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南充浩 オフィシャルブログ

森ノ宮キューズモールのオープンで大阪環状線内回り沿線は活性化できるか?

2015年4月27日 未分類 0

 今日、森ノ宮の日生球場跡地に「森ノ宮キューズモールBASE」がグランドオープンする。
先週、内覧会が開催されたのでその感想を書いてみる。

屋上に陸上用トラックが設置されるという珍しい構造をしており、物販よりも「コト」での集客を重視しているといえる。

IMG_3946

(キューズモール外観 屋上に円形の陸上用トラックがある)

写真111

(陸上用トラックの地面)

正直なところ物販のテナントは基本的にどの商業施設も似たり寄ったりであり、目新しいテナントを1つか2つ誘致してきたところで、その第二号店、第三号店が近隣にできるまでそう長い時間はかからない。
「新しさ」とか「大きさ」とかそういうスペックのみでの差別化はすぐさま陳腐化してしまう。

それよりもランニングトラックのような「コト」での集客を重視したことは英断といえる。

概要はこうだ。
地上三層構造で、店舗数: 49店(スポーツ4店舗/物販14店舗/ 飲食・食物販13店舗/サービス15店舗/その他3店舗)である。

年間来客数は400万人を計画しており、売上高目標は非公開である。

店舗数は49と少なく、物販は「ゼビオ」を筆頭としたスポーツの4店舗を加えても18店舗しかない。
非常に小型の商業施設だといえる。

何人かの業界紙記者と売上高を推測したが、だいたい20~30億円内外ではないかということで一致した。

物販が18店舗なので1店舗1億円の年間売上高があるとしても18億円である。
あと飲食やサービスなんかで合計10億円弱としても28億円内外ということになる。

おそらく最大で30億円、最小で20億円くらいではないかと考えられる。

商業規模的にはそれほど大きくはないが、それでもこの商業施設が森ノ宮という土地にできたことは画期的だといえる。
まず「コト」重視のコンセプトであることは先ほども述べた通りだ。

次に「森ノ宮」という立地である。
大阪市内には大阪環状線というJRの路線が走っている。
東京の山手線みたいなものだが、もちろんそれよりも規模は小さい。

この環状線のターミナル駅は大阪駅と天王寺駅である。
やや落ちて京橋駅、さらに落ちて鶴橋駅だろうか。

天王寺から新今宮、大正、弁天町、西九条などを通って大阪駅に通じるのが外回りで、
天王寺から寺田町、鶴橋、森ノ宮、京橋、天満などを通って大阪駅へ通じるのが内回りである。

大阪環状線では近年、外回り沿線の開発ばかりが進んでいた。
大正駅前にはイオンモールが新規オープンしたし、西九条駅はユニバーサルスタジオジャパンに通じる桜島線への乗換駅である。

新今宮の駅前のフェスティバルゲートは取り壊されたが、跡地にマルハンの大パチンコ店ができた。
(これを開発と喜んで良いのか大いに疑問だが)

イケアも外回り沿線にある。

反対に内回り沿線はあまり開発が進んでいない。
京橋駅前はかなり物件が密集していて、ここからの新規開発はかなり難しいように感じる。
焼肉店が軒を連ねる鶴橋駅周辺は、地権問題がかなり厄介なのではないかと考えられる。

天満駅前も天神橋筋商店街が走っており、新規開発は難しい。

大阪城公園駅は文字通り大阪城公園なのでそこにわざわざ商業施設を建てるのは疑問である。

となると、内回り沿線で開発できそうな駅はほとんどない。

さらにいうと、内回り沿線で大型商業施設があるのは天王寺駅くらいで、そのあとは京阪モールとダイエーのある京橋駅まで存在しない。

やっと森ノ宮に小規模とはいえ、まともな商業施設ができたことは内回り沿線の住人からは歓迎されるのではないだろうか。
隣駅の玉造駅や大阪城公園前駅周辺からは自転車で数分程度なのでかなりの数の住人が利用するのではないかと考えられる。

また商業施設のコンセプトはスポーツとファミリー向けなので、家族で楽しめそうな施設が近隣になかったことから見ても、それなりの集客ができそうだ。

実際の売上高がいかほどになるかはちょっとわからないが、400万人という集客は果たせるのではないか。

これを契機に、なにやら寂れた感じが強い内回り沿線も少しは活性化するだろうと期待したい。
しかし、大阪環状線沿線の再開発はこの森ノ宮駅前が最後になるのではないかとも感じる。
外回りも内回りも、もう再開発できそうな物件があまりないように見えるからだ。

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