月別: 4月 2015 (1ページ / 3ページ)

ダウンジャケットは水洗いできる

 昨日は思い立ってダウンジャケットを洗濯した。
4月は寒い日もあるので、毎年、冬物はそのままにしてある。
5月になるとさすがにそんな日はないから、5月から徐々に衣替えを始める。
とはいっても、母が亡くなった3年前の5月には異様に寒い日があった。
母が亡くなった日は真冬に戻ったかのように寒かった。

昨年の12月ごろからダウンジャケットを着て寝るようになった。
ユニクロのライトダウンである。
ウルトラライトダウンを発売する前に発売していたライトダウンジャケットである。
重さは400グラム。

もともとは外着にしていたのだが、12月からはすっかりルームウェア兼パジャマとなっていた。
そのダウンジャケットを洗濯した。

以前、ライトオンが「ウォッシャブルダウン」を発売していたことがあるが、そんな物をわざわざ開発せずとも、ダウンジャケットは基本的に水洗いが可能である。
外側の生地がウールやシルクなどのダウンジャケットなら水洗いしない方が良いが、オーソドックスなポリエステルやナイロン素材なら水洗いが可能だ。

洗濯機で水洗いするだけで首元の汚れは随分と緩和される。
もっときれいに洗いたいという人にはダウンジャケット専用洗剤の使用をお勧めする。

ダウンジャケットは水に浮くので、タオルでぐるぐる巻きに縛って洗濯機にブチ込む。
そして洗剤を入れずに水を入れて洗濯機のスタートボタンを押す。
あとは機械任せである。

何故水洗いが可能かというと、
まず、外側の生地のポリエステルやナイロンは基本的に洗濯しても、色落ちも縮みもしない。
そして、次に中に詰められている羽毛だが、基本的に水に強い。

羽毛に包まれた鳥が水に強いことから類推すれば容易に想像ができるはずだ。

外側の生地も中の詰め物も水に強いなら、それでできた衣服は水に強いはずである。
簡単な理屈である。

ただし、お湯や専用以外の洗剤を使うのはあまり良くない。
なぜなら羽毛の脂分がすべて溶けて流れ出てしまうからだ。
ドライクリーニングも同様の理由で望ましくない。

ダウンジャケットは本来「水洗い表示」されていても当然のアイテムなのである。

最近は、消費者から過度のクレームが来るために極めて消極的な洗濯ネームが付けられた衣服がある。

先日、バッタ屋の店頭に立っていたところ、ワンピース+ジャケットのセットスーツを購入したお客がいた。
で、なんだかんだと話を聞いていたところ、「手洗い不可になっているけどクリーニングに出すのかしら?」という話になった。

素材の組成表示を見ると、表地も裏地も「ポリエステル100%」だった。
芯地や付属などによほど特殊な物が使われていない限り、ポリエステル100%素材は洗濯機での洗濯が可能である。
ダウンジャケットのように水洗いする必要もなく、普通に洗剤を使っても構わない。

逆にポリエステル100%が洗濯不可ならこの世に洗濯できる衣服は存在しなくなる。

この商品は大手通販の在庫であり、大手通販には何か月も使用した後で返品してくる悪質なお客も多いから、おそらく自衛のためにこういう表示を付けたのではないかと考えられる。

しかし、それでも「ポリエステル100%」で「手洗い不可」はちょっとどうかと思ってしまう。
逆にドライクリーニングに出すことでポリエステル素材が色落ちする可能性も無きにしも非ずだ。
ポリエステル素材は、通常洗濯よりも場合によってはドライクリーニングの方が危険である。

最近はあまりにも安全策を取りすぎた洗濯ネームの表示が増えたが、なんだか釈然としない。

低下し続けるファッション雑誌の影響力

 ファッション雑誌の影響力は年々低下していると感じる。
いまだにファッション雑誌一辺倒のブランドのプレス担当者も相当数存在するが、正直なところ、彼らは時流に取り残されているだけとしか感じられない。

先日、こんな記事が掲載された。

もはや女性ファッション誌を買うのはダサイ?衝撃の若者離れが発覚、毎月買うのはわずか1割
http://news.livedoor.com/article/detail/10046747/

本文を読んでもらえればわかるのだが、これは「小悪魔ageha」の復活に際して、行ったアンケート結果である。
調査対象者数が50人であることと、対象が若い女性である。

その中の設問で

・最近、ファッション誌を購入していますか?
毎月購入している…5人
ときどき購入している…14人
購入していない…31人

という結果になった。

対象者数50人で、毎月ファッション雑誌を購入していると答えた人は5人だから、1割しか毎月購入していないということになる。
購入していないが31人なので過半数以上を占めている。

これが対象者がもう少し上の層ならまた比率が変わってきたかもしれない。
若い女性層だからこういう結果になったという要因も考えられるだろう。

50人しか調査していない、対象が若い女性だった、というこの2点を割り引いてもファッション雑誌を重視する人は年々少なくなっていると考えても大きくは間違っていないだろう。

以前にも書いたことがあるが、某インポートイタリアンカジュアルブランドの担当者が「最近はファッション雑誌に掲載されてもまったく反応がない。男女とも若い層はウェブを見ている。ブログやWEARのようなアプリでコーディネイトを見ている」と嘆いていたことがあった。
去年の夏ごろの話だ。

このブランドは2000年ごろから各ファッション雑誌で常連のように登場していたから、ファッション雑誌の効力は十分に理解していた。
しかし、そんなブランドですら、ファッション雑誌は影響力が低下したと感じていることになる。

今後もファッション雑誌がゼロになるということは考えにくい。
しかし、これまでのように同一ジャンルに何誌も共存できるような環境ではなくなりつつある。
今後はさらに淘汰され、少数の雑誌が生き残り、それ以外はすべて廃刊になると考えた方が良いのではないか。

当然、ブランドの広報・プレス担当者はファッション雑誌よりもウェブ媒体を重視すべきである。

ブランド側が広報費を削るとするなら、まっさきにファッション雑誌を削るべきではないかとさえ思う。
売れていない時こそ広報費・広告費は使わねばならないが、ファッション雑誌に過剰に投資したところでそれほど効果はない。
2000年代半ばまではどうだったか知らないが、現在はそのようになってしまっている。

なんとかの一つ覚えのように「雑誌、雑誌」と言っているメンズブランドを知っているが、そのブランドの商品は毎月かなりの雑誌に掲載されているものの売上高は伸び悩んだままである。
その結果だけを見てもファッション雑誌への過剰な広告出稿は意味がないとわかりそうなものだが、プレス担当者はそのことがいまだに理解できないようである。

記事でもこんな一節がある。

また、ムービーのインタビュー中のコメントにもあったが、ファッションはコーディネートサイトや有名人のブログなどでチェックするというスマホ派(ネット派)が急増しているという事実も浮かび上がってきた。

 中には「わざわざ雑誌を買ってまでファッションを勉強するっていうこと自体がダサい」と辛辣な意見を述べる女性もいたが、もしかすると今後、そのような考え方をする女性が一層増えていく可能性もあるのではないだろうか。

とのことで、やはりネット派が急増しているそうだ。
この記事はネット派の女性が増えると結論付けているが、男性も同じと考えて差し支えないだろう。

さて、各ブランドの広報・プレス担当者はこれでもまだファッション雑誌を最優先媒体に据え置くのだろうか?
彼らの大好きな「費用対効果」という言葉を使うなら、ファッション雑誌への広告出稿に費用対効果があるのだろうか?
ヒヨウタイコウカと呪文のように繰り返している担当者もお目にかかったことがあるが、本当に言葉の意味を理解して使っておられたのだろうか。

真に「費用対効果」のある媒体はなんだろうか。
アンケート結果を尊重するならウェブだろう。

モデルに着せて雑誌に掲載するよりも自店スタッフに着せてWEARに投稿する方が効果的だろう。
さっぱり伝わらない広告を雑誌に載せるよりも、有力ブログにタイアップ記事を書いてもらうなり、そこにバナー広告を出稿するなりした方がそれこそ費用対効果があるだろう。

森ノ宮キューズモールのオープンで大阪環状線内回り沿線は活性化できるか?

 今日、森ノ宮の日生球場跡地に「森ノ宮キューズモールBASE」がグランドオープンする。
先週、内覧会が開催されたのでその感想を書いてみる。

屋上に陸上用トラックが設置されるという珍しい構造をしており、物販よりも「コト」での集客を重視しているといえる。

IMG_3946

(キューズモール外観 屋上に円形の陸上用トラックがある)

写真111

(陸上用トラックの地面)

正直なところ物販のテナントは基本的にどの商業施設も似たり寄ったりであり、目新しいテナントを1つか2つ誘致してきたところで、その第二号店、第三号店が近隣にできるまでそう長い時間はかからない。
「新しさ」とか「大きさ」とかそういうスペックのみでの差別化はすぐさま陳腐化してしまう。

それよりもランニングトラックのような「コト」での集客を重視したことは英断といえる。

概要はこうだ。
地上三層構造で、店舗数: 49店(スポーツ4店舗/物販14店舗/ 飲食・食物販13店舗/サービス15店舗/その他3店舗)である。

年間来客数は400万人を計画しており、売上高目標は非公開である。

店舗数は49と少なく、物販は「ゼビオ」を筆頭としたスポーツの4店舗を加えても18店舗しかない。
非常に小型の商業施設だといえる。

何人かの業界紙記者と売上高を推測したが、だいたい20~30億円内外ではないかということで一致した。

物販が18店舗なので1店舗1億円の年間売上高があるとしても18億円である。
あと飲食やサービスなんかで合計10億円弱としても28億円内外ということになる。

おそらく最大で30億円、最小で20億円くらいではないかと考えられる。

商業規模的にはそれほど大きくはないが、それでもこの商業施設が森ノ宮という土地にできたことは画期的だといえる。
まず「コト」重視のコンセプトであることは先ほども述べた通りだ。

次に「森ノ宮」という立地である。
大阪市内には大阪環状線というJRの路線が走っている。
東京の山手線みたいなものだが、もちろんそれよりも規模は小さい。

この環状線のターミナル駅は大阪駅と天王寺駅である。
やや落ちて京橋駅、さらに落ちて鶴橋駅だろうか。

天王寺から新今宮、大正、弁天町、西九条などを通って大阪駅に通じるのが外回りで、
天王寺から寺田町、鶴橋、森ノ宮、京橋、天満などを通って大阪駅へ通じるのが内回りである。

大阪環状線では近年、外回り沿線の開発ばかりが進んでいた。
大正駅前にはイオンモールが新規オープンしたし、西九条駅はユニバーサルスタジオジャパンに通じる桜島線への乗換駅である。

新今宮の駅前のフェスティバルゲートは取り壊されたが、跡地にマルハンの大パチンコ店ができた。
(これを開発と喜んで良いのか大いに疑問だが)

イケアも外回り沿線にある。

反対に内回り沿線はあまり開発が進んでいない。
京橋駅前はかなり物件が密集していて、ここからの新規開発はかなり難しいように感じる。
焼肉店が軒を連ねる鶴橋駅周辺は、地権問題がかなり厄介なのではないかと考えられる。

天満駅前も天神橋筋商店街が走っており、新規開発は難しい。

大阪城公園駅は文字通り大阪城公園なのでそこにわざわざ商業施設を建てるのは疑問である。

となると、内回り沿線で開発できそうな駅はほとんどない。

さらにいうと、内回り沿線で大型商業施設があるのは天王寺駅くらいで、そのあとは京阪モールとダイエーのある京橋駅まで存在しない。

やっと森ノ宮に小規模とはいえ、まともな商業施設ができたことは内回り沿線の住人からは歓迎されるのではないだろうか。
隣駅の玉造駅や大阪城公園前駅周辺からは自転車で数分程度なのでかなりの数の住人が利用するのではないかと考えられる。

また商業施設のコンセプトはスポーツとファミリー向けなので、家族で楽しめそうな施設が近隣になかったことから見ても、それなりの集客ができそうだ。

実際の売上高がいかほどになるかはちょっとわからないが、400万人という集客は果たせるのではないか。

これを契機に、なにやら寂れた感じが強い内回り沿線も少しは活性化するだろうと期待したい。
しかし、大阪環状線沿線の再開発はこの森ノ宮駅前が最後になるのではないかとも感じる。
外回りも内回りも、もう再開発できそうな物件があまりないように見えるからだ。

スポーツでもなくカジュアルでもないサーフブランドは中途半端な存在

 「Beach Sound」「natuRAL vintage」などの直営店舗を運営していたアートヴィレッヂが経営破綻し、民事再生法を申請した。負債総額は39億8000万円である。

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4038.html

当社は、1975年(昭和50年)4月の設立。製造から小売まで手がけるSPA事業を主力に、メンズ、レディースのヤングカジュアルウエアの小売および卸を手がけていた。サーフブランドの老舗「BODY GLOVE」「LOST」など、常時10種類程度のブランドを扱っていた。2001年に直営店を出店したのを皮切りに積極的に新規出店を進め、「Beach Sound」「natuRAL vintage」などの店舗名で全国に展開し、2009年2月期の年売上高は約99億1700万円を計上していた。

とある。

しかし、

しかし、レディース事業の失敗により在庫が膨らみ、財務内容が悪化するなか、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で一部店舗が被災。計画停電の影響などから売り上げが減少したことで資金繰りが悪化していた。その後は金融機関や取引先に支払い条件の変更を要請し、不採算店舗の閉鎖、人員整理、在庫の圧縮など再建計画に取り組んでいたが奏功せず、2014年2月期の年売上高は約41億5200万円にまで落ち込むなか、ここにきて民事再生法による再建を目指すこととなった。

とのことだ。

ピーク時の2009年に100億円の売上高があったが、その5年後の2014年には41億円強にまで売り上げだが定価しており、実に6割減である。
5年という短期間に6割もの売上高が減少すれば経営破綻しても当然である。

この少し前の今年の2月には「波乗達人」「波王」ブランドを展開していたアパレル、ブレイクスルーが破産した。
こちらの負債は5億7000万円で、売上高はピーク時で8億円程度しかなかった。
ブランドの知名度の割には意外に少ないという印象を受けた。

http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20150213/Tsr_tsr20150213_01.html

この2社に共通するのがサーフカジュアルブランドを展開するアパレルだというところである。

個人的な意見だが、サーフカジュアルブランドの人気を長続きさせることは非常に難しいと感じる。

サーフブランドとはいうものの、具体的には何が主力かというとグラフィックプリントTシャツである。
筆者はサーフブランドにまったく魅力を感じていないから見方が厳しいかもしれないが、要するに消費者の評価基準はグラフィックデザインの良し悪ししかないと見ている。

これがナイキやアディダスを筆頭とするスポーツブランドなら機能素材を使ったカジュアルという切り口がある。
しかし、筆者の知る限りにおいてはサーフブランドで積極的に機能素材を使用しているブランドはほとんどない。
綿100%Tシャツがメインで、そこにどんなグラフィックを載せるかということしか差別化要素がない。
筆者にはそう見える。

しかもそのグラフィックが筆者の好みではない。
やたら暑苦しいというかむさくるしいというかそんな印象を受ける。

これならまだ美濃屋のコンバースのTシャツを買った方が良いのではないかと思う。

そしてグラフィックプリントが商品販売の生命線なので、プリントの図柄がどんどんとエスカレートしていく。
暑苦しさむさくるしさ、胡散臭さはシーズンを追うごとに増す。
どんどんと過剰装飾になっていく。これは仕方がない側面もあるのだが、個人的には好きではない。

卸売り先として当初はサーフショップを狙うブランドが多いが、日本におけるサーフショップは小規模な個人経営店しかないため、早々に量販店や大手チェーン店へと切り替える。
しかし、量販店にも大手チェーン店にもサーフブランドは掃いて捨てるほどあふれかえっている。
その中で激しい競争があるわけだが、一般消費者からするとどれも同じに見えている。

それではダメだからというので、グラフィックプリントをどんどんと派手で目立つようにするが、派手で目立たせすぎた結果、それを買うのは柄の悪いヤンキー層のみということになる。
これでスポイルされるサーフブランドは数多くあった。

昨今は、卸売りにも限界を感じてSPA化するサーフブランドアパレルがある。

破綻したアートビレッヂもそうだし、ビラボンジャパンもそうだといえる。

SPA化するためにはトータルアイテムが必要となる。
いっそのこと割り切ってグラニフのようにTシャツ専門SPAになっても良いのではないかと思うが、どうも彼らはトータル化したいようだ。

しかし、トータル化するといっても最大の売りはTシャツである。
それ以外のアイテムを企画製造するのはこのご時世だから金さえ出せばいくらでもできるが、Tシャツ以外のアイテムにそれほどのステイタス性はない。

例えば、クイックシルバーやビラボンのジーンズなんて欲しいと思う人が数多くいるだろうか?
筆者はいないと思う。
ジーンズならジーンズブランド、もしくはセレクトショップかジーンズチェーン店のプライベートブランド、あとはユニクロだろう。

ジーンズが欲しいからサーフブランドのSPA店で探すという人はかなりの少数派だろう。

ダウンジャケットしかり、セーターしかり、カジュアルジャケットしかり、である。

筆者は、サーフブランドは消費者からTシャツとポロシャツ、トレーナー類とカジュアルショートパンツ、あとは小物雑貨、水着しか求められていないと思っている。

サーフブランドアパレルが一定の規模から凋落するのは自然なことだと感じる。
大規模化するとその凋落は必然であるし、ブレイクスルーのように細々と展開していてもいずれはどこかで行き詰る場合が多い。

大規模化して凋落したのが今回のアートビレッヂだし、経営は破綻していないが代表例がクリムゾンだといえる。

「ピコ」「タウン&カントリー」「ラスK」などのサーフブランドしか展開していなかったクリムゾンは卸売りだけでピーク時には180億円以上の売上高があった。
2015年1月期の売上高はわずかに5億9400万円しかない。
ピーク時はおそらく2005年ごろだったと記憶している。
わずか10年間で40分の1近くまで縮小している。
これでよく経営破綻しないものだと驚くほかない。

クリムゾンがピコで犯した失敗は、グラフィックをどんどんと派手にしていったことにもその一因があると見ている。売り場で目立たせるためには仕方がなかったのかもしれないが、派手になりすぎればマス層は嫌う。

筆者にはサーフブランドが非常に中途半端なブランドだと見える。
スポーツでもないしカジュアルでもない。
どっちつかずの存在であることがサーフブランドが今一つメジャーになりきれない理由の一つだと思う。

日本市場でのサーフブランドは、カリスマのある個人経営者が少人数を集めて、数億円くらいを30年間稼いでそして経営者の引退とともにブランドを終わらせる。という構図がもっとも適していると考えている。

オタク向け商法はファッションにこそ適している?

 18日の土曜日、初めてラジオ番組に電話出演した。
「久米宏 ラジオなんですけども」というTBSラジオの番組である。
出演したといってもたった10分~15分程度である。
全国に向けてブサボを披露してしまった次第である。

内容は「今春のNGファッション」というもので、本来ならファッションに疎い筆者なんかよりももっと適任が業界にはたくさんおられると思うのだが、なぜか出演依頼があったのでお受けした次第だ。

どんな感じの段どりになるのかとドキドキしていると、まず、スタッフの方から質問項目がメールで送られてきて、それにメールで返信をした。

次に電話でスタッフの方と事前打ち合わせをし、具体的に待機時間を指定された。
具体的には午後1時半ごろの出演となるので、1時20分過ぎから電話口で待機しておいてほしいとのこと。
当初の持ち時間は10分くらいだったが、電話が終わって時計を見ると15分近くが経過していた。

ざっとそんな感じである。

で、事前の電話口での打ち合わせの際、昨今のファッショントレンドの話になったが、スタッフが興味を持たれたのはMA-1ブルゾンの人気復活だった。
たまたま担当者が40歳手前の男性で、筆者とほぼ同年代だったこともある。

筆者が大学生、担当者が高校生の頃に米軍のMA-1というフライトジャケットが大流行した。
もう20年以上前の話である。
大流行のきっかけはトム・クルーズ主演の映画「トップガン」だったとされている。

結局なんだかんだで90年代後半までMA-1というブルゾンは人気防寒具となっていたが、2000年代に入ると姿を消した。
一部の根強いファンは愛用していたようだが。

2000年代半ばからは洋服のシルエットがタイトになり、その流れは今も続いているといえる。
こうなると、MA-1人気はさらに低下する。
なぜなら、タイトシルエットとは程遠い形態をしているからだ。

身幅は広い、アームホールは大きい。

これを今、非イケメンのオッサンが着用していると、単なる流行度外視層か、現場作業員か、重度のミリタリーファンか、の3つのうちのどれかにしか見えない。

そんなわけで少なくとも10年近くはまったく注目されてこなかった。

そのMA-1が一昨年ごろから最注目され、今秋冬もまだその人気は継続しそうな雰囲気である。
トップガンの頃と異なるのは、身幅もアームホールも全般的に細めに作られていることである。
今、製造されているのは「本物」とはまったくシルエットが異なる。

写真111

(細めにリファインされたアルファインダストリーのMA-1ブルゾン)

今春は作られていないが、ユニクロもこのスマートなMA-1タイプのブルゾンを発売していたことがあるので、それなりにマスな商品になったといえる。

まあ、そんな話をしたところ、担当者からは「いや、初耳です」「初めて知りました。MA-1懐かしいですよね」というような答えが返ってきた。
少し前にはユニクロでも売られていたぐらいだから当然、広く認知されていると思っていたが、意外に知られていなかった。

さらにいえば、一般の消費者よりもトレンド情報に近いであろうマスコミ関係者がまったくそういうことを知らないというのも驚いた。

もしかしたら、ファッション業界関係者が思っているほど、トレンド情報とかファッション情報は広く流通していないのかもしれない。
もっといえば、そういう情報の需要自体がこちらが思っているよりも少ないのかもしれない。

そんなことをツラツラと考えてしまった。
ファッションというのは、いわゆるオタク的同好者しか興味を持たない案件ではないか。

鉄道オタクの人は電車の魅力をとうとうと語る。
聴いているとなるほどと思うが、じゃあその世界に入ってみようとは筆者は思わない。

アニメや特撮にしてもそうだし、ガンダムのプラモデルにしてもモデルガンにしてもそうだ。

ファッションとか洋服というのもこれらと同じではないかと感じてしまう。
オタクが集まってあーでもないこーでもないとやりあっているのがファッション業界ではないか。

ビンテージジーンズオタクが「〇〇と××はほとんど同じに見えるがこの部分のディテールが違う!!」

なんてことを力説しているのを聞くと、「気持ちはわかるけど、どーでもええやん♪」と感じてしまうが、たぶん、一般人からするとファッションオタクが少しの差異について真剣に議論していることを聞くと、同じように感じているのだろうなと思ってしまう。

そういう意味では洋服は、オタクに向けた売り方を追求してみても良いのかもしれない。
現在のガンダムのプラモデルなんて特定のファンに毎年いくつもの新商品を買わせることで成り立っている側面がある。
「ファッション」を標榜する洋服もそういう売り方を極めてみて良いのではないだろうか。

なんてことをラジオ出演の前後を通して考えた。
「ファッションをガンプラ化する作戦」とでも名付けてみたら良いのだろうか。(笑)

洋服の価格が上がる可能性は低いのではないか

 今日はお気楽に。
最近買ったお買い得商品を紹介したい。
はっきり言って誰得?企画だが、まあ、自分の記録という意味も含めて継続している。

最近は製造コストの上昇からなのか、以前ほどの破格の値下がり品が少なくなったように感じる。
とくにGAPは以前ほどの値下がりがない。
せいぜい1990円が下限であり、990円以下に下がる商品は滅多になくなっている。
ただし、レジにて〇〇%オフというのを頻繁にやっているので、その期間に買えばかなりの破格値にはなるが、そのタイミングに合わせてわざわざ店に行くほどこちらのモチベーションが高くない。

一言でまとめるなら「めんどくさい」のである。

そんなわけで最近はGAPでの購入が少ない。

代わりにユニクロが増えた。

3月下旬だったか4月上旬だったかは忘れたが、ユニクロでコットンカシミヤボーダーカーディガンを買った。
定価2990円(税抜)が1290円(税抜)に値下がりしていたからだ。

紺×赤、グレー×紺、ブルー×紺があり、購入したあべのキューズモールでは紺×赤が品切れになっていた。
購入したのはグレー×紺である。
組成は綿90%・カシミヤ10%であり、大人気商品だったケーブル編みセーターよりもわずか5%だけカシミヤの配合率が高い。

写真 11

最近は、着脱に便利なのでカーディガンを愛用しており、冬も今春もカーディガンの購入が多い。
プルオーバーは着脱に不便なので今後もカーディガンの購入が増えそうである。

ダボっと着るのは嫌いなのでMサイズを選んだ。
少し薄手の編み地なのでちょうどいまぐらいの気温に重宝している。
寒ければこれの上からもう一枚ジャケットを着る。

長そでTシャツはなぜかユニクロではあまり買わない。

なぜだろうか?イマイチ長そでTシャツに関してはユニクロ商品が好きになれない。

そんなわけでライトオンで2枚買った。ブランドはPBの「バックナンバー」である。
両方とも2900円(税抜)が900円に値下がりしていた。

グレーの方がポリエステル65%・綿35%。
グリーンの方がポリエステル50%・綿38%・レーヨン12%。

写真 22
写真33

両方ともMサイズを選んだのだが、グレーの方がかなりタイトである。
綿よりもポリエステルが主体の組成なので、今春物ではなく、昨年の在庫だろうと推測する。

なぜなら、昨年から綿花の価格が下がっているから、今春物からは各社、綿素材の使用が増えている。
ポリエステルを主体に組み立てているのは綿花価格が高騰していた時期の商品である可能性が高いからだ。

こんな感じでだいたい毎月3枚くらいは服を買っている。
ただし1品あたりの単価は2900円を越えない。
もちろん定価では買わない。

さて、体感的な価格でいうと、一時期よりは店頭での破格値商品は減っているように感じるが、まだまだお買い得品はある。

さらにいうと、昨日紹介したような商業施設内での催事販売もあちこちであるし、バッタ屋が地元商店街に出店することも増えた。
バッタ屋の場合は商材が不ぞろいなので色柄が気に入ってサイズが合えばかなりのお買い得だが、そういう商品はなかなかない。

催事販売やバッタ屋を加えると、洋服の投げ売り価格はさらに低下していると感じる。

このあたりの統計は存在しないし、もちろん筆者だって統計を取っているわけではないから、一概には言えないのだが、洋服は基本的に供給過剰だから値段はまだまだ下落するのではないだろうか。

投げ売り価格だけを見ると、日本は今一番世界で洋服が安い国ではないだろうか。

洋服の供給量は今後も微減することはあっても激減することは考えにくい。
またブランド数や店舗数の増加からさらに増える可能性もある。

となると、投げ売り品も大きく減ることはない。
洋服の平均価格が大きく上昇する可能性も極めて低いと言わざるを得ない。

洋服の値崩れを一気に押しとどめる手段は無い

 昨日、あべのキューズモールに立ち寄ったら、地下1階の催事用広場で洋服の破格値セールが開催されていた。
掘り出し物があればと思って覗いてみると、ワールドのメンズ・レディース合わせた各ブランドが60~70%オフになって投げ売られていた。
今年の物か昨年の物かはわからないが、春夏物である。

昨今、トレンドは1年くらいではほとんど変わらないからたとえ昨年物だとしてもお買い得である。
ちなみに、原価率は業界通じて基本的にだいたい30%前後とされているので70%オフならほぼ原価であると考えて大きな間違いはない。

その近隣にはクロスカンパニーの常設店があるが、早くも10%オフである。

セールの後倒しだとか、安易なセールをやめようだとか、いろいろと綺麗事をぶちあげてみても、結局のところセールは早期化するばかりだし、常設店でやらなければその分催事でやるので同じである。
各百貨店の9階とか10階とかの催事場で年がら年中どこかのブランドの投げ売り催事をやっていることを見れば言わずもがなであろう。

基本的に洋服は市場に供給過多であるから、在庫が残り易い。
残った在庫なんて塩漬けにしていても意味がないから、アパレルやショップは1円にしてでも叩き売って現金化したい。
その際、まずは店頭で投げ売る。
次はアウトレットでの販売である。
その次に催事である。

そのあとはネットの処分屋に引き取ってもらうか、昨日に紹介したようなバッタ屋に引き取ってもらって実店舗で投げ売られるか、である。

大阪にはクリスタ長堀という地下街があるが、そこの広場でも毎日のように催事販売が行われている。
パルグループの商品が投げ売られていたこともあった。

はっきり言えば、「ブランド名」にさえこだわらなかったら、ユニクロや低価格SPAで買わずとも、同じような値段でもう少しステイタス性のある国内アパレルブランドの商品が常に手に入るのが現在の状況である。

これに対して情緒論を盾に「安売りはイカン」とか「誰かが泣いている」とか言ったところで無意味である。
在庫を投げ売らなければそのアパレルの人間が泣きを見るからだ。
下手をすればそのアパレルは倒産する。
アパレルが倒産することで泣きを見るのは社員とその家族だけではない。そのアパレルの取引先も製造業者も泣きを見る。

結局のところ、正規常設店のセールを施設側がいくら制限したところで、期末・期中には特別催事販売がされたり、インターネットで値引き販売されたりするので、あまり意味がないと感じる。
制限しながらも期中に「全館10%オフ」なんていう安売りをするルミネのような商業施設もある。
筆者にはひどく言行不一致に映るのだが。

個人的にはセールの開始時期・割引率の制限なんて意味がないと考えている。
安く売る手段はいくらでもあるからだ。
フランスやイタリアは法律で制限しているが、その分、オンライン通販でのセール早期化や投げ売りが進んでいるとも耳にする。

すべての工業製品が普及することで低価格化することは避けられず、洋服も同じである。
洋服は年間で41億点も市場に供給されている。
となると、如何に値引きをせずに販売するかを工夫すべきだろう。
売り方、見せ方、伝え方がさらに重要になっている。

それが上手くできるブランドが増えることが洋服の値崩れをある程度阻止できるのではないかと思うが、それはひどく長期的な取り組みになる。
短兵急に洋服の値崩れを一気に止める手段はない。

商品の最終処分地?天神橋筋商店街

 日本一長いといわれる天神橋筋商店街で定期的に店頭で立っている。
ここには「バッタ屋」と呼ばれる処分屋が数多くある。

手伝っている店舗から徒歩5分くらいの間にざっと知っているだけでも5~6店舗はある。
天神橋筋商店街は地下鉄で2駅分もの長さがあるので端から端まで数えればそれこそ何十店とあるだろう。

取扱いブランドも様々だ。
手伝っている店は大手通販各社の在庫品が多い。
在庫品の大半は完全新品だが、中には返品された商品も混じっている。
返品商品を検品していて唖然とするのだが、少なくとも何週間かは使用された形跡のある物がけっこう混じっている。
洋服の場合は使用感は分かりにくいが、靴なら丸わかりである。
靴底が異様にすり減っているし、使用感が一目瞭然である。
なぜかたまに使用済みと思われる下着もある。

写真 22

(明らかに長期間履きこんですり減った靴底  返品商品から)

写真 11

(長期間履きこんだため履きジワが深く刻まれている  返品商品から)

商品が到着して室内で何度か試着したけどやっぱり返品するというならわかるが、明らかに何週間か何か月か履いた後で返品するという行動は理解ができない。
使用済みの下着を返品するという行動はもっと理解できない。
こういう消費者が増えているのなら通販会社も大変である。

それはさておき。

近隣には、某外資系グローバルSPAブランド「Z」や、ジーンズカジュアルチェーン店のプライベートブランド「B・N」、ナチュラル系レディースブランド「N・O」が格安で販売されている店や、デザイナーブランド「ファイナルH」が格安で販売されている店がある。

Zブランドは290円だし、N・Oブランドはだいたい1000~1500円くらい。
B・Nブランドのジーンズは800円、ファイナルHブランドの長袖Tシャツは650~1300円くらい。

である。

これらがコピー商品かどうかはわからない。
織りネームはそのままだが下げ札は切られている物があるので、それはおそらく本物で、織りネームを切り忘れたのではないかと推測される。
またB・Nブランドは本物だろう。これをわざわざコピー商品を作る意味がない。

またJR天満駅近所には、どうみても「〇ルフ・〇ーレン」と思われるポロシャツが1900円とか2900円で売られているときがあるが、あれはコピー商品なのではないかと推測している。(詳細には調べていないが)
その店は「百貨店の在庫品引き取ってきました!」みたいな売り文句で販売しているが、メンズのシャツなんかは〇ンメンズウェア社の物が多く、この会社は量販店とカジュアル専門店チェーンが主な販路なので、これに関していうと、百貨店から引き取ってきたということはありえないのではないかと考えている。

ここは、2月にドライビングシューズを999円(税込)で買った店である。

そんな愉快?な商店街なのだが、見ていると「常設店」と「催事店」がある。
手伝っている店は常設店である。月額何十万円かで借りて、毎日営業をするというスタイルである。
また、家族経営で運営している常設店もある。
近隣か店舗の上の階で家族が暮らしているのだろう。

ところが、近隣には「催事店」もけっこうある。
2週間とか1か月で店の内容が変わるのである。

ときどき搬入とか搬出をしている場面に出くわすが、Aという業者が2週間の販売を終えたら、別のBという業者が2週間の販売を行う、そんな感じのサイクルである。

おそらくは店舗オーナーが廃業し、完全に場所貸しだけに徹しているのだろう。
近隣の催事店出店者にそれとなく尋ねてみると、そこの店の賃料は1日3万円だという。
広さは20坪から30坪くらいだろう。

そこは知る限りでは毎日なにかしらの催事店が出店しているから、毎月60万円の家賃が店舗オーナーには入ることになる。
毎月90万円なら1年間で家賃収入は1080万円ということになる。
店舗オーナーにとってはかなり美味しい。

催事店出店者は近隣の近畿圏内の業者が多いと勝手に考えていたが、広島からわざわざやってきている業者もいた。

昨今、商店街では店舗オーナーが高齢化し、後継ぎがいないという問題がある。
その場合、その店舗はいずれ閉店したままにならざるを得ない。
しかし、このようにして貸し出して完全催事場にしてしまえばその問題は完全に解決できる。
また定期的に商材がガラっと入れ替わるので消費者にとっても目新しさがある。

すでにこの形態を取り入れている商店街は他にもあるのだろうが、この天神橋筋商店街ではそこに行政が介在している様子はない。

ある意味で理想的な状況ともいえる。

記事などでは全国には、閉店している自店を貸し渋る店舗オーナーもあるという。
個人的にはそれを貸し渋るオーナーの意図がまるっきり理解できない。
天神橋筋商店街の店舗のように催事業者に貸し出せば良いのではないか。
もちろん、人通りが少ない商店街だと1日当たりの家賃は3万円より引き下げねばならないだろうが、1日1万円としても1か月で30万円であり、1年間で360万円になる。

シャッターを閉めたままにしておくよりはよほど美味しいと思うのだが。

まあ、そんなわけで「バッタ屋のメッカ」となりつつある天神橋筋商店街を今後も興味深く観察したいと思う。

中価格帯の国産品がもっと必要なのではないか?

 先日、と言っても3月末のことになるがエドウインの今秋冬展示会にお邪魔した。
そのことは以前にも書いたが、そのときに書いていなかったのが新ラインの「Eスタンダード」である。

エドウインのほとんどの商品は生地から縫製、洗い加工まで国産なのだが、それに加えて海外輸出を視野に入れた新ラインである。
価格はちょっと幅が広くて、8000~12000円くらいである。
クラッシュ・リメイク加工商品のみが15000円~16000円となっている。

写真22
写真11

メイン商品群は8000~12000円だが、8000円、8500円、9000円、10000円という価格が多く、11000円、12000円はどちらかというと少数派である。
ざっと型数だけを見ると、全社が6・5割くらい、後者が3・5割くらいだろうか。

これなら海外輸出をしても現地価格120~200ドルの間で販売できる。
一般的に日本製ジーンズは評価が高くて比較的高額でも売れるといわれているが、それでも限度はある。
ある程度の数量を販売したいのなら200ドルが限度だろう。

ラグジュアリーブランドにはもっと高額なジーンズも売られているが、欧米でラグジュアリーブランドを買うのは一部の富裕層に限られている。
日本のように低所得層が背伸びをしてバカ高いラグジュアリーブランドを購入することはない。
だから、ラグジュアリーブランドの高額ジーンズは極めて少数派に向けた商品だと考える方が適切であろう。

かつて旧ドゥニームが3万円弱する国産ジーンズをイギリスに輸出したところ、現地価格が5万~7万円になってしまい、あまり売れずに撤退したことを書いたことがあるが、いくら品質が良かろうとたかがジーンズに5万円とか7万円を支払う消費者数というのは限られているということである。

そういう意味では、いわゆる「中価格帯」を企画製造している国内ナショナルブランドが海外輸出に本腰を入れたというのは、朗報といえる。
もちろん、ここには新たに親会社となった伊藤忠商事の思惑も多分に含まれていると考えられるが。

まれに「ラグジュアリーブランドのジーンズはもっと高くても売れているのだから、国内のマニアックブランドの商品も同等の価格で売れるのではないか?」と主張する人がいるが、これはとんでもない勘違いである。
ラグジュアリーブランドと国内マニアックブランドではブランドステイタスが圧倒的に異なる。

例えば10万円のジーンズを買いたいと思ったときに、多くの人はラグジュアリーブランドを思い浮かべる。
それだけブランドステイタスが高いからだ。ラグジュアリーブランドはそのブランドステイタスを獲得するために莫大な広報・告知・販促予算を毎年計上している。
ほとんど告知活動もしていないようなマニアックブランドがなぜ同じ結果を得られると考えるのだろう?

それほど安易にブランドステイタスが獲得できるなら誰も苦労はしない。

以前、中価格帯の国産ジーンズを海外輸出できないかと考えたことがある。
ある先輩に相談したところ、この企画が動き始めた。
デニム生地はクロキさんが協力してくれることになった。
ところが昨年末にこの先輩が急逝されてしまい、この企画は終わった。
非常に残念だったが、その分、エドウインの「Eスタンダード」に期待したいと思う。

ところで、この「Eスタンダード」のメンズはスキニー、スリムテイパード、レギュラーストレート、ルーズストレート、ワイドストレートの5シルエットがあるが、個人的には5シルエットも必要だろうかと疑問に感じている。
とくにルーズストレートとワイドストレートはどちらか片方に絞った方が良いのではないかと思う。
あまり選択肢を増やしすぎても逆に消費者には違いがわからずに選びにくい結果になる。
それはこれまで国内ナショナルブランド各社が経験してきたとおりではないか。

昨今、「日本製」の大々的キャンペーンが行われているが、いくら日本製と言えども超高価格品を購入できる消費者数はそれほど多くない。
日本製品を再度広く普及させようと考えるなら、低価格はコスト的に無理なので、中価格帯を目指すしかないと個人的に考えている。
超高価格品・高価格品を広く普及させるというプランは無理がある。
はっきり言えば「無い袖は振れない」のである。

ワイシャツなら鎌倉シャツの4900円、ジーンズならエドウインの8000~9500円というところが「中価格帯」といえるだろう。

このあたりの商品を作って、売り方を工夫して「今よりも」普及させることが現実的だろう。
もちろん、もう少し工夫して「児島ジーンズ」のように5900・6900円あたりを国産で企画製造しても良いだろう。

ブランドステイタスのないアパレルや製造工場が「国産」という看板だけで超高価格品・高価格品を企画製造したところで到底売れない。なぜならブランドステイタスがないからだ。ブランドステイタスは一朝一夕に築けるものではない。
ならば、比較的買いやすい中価格帯を企画製造する方が現実的ではないだろうか。
とはいえ、そこでも売り方・見せ方・伝え方に工夫は必要だ。

単に「国産品」という看板だけでは売れない。
それは衣料品に限らずどの分野の製品も同じである。
作って店頭に並べるだけで売れた時代はとっくの昔に過ぎ去っているし、そんな時代はもう二度と戻ってはこない。
その前提に立ってビジネスを組み立てるべきであろう。

作る側と売る側で「日本製」に対する意識は異なる

 最近、注目を集めている「日本製」「メイドインジャパン」だが、経産省や業界のオエライさんの思惑通りには動いていない側面もあるようだ。

「日本製」商品は主に外国人観光客が買うといわれているが、実はそこにはあまりこだわらない外国人観光客も多い。
昨年夏から販売の手伝いをしている天神橋筋商店街の処分屋だが、今年の2月の旧正月のころは中国人客が多かった。
こんなマニアックな市場にもわざわざ買い物に来るのかと感心したが、よく考えてみれば、バブル期の日本人もヨーロッパへ観光に出かけ、地元の人しか使わないようなマニアックな市場で好んで買い物をしていたから、同じような感覚なのだろう。

この店に来る観光客は「日本製」であることは求めていない。
彼らは「安さ」+デザインで購入する。

今月に入ってからは中国人は減ったが反対にタイ人が増えた。
タイの旧正月連休があったようだ。
彼らもまた「日本製」にはこだわらない。価格+デザインが購入動機である。

外国人観光客が常に「日本製衣料」を求めているわけではない。

また業界内からは「日本人は思ったほど日本製衣料を買わない。なぜだ?」という疑問の声もあるが、冷静に考えれば当たり前である。
イタリア人が全員「イタリア製衣料」を、アメリカ人が全員「アメリカ製衣料」を求めているわけではない。

現地価格でもそれなりの高額品になってしまうイタリア製衣料をイタリア人全員が欲しがっているわけではない。むしろ、低所得者なら「欲しくても買えない・買わない」か「最初から欲しいとも思わない」のどちらかだろう。
日本と異なり、低所得者が背伸びをして高額ブランドを買うなんてことがないのが欧米各国であるからなおさらである。

日本人が日本製衣料を思ったほど欲しがらないのは、驚くほどのことではない。

そんな「日本製衣料」を巡る思惑のズレについて繊研プラスに面白いアンケートが掲載されている。

ここでは作る側と売る側の思惑のズレを取り上げている。

メードインジャパン、売る側と作る側
http://www.senken.co.jp/news/company-news/madeinjapan-senken-research/

繊研新聞社のアンケート調査によると「メード・イン・ジャパン」製品の販売量がアパレル・小売の51.6%で増えている。一方、製造業では「増えた」と回答した企業は32.7%で「変わらない」が55.1%だった。

アパレル・小売り側はなんだかんだとそれらしい建前論を述べているが、本音を言えば「増やした理由はブームだから」だろう。小売り側からすれば「売れれば何でも良い」のである。
その象徴がかつてのルミネだろう。散々全館セールを連発しておきながら、「産地保護のために」という建前論を掲げてセールを後倒しした。「産地保護」を今更掲げるくらいなら、なぜそれまでセールを前倒ししてきたのかと不思議でならない。
なぜ突然産地保護を思い立ったのか。随分と急な心変わりもあるものである。

個人的にはルミネは「売れるためにはなんでも利用する」という姿勢なのだと感じる。
そして他の小売業も大なり小なりルミネと同じだと感じている。

また

環境変化を踏まえ「増やしたい」とする企業があるが、セレクトショップを中心に「元々の生産量が多く変わらない」(シップス)との回答もあった。

とのことだが、国産ブランドオンリーの「ステュディオス」はともかくとして、他の大手セレクトショップがそんなに「日本製の生産量が元々多かった」だろうか?直近の「シップス」の状況はどうだか知らないけれど。

一般的に大手セレクトショップは構成比率で6割~8割近くが自社オリジナル品になっているが、そのうちのほとんどが中国製なりアジア製である。
自社オリジナル品は基本的に価格を安めに抑えているが、あの価格帯で日本製品は製造できない。もし製造するとしたら莫大な生産量になるか、製造工賃を極度に叩いているかのどちらかだろう。

ただ、面白いのはアパレル・小売り側は「日本製を増やした(売り易いから)」ことに対して、多くの製造側は変わらないと答えていることである。
製造量を増やすには、生産ラインのキャパを広げる必要がある。それに伴って人員増が必要だし、場合によっては機械設備も増やさねばならない。
国内の製造工場は経営的に脆弱なところが多いので、そう簡単にホイホイと人員を増やしたり機械設備を新設したりすることはできない。
よって、「変わらない」と答える先が多いということになる。

さらに

素材メーカーやOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛ける商社は、「国内の生産能力が増えていないので変わらない」の回答が多く、工場を持つアパレルからは「ブームだからといって内外の生産バランスは変えない」と現実的な声もあった。

とのことだが、これが製造側の置かれた現実である。
国内の生産能力は増えていない。もしかしたら減り続けているかもしれない。

個人的には今後、よほどのことがない限り国内の生産能力が増えることはありえず、このまま減り続けていくと考えている。

今回の日本製ブームにはずいぶんと便乗もあるようだ。
先日、フェイスブック友達がちょっとぼやいていた。

「韓国素材使用なんやけどな~」

と。

その商品に付けるタグにはこんなことが書かれてある。

 
         日本製    

 この商品は厳選された素材を使用し、
 国内の企画と管理のもとに、ハイレベルの
 編立・縫製技術を持った商品です。
 
 独特の豊かな風合いと着心地を
 いつまでもご愛用ください。           
                             」

韓国素材品にこんなタグを付けるのはほとんど詐欺行為に近い。
しかもタグに書かれてある日本語が文法的におかしい。

こういう便乗詐欺みたいなアパレルブランドも今後はさらに多く現れるだろう。

まったくヤレヤレである。

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