そのほか類似商品は、ビームスやユナイテッドアローズなどの各人気セレクトショップでも発売されており、ポケッタブル性やら撥水性やらが加味されている商品もある。

上質なウール素材の高級スーツというのは見ているとなるほどカッコイイと思うが、そのメンテナンスのめんどくささを考えると、買おうという気にはなかなかならない。

余談だが、ある高級靴関係者によると、芸能関係の富裕層ですら最近は何十万円という高価格スーツをあまり仕立てなくなったそうだ。10万円前後の既製服を買って、何年間か着古して買い替えるという消費サイクルなのだそうだ。
富裕層もある意味でコスパ志向となっており、何十万円もするスーツを気を使いながらメンテナンスするのは面倒だと考えているようで、10万円前後のスーツを何年間か使い倒す方がコスパが良いと考えているらしい。

当方がウールスーツに対して感じる「めんどくささ」と通じる部分があるように感じる。

シルエットやら形を試してみてからでないとなんとも言えないが、ミズノのムーブスーツは28000円という買いやすい価格なので一度購入してみたいと思っている。
ビームスやらユナイテッドアローズの商品もさほど高くはなく38000円くらいだから、こちらも試してみたいと感じている。

これらの「高機能素材」ではないが、イージーケア性に特化したのがジーユーのカットソースーツで、当方も昨年秋に2着購入してみた。
黒とライトグレーである。
当方の体格だと通常のジーユーのジャケットはLになる。
ところがLだと手が長く、当方は手が短いので袖丈はMサイズの方が合う。

ジーユーのカットソースーツのジャケット

ジーユーは布帛素材のカジュアルスーツも発売しているが、こちらだと当方はLサイズを買わねばならないが、カジュアルジャケットなら問題はないがスーツで手が長いというのは致命的である。
いくら安くても買わない。くだらんこだわりなのだが。

しかし、採寸やパターンは同じだと思われるが、カットソースーツだと生地の伸縮性が高いので、Mサイズでも着用が可能だった。
実際に店頭で試着して試してみた。

そこで黒とライトグレーを買った。
素材はレーヨン・ナイロン・ポリウレタンでいわゆるTシャツ類と同じカットソー素材である。
取り立てて高機能性は付加されてないが、素材本来の機能としてシワになりにくく、伸縮性が高い。

価格は裾上げが300円ずつプラスされて(計600円)、2着合計で11800円(税込み)ほどだった。
ジャケットが3490円に、パンツが1690円に値下がりした時に買ったからだ。

これだと、家庭の洗濯機で洗濯もできるし、ウールよりも虫に食われにくい。
おまけにニット素材なのでソフトで伸縮性がある。

惜しむらくは、紺の出来があまり良くなくて買わなかったが、今春物は少し値上がりしているが65番色の紺が出来が良いのでこちらを買ってみようかと考えている。

以前、そこそこ知名度のある経済系インフルエンサーが「ジーユーのカットソースーツで政府諮問会議に出席できるか」みたいなことを実験していたが、何を意味の分からんことをいっているのかと思った。

恐らく、彼は「カットソー素材というカジュアルな素材なのに大丈夫か?」という恐れがあったのだと思うが、形がスーツなのだから別に素材で叱責されることはない。
それにそもそも政府関係者が一目見ただけでその素材がウール布帛か合繊ニットかなんて判別できるはずもない。
スーツとはウール布帛に限るなんてそんな規則はどこにも存在しない。
それを恐れるなら夏用の綿スーツやら麻スーツもタブーになってしまう。

このエピソードは、一般人の衣服に対する理解度がこれほど低いということと、メンズのスーツに対する規律の厳しさを裏付けるといえるのではないか。

結果からいうと全く問題なかったそうだ。(当たり前だ)

このジーユーのカットソースーツはトラベラーズシリーズ、トラベルスーツ、ムーブスーツなどの高機能・リラックス性・イージーケア性スーツにつながる商品開発の流れだと当方は見ている。

これらのスーツはいずれ、スーツ市場の主要商品へと躍り出ると見ている。
なぜなら、すべてにおいて「楽」であるということは、圧倒的に大多数に受け入れられやすいからだ。

例えば、デニム村の人々からは散々邪道扱いされてきたが、ストレッチ混デニム生地はいまや綿100%デニム生地よりも多く、衣服に使用されている。理由は消費者が支持しているからだ。
なぜ支持しているかというと着用していて楽だからだ。

いくら「表面の凹凸感ガー」とか「たて落ち感ガー」と叫んでみたところで、綿100%の固くて重くて分厚いデニム生地でできた服なんて一部のマニア以外はノーサンキューだ。
それよりも伸縮性があって動きやすい方が良い。

ツイードだって同じだ。
本来の固くて重いツイードでできたジャケットなんて一部のマニアしか好んでいない。多くの人は軽くて動きやすい現代版のツイード生地を支持する。

そうなると、スーツも同じになる。
これまでは生地の見え方がウール布帛と合繊素材では差があったが、技術の進歩によって、見え方があまり変わらなくなってきているから、何も我慢してウール布帛生地のスーツを着る必要はない。
それよりも動きやすくてイージーケア性に富んだスーツの方が支持を受けるだろう。

おまけに現在もウール素材の高騰は続いており、今後は合繊や代替素材の使用が増えるだろうから、この手の機能性素材スーツも増えるだろう。

そして、これらのイージーケアスーツはいずれ、カジュアルシーンに多く取り入れられるのではないかと思う。
今のウール布帛生地だとカジュアルに使うには生地の傷みや汚れをどうしても気にしてしまう。

しかし、洗濯機でザブザブ洗えて、ストレッチ性が高いなら、例えばカジュアルシーンで、スーツの上下にTシャツを合わせることもハードルが下がる。(襟部分の汚れが気にならなくなるから)
また重ね着にも適しているからジャケットの下にパーカを着てみたり、Gジャンを着ることもよりやりやすくなる。

これらの商品は大いに支持を集めると考えられるし、カジュアルシーンでのスーツの着用のハードルを下げるのではないだろうか。

本来のスーツマニアからすると邪道かもしれないが、個人的にはジーユーのカットソースーツ、ムーブスーツに大いに期待したい。
マニアの嗜好がマス層に受け入れられることはない。
マニアの嗜好をマス層に押し付けてきたから衣料品業界は凋落したし、ソッポを向かれているのではないのか。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

Lineは嫌いだけど、販促の手段としてのLine@は有効だと思う

もう5年くらい前のことになるだろうか。
ある小規模ブランドが大丸心斎橋店北館でポップアップショップを開催することになった際、雑談をしていたら、「大丸とのやり取りは電話やEメールじゃなくてLineなんです」と教えられて、驚いたことがある。

当方は、Lineが韓国企業だから嫌っていて極力使ってこなかったが、去年から、週に1度講師として通っている専門学校と、在庫処分店のラック・ドゥが連絡用にLineを作ってほしいというので、しぶしぶ作った。
その連絡用としてLineは使っているがそれ以外ではあまり使わない。

まず、チャット?的なやり取りならフェイスブックメッセンジャーかツイッターのダイレクトメッセージを使う。
最近はインスタグラムのダイレクトメッセージもある。

音声通話はいくら通話料が無料とはいえ、いまだに不安定で突然切れたりするので、できるだけ通常の携帯電話番号を使用する。

個人的にはいまだにLineは嫌いである。
今以上に使う気はさらさらない。

とはいえ、日本人でLineを使っている人は多く、ある意味でインフラ化している側面があり、マスプロモーションとしては使わない手はないと思う。

先日、永江一石さんがブログでLineについて書いておられた。

算数できない人はマーケット記事書いちゃダメ。若者はLINE離れしているのか → してねーよ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=37724

最近は、高校生のLine疲れだとか若者のLine離れだとかいう記事が掲載されることが多い。
若者のコミュニティーに入ったこともないし、入りたいとも毛頭思わないので実際に体感したわけではないが、既読スルーとか未読無視とかそういうことで関係がギスギスするのは確かにめんどくさいだろうと想像する。
だから、Lineが爆発的なブームだったころから比べると若者が心理的に幾分距離を持ってLineを使っているとしてもそれはまったく不思議ではない。

しかし、身の回りの若者を見ていてもLineを使っている人が激減している気配はなく、安定的横ばいという感じがある。

記事中では総務省の統計データを紹介しておられて、

10代の使用率は79・3%、20代は96・3%、30代は90・3%

と非常に高い使用率となっている。
10代の場合は高校生の間はスマホを禁止されているご家庭もあるだろうから、79%でもおかしくはない。
しかし、20代は96%が使っているから、「若者のLine離れ」というのはまったく的外れで、むしろ、当方が感じていた「安定的横ばい」と言った方が正しい。

最近は、50代・60代でもLineの使用者が増えてきたと感じる。
とくに60代だと、身の回りマーケティングで恐縮だが、今年67歳になる母方の叔父夫婦はLineを使っている。
70代の父、70歳になった叔父は使っていないが、60代なら使っている人がいても珍しいとは感じなくなった。

ちなみに統計だと、50代は53・8%、60代は23・8%だそうだ。

これから50代が60代に繰り上がり続けることで60代のLine使用率はジワジワと上昇するだろうと推察される。

さて、こうなると60代までに向けての販促手段としてはLineは非常に有効だといえる。
もう、様々なブランドがLineの公式アカウントを持っている。当方は見ないけど。

業者に尋ねるとブランドが公式アカウントを作り維持するには何百万円かが必要なのだそうだ。
これでは小規模ブランドや小規模店舗は体力的に公式アカウントを開設することは不可能だ。

先日のブログでも書いた広告に関する記事でもそうだが、アパレルメーカーが考える広告費5000万円と、大手広告代理店が考える広告費5000万円ではまったく異なる。
アパレル企業というのは他業種に比べて中小規模が多いから、彼らにすると5000万円は、なけなしの大金だが、大手広告代理店からすれば5000万円は鼻くそにすぎない。

ということは、各分野の大手企業はその何倍もの金額を広告宣伝費に使っているということになる。

金持ちならあっさりオメガの腕時計が買えるが、貧乏人はなけなしのカネでオメガの腕時計を買うのと同じだ。
金持ちは何本も高級腕時計を所有できるが、貧乏人は1年に1本も買えない。
広告宣伝もまったく同じ構図といえる。

しかし、Lineの商魂はたくましく、公式アカウント以外に小規模ブランドや個店が使えそうなサービスを開始しており、それがLine@である。

公式アカウントと混同されてしまって、その違いがあまり認識されていないような印象を受けるが、必要になる金額もサービス内容も全く違う。
まず、チェーン店の場合、店ごとにアカウントを開設できる。
例えば、梅田店、心斎橋店、天王寺店、千林店、天満店などそれぞれがアカウントを開設できるし、開設に莫大な費用は必要ない。
運用も低価格であり、月に1000通のメッセージまでは無料で送れる。月に5000通で5000円、それ以上になると月額2万円~ということになる。

月に1000通のメッセージということは、250人を登録しておくと4通メッセージを無料で送れるということになる。
ユニクロナンタラ店みたいな大型店舗だと登録したいというお客は1000人くらいすぐに到達してしまうが、小規模なブランドの各店舗や個人経営の個店ならどうだろうか。
200人とか250人の顧客登録というのはなかなか大変ではないか。
その全員に「春物入荷」とか「10%オフセール開始」みたいなメッセージを月に4回~5回送れるということにある。
夏冬のバーゲンや新作入荷あたりは定番になるだろうが、それを全部合わせても年に6回から8回程度ではないか。
毎月3通とか4通メッセージを送るネタなんて個店レベルではそうそうないだろう。

となると、小規模店なら無料プランで十分ということになる。

反対に大型店や大型ブランドになると、月額2万円程度の販促費で済むならそちらの立場で考えても割安感がある。

60代までが使っていることと、Eメールと異なり、一度は開封することを考えると、Line@を販促に使うことは効果的だといえる。
Lineの好き嫌いは別にして。

で、そんなことを考えていたら、以前からちょくちょくと交流のあった野田大介さんから、「Line@の投稿が面倒なら、当社の作った自動投稿サービスWazz Up!(ワズアップ)を宣伝してくださいよ~」と頼まれたので、宣伝してみる。(笑)
まあ、自動投稿ができれば忙しい店員や店長、ブランド長の手間も省略化できる。

https://wazzup.me/

ワズアップを使うか使わないかは別として、小規模店や小規模ブランドにとってLine@は有効だし、企業体力にも沿っているといえる。

個人的な好き嫌いは置いておいて、売れることが重要なのだから、販促としては使用すべきだろう。
当方はこれからもLineは極力使いたくないが。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい

相も変わらずアパレル業界人もメディア業界人も経済系インフルエンサーもインターネット通販比率を高めることが、アパレル復活のための最有力な手段だと信じているが本当だろうか。

インターネットで服「も」売れる時代にはなったが、インターネットで服「を」買いたいという志向ではないと見ている。
ファッション専門学校生に聞いてもインターネットで買う物は圧倒的に服以外が多い。
雑貨、日用品、アクセサリー、消耗品、本などなどだ。当方はそこにガンダムのプラモデルが加わる。

インターネットで服を買いづらい理由は

1、サイズ感がわからない
採寸データの明示だけではシルエットは類推できない。採寸データはあくまでも数値で数値さえ合えばサイズが合うというものではない

2、素材感がわからない
その素材が薄いのか厚いのか、固いのか柔らかいのか、伸縮率がどれくらいかは触ってみないとわからない

この2つだと思う。
サイズの不安を払拭しようとしているZOZOTOWNの取り組みは流石だと思うが、素材感までは解決できない。バーチャル触感みたいな技術が開発されない限りはこれを払拭する手立てはない。

で、統計データではインターネット市場が伸びているとはいえ、それは服も含めての市場規模であり、インターネットでも買いやすい雑貨、日用品、消耗品、部品、家電などが多分に含まれていることを忘れてはいけない。
「インターネットなら服が売れる」論者はそこを考慮していないのではないかとさえ思う。

ファッション通販サイトに関する最新のアンケート結果がある。

【ファッション通販サイトに関するアンケート調査】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000007815.html

ZOZOにばかり目を奪われ、ユニクロはネット通販比率が低いからダメとか言ってた連中は息をしているのか?という結果になっている。

まず、購入頻度だが

◆インターネットでの衣料品の購入頻度
直近1年間にインターネットで衣料品を購入した人は5割、男性4割強、女性6割です。購入頻度は、「3~4ヶ月に1回程度」「半年に1回程度」がボリュームゾーンとなっています。



とのことで、購入頻度はそれほど高くない。
毎月ネットで服を買う奴なんてごくわずかのマニアに過ぎない。
マニアを基準に語るからアパレル業界は不振業界になっている。これはネット通販に限らずである。

そして「インターネットで服は購入しない」という人も36%存在する。

 

◆衣料品を購入した通販サイト
直近1年間に衣料品をインターネットで購入した人のうち、ファッション通販サイトでの購入者は8割です。提示した選択肢の中では、「ユニクロ」が22.0%、「ニッセン」「セシールオンラインショップ」「ベルメゾンネット」「ゾゾタウン」が各9%台となっています。

「ショッピングモールサイト(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど)」での購入者は5割弱、30・40代で比率が高い傾向です

とのことで、業界的・インフルエンサー的見地からすると圧倒的に注目度が高いはずのZOZOはユニクロの利用率の半分以下で、苦戦が伝えられるニッセン、セシールあたりとまったく同率となっている。
ZOZOを利用している人は決してマスカスタマーではないということがわかる。

ユニクロは圧倒的に利用率が高い。「ユニクロはネット比率が低いのが弱点」論者は息をしているのだろうか?

当方でもユニクロのネット通販を利用するが、それ以外のブランドはほとんどネット通販で買わない。
理由は、先ほどの2点をユニクロがクリアしているからだ。
全国800店以上あり、自宅近所にも職場近所にも、また乗換駅近所にもユニクロはあり、そこで一度は試着したり生地を触ったりしているからだ。店に寄る時間がないときはネットで注文をする。

他のブランドの利用率が低い(例:ユナイテッドアローズ1・9%)のは、店数が少なくユニクロほど気軽に試着しに店に入れないからだろう。
ユナイテッドアローズでユニクロのように気軽に入店して試着することも生地を触ることも難しい。
消費者の大嫌いな販売員が絶対に近づいてきて会話をしなくてはならない。
そんなめんどくさい思いまでして服なんて誰も試着したくない。

さらにいえば、ユナイテッドアローズの服はユニクロほど安くない。
試着せず、生地を触らずに「試し」で買うにはハードルが高い。
もちろん、返品交換はできるかもしれないが、送料がかかったり再梱包して集荷をお願いするめんどくささがある。
今年の1月に2度Amazonでサイズが合わなくて返品したことをこのブログで書いたが、送料無料とはいえ、再梱包と集荷のめんどくささは感じた。次からその作業はしたくない。
だからサイズがわからない服は通販では買わない。

またファッション単独サイトよりもAmazonや楽天、Yahoo!での買い物が多い。
これは取りも直さず、衣料品をネットで買いたいという人がそこまで多くないということで、衣料品以外が豊富にそろっているその3サイトに訪問者が集中しているということである。

購入品目にもそれが表れている。

◆インターネットで購入した衣料品
直近1年間にインターネットで購入した衣料品は、「下着、インナー」「Tシャツ、カットソー、ポロシャツ」「パンツ、ズボン、スラックス」が購入者の3~4割です。男性20~40代では「Tシャツ、カットソー、ポロシャツ」が最も多く、「ニット、セーター、カーディガン」は女性で比率が高くなっています。

とのことで、サイズ感が多少違っていても伸縮するから着やすいTシャツ、カットソー、セーター、肌着類が多い。
パンツが上位にあることが以外だが、これは

1、昨今イージーパンツ系が流行している
2、昨今ワイドシルエットが流行している

この2点が理由ではないかと思う。
イージーパンツ系はウエストがゴムや紐になっているので、通常のパンツよりもサイズが厳密ではない。
また、ワイドパンツが流行していて、太ももやヒップのサイズも緩い。
これが以前のようなタイトシルエットしかない状態だったらここまで上位に来たかどうか。

サイズ感とフィット感が重視されるスーツやビジネスコート、ドレスシャツはまったく姿を見せていない。
当たり前で、ZOZOSUITが最も必要とされるのはTシャツやジーンズなどではなく、これらのアイテムに対してだろうと思う。
あとは5ミリの違いでも履けなくなる「靴」というアイテムにも最も必要とされる。
Tシャツやカットソーなんて1センチや2センチなんてどうとでも伸び縮みするからまったく不要だ。

回答者のコメントも非常にためになるので以下に貼り付けておく。

◆衣料品を購入する通販サイトの不満点・改善してほしい点 (全1,942件)
・自分から検索しないと出てこないので、何となくのイメージで探したい時には不向き。(男性28歳)
・サイズ感がわからないので、試着できるようなシステムがあれば嬉しい(特に靴)。またズボンなどは裾上げなんかもできればバッチリ。(男性35歳)
・品切れ中の商品を出品欄に載せないでほしい。(男性36歳)
・金額が小額だと送料と合わせてあまりお得な金額にならず購入を断念する事がある。(男性48歳)
・選んで服の上下の組み合わせなど提案してほしい。(女性22歳)
・着用モデルが外人だと逆にイメージしづらい。イメージしやすいように一般人に近い体型の人をモデルに使ってほしい。(女性31歳)
・モデルが着ていない服は、丈の長さがわかりにくいので、モデルの身長と共に着ていてほしい。同じカットが多いものもあるので、後ろ姿などもみられるとわかりやすい。(女性40歳)
・詳しく調べなくても商品の在庫がわかるようにして欲しい。(女性58歳)

となっており、「見た目の綺麗さ」とか「見た目のかっこよさ」だけを追求したサイトでなんて到底服は買えないということである。
外人モデルというよりも、ステージ向けモデルは体型が一般人と違いすぎて「イメージ写真」には適しているかもしれないが、購入してもらうページには不要である。
例えば、冨永愛さんの全身像が映っていて、一般人がその体型を見て参考になるだろうか。まったくならないだろう。
男性だって同じで購入ページに阿部寛さんが映っていて参考になるわけがない。阿部寛さんの身長は190センチもある。

この結果を見ると、ファッション業界人が期待するほど服は売れてないし、ZOZOの利用率も高くない。
逆に経済系インフルエンサーの指摘するユニクロ危機論も的外れにもほどがある。

ファッション性が高く、高価格な服はインターネットでは売れにくい。

これを前提として組み立てないと、またぞろアパレル業界は苦戦を強いられることは間違いない。
まあ、考えが浅くて自意識過剰な人が多いアパレル業界人がこの事実を直視するのは難しいのだろうけど。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb


あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro


昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

足が疲れにくいお勧めスニーカーを貼っておく

アパレルブランドの広告が失敗する理由

アパレルブランドにとって広告は必要不可欠なもので、ブランド側はもう何十年も出稿し続けているわけだから、本来はすごく広告に詳しいはずである。
しかし、業界紙、編集プロダクションで勤務した経験上でいうと、そういうブランドはほんの一握りしかない。

多くのブランドは、惰性とお付き合いと「何となく」で出稿している。
そしてそれらは広告代理店にお任せである。

例外的な少数を除くと、アパレルブランドの広告担当者のお仕事というのは広告代理店と親しくすることが8割くらいを占めている。
各ブランドにはそれぞれお抱えに近いような代理店が存在する。
1社の場合もあれば、それが複数の場合もある。
要はそれら「お抱え」と親しく付き合って、リサーチからプランからすべてお抱えに丸投げし、出てきたものに対して判断を下すだけであり、その判断自体も担当者の好き嫌いやその上司の好き嫌い程度しか基準がない。
広告担当者か上司(社長である場合も多い)が「これ、ええやん」といえば、それで終わりなのである。
その「ええやん」の基準は好き嫌いだ。

だからアパレルブランドの広告は成功しにくい。

いくつか失敗例を提示する。
当方が広告に携わったのは雑誌媒体なのでそれがメインになる。

以前、某中堅ジーンズメーカーに雑誌「Begin」の広告を相談されたことがある。
このジーンズメーカーに限らず、アパレルブランドの勘違いは、そこそこ人気のあるファッション雑誌に1度広告を掲載すれば、売上が即座に増える・回復すると思っている点である。

で、相談をされたのでこれまた、ファッション雑誌広告に強い某中堅代理店を紹介した。

ジーンズメーカーの予算は年間1000万円、代理店はこの予算で、Beginの年4回掲載を獲得してきたと記憶している。
単なる純広告(綺麗なイメージ写真とブランド名だけの広告)ではなく、タイアップ記事広告だったので、1回あたり200万円以上した。
通常、雑誌では純広告よりもタイアップ記事広告の方が高額になる。

これで決まるかと思った矢先に、メーカーが「以前から懇意にしている地域密着の小規模代理店から出稿したい」と言い出した。
これは本来は厳禁な行為である。
なぜなら、その料金プランはその中堅代理店が掛け合って実現したもので、お抱え代理店が作ったプランではない。
お抱え代理店が本来すべきことは、己らも掛け合って独自のお得感のある料金プランを作成することである。

しかし、お抱え代理店の甘えとそれを許したメーカーの不見識が相まって、結局はそのプランをお抱え代理店からやることになった。

こうなると、次からはその中堅代理店はメーカーには協力しなくなる。当たり前だ。先に不義理をしたのはメーカー側である。

結果からいうとこの広告はさほど効果がなかった。
年4回というのは無名ブランドにとっては掲載回数が少なすぎるし、Beginという雑誌がそれほどの「大部数」を抱えているわけでもないからだ。モノに対する記事や写真での見せ方に定評のある雑誌ではあるが、読者数はそれほど多くないし、読者層とブランドの相性も考慮しなくてはならない。
これはBeginに限らずどのファッション雑誌でも同じだ。
読者数の多寡も重要だが、読者層との相性がさらに重要となり、どんなに大部数のある雑誌でも読者層との相性が悪ければ、まったく反応はない。
ブランドの広告担当者はそこをよく考え、リサーチを自身でし、判断しなくてはならないが、それができている広告担当者は知っている範囲でいえば見たことがない。

結局はこのタイアップを1年か2年でメーカーはやめてしまった。効果もさることながら1000万円の広告費が捻出できなくなったからだ。できなくなったというのは表向きの理由でもしかすると、もったいないと感じたのかもしれない。

これはもっとも非効率的なカネの使い方である。
無名のブランドが年4回ちょろっと広告を掲載したところですぐさま認知度が上がるわけでもない。
もっと回数を多く、長期間にわたって掲載しないと実はファッション雑誌広告には意味がない。
年6回以上で、3年~5年間の広告掲載は必要だろうと思う。

1年や2年でやめてしまえば、その広告費は無駄になる。
このメーカーでいえば、2000万円をドブに捨てたようなものである。
これで従業員を雇うとか、従業員のボーナスを増やすとか、従業員と豪勢な食事を楽しむとか、に使った方がずっと社内の士気が上がる。

こういう失敗をするブランドは本当に珍しくない。アパレルブランドのありふれた日常風景である。

じゃあ、中小代理店を使わずに大手代理店を使えば成功するんじゃないかと考えるのが、アパレルブランドの浅はかさである。

また別のジーンズメーカーが20年くらい前まで10年間、電通を使っていた。
このメーカーはかつて「大手」と呼ばれており、ピーク時の年商は130億円くらいあった。

結果的にいえば、このメーカーの売上高は現在はピーク時の6分の1以下にまで低下している。
完全なる「ドブ金」だったといえる。

年間予算は毎年5000万円~1億円だったと聞いている。

これだけ多額の予算を払えばさぞかし効果があると、アパレル業界では考えるが、結果はまったく逆だ。
それがこのメーカーの凋落が証拠といえる。

アパレル業界からすれば広告宣伝費5000万~1億円というのは多額だが、電通からすれば鼻くそである。
だから電通はこの程度の予算では身を入れて仕事をしない。

例えば、当方とは比べ物にならないほど著名人で広告業界ともかかわりの深い永江一石さんもご自身のブログでこう述べられている。

東京都の豊洲市場における、スーパーお馬鹿なインフルエンサーマーケティングが草ボウボウ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=37864

電通で5000万というのは鼻くそですので、わたしの推測ではPR会社に丸投げしたものと思います。

とのことで、年間5000万円程度の予算では電通にとっては「どうでも良い」依頼なのである。

文中で述べられている事例は、大手広告代理店ならやらかしそうなウェブマーケティングでの失敗例といえる。
アパレルも行政も理解していないのは、広告代理店には各社それぞれ得意分野と不得意分野があるということで、電通でいうならファッション雑誌やらウェブは苦手で、芸能人のブッキングやビッグイベントやテレビCMは得意なのである。
分野によって代理店を使い分けるのが得策で、大手に少ない金額で丸投げするのが最愚策といえる。

かつての大手ジーンズメーカーも東京都もその最愚策を採用している。
5000万円はまさしく「ドブ金」だ。

かつての大手ジーンズメーカーなんて総額10億円以上を使って、売上高を6分の1以下にまで低下させたのだから愚の骨頂としか言いようがない。

まあ、付け加えておくと、今現在も電通とか博報堂を何十年間も使い続けているのに、中高年以外の層にはまったく知名度が上がらない大手肌着メーカーというのもある。知名度が上がらないどころか、知名度は下がっているのではないかと思う。
これも現在進行形の「ドブ金」の一つの代表事例といえる。

アパレル業界が広告で成功したいのなら、

1、広告というのは多額のカネが必要と強く認識する(節約のために年1回の掲載なんて効果なし)
2、広告代理店にはそれぞれ得手不得手があり、それを見極めて事案ごとに代理店を使い分ける
3、大手に少額のカネで頼めば、必ず手抜きされる

これを徹底的に頭に叩き込まないと、アパレル業界の「ドブ金」事例がさらに積み上がることは間違いない。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

「安さ」だけでは衣料品は売れない時代 ~投げ売りの最前線を見て~

大阪市内の都心を歩いていると、ティッシュやら割引チケットやらさまざまなものが配布されている。
もちろん、東京都心だともっと多い。

そういうものはだいたいがアルバイトのオニイちゃん、オネエちゃんが配布しているから、極力受け取るようにしている。
しかし、たまにこちらの善意に付け込んだような、受け取るだけでなく何かを答えさせようとするものも多いから注意が必要だ。
そういうのは断固として断る。

先日、御堂筋沿いを歩いていたら、赤い法被を着たオネエちゃんが道行く人に声をかけて何かを配布していた。
最初、赤い法被なのでジャンカラなどのカラオケボックスの店員なのかと思ったが、受け取ったチラシを見て驚いた。
ウィゴーの販売員だった。
受け取ったチラシが驚異的だったのだが、「全品390円セール」というものだったからだ。
ちなみに単品だと「全品390円」(格安居酒屋か)だが、袋に詰め放題で中サイズ3000円、大サイズ5000円とも書いてある。
なんという投げ売り!本当にバッタ屋並みである。
もしかしたら生半可なバッタ屋よりも安いかもしれない。

バッタ屋の聖地と化している天神橋筋商店街を歩くとさまざまなバッタ屋があるが、一律500円とか1000円という店が多く、それらよりも断然に安い。

とりあえず、チラシだけを受け取って、その日の仕事先に向かった。

仕事が終わって、先ほどのチラシを思い出して覗いてみようと思った。
18時半ごろだったので日は暮れていた。

通常の正規店ではなく、別会場を借りてのセールだったが、それでも驚異的な投げ売りといえる。
その日が最終日でなおかつ閉店まであと1時間半くらいだったので、チラシに書かれてあった袋詰め放題も3000円と5000円が2000円と4000円に値下がりしていた。
ざっと袋の大きさを見ただけでも、2000円コースですら10枚は優に洋服が詰め込めるくらいの大きさはあった。

会場は、洋服が台の上にごちゃっと山積みにしてある。
たしかにこれしか、やり方はないだろう。
390円の投げ売りセールで、しかも数日間の限定売り場で、正規店のような陳列は非効率極まりない。
台の上に、当初は畳んであったのだろうが、ごちゃっと山積みにするしかない。

帽子、バッグ、マフラーのコーナーと、レディースコーナー、それからメンズコーナーに分けてある。

商品を見てみると、帽子やバッグ、マフラーは秋冬物だがメンズの衣料は春夏物である。
レディースコーナーで商品をほじくり返すことは通報されそうだったのでやめておいた。
女性客に交じって50歳手前のオッサンがレディース商品をあさっている風景を想像するとヤバすぎて通報されてもおかしくはない。

遠目からざっと見ただけだがレディースも春夏物が主体だったと思う。

最終日で閉店まであと1時間半ほどだというのに商品は各コーナーともまだまだ残っていた。

売れ残りの春夏物なんて10枚も20枚も要らないから、単品で買うことにした。
商品をほじくり返してみたが、半袖シャツとか半ズボンとかそういう商品がほとんどで、寒さを一層掻き立てた。
失望しながらほじくり返していると、ちょっと春先から使えそうな商品をいくつか発掘でき初め、気分は上向きになった。

とは言っても、生地自体は薄手や麻混だったので明らかに初夏・盛夏物だったが。

その中から、去年か一昨年くらいに流行したボタニカル(植物柄)のジャケットと、薄手の杢グレーパーカを発掘した。
ボタニカル柄のジャケットは、去年か一昨年くらいにパンツとのセットアップで各ブランドから発売されていた。
そういうトレンドだったのである。それにウィゴーも乗っかっていた。まあ、洋服商売なら当然なのだが。

綿100%のプリペラ素材で、黒と白があった。
Tシャツの上に羽織ることを考えると、襟首の汚れが目立ちにくい黒にしようと思ったが、紺色やネイビーのズボンの手持ちが多い当方なので、黒ではなく白を選んだ。

しわが目立ちにくい素材であるうえに、白と言っても黄味がかっているから、小まめに洗濯機に放り込めば汚れの首輪も気になりにくいだろう。
定価6900円が1900円に値下がりして、それが390円に投げ売られていた。
明らかに原価割れだろう。

もう一つの薄手パーカは綿・モダール混素材で、裏毛でもミニ裏毛でもなく天竺である。
こちらは定価1900円の値札が付いている。まあ、390円ならお買い得だ。
これもTシャツや長袖Tシャツの上から羽織れる。

2枚合計で税込み842円だった。

盛夏でTシャツ一枚で様になるためには、顔と体型が良いことが必須になり、顔と体型が悪ければどんなにデザインを凝らしたTシャツでも格好が悪い。逆に顔と体型が良ければ、そこらへんで買ってきた390円のTシャツだって格好良く見える。
これが夏服の恐ろしさである。
ライザップはここの部分を狙えば良いのである。

だから顔も体型もアレな当方としてはTシャツ+1枚という工夫を凝らさねば人前に出ることすらかなわない。
着るまでにはあと2か月は寝かしておく必要があるが、2枚合わせて842円ならお買い得といえる。

実は、以前から手伝っている天神橋筋商店街のバッタ屋「ラック・ドゥ」も2月1日から18日まで全品100円セールを行っている。

本日よりBIGイベント開催!

4日間ほど店を手伝ったが、ここも春夏物がほとんどで、今年の2月は寒いが100円なら半袖ブラウスを買う人がこんなに多いのかと驚かされた。

で、店作りは今回のウィゴーと一緒で、台の上に服が山積みにされてある。これしかやりようがないというのがウィゴーの別会場セールを見て改めてわかった。

ちなみに「ラック・ドゥ」では在庫が少なくなっているので、新たな仕入れ先を募集しているそうだ。
過剰在庫を抱えているメーカーやブランドは一度連絡してみてはどうか。

それにしても、正規ブランドの在庫処分もバッタ屋と変わらなくなってきたと感じた。

実は先日、某メーカーのサンプルセールに招待され、1品100円で購入してきたが、それは完全メンバーズ制で、会期は1日間で営業時間はわずか2時間しかない。本来の意味でのサンプルセールだが、このウィゴーのは道行く人々を誘致しているのだから、これとは異なる。
不特定多数の人に広く売ろうとするものだ。

それだけ在庫を抱えていたともいえるし、ウィゴーに限らず、今後は在庫を抱えたメーカーやブランドはバッタ屋並み・バッタ屋を下回る値段で広く販売するケースも出てくるのではないかと思う。
販売方法、価格もバッタ屋との線引きがなくなりつつあるともいえる。
最早、割安感だけでは衣料品は売れない。そういう時代を象徴しているのではないか。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

ジーンズメイトの赤字継続は当然

ジーンズメイトが18年3月期決算の下方修正を発表した。
案の定だ。

これまで、売上高115億5000万円、営業利益3億円、経常利益3億300万円、当期利益4億円と発表してきたが、これを

売上高95億9000万円、営業損失5億5000万円、経常損失5億4000万円、当期損失7億3000万円とした。
見事な赤字継続である。

個人的にいえば、当初の見通しが甘すぎただけのことで、赤字継続には何の驚きもなく、むしろ当然だと感じる。

ジーンズメイトの発表によると

また重点販売商品と位置づけた新しい商品群の販売や新しいマーケティング 手法により新規顧客を獲得することを企図していたものの、計画値には届いておりません。

と売上高減少について述べている。
24時間販売の廃止での減少とも書かれているが、果たして24時間販売の売上高がどれほどあったのかは疑問である。
また、引用した部分については、新PB「メイト」の不発や他のPBの刷新が上手く行かなかったということを示している。

赤字については

今期計画は、商品回転率の向上と値引き率の抑制に取り組むことで売上総利益率を 50.0%(前 期比 5.3 ポイントの改善計画)としておりましたが、上述の通り売上が計画を下回り値下げ・値 引が徐々に増大していったことや、シーズン末の大幅値下げを伴う在庫処分が増加した事などに より、売上総利益率は 46.1%の見通しとなりました。

とのことで、要するに売れ行きが悪くて値引きセールをしたのでその分利益が削られたということである。
まあ、たしかにいくつかのお買い得品はあった。
先日、春に向けてPB「ブルースタンダード」のボートネックボーダー柄カットソーを買ったが、これは以前にも1490円に値下げされていたのが、ほぼ1年ぶりに店頭投入され990円に値下げされていた。持ち越し在庫である。
ただし、綿100%の生地は肉厚で、品質はそれなりに高く、定価は2990円である。
裾にスリットがないのがちょっと疑問な作りだが、それ以外に不満はない。
990円なら割安感がある。

リリースで述べている在庫処分セールとはこういう種類の商品を指している。
また先日、このブログで紹介したローゲージウールニットパーカも7990円が1990円にまで値下げされており、大変なお買い得品だった。

ジーンズメイトがライザップ傘下になって、変わった部分はあまり見えない。
唯一変わったのは、これまでよりも商品の店頭投入量が減ったところくらいしかない。

店頭と、店頭に並ぶ商品を見ていると、以前とはそんなに大きく変わっていない。
店作りも商品も変わらないなら、よほどの上手い販促・プロモーションがない限りは、業績が急回復することはない。
これはアパレルに限らずどの分野においても同じ理屈である。そしてジーンズメイトにはその「よほど上手い販促」は今に至るまで存在していなかったから、結果は火を見るよりも明らかだった。

にもかかわらず、メディア系著名人、経済系著名人などのいわゆるインフルエンサーはもろ手を挙げて「ライザップの手法」とやらを誉めそやした。
で、同じ人たちが今、800SKUという超細分化されたサイズピッチの既製服のZOZOを「完全オーダーメイド」だと誉めそやしているのである。この輩の評価はまったく当てにならない。

そもそもこれまでライザップは手あたり次第にアパレルを買いまくってきた。
そこに何か戦略があったとはとても思えず、瀧定大阪同様に場当たり的に買ったとしか見えない。
なぜなら、買ったアパレル各社に何ら共通項がない上に、買収後もまったく各社が連動する気配もない。
ジーンズメイトは1年にしかならないからまだしもそれ以外だと4~5年になる会社もあるのに、いまだに何も変わっていないし、それらが連動・連携する気配もいまだにない。

ライザップ傘下のアパレル各社を見てみよう。

・エンジェリーベ 2012年4月グループ入り
・馬里邑 2013年9月グループ入り
・アンティローザ 2014年5月グループ入り
・夢展望 2015年3月グループ入り
・三鈴 2016年4月グループ入り
・マルコ 2016年7月グループ入り
・ジーンズメイト2017年2月グループ入り
・堀田丸正2017年6月グループ入り

となっており、雑貨小売り系だと

・イデアインターナショナル 2013年9月グループ入り
・パスポート 2016年5月グループ入り

となっている。

2016年、2017年にグループ入りした各社はあまり変貌していなくても仕方がないと思うが、それ以外の会社はどうだろうか。あまり変貌していないことは問題ではないか。2015年にグループ入りしたネット通販の夢展望もそろそろ変貌が顕在化しないとちょっと今後の芽はないだろう。
また、それらの企業やブランドはまるでいまだに連携していない。
連携・連動できない傘下企業を増やしたところで意味はなく、ライザップは何のためにアパレルを買いあさっているのか理解に苦しむ。
優良企業を買うならまだしも優良でない物件が多く、本当にその目的はわからない。
単にメディア系・経済系インフルエンサーの期待値を上げるためだけとしか思えない。

ジーンズメイトに限らず、健康食品・スポーツジムのライザップがアパレルを買ったシナジー効果は全く現れないままに6年になろうとしている。
考えうるシナジー効果としては、健康食品・スポーツジムのライザップがプロデュース・ディレクションをしたというスタイルで、各ブランドから「単なる従来型衣料品」ではなく、「スタイルを美しく見せるパターン作りやカッティングに工夫を凝らしました」という触れ込みで新商品を投入することである。

ジーンズメイトでいうなら、ユニクロを辞めた人、しかも企画職でもなかった人を起用して、ユニクロと同じテイスト・同じターゲットで、ユニクロより価格の高いカジュアルウェアを作るなんて何の意味もなく、ユニクロに勝てるはずもない。
ユニクロに勝つ必要なんてないが、その商品では、ユニクロではなく、メイトを選んでもらう理由すらない。

それよりもライザップがプロデュースして、本当に美脚に見えるスキニーパンツだとか、細マッチョに見えるTシャツだとかそういう「価値作り」をすべきなのである。
ユニクロと同じ土俵でライザップが戦う必要性なんてまるでなく、むしろ自ら望んで負け戦に飛び込んでいるにすぎない。

しかし、ライザップがそこに向かわないということは、個人的にはライザップにはアパレル再生のノウハウが存在しないと見ている。

皮肉にもライザップとの提携でもっとも効果的な商品を開発したのは、傘下のアパレル・雑貨企業各社ではなく、ライセンス契約したに過ぎないグンゼである。
これなどはその最たる例である。

着るだけでバイタルデータを取得
グンゼ×RIZAPによる最先端衣料「筋電WEAR」が誕生

http://www.gunze.co.jp/corporate/news/2017/09/20170925002.html

これが本来、ライザップに期待されるアパレルブランドとのシナジー効果といえる。
ライセンス契約のグンゼ以外にその方向性を指し示せない限り、ライザップが傘下のアパレル企業を経営再建することは、ほぼ不可能に近いと当方は見ている。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

1 / 2ページ

©Style Picks Co., Ltd.