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製造加工業者のブランド開発が成功しない理由

 産地の製造加工企業が自社オリジナルの製品ブランドを立ち上げる事例が増えているが、実際のところ、ある程度軌道に乗ったブランドは少数で、大多数は失敗している。
それはなぜか。様々な要因があるが、ブランドの組み立て方という点において、産地ブランドが失敗する理由を考えてみる。

自社で製造している生地や、自社の染色・加工技術を生かして、それで製品を作るというのが産地ブランドの特色である。

製品ブランドを組み立てる際には2つの考え方がある。

1、自分(もしくは自分たち)が好む物、自分たちが使用したい物を作る
2、自分たちの好みは関係なく、自社の特色と市場規模を照らし合わせてそこに合致した製品を作る。

という2つである。

どちらが良くてどちらが悪いということはない。
どちらも正しく、ブランドの組み立て方が異なるということだけである。

産地企業のブランドが上手く行かない理由の一つに、この2つを経営者や幹部がごっちゃにしてしまうことにある。

どういうことかというと、たとえば、ハンカチ生地を製造していた阿江ハンカチーフが薄地生地を作る技術を応用してゴスロリ向けの日傘ブランド「ルミエーブル」を立ち上げて軌道に乗せた。

ここは、自分たちの持っている技術と、どこに市場性があるかを念入りにリサーチしてブランドを組み立てた。
社長は男性である。おそらくゴスロリの趣味はない。

市場性があると見込んだ分野に向けてそれに合わせた商品を投入している。
だから成功したといえる。

もし、社長が自分の好みを中途半端に導入していたらおそらく失敗していただろう。
ゴスロリ向けの日傘ブランドなのに社長が「ワシはこういう傘が欲しいから、これも1型製造しよう」などと言って、英国トラッド調のデザインの傘を1型だけ挿し込んだとする。
こうなるとブランドのテイスト自体がブレる。何のブランドなのかがわからなくなってしまう。
テイストがブレたようなブランドは消費者から欲しがられない。

実際に筆者も産地企業の製品作りの会議に参加したことがあるが、レディース向けのエレガンスなアウターを製作すると決定しているのに、年配の男性社長が「ワシはこんなデザイン嫌いだから変更したい」みたいなことを平気で言う。
コンセプトとターゲットに応じた製品デザインを考えねばならないのに、おっさんの好みなんてクソの役にも立たない物を持ちこんでどうするのか。
しかも女性向け商品であるから、おっさんの好みなんて関係ない。どうでも良いのである。

こういうことを平気でやってしまう。
まあ、産地企業に限らず、いわゆるメーカーと呼ばれる企業でさえこういうことがまかり通る場合がある。

それならば最初から「自分たちが使用したい物」というコンセプトでブランド開発をすべきだったのである。

この区別ができない経営者や幹部がそろっているなら、その企業の製品ブランド開発はかなり失敗する確率が高いだろう。

短パン社長として有名な奥ノ谷圭祐社長が企画製造する「Keisuke Okunoya」というメンズカジュアルブランドがある。
SNSでしか注文を受け付けないという無店舗販売ブランドである。

このブランドは、短パン社長が完全に自分の好みしか反映していない。
そういうブランドの組み立て方もある。

自分の好きな商品だけを企画製造したいなら、最初からそうすべきだし、市場性を考えてブランドを組み立てたのなら己らの好みなんて極力排除すべきで、仕事と趣味はきっちりと線引きをするのが常識的な態度である。
そのどちらも徹底できないんだったら、製品ブランド開発なんて止めてしまえば良い。
その方が周りも振り回されなくて幸せだ。

この次に多い失敗理由が「日本製しかアピールポイントがない」という点である。

日本製=高付加価値ではない。
日本製ブランドなんてすでに掃いて捨てるほどある。
日本製というだけではすでに消費者から選ばれるポイントではなくなっている。
日本製+プラスアルファの切り口が必要なのである。

先日、某合同展を主宰する人と雑談をした。
合同展以外に、製造加工業者の開発した日本製ブランドを集めて催事販売するという取り組みも行っている。
その催事販売だが、しばらく前に休止したという。

その理由が、全業者を集めて会議をしたところ、日本製というだけの打ち出ししかないということになり、そこに限界を感じて休止することになったそうだ。

その彼によると、日本国内ではもう日本製というだけではブランドは売れていない。そこにプラスアルファの要素があるブランドが売れている。日本製というだけである程度の価値を見てくれるのは、アセアン地区くらいだろう。それもあと何年もは続かないとのことである。

おそらくアセアン諸国でも「日本製」ということを価値だと感じてくれるのは長くても5年くらいだろう。
それ以降は、今の国内と同じでプラスアルファの要素が求められることになる。

今、ブランド開発に取り組んでいる国内の製造加工業者は、上で述べた点についてもう一度よく考えてみてもらいたい。

当てはまっているならぜひ修正して、ブランド開発に成功してもらいたい。




ファッション業界に取り込まれたジーンズというアイテム

 昨日発売されたカルチャー雑誌「20世紀」のジーンズ特集号に2ページ寄稿した。
ほぼ巻末に掲載されており、内容はジーンズ市場の変遷についてである。

写真77

なぜ、ナショナルブランドと呼ばれたジーンズブランドが一部を除いて凋落したのかについてである。

一つには、有力な卸売り先であるジーンズチェーン店が苦戦になったからである。
主要販路の業績が悪くなればそこに卸しているメーカーの業績も連動する。
三信衣料から始まり、フロムUSAやロードランナー、カジュアルハウス306などの大手が相次いで倒産した。
残った全国チェーン店のライトオン、マックハウス、ジーンズメイトもそろってピーク時よりも売上高を落としている。

もう一つは、ユニクロをはじめとするSPAブランドやワールドやオンワード樫山などそれまでジーンズとは縁のなかったブランドがこぞって自主企画ジーンズを発売したことで、需要が分散化したためである。
これらの自主企画ジーンズの製造を支えたのが、ジーンズブランドのOBたちが続々と立ち上げたOEM・ODM企業である。

2000年ごろに今は亡き、サンエーインターナショナルのメンズブランド「abx」でオリジナルジーンズを買った。
バーゲンで2900円くらいまで値下がりしていたので買ったと記憶している。
当時はストレッチデニム生地はまだ一般的ではなかったから綿100%で、ちょっと細身のシルエットだった。
値段にひかれて買ったわけだが、買ってから後悔した。
なぜなら穿いてみると形が良くなかったからである。おまけに生地もなんだか安物くさい。
その手触りや表面感から類推すると、空紡糸を使った廉価デニム生地だったのではないかと思う。

形が悪かったのは、おそらくジーンズ専用のパターンではなく、通常のスリムパンツのパターンを使用したからではないかと思う。ジーンズブランドのジーンズとはいくら細身とはいえ、著しく形が異なっていた。

今でもときどきあるのだが、通常のパンツのパターンでジーンズを作ってしまうと何とも言えない可笑しな物が出来上がる。
通常のパンツのパターンを引けるからといって、それをジーンズに流用するとちょっと変な形のズボンが出来上がる。

まったくの推測でしかないが、abxのこのジーンズはジーンズの企画製造に長けたOEM・ODM企業を通さずに製造したのではないだろうか。

OEM・ODM企業を通してジーンズを作るという手法が一般的になった現在は、ジーンズブランドとそん色のないジーンズをどんなブランドでも企画製造できるようになった。

かくしてジーンズは様々なブランドに広がったというわけである。

ここからは仮定の話である。

じゃあどうすればジーンズブランドは凋落しなかったのかを空想してみた。
製造ノウハウをきっちりと握りしめていればよかったのではないか。

そうなった場合、各ジーンズブランドが縫製工場、洗い加工場を自社で経営して100%自社工場だけで生産を行うか、協力工場の生産ラインを自社の商品で埋め尽くしてしまうかのどちらかしかない。
協力工場のラインを埋め尽くしてしまうことで他社の商品を受注できなくさせるわけである。

しかし、どちらも現実的に実行することは不可能である。

とくに協力工場のラインを埋め尽くすことは不可能だ。

となると、いずれ製造ラインに一般アパレルが参入してくるのは目に見えている。

結局、遅かれ早かれ、現在と同じ状況下に置かれることになったのではないだろうか。

各ジーンズナショナルブランドが過去の施策を多少変えていたとしても結果はそれほど現在と変わらなかったのではないか。

久しぶりに「ファインボーイズ」の10月号を買ってみた。
真ん中あたりにデニム特集があった。
いろいろなブランドのジーンズが掲載されているが、ナショナルブランドで掲載されているのは「リー」「リーバイス」だけである。
それ以外のジーンズブランドは「ジースターロゥ」「ディーゼル」「APC」「ヌーディージーンズ」くらいだ。

そのほかは「ビューティー&ユース」「アーバンリサーチ」「ビームス」「Rニューボールド」などのセレクトショップかメンズブランドのジーンズである。

こう見ると、それまで閉ざされた特殊アイテムだったジーンズは完全にファッションアイテムとして拡散してしまったといえる。

そして「ファッション」としての扱いが長けたそれらのブランドに、「ファッション」としての扱いが下手だったジーンズナショナルブランドが競り負けるのは当然の帰結だったといえるのかもしれない。

20世紀 No.0002
クレタパブリッシング
2015-09-28


日本ジーンズ物語
杉山 慎策
吉備人出版
2009-02-27


ウェブ通販をやっただけでは売上高は伸びない

 「これからはウェブ販売だ」「これからはオムニチャネルだ」という掛け声をよく耳にする。

実際にウェブ通販の売上高総合計は伸びているから、これに異論はない。
ますますウェブ通販という業態自体は伸びるだろう。

しかし、コンサルタントやアドバイザーが言うのはまだしも、ナンタラ組合のエライさんとかナンタラ協議会のエライさんとかが言うのを聞いていると、どうも「ウェブ通販をやればすべての問題は自動的に解決し、あまり労せずして売上高が伸びる」という風に認識しているように思えてくる。
まあ、筆者特有の邪推かもしれないのだが。(笑)

そのエライさんたちがウェブに堪能だということは聞いたことがないし、そもそもそのエライさんたちはウェブ通販で買い物をしたことがあるのかどうかもあやしいところである。

一昔前に「SPA化すればすべての問題が解決する」と言ってた風潮とあまり変わっていないのではないか。

すでにウェブ通販には大手から小規模・零細まで無数の業者がひしめいている。
実際に筆者にも独立して、一人で各メーカーからの在庫を引き取ってきてウェブで販売している知人がいる。
その彼が展開しているウェブショップだが「当社も含めて新規参入組が楽天で上位に表示されるのは至難の業。上位に表示されないと集客できないし、当然、売上高にもつながらない」という状況である。

超有名ブランドならさしたる販促がなくてもある程度の集客はできるかもしれない(売上高につながるかどうかは別)が、それこそナンタラ組合とかナンタラ協議会みたいな消費者にとってマイナーな集団が思いつきで立ち上げたような通販サイトには、莫大な販促費を使わない限りなかなか集客できない。

それにそこそこ名の通ったウェブ通販業者だって苦戦している。
例えば夢展望。

2013年9月期連結は増収増益だが、
2014年9月期連結は、売上高が65億3900万円(前期比3・3%減)、営業損失7億5100万円、経常損失7億9000万円、当期損失9億800万円の減収赤字転落だった。

2015年から決算月を3月に変更したので、2015年3月期連結は半年間の変則決算だったが、業績は回復していない。

売上高26億9800万円
営業損失5億3600万円
経常損失5億9400万円
当期損失7億400万円

となっており、単純に2倍すると前年よりも減収・赤字幅ともに拡大している。

ちなみに2016年3月期連結の第1四半期は

売上高10億1900万円
営業損失1100万円
経常損失1500万円
当期損失1700万円

となっており、まだ回復傾向にあるとはいえない。

売上高は対前年同期比で約5億5000万円の減収である。

ウェブ通販の先駆けとして知られた企業ですらこの苦戦傾向である。

何の知名度もない新規参入者が無策に飛び込めばどれほど悲惨な状況に陥るかは火を見るより明らかではないか。
すでにウェブ通販はレッドオーシャンであり、決してブルーオーシャンではない。

コンサルタントやアドバイザーがウェブ通販参入を煽るのは自分たちのビジネスを拡大するためである。
集客がキモであることは彼らがもっとも熟知しているはずなので、煽るだけ煽って、具体策を提示することで彼らのビジネスにつなげるという作戦だろう。

しかし、わけもわからずその尻馬に乗っているように見える年配層の業界のエライさんたちは、逆に業界をミスリードするのではないか。
おそらく彼らは集客の困難さなど考えもしていないだろう。

先日、このブログにメールをくれた縫製業者と思しき人がいる。
その人によると、かつて自社でブランドを立ち上げ、楽天に出店したのだそうだ。
だが、売上高がまったく稼げないので1年ほどで撤退したという。

ご本人にはお気の毒だったが、無名の新規参入者なら当然の結果ともいえる。

それほどにウェブ通販での集客は難しい。
集客だけで考えるならリアル店舗を繁華街に出店する方が楽なのではないか。
もちろん、コスト面は度外視しての話である。

例えばJR大阪駅の改札付近の出店すれば、毎日何十万人という人が通る。
その中の少なくとも何百人かは店内を覗いてくれるだろう。買うかどうかは別にして。
ウェブ通販で無名の新規参入者が開店直後から毎日何百人の来訪者を安定的に集めることは限りなく困難である。
わざわざ消費者がその無名の通販サイトに来る理由がないからだ。

またウェブ通販だと集客をしても、間違ったターゲット層だと売上高はゼロである。

以前も紹介したBストアだが、ここは立ち上げて2,3年ほどのウェブ通販専業のカットソーブランドである。

http://b-webstore.jp/

主宰の山口悠太さんによると、初年度はかなりふんだんに広告費を使って集客したが、売上高はほぼゼロに近かったという。
集客したターゲット層と販売していた商品がマッチしなかったからだ。
ピーク時には1日に1000人近く来訪者があったが、売上高はほぼゼロだったというから、リアル店舗の販売よりもシビアである。

リアル店舗での販売なら、話好きのおばちゃんやおっちゃんが、「ねえちゃんが愛想良かったから、とりあえず500円の値下げ品でも買うわ」ということがたまにあるが、ウェブ通販だとそういう人情はゼロである。
欲しい物は買うが要らないものは要らない。それがより顕著となる。

ウェブ通販にはこういう厳しい側面がある。

だから各社は集客に必死になり、販促費を使うのである。
一時期問題となった有名タレントのステルスマーケティング(ステマ)はそういう背景があるからだ。

放っておくとサイトに集客ができない。
それなら多数のファンを抱えるタレントにブログやSNSで紹介してもらえれば、何千人・何万人のタレントのファンはとりあえず来店だけはしてくれるだろうし、タレントが「お気に入りです」とか「使ってめっちゃ良かった」と書けば、そのうちの何割かは購入してくれる。

だから何十万円・何百万円という費用を支払ってでも有名タレントにステマを依頼するのである。

大手がそれほどの投資をしてやっと集客しているのに、無名のポッと出のブランドが何の対策もなしに集客できるほどウェブ通販は甘い世界ではない。

これからは「ウェブ通販だ」「オムニチャネルだ」というのは間違いない。
問題はどうやって集客するかである。集客のできないウェブ通販サイトなんてゴミ屑同然である。

コンサルタントやアドバイザー諸氏はスローガンのぶち上げはもう十分だろうから、そろそろ如何に集客するかを語るべきだろうし、エライさんはウェブ通販をやったからといってすぐさま売上高が伸びるなんて妄想はそろそろ捨て去るべきだ。




好調ブランドも3年後には転落するアパレル業界

 アパレルブランドの業績のジェットコースターぶりは激しい。
改めてそう思った。好調だったブランドがわずか3年ほどで倒産してしまう。

今年、6月1日にヤング向けレディースブランド「CHU XXX(チュウ)」を展開していたシー・エス・ピーが倒産した。負債は15億円。

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4057.html

帝国データバンクの記事を引用する。

自社で企画・デザインを手掛け、中国や韓国などの協力工場で生産、自社店舗で販売するSPA業者として一定の知名度を有し、2013年には関西を中心に東北から九州まで49店舗に拡大。

また、クッションやマット、雑貨などの卸事業も手掛け、大手婦人服小売業者やギフト業者向けに営業基盤を確立していた。積極的な店舗展開により「CHU XXX」(チュウ)ブランドの知名度が向上した2012年3月期には年売上高約51億8800万円を計上していた。

 しかし、同業他社との競争激化に伴い顧客単価は低下し、急激な出店により不採算店舗も散見されるようになった。さらに卸事業でも大口顧客からの受注が低下したことで2013年3月期には年売上高約45億4600万円までダウン。減収に加え、出退店経費や人件費などが嵩んだことで約1億8100万円の当期純損失を計上していた。

このため、店舗のスクラップアンドビルドを加速させるなどのリストラを実施するとともに、金融機関への返済条件緩和を要請するなど経営の立て直しを図っていた。その後も、業績の悪化に歯止めが掛からず、2014年3月期には債務超過に転落。加えて、昨年10月以降の急激な円安により生産コストが上昇したことで収益面は低迷し、ここに来て先行きの見通しが立たないことから今回の措置となった。

とのことである。

2012年度にピークを迎えたブランドが次年度には6億円近く売上高を落として赤字転落。
さらにその翌年には債務超過に陥り、今年倒産である。
この間、たった3年である。

創業は1986年だからジワジワと業容を拡大してきたが、急激な店舗網拡大によって赤字に陥るとともに商品の売れ行きが陰ってあえなく倒産した。

さて、この「チュウ」の商品だが、あちこちの処分屋・バッタ屋に流れており、現在安値で購入できる。
またシー・エス・ピーの幹部やらスタッフやらがあちこちで催事販売をして現金化しているとも聞く。

定価での価格帯でいうと、Tシャツ1900円、カジュアルアウターが3900~4900円、である。
ユニクロと同等か商品によってはユニクロよりも安い。
デザイン面でいうと、ユニクロよりもトレンド性が高い。
ユニクロはレディースもどちらかというとコンサバテイストであり、純然たるヤング向けではない。
ヤング向けということに関していえば、はるかにこの「チュウ」の方が適している。

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(商品一例)

まあ、そんな感じのブランドである。

倒産したブランドはあちこちで投げ売りされて現金化される。
それはこの「チュウ」だけが特別なのではない。

例えば、子供服のフーセンウサギが倒産したが、筆者は昨年、このフーセンウサギの「セレク」というブランドが近鉄百貨店あべのハルカス本店でワゴンセールで投げ売りされているのを見たことがある。
これは倒産後に流れてきた商品だろう。

また、3年ほど前は郊外のショッピングセンターの催事でボブソンのジーンズが投げ売りされていたのも見たことがある。ボブソンが再起する前だったので倒産後に在庫が流れてきたのだろう。

すべからく倒産ブランドの在庫品はあちこちに流れて投げ売りされるのが常態だ。驚くには値しない。

これと似たように感じたのは、「リズリサ」ブランドの売却である。

これもほんの数年前は超人気ブランドだったが、今は赤字転落しており、ブランドごと今年9月に売却された。
もともと展開していた会社は解散である。

これは繊研プラスから引用する。

http://www.senken.co.jp/news/management/crossplus-salelizlisa/

クロスプラスは9月15日、連結子会社のヴェント・インターナショナル(東京、檜皮和彦社長)を16年1月31日付で解散し、ヴェントが展開するリズリサ事業を投資ファンド、希キャピタルパートナーズ(東京)の子会社に10月に譲渡すると発表した。譲渡価格は3億800万円。クロスプラスは本業の製造卸事業に経営資源を集中し、低迷の続く業績を立て直す。

 ヴェント・インターは、「リズリサ」ブランドでヤング向けの衣料品と服飾雑貨を企画・製造し、商業施設の直営店などで販売してきた。不採算店の撤退や仕入れの見直し、コスト削減を進めてきたが業績は回復せず、15年1月期は売上高50億円に対し、経常損益は14億円の赤字、純損益も16億円の赤字だった。

 リズリサの商標は希キャピタル100%子会社のリズリサホールディングス(東京)に、商品在庫、事業設備、備品などは同ホールディングス100%子会社のLIZLISA(同)にそれぞれ譲渡する。

とのことである。

このニュースが流れてから、投資ファンドに何らかの関係のある人から「このブランドに3億円を払う価値があったの?」という質問メールが来た。

売上高が50億円でも経常損失が14億円、純損失も16億円だったなら、3億円も支払う価値はない。

そうお答えしておいた。
3億円支払ってまださらに15億円前後の赤字を背負い込むことになるからだ。

いやはや、本当にアパレルは水物である。

先日、「チュウ」ブランドについてこんなやり取りがあった。

あちこちで投げ売りされている「チュウ」ブランドだが、その中の1店で、「チュウ」の固定客だったという40代前後と思しき女性とである。ちょっと「チュウ」を愛用するには年齢が過ぎているかなという印象が強い。(笑)

この女性によると、倒産する1週間前くらいに「チュウ」の直営店に買い物に行ったところ、全品7割引きだったという。
「チュウ」のスタッフブログによると全店を5月29日に閉店しているので、おそらく5月半ばから20日過ぎの間だったと推測される。

いくらバーゲンが早期化しているとはいえ、5月半ばから全品7割引きセールをするブランドはない。
よほど現金化を急いでいたのだろう。

この女性も「何かがおかしい」と思ったらしいが、まさか、その直後に倒産するとは思わなかったとも。

さらにポイントが数千点たまっていたらしく、「せっかく貯めたのに無駄になった」とひどく落胆しておられた。
それはそうだろう。

5月の7割引きセールで使おうと思ったらしいが、「セール品じゃなくて定価品を買う時に使おう」と思ってさらに貯めたらしい。
気持ちはわかるが、その時に使うのが正解だった。

チュウの商品を見ていると、定価でもそれほど高くはないし、格別に上質というわけではない。
価格相応の品質しかない。
またセール品が粗悪品であるわけでもない。
だったらセール品で気に入った物があればポイントを使って買う方が良いのではないかと筆者は思う。

例えば5000ポイント貯まっていたなら、1000円に値下げされた商品5枚をタダで手に入れた方が良いのではないかと思う。

筆者なら間違いなくそうしていた。
そういえば、筆者はスーツカンパニーの毎号のメールマガジンについている10円分のポイントを何年間か貯めて1500ポイントにしてから、1500円に値引きされていたシャツをタダで手に入れたことがある。

アパレルブランドはいつ倒産するかもわからない。
貯まったポイントはなるべく早く使い切った方がお得である。

そう思わされたやり取りだった。




ファッション専門学校の生徒数はバブル期でも減少し続けていた

 連休中にふとこの記事を読んで、その中のグラフに目が止まった。

100年続くアパレル工場とは
http://www.huffingtonpost.jp/toshio-yamada/apparel_b_8168812.html

べつに内容に深く共感したわけではない。

その中でファッション専門学校生の人数の推移というグラフが掲載されていてこれに興味をひかれた。

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ファッション専門学校生の数は77年をピークにずっと減り続けている。
途中に微増する時期はあるが、77年・78年のピーク時までに戻ったことはない。

この状況を指して、「減り続けていることが残念」という意見があるが、筆者は別にそうは思わない。
学校関係者にはお気の毒だが、アパレル産業が若者にとって魅力ある産業ではなくなったのだから志望者が減少するのは何の不思議もない。

このグラフのソースはイマイチよくわからない。
しかし、某学校関係者が2年くらい前に見たことがあるそうなので、2013年ごろに作成されたのではないかと思う。

2012年は2万人となっている。
しかし、某専門学校の理事長がすでに2013年ごろには「全国のファッション専門学校生の人数は13000人くらい」と発言されており、この2万人でさえちょっと多めに見積もられているのではないかと思う。

さて、興味深いのが76年の4万人強から翌年の77年に9万人弱に倍増している点である。
このグラフが事実に近いとするならば、ファッション専門学校生の人数は徐々に微増を続けてきたのではなく、77年にいきなり倍増したということになる。

そういう意味ではジワジワと人気が高まってきたのではなく、何か特別な事件や事態が起きてそれに影響されたのではないかと考えられる。

筆者は70年生まれなので、76年当時は6歳であり、77年当時は7歳だ。
当然、その当時の社会的風潮や雰囲気はわからない。

先達によると、当時、パリコレで日本人デザイナーが大活躍をしたからそれに影響を受けたのではないかということである。
また別の先達によると、75年後半に放映されたドラマ「あこがれ共同隊」の影響もあるのかもしれないという。

ちなみに「あこがれ共同隊」についての詳細は以下を参考にしてもらいたい。

http://middle-edge.jp/articles/0bJEd

たしかに影響があったのかもしれないが、その割には視聴率が振るわずに打ち切られている。
しかし、こういうドラマがわざわざ作られたということは、これに近い雰囲気が社会に蔓延したと考えて間違いはないだろう。少なくともテレビ局側はそう考えていたということになる。

また別の先達によると、77年にポパイ創刊、78年にVANが倒産しているということなので、ファッションブームが76年ごろから醸成されていたとも考えられる。

ところが、7年後の85年には早くも5万人を割り込む。
ものすごい勢いで生徒数が減少していることがわかる。
さらに生徒数は減少を続け、バブル絶頂期の89年・90年には76年当時と同じ4万人強にまで生徒数が減っている。

このあたりになるとさすがの筆者も社会的雰囲気は覚えている。

たしか85年とか86年という時期、ブランドショップはすさまじい人気だった。
バーゲン時には開店前から長蛇の列ができているし、DCブームも到来した。
にもかかわらず生徒数は減少しているのである。

今でも業界では「バブル期は飛ぶように服が売れた」と認識しているが、そういう絶好調な業界にもかかわらずそこに入りたいという若者は減少し続けていたということになる。
しかもバブル期の89年には団塊ジュニアの先頭集団が高校を卒業する。
18歳人口は現在よりも当然多かった。

「空前の好景気+18歳人口の増加」にもかかわらずファッション専門学校への入学者数は減少している。

この事実を学校関係者はどう読み取るのだろうか。

現在の生徒数減少は18歳人口の減少という側面が少なからずある。
まあ、減っても仕方がない。
しかし、89年~92年ごろまでは18歳人口は増加を続けていた。
この時期にも生徒数が減っているということは、すでにアパレルは若者にとって魅力的な産業ではなくなっていたということになる。

アパレルの衰退はすでに30年前から起きていたといえるのではないか。
なにもバブル崩壊後に始まったわけではない。すでに80年代には若者に見放された業界だったといえる。

先達に言わせると、「80年代に入ってすぐにアパレルは他の産業間競争に敗れて、優秀な人材はこの業界に入らなくなった」ということになるが、まさしくその通りだろう。

その後、99~01年にかけては生徒数が微増する。
これは就職氷河期のピークで大卒でも就職できない時期だったから、「手に職を」と考えた若者が微増したと考えられる。
その後、2004年以降はまた減り続けるが、2004年以降は景気が回復して大卒が就職しやすくなったからまた減少したのだろう。

そして2008年からさらに減るが、これはリーマンショックによる不景気だろう。
また、少子化の影響もあるし、今度は労働力不足から売り手市場になったこともあるだろう。
ファッション業界なんかに来ずとも、もっと条件が良くて成長性の見込める企業に大卒者が就職しやすくなったからである。

おそらく2015年、2016年はもっと生徒数が減少しているだろう。

なぜならアパレルは不景気産業である上に、労働条件も良くない。産業としての成長性もあまり見込めない。
だから逆に言えば、学校関係者はお気の毒だが、生徒数が足りないくらいの方が、業界との需給バランスが成り立つのではないかと思う。

どうせ、就職先もあまりないし、就職したところでブラック紛いの企業が多い。
べつにユニクロのことではない、ブラック紛いの企業はアパレル業界には掃いて捨てるほどある。
正社員雇用だけど各種保険が完備していないとか、タイムカードがないとか、そんな企業はざらにある。
解雇は常態だし、そもそも企業自体がすぐに倒産する。
小規模・零細企業だけではなく著名ブランドだってすぐに倒産してしまう恐ろしい業界である。

まあ、それでも何とかしたいと思う人がいるなら、まずは業界での労働者の待遇を改善し、業界の成長性を提示・実証することだろう。
倒産が頻発するのはそういう産業構造だからこれは改善しようがない。

それがなされないままに、「夢」とか「希望」とか「楽しさ」を提示したところで専門学校生の人数が増えることは永遠にない。人間は「夢」や「希望」のみでは生活できないからだ。
まずは賃金、待遇である。そして産業としての成長性である。
成長性のない産業や企業に「夢」や「希望」は持てない。

だから個人的には、このまま生徒数は自然減に任せるのが良いのではないかと思う。

ちなみにファッション専門学校の淘汰はすでに始まっており、直近の事例でいうと、大阪ファッションデザイン専門学校はすでに生徒募集を停止したし、文化服装学院広島校も来春以降の生徒募集を停止した。
生徒募集を停止したということは、在校生が卒業したら閉校するということである。
今後、さらにファッション専門学校の数も生徒総数も減少すると考えられる。




最近出会った激安品たち

 世間は5連休の真っ最中である。

連休中なのでお気楽に。

普通に生活していて、現在の日本において服飾衣料品や食料品は依然として低価格が続いていると感じる。
通常の店舗でも恐ろしいほどの投げ売りが服飾衣料品、食料品ともに行われているし、服飾衣料品においては在庫処分屋(通称バッタ屋)を覗けば、アウトレットモールなんてばからしいくらいの低価格品であふれている。

そうそう、バッタ屋といえば、その昔、独自の割引チケットを発行して人気となった某ジーンズチェーン店も元々バッタ屋出身だと古い業界の人から教わったことがある。
たしかに独自の割引チケット発行なんていう制度はいかにもバッタ屋らしいといえばらしい。

現在の我が国の服飾衣料品の販売価格は世界一安いのではないかと思う。
バッタ屋はもちろんのこと、通常店の投げ売りでも世界一の低水準ではないか。

そんなこんなで、個人的に心に残った低価格品を今日は紹介したいと思う。
誰得のお気楽企画である。

まず、食料品である。
筆者は常日頃から関西の食品スーパーの雄、万代を愛用している。
たまにライフとか西友とかイトーヨーカドーとかで食料品を買うことがあるが、万代の定価よりも数十円は最低でも高い物が多い。

そして賞味期限切れ間近の商品の投げ売り価格になると万代は圧倒的である。
筆者の食料品の7割以上は万代の投げ売り品が支えていると言っても過言ではない。

昔の物を晒したところで、あんまり意味はないから9月に入ってから購入した投げ売り品を晒してみる。

写真 14

(1リットルサイズ)

写真 24

(1リットルサイズ)

写真 34

(麺2袋入り、タレ、辛子付)

写真 44

(12個入り)

写真 54

(半額で79円)

という具合である。

いずれも超破格値品をアップしてみたが、これら以外でも通常、割引していない食品はほとんど購入していない。

万代以外だと自販機でもそうだ。

現在、通常の自販機のジュースの値段は500ミリリットルのペットボトルを除いて、通常の缶ジュースは130円が定価である。
しかし、大阪市内には100円自販機がすごくたくさんある。
東京23区内にも多少見かけるが、おそらく大阪市内の方が格段に多いだろう。
大阪市内の自販機でわざわざ定価で購入したことがない。
常に100円自販機を利用している。

そんな中、大阪市中央区北久宝寺町1丁目で、さらに激安自販機を見つけた。
ほかにも大阪市内には激安自販機がチラホラとある。
500ミリリットルのペットボトルも含めてこの自販機の中心価格帯は50~80円である。
最安値品は30円、最高値品は100円であり、100円を越える飲料は販売されていない。

写真9

服飾衣料品だと、バッタ屋が軒を連ね、最早激安の聖地になったともいえる天神橋筋商店街だが、Tシャツ500円程度では当たり前すぎて最近では驚かなくなってしまった。
しかし、先日、190円(税抜)で販売されているパンプスを見つけてさすがに驚いた。

筆者の認識だと靴の方が衣料品よりも販売価格が高いのは当たり前と考えている。
だから1000円の靴だと破格値だし、500円だと超破格値である。
300円台とか、かつては180円とかで販売していたヒラキのスニーカーはだからすさまじい破格値だったのだが、この190円パンプスはそれ並みだ。
しかもおそらくヒラキのスニーカーより原材料費は高い。

これを通販で買ったという人によると1900円だったとのことで、1900円でも大概に安いが、190円だと原価より安いくらいではないか。

BlogPaint

まあ、こんな感じでみなさんも激安生活を楽しんでいただきたい。






衣料品の国内生産をめぐってあれこれ考えてみた

 とりとめもないが、衣料品の国内生産を巡る現状についてまとまりなく考えてみたい。

製造側、ブランド側によっても見方が違うし、それぞれの側でもまた各企業によって見方が異なる。
その中のいくつかを紹介することで、全体を考える何かの手掛かりになるのではないかと勝手に思っている。

先日、小規模なカジュアルブランドの展示会にお邪魔した。

そのブランドが言うには、「国内縫製工場はどこも満杯な上に、ほんの少しベーシックから外れたデザインで『こんなものは縫えない』と言ってくる。工賃も上がっているし、再度、アジア縫製を見直す必要がある」とのことである。

物事は需給バランスなので需要が増えれば価格が上がる。
工賃上昇は仕方がない側面がある。

それより個人的に深刻だと感じたのは、超ベーシック品しか縫えないと言いだす姿勢にある。
もしこのブランドがもっとたくさんのロットを発注できたら態度が異なるのかもしれないが、現在の国内ブランドで大量発注できるブランドがどれほどあるのだろうか。

彼らの言を借りるなら、「いわゆる前開きのないズボンで、両脇に切り替えが入ったものでも『縫えない』という」らしい。
それこそ、中国工場ならわけもなく縫えるレベルのデザインである。

すべての国内工場がこうではないが、こういう工場はベトナムやミャンマー、アセアンでの生産体制が整い次第、おそらく受注は急減するだろう。

工賃云々ではなく、ブランド側からすれば使いづらい。

工場側からすればまた反論もあるだろう。

外野の立場である筆者から見ると、国内工場には技術的にも商売の姿勢的にも相当にバラつきがある。
これは縫製だけではなくて生地製造、染色加工、整理加工についても同じだと感じる。

いわゆるクールジャパンが喧伝するような高品質な工場は実際にある。
その一方で、クオリティの低い工場も相当数ある。

一概に日本製だからといって必ずしも高品質とは限らないのが実情である。

反対に中国製でも高品質の商品もある。

一方で、縫製工場からすると、受注枚数は増えているが1枚当たりの工賃は下げられる傾向にあり、「やっていられない」という雰囲気もずいぶんと蔓延している。

アパレルもそうだし、小売店もそうで、なぜだか売れれば売れるほど、1枚当たりの単価を安くしたがる。

例えば、1000枚くらい売った小売店があったとすると、その小売店はアパレルに対して必ず「値入率を下げてくれよ」という。これを言わない小売店の方が少ないだろう。
じゃあちょっとサービスしようかということになるが、良く考えてみると「たくさん売れる人気商品をどうして値下げしないといけないのか」ということになる。

この商品がもっと売れたら、さらに値入率の低下を提案される。

アパレルからすれば「やっていられない」ということになり、アパレルは直営店化を考え始める。

これと同じことがアパレルと縫製工場にも起きる。
1000枚発注するから安くしてくれ、1万枚発注するからもっと安くしてくれ、ということになる。

縫製工場側からすると生産数量は増えるがちっとも儲けは増えないということになる。
いわゆる薄利多売状況である。

もちろん中にはそうでない工場もある。

縫製工場がすべて満杯なのかというとそうでもないようだ。

先日、展示会にお邪魔した子供服ブランドによると、ちっとも仕事が増えない縫製工場もけっこうあるという。
なにせ縫製工場をウェブ検索してもほとんど出てこない。
縫製工場を探しているブランドはけっこうあるが、知り合いから紹介してもらう以外に探す手段がないというのが現状である。

また、先日、このブログの読者であるという縫製工場の方からメールをいただいた。

一読してまだ対策やアドバイスを思いつかないでいるのだが、そこも相当に厳しいようだ。
受注も増えていないようだ。

となると、縫製工場は自衛策として高い工賃の受注先を探すか、自社オリジナル製品を立ち上げるかだ。
どちらもそれなりに困難が伴う。
とくにオリジナル製品を売るのはまた違ったノウハウと努力が必要となる。

なんとなくだが、このまま国産回帰が続くとは思えないし、国内縫製工場の多くが潤うようになるとも思えない。

結局のところ、縫製工場自身も自衛しないといけないし、勝ち残る工夫をしなくてはならないということにもなる。

それは各ブランドにとっても同じことであり、それにしてもこの世で生きるのは厳しいことである。
筆者なんてしょっちゅう絶体絶命のピンチである。

筆者もいつまで生き延びられることやら・・・。
まあ、それほどこの世に強い執着はないのだけど。




「伝統」一辺倒では飽きられる

 クールジャパンも含めてにわかに国産製品が見直されているという風潮が醸し出されている。これもキャンペーン臭と勘違い臭が漂っているのだけれども。(笑)

各ブランドが日本製だとかメイドインジャパンだとかメイドインニッポン(笑)だとかを続々と打ち出し始めている。

これらの多くは、「伝統の技法」とか「匠の技」をウリにしており、どちらかというとやや民芸品、伝統工芸品的な匂いが多いように感じる。

例えばジーンズなんかはそういう打ち出しにマッチしやすい。
何せビンテージジーンズブーム以来、なんだかんだと20年間そういう打ち出しをしているのだから、世間一般への認知度は高い。

ただし、ジーンズ業界が停滞しているのはこれにこだわり過ぎているからではないかというのが、個人的な意見だ。

「ジーンズ=匠の技」みたいなブランドが多すぎて飽和状態にあるのではないかと感じる。

それはさておき。

昨今、唐突に「日本製」を語りだしたブランドの多くは、当然、民芸品・伝統工芸品的なイメージを強めているのだが、筆者にはそれがどうにもミスマッチだと感じられる。
ミスマッチというか「付け焼刃感」がハンパナイと感じられる。

アメリカ発祥のワークブランドやスポーツブランドのジャパン社までが「日本の伝統の技術を用いた云々」みたいな新ラインを立ち上げたりする。
はっきり言って違和感満載である。「お前らアメリカやん。日本の伝統の技法と関係ないやん」と思ってしまう。

また日本のブランドでもこれまで「イタリアガー」とか「パリガー」とか「西海岸のセレブガー」とか叫んでいたブランドが唐突に「日本の匠の技術を用いた云々」なんて言い出しているところもある。
どう見てもクールジャパン的な売り出しに乗っかるための付け焼刃感しかない。

繊維・アパレル業界全体を見ても、なんとなく世界に対して「日本の伝統のナンチャラ」を売り出したいのかなと思ってしまうが、古くからそういう取り組みをしているブランドは別として、売らんかなのためにイタリアーン命みたいなおっさんから突然「やっぱり日本製だよね」とか言われても説得力ゼロである。

日本製の打ち出しって「伝統」とか「匠」とか民芸品以外の打ち出しができないのかと疑問に感じていた。

もちろん、そういうブランドや製品があるのは当然だが、そういうブランドばかりになっている現状はちょっと違うのではないかと思う。

それこそ、伝統とか匠の過当競争になり、その中で激しい生き残り合戦が行われる。
需給バランスから考えても早晩供給過多になるだろうし、もしかしたらすでにそうなっているのかもしれない。

先日、某デザイナーとそんな話をしていたら、そのデザイナーは「ハイテク素材、合繊素材が日本を象徴してるのではないかと最近思うようになった」と言い始めた。

もともと「和」とか「日本製」を強く打ち出しているブランドだったら、「伝統」路線で違和感はない。
しかし、このブランドはどちらかというと欧州的なテイストを表現し続けてきたブランドだし、一部は日本製生地を使用していたがそれを強烈にアピールしていたわけでもない。

このブランドがもし「伝統」とか「匠」とか言い出したら、それこそ付け焼刃感しかない。

今後、欧米市場への販売を考えたときに、やはり「日本」を表すなにかが必要だと感じた。
自分でも「匠」を打ち出すのは違和感があったから、考えた結果が、ハイテク・機能素材を含めた合繊だったというわけである。

たしかに日本の合繊は世界でも最高水準にあるし、ハイテク・機能素材もトップランクにある。

今までの欧州的服作りのままで、そこに合繊を使用することで日本を強くイメージさせられるのではないかという結論に至った。

筆者もこのプランニングは賛成である。

そんなことがあった直後、ジョイジッパーさんもこんなブログをアップされていた。

青い海と赤い海
http://ameblo.jp/knitkitchen/day-20150915.html

これで渚に白いパラソルがあったらトリコロール完成である。

閑話休題。

でも唯一、

今のアパレル業界で

ブルー・オーシャンを作れるとすれば

それは「テクノロジー」なんじゃないかと

思ったりもしてます。

(※「売り方(=サービス)」という視点で見ればブルー・オーシャンになり得る事例は多数あるとは思いますが、今回は「売り方(=サービス)」という概念は除きますね。話がややこしくなりますから(笑))

個人的には

あまり「機能」を前面に押し出すのは

好きではないのですが(笑)

とのことである。

個人的には機能だけを打ち出さなくても、合繊使いによってこんなに肌触りが良くなったとか、表面の風合いが良くなったとかそういう打ち出しでも良いのではないかと思う。

一般的に、外国人は日本に対して「ハイテク」とか「テクノロジー」のイメージも強いといわれているから、ハイテク・機能素材を含めた合繊をメインに打ち出すのは関連付けがしやすいのではないだろうか。

何度もいうが、「伝統」とか「匠」のイメージを打ち出すのは当然だが、その方向だけで日本製のイメージを限定させるのはミスリードを引き起こすのではないか。
それに需給バランスもとりにくい。

もう一方で、ハイテク・テクノロジーをイメージさせる打ち出しを日本製に付与してはどうか。
日本製にというよりは、日本製衣服にと言った方が正確だろうか。

一本柱よりも二本柱の方が安定性は増すではないか。




太めシルエットの復活でさらに多様化が進む

 店頭ではこれから秋冬商戦が本格化するが、ブランド展示会は現在、来春夏展が開催されている。
業界新聞記者当時ほどは多くのブランドを訪問していないが、いくつか訪問した中でも来春夏展はメンズ・レディースともにビッグシルエット、太めシルエットがトップス・ボトムスともに提案されており、一部ブランドでは今秋からこれが本格化しているように見える。
とくに今秋のファッション雑誌はメンズもレディースもヤングもアダルトも一様にビッグシルエットを押している。
まあ、ファッション雑誌特有のキャンペーン臭が漂っているのだけども(笑)

筆者はトレンドに疎い上に、ファッショニスタではないので太めに関する解説は畏友の釼英雄さんにお任せする。

太めが復活しそうな予感
http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/60d955e2f4f2d3d222c66f7424848a2d

美麗な写真がふんだんにあるのでかなり参考になるだろう。

太め、ビッグシルエットといえばバブル全盛期が思い出される。
実際のところこのシルエットは幾分緩和されたものの、最終的には2000年ごろまで継続している。
90年代後半とか2000年ごろのジャケットをお持ちの方は見直してみてもらいたいのだが、かなりアームホールが大きいはずだ。

筆者の所有していたそのころのコート、ジャケット類はアームホールが大きくて袖が太かった。

リメイクして着るという方法も考えたが、新しく格安品を買うよりリメイク費用の方が高くなりそうなので先日捨てた。
使用素材、とくにウール関係の素材は、今の商品とはくらべものにならないくらいに上質だったのでもったいなかったのだが。

個人的に今回考えてみたいポイントは2つある。

1、復活した太めシルエットが大ブームになるのかどうか
2、太めシルエットの洋服を着る際にはどんな注意が必要になるのか

である。

1に関していえば、単なる個人的な展望になる。

個人的展望でいうなら、バブル全盛期ほどにだれもかれもが太目シルエットになることはありえないのではないかと考えている。
たとえば、メンズのスーツは引き続き細めシルエットが主流のままだろう。
バブル期のようなダボダボのソフトスーツが一般サラリーマンに取り入れられることはないと見ている。

以前にも書いたように、ファッショントレンドが生まれても、我が国はすでに全員がそれに従うような市場ではなくなっている。
ガウチョパンツを買った人が、違う日には細めのスキニーパンツやレギンスを穿いている。
ナチュラル系テイストが好きな人は年がら年中ナチュラル系だし、フェミニン系が好きな人は年がら年中フェミニンである。
こういう人々はミリタリールックが流行ったからといって、突然ミリタリールックを着用し始めるようなことはない。

ある程度、需要は分散化しており、それぞれのテイストの愛好者はそこから突然大きくテイストを変更するようなことはあまりない。

これはとりもなおさず、我が国市場が成熟化したということだろう。

2000年ごろまでは、年配層がほぼファッションとは無関係・無関心という人が多かった。
ファッション=若者、ファッション=めまぐるしく変わるトレンドという構図だった。

現在ももちろんそういう構図は生きているが、それだけではなくなっている。

現在の65歳は2000年当時は55歳、90年当時は45歳だった。
まさにバブル期を謳歌した人が今の年配層となっている。
2000年ごろの年配層とはファッションへの関心は格段に異なっている。

これは全年代に言えることであり、今の50代はバブル期に30歳手前だったし、今の40代はバブル期に学生時代を過ごしていた。
それぞれにそれなりにファッションに対して自分のスタイルがある。良くも悪くも。

バブル期のファッション需要は若い人にしかなかったような印象があるが、今では全年代にそれなりのファッション需要はある。当時とは洋服の価格は格段に異なるが。

となると、若者層が飛びつくようなトレンドが市場を席巻することはちょっと考えにくい。
また若者層の中にもそれなりに異なるテイストを支持する人もいるから、バブル期みたいに全員が同じトレンドを向くことは考えられない。

これが大手アパレルが苦戦している原因の一つにもなっているのだと思う。

2についてだが、これは自分自身も含めてのことである。

上下ともにビッグシルエットでそろえるのは多くの人にとって危険だと感じる。
かつてストリートでヒップホップスタイルが流行ったときに上下ともにダボダボの服を着ていたが似合っている人はそんなにいなかった。

上下ともにダボダボだと見るからにだらしない。
だらしないから筆者はかつてのヒップホッパーが嫌いだった。

どちらかを細めにした方がまとまりが良いと思う。

これがモデル級に背が高くてスマートで足が長くて顔が小さくて、顔の中身がイケメンなら話は別だが、そんな人は少数しか存在しない。

多くの人はスタイルが悪くて顔が大きくて、顔の中身も残念である。

筆者は顔がかなりデカい。

パンツが太目ならトップスはこれまで通りにジャストサイズかタイトなものにするとまとまりが良い。
トップスがルーズならボトムスはせいぜい細身ストレートくらいにすべきだろうと思う。

先日、訪問したメンズカジュアルブランドのルック写真を見ていたら、ブランドのデザイナーが、「ちょっとモデルの選択に失敗しました」という。
男性モデルが割合にがっちりとした体型だったのだ。

このモデルがジャストサイズの服を着ているととてもかっこいいのだが、流行のビッグシルエットのトップスを着ているととてもダサい。
それは、ダボダボの半袖シャツを着ているサラリーマンのオッサンみたいに見えるからだ。

また顔の輪郭がガッチリし、肩幅が広くて胸板の厚い彼がビッグシルエットを着ると、その下の引き締まったウエストなどがすべて隠されてしまい、単に「格闘家みたいにゴツいオッサン」か「もしくは肥満したオッサン」にしか見えなくなる。

ブランドのデザイナーが「ちょっと失敗しました」というのはそういうわけである。

というわけで顔がデカくて胸板の厚い筆者はビッグシルエットのトップスは避けるべきだろう。

ビッグシルエットのトップスをダボっと着て様になるのは、顔が小さくて華奢な体型の男性に限られるというのが結論である。

写真99

(今月号で見つけたビッグシルエットのコーディネイト。顔がデカくて胸板の厚い人が真似をすると超危険)

もし、筆者や筆者に類したオッサン連中がビッグシルエットを取り入れたいと思うなら、ボトムスを少し太くする程度にすべきだろう。
一番穿きやすいのは、腰回りと太ももにゆとりがあってつま先が細くなったテイパードシルエットの太目パンツだろうか。

つま先までドカンと太いパンツは背が高くて足が長くないと似合わないしトップスとのバランスもとり辛い。
下手したら学生時代に諸兄が穿いていたボンタンみたいになってしまう。
いっそのことその上は長ランみたいなのを着てみたらどうだろう。高校生時代に戻ったように感じて新鮮なのではないか。(笑)

冗談はさておき。

今回の太めシルエットは、久しぶりの大きなトレンド変化といえる。

しかし、かつてのように細めシルエットが絶滅するとは考えにくい。
細めシルエット、ジャストサイズシルエットはこれからもベーシックとして残るだろう。

ただ、ピチピチ一辺倒からは解放されるのではないかと思う。

太めシルエットの復活で着こなしは一層の多様化が進むのではないか。
太めシルエット、バブル期ファッションが復活したことで、戦後のトレンドはこの20年間ですべて復活したことになる。今後はそれぞれが少しずつミックスしながら、それぞれの愛好家がすみ分けるのではないだろうか。

まあ、そんな雑感である。




工業的作業と商業的作業を同時に進めるのが本来のブランド作り

 ファッション専門学校で学生に話したことを改めてまとめてみる。
日頃から実践的なビジネスに携わっている方々は当たり前のこととしてとっくに理解しておられると思うので、読み飛ばしてもらえばありがたい。

昨年春ごろから相対的に洋服の価格が上昇している。
その理由は3つある。

1、円安基調
2、原材料費の高騰
3、アジア諸国の人件費の上昇

である。

これが3つとも重なっているから値段を上げざるを得ない。
それはブランド側が自社の利益を変わらず確保するためには必要な措置である。

経営者によっては自社の利益を少し削ってでも店頭販売価格を現状維持しようと考える人もいる。
それは経営判断であり、他者がとやかくいうことではない。
ただし、利益を少し削ることはできても大幅に削ることはできない。
それではブランド側が成り立たなくなる。

例えば店頭販売価格5000円の洋服があったとする。
この原価率は30%だとすると、1500円である。
残り3500円が粗利益ということになるが、この中には経費が含まれている。

店舗や本社事務所の家賃、人件費、物流費、通信費、店舗で使うショッパーなどの備品代、水道光熱費、手数料などである。

これらの経費を引いたのが、利益ということになる。

利益を増やしたければ、製造原価を下げ、人件費や家賃などの経費を下げれば利益は増える。
ただし、昨今の風潮ではブラック企業と呼ばれることになりやすい。

製造原価を下げるということは、粗悪で廉価な材料を使い、工賃を限界以上に引き下げれば実現できる。
経費を下げるには固定費と呼ばれる人件費と家賃が一番下げやすい。
低賃金で従業員を働かせ、安い物件に事務所や店舗を移転すれば良い。

物流費や手数料も交渉次第では何%か引き下げることは可能だし、水道光熱費も節約に徹すれば少しは引き下げられる。

これを全部実現すればブラック企業と呼ばれることになるだろう。
しかし、やり過ぎなければこれは堅実な経営手法と呼ばれる。

もう一つ利益を増やす方法がある。
それは同じ原価で作った商品をさらに高く売ることである。
例えば売価を15000円にするとか、15万円にするとかという手法である。

原価1500円の物を15000円とか15万円で売れば、経費を引き下げずに利益は増える。
これがいわゆる高級ブランド、ラグジュアリーブランドの考え方である。

現実的には原価1500円ではないし、経費もかなり多く使っている。
店舗も備品も広告宣伝費もそこら辺のブランドとはケタ違いである。だから、高額での販売が必要となる。
卵と鶏の議論みたいにどちらが先かわからなくなるのだが(笑)

こういう話をすると、高額ブランドは詐欺まがいかという感想を持ってしまうが、如何に値打ちを伝えて高く売るかというのはブランド戦略であり、広報販促活動である。
工業的物作りとは別の話となる。

そこで学生たちに尋ねてみた。

「仮に、クリスマスに彼氏が『カルティエの時計』を買ってあげると言った場合、どこで買うことを想像する?」と。

すると学生たちは

「やっぱりカルティエのショップかなあ」と答える。

まあ、当然の答えである。

一方で、ドンキホーテという有名なディスカウントチェーン店がある。
ここでもラグジュアリーブランドの商品が売られている。
決して中国の広州市場から仕入れてきた格安のコピー商品ではない。
れっきとした正規品である。

ただし、正規店舗よりもだいたい2割5分~3割程度安い。

仮にカルティエの時計の正規価格が30万円くらいだとすると、ドンキだと最低でも7万5000円くらいは安いということになる。

単にカルティエの時計という物自体が欲しいならドンキで買った方がお得である。
浮いた7万5000円で高級焼肉も食べに行ける。

それを説明した上で、再度学生たちに尋ねてみた。

「彼がドンキでカルティエの時計を買ってくれたらどう思う?」と。

すると学生たちは「うれしいけど、やっぱりちょっと何かが違うと感じます」と答えた。

大阪のオッサンとオバハンなら間違いなくドンキで買って、「浮いた7万5000円で高級焼肉食べられるでぇ。得したわぁ」と喜ぶ。
筆者ならカルティエっぽい時計を2900円くらいで買う。

学生たちも「ガメツイ町」大阪の子供たちだからドンキで買うことにコストメリットを感じている。
しかし、やっぱりどこかに違和感も覚える。

これが「ブランドの力」というものである。

もし東京の女性たちだったらもっと抵抗を感じるのではないか。

単に「カルティエの時計」という物自体が欲しいのだったら安いところで買えるに越したことはない。

でもそうではなくて、物ももちろん欲しいのだろうが、カルティエの店で買うということに満足感、憧れ、ステイタス性を感じるということである。
大阪の専門学校生からして、そこに一応の魅力を感じているということである。
そうでないと、ドンキに連れて行ってもらって満足しているはずだし、浮いた7万5000円で焼肉か寿司でも食べに行くことに違和感は覚えないだろう。

このカルティエの例え話は、エクスマの「銀座カルティエ事件」から引用している。

興味のある方は全文をどうぞ。

1998年12月24日 銀座カルティエ事件
http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-11417743914.html

これはカルティエだけでなく、エルメスでもルイヴィトンでも同じである。

アパレルブランドの活動というのは、本来はこの2つを同時にしなくてはならない。

1、原価と経費をシビアにコントロールして、確実に利益を残せる物作り・物流体制と販売体制の構築
2、より高い価格で買ってもらうためのブランド作り、ステイタス性の付与、イメージ作り

である。

前者は工業的、後者は商業的と言えるだろう。

しかし、実際のところブランド側も消費者側もこの2つの座標軸をすぐに混同してしまう。
むろん筆者もである。

前者だけの視点でやると90年代後半から続いている低価格化競争ということになる。
ブランドは良い品を如何に安く作るか、消費者は良い品を如何に安く買うかということが最大のバリューとなる。

後者だけの視点になると、粗悪品を超高額で売りつけるボッタくり商法に堕ちてしまう。

この2つを同時並行で実現する必要があるのだが、できているブランドは少ないのではないか。

先に挙げたような要因で500円や1000円でも店頭販売価格を上げなくてはならないなら、如何に高くても買ってもらえるようなブランド作りをするかということが急務だといえる。

このあたりを整理して考え直すと、また違った取り組み方法が見えるのではないかと思う。

冒頭に書いたようにビジネスを実践している方々は、常に考えておられる当たり前のことだろうから、こんな長文をわざわざ読む必要はない。

もし、整理できていないという方がおられて、読んだことで何かのきっかけになるなら望外の幸いである。






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