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南充浩 オフィシャルブログ

「伝統」一辺倒では飽きられる

2015年9月17日 未分類 0

 クールジャパンも含めてにわかに国産製品が見直されているという風潮が醸し出されている。これもキャンペーン臭と勘違い臭が漂っているのだけれども。(笑)

各ブランドが日本製だとかメイドインジャパンだとかメイドインニッポン(笑)だとかを続々と打ち出し始めている。

これらの多くは、「伝統の技法」とか「匠の技」をウリにしており、どちらかというとやや民芸品、伝統工芸品的な匂いが多いように感じる。

例えばジーンズなんかはそういう打ち出しにマッチしやすい。
何せビンテージジーンズブーム以来、なんだかんだと20年間そういう打ち出しをしているのだから、世間一般への認知度は高い。

ただし、ジーンズ業界が停滞しているのはこれにこだわり過ぎているからではないかというのが、個人的な意見だ。

「ジーンズ=匠の技」みたいなブランドが多すぎて飽和状態にあるのではないかと感じる。

それはさておき。

昨今、唐突に「日本製」を語りだしたブランドの多くは、当然、民芸品・伝統工芸品的なイメージを強めているのだが、筆者にはそれがどうにもミスマッチだと感じられる。
ミスマッチというか「付け焼刃感」がハンパナイと感じられる。

アメリカ発祥のワークブランドやスポーツブランドのジャパン社までが「日本の伝統の技術を用いた云々」みたいな新ラインを立ち上げたりする。
はっきり言って違和感満載である。「お前らアメリカやん。日本の伝統の技法と関係ないやん」と思ってしまう。

また日本のブランドでもこれまで「イタリアガー」とか「パリガー」とか「西海岸のセレブガー」とか叫んでいたブランドが唐突に「日本の匠の技術を用いた云々」なんて言い出しているところもある。
どう見てもクールジャパン的な売り出しに乗っかるための付け焼刃感しかない。

繊維・アパレル業界全体を見ても、なんとなく世界に対して「日本の伝統のナンチャラ」を売り出したいのかなと思ってしまうが、古くからそういう取り組みをしているブランドは別として、売らんかなのためにイタリアーン命みたいなおっさんから突然「やっぱり日本製だよね」とか言われても説得力ゼロである。

日本製の打ち出しって「伝統」とか「匠」とか民芸品以外の打ち出しができないのかと疑問に感じていた。

もちろん、そういうブランドや製品があるのは当然だが、そういうブランドばかりになっている現状はちょっと違うのではないかと思う。

それこそ、伝統とか匠の過当競争になり、その中で激しい生き残り合戦が行われる。
需給バランスから考えても早晩供給過多になるだろうし、もしかしたらすでにそうなっているのかもしれない。

先日、某デザイナーとそんな話をしていたら、そのデザイナーは「ハイテク素材、合繊素材が日本を象徴してるのではないかと最近思うようになった」と言い始めた。

もともと「和」とか「日本製」を強く打ち出しているブランドだったら、「伝統」路線で違和感はない。
しかし、このブランドはどちらかというと欧州的なテイストを表現し続けてきたブランドだし、一部は日本製生地を使用していたがそれを強烈にアピールしていたわけでもない。

このブランドがもし「伝統」とか「匠」とか言い出したら、それこそ付け焼刃感しかない。

今後、欧米市場への販売を考えたときに、やはり「日本」を表すなにかが必要だと感じた。
自分でも「匠」を打ち出すのは違和感があったから、考えた結果が、ハイテク・機能素材を含めた合繊だったというわけである。

たしかに日本の合繊は世界でも最高水準にあるし、ハイテク・機能素材もトップランクにある。

今までの欧州的服作りのままで、そこに合繊を使用することで日本を強くイメージさせられるのではないかという結論に至った。

筆者もこのプランニングは賛成である。

そんなことがあった直後、ジョイジッパーさんもこんなブログをアップされていた。

青い海と赤い海
http://ameblo.jp/knitkitchen/day-20150915.html

これで渚に白いパラソルがあったらトリコロール完成である。

閑話休題。

でも唯一、

今のアパレル業界で

ブルー・オーシャンを作れるとすれば

それは「テクノロジー」なんじゃないかと

思ったりもしてます。

(※「売り方(=サービス)」という視点で見ればブルー・オーシャンになり得る事例は多数あるとは思いますが、今回は「売り方(=サービス)」という概念は除きますね。話がややこしくなりますから(笑))

個人的には

あまり「機能」を前面に押し出すのは

好きではないのですが(笑)

とのことである。

個人的には機能だけを打ち出さなくても、合繊使いによってこんなに肌触りが良くなったとか、表面の風合いが良くなったとかそういう打ち出しでも良いのではないかと思う。

一般的に、外国人は日本に対して「ハイテク」とか「テクノロジー」のイメージも強いといわれているから、ハイテク・機能素材を含めた合繊をメインに打ち出すのは関連付けがしやすいのではないだろうか。

何度もいうが、「伝統」とか「匠」のイメージを打ち出すのは当然だが、その方向だけで日本製のイメージを限定させるのはミスリードを引き起こすのではないか。
それに需給バランスもとりにくい。

もう一方で、ハイテク・テクノロジーをイメージさせる打ち出しを日本製に付与してはどうか。
日本製にというよりは、日本製衣服にと言った方が正確だろうか。

一本柱よりも二本柱の方が安定性は増すではないか。




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