MENU

南充浩 オフィシャルブログ

好調店以外のターミナル駅百貨店は将来的に無くなりそうという話

2023年8月24日 百貨店 2

父方・母方の祖父母も死んでしまったし、両親も死んでしまい、親類の中で当方より上の世代はもう叔父たちしか残っていない。

父の三回忌も昨年終わらせたので、息子たちが死なない限りは当分の間、当方が主催する葬儀・法事は無いだろう。そうであってほしいと願うばかりである。次の葬儀・法事は当方のものかもしれないが、それならば息子たちより先に死ぬということなので全く問題は無い。

当面の間、当方が主催する葬儀・法事が無いということになると、当方は百貨店を利用することが無い。香典返しとして百貨店商品券を贈ることがないからだ。

洋服やバッグ、靴の購入のために百貨店を利用することはないという人でも、地下の食料品は利用するという方も少なからずおられる。

だがあいにくと当方は食にも全く興味が無いので、食分野でも百貨店を利用することは無い。スーパー万代の値下げ食品で十分である。

 

百貨店問題の記事では最近は、中井彰人さんの記事は当方は結構評価している。面識は無いので詳細はわからないが肩書から察するに当方とは異なり百貨店を利用しておられるとは思うが、その層の視点で捉えておられないからだ。百貨店に対する妙な思い入れなく、比較的庶民の目線で冷静・冷徹に指摘しておられると当方は感じる。

 

ターミナル駅から百貨店が消え去るかもしれない 大衆消費から富裕層やインバウンド向けに舵 | 百貨店・量販店・総合スーパー | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

 

この記事も同様で、西武池袋店の迷走し続ける売却問題について述べられているものだが、小田急百貨店本店の大幅縮小や東急百貨店本店の閉店を例に挙げて、西武池袋店が永遠に残り続けることもその必要性もあまり無いのではないかと指摘しておられる。

記事の見出しは若干本文とは異なるニュアンスで付けられており、これは言い訳ではないが当方とて多々経験してきたことで、見出しは編集部や担当編集者が付けることが多い。その際、比較的読まれやすい衝撃的な文言にされるのである。

記事本文を読むとターミナル駅から「すべての」百貨店が消えるとは書かれていない。好調なターミナル駅百貨店は別として、小田急百貨店本店や東急百貨店本店のように不採算になり消えるターミナル駅百貨店が増えるのではないか、と書かれてある。(少なくとも当方にはそのように読める)

 

関西圏でいうと、主なターミナル駅百貨店としては、大丸梅田、大丸心斎橋、髙島屋大阪店(難波)、近鉄百貨店あべのハルカス本店、JR京都伊勢丹、阪神梅田本店、上本町近鉄あたりではないかと思う。阪急うめだ本店は駅直結ではないが駅近いという意味では含めても良いのかもしれない。名古屋ならJR名古屋高島屋だろうか。

このほとんどは好調店が多いので中期的にも残るのではないかと見ている。強いて挙げれば厳しそうなのが大丸梅田店と上本町近鉄あたりだろうか。

真夏は冷房が恋しい。何なら背負って歩きたいほどである。梅田界隈で時間が空いたときには、大丸梅田店の3階以上に行って涼むことが多い。理由はいつも空いているからである。特に平日昼間はガラガラである。近隣の阪急うめだ本店に比べると体感的に4分の1くらいしか来店客がいない。

人混みが嫌いなので土日に出かけないので、土日祝日の大丸梅田店の混雑具合はわからないが、平日昼間は常にガラガラである。その辺りから考えると、将来的には撤退もあり得るのではないかと思ってしまう。

近鉄上本町は大丸梅田よりもさらに規模が小さく、建物も古い。根強いファンはいそうだが、今後売上高が急増することはあり得ないだろうと店内を巡ってみて感じる。

 

この記事では指摘されていないが、西武池袋店の問題は、池袋店が売れているかどうかという問題よりも運営会社である、そごう西武の財務内容がどうかという点の方が重要だろうと思う。

池袋店だけがいくら売れていても運営会社が不採算に陥っていれば、今後も存続し続けるということは不可能になる。

 

ターミナル駅百貨店の走りは阪急グループの小林一三氏の発案だと一般的にされている。ターミナル駅に百貨店を作り、そして電鉄の沿線に住宅地を開発していく。それによって、電鉄そのものも潤うし、あらたな街もできるし百貨店も繁盛するというビジネスモデルである。

しかし、ざっくりと90年代以降の記憶を掘り返してみると、ターミナル駅百貨店は90年代以降ほとんど作られていない。当方が思い出せるのはJR京都伊勢丹、JR名古屋高島屋くらいだろうか。最後発でJR大阪三越伊勢丹が作られたが、あっけなく閉店になり、ファッションビル「ルクアイーレ」に代わった。

当方が成人して以降はターミナル駅には百貨店ではなく、ファッションビルが作られることがほとんどになった。

関西圏でいうなら、JR大阪駅はルクア、ルクアイーレ、グランフロント大阪、JR天王寺駅は天王寺MIOという感じで、東京ならルミネとアトレだろう。

 

当方レベルの庶民からすると、洋服・靴・バッグを買うなら、百貨店である必要性はゼロでファッションビルで十分である。特に90年代~2000年代半ばまでの百貨店が導入していたブランドには若者向けはそれほど多くなかったので、当時若者だった当方からすると駅ファッションビルの方が「旬」なブランドが多くてそちらに惹かれたし、事実そういう同年代の人間が多かった。

欧米ハイブランドや百貨店の外商を常日頃から愛用しているようなセレブな方々はその限りではなかっただろうが、当方はそのような階層ではないから、当時の百貨店には何の魅力も感じなかったし、今も百貨店に魅力は感じていないし、法事の香典返し以外では利用したことがない。

当方からすると、マス層はターミナル駅に百貨店がなくとも現在のファッションビルがあればそれでほぼ満足しているのではないかと思うし、何ならファッションビルと百貨店の区別もついていない人も少なからずいるのではないかとも思っている。

となると、現在好調な大都市都心百貨店と、外商が強い地域有力店以外の百貨店が存続し続けられるはずもない。地方・郊外店は基本的に小規模だから、郊外型大型ショッピングセンターには勝てないから、地方郊外百貨店はもとより、ターミナル駅百貨店の減少も止まらないのではないかと思う。

 

この記事をSNSでシェア
 comment
  • キムゴンウ より: 2023/08/25(金) 11:50 AM

    私は南さんよりも5才年長で、薄給に耐えて生きておりますが
    百貨店には行きますね
    おっしゃるようにファッションビルやモールが増えましたが
    ああいうのは若い人のものであって
    くそじじいには縁遠いものでございます
    百貨店の方がまだましです ブルックスブラザーズとかラルフローレンなら
    くそじじいでも 様になりますからね
    娘とアベノキューズモールに行き アズールバイマウジーの激しい呼び込みに
    我知れず引きずりこまれ セールのシャツをみていたら
    「そんなの着れないよ」と一喝され 我に返りました
    そうなのです キューズモールにオヤジのしあわせなどないのです
    それをエライ人はわからんのです!って感じでした。
    娘も同店では何もかわず 別のフロアーの
    甘味処でゆっくりするという情けない親娘でございます 

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/08/30(水) 10:16 AM

    >お歳暮ない・香典返しない・食に興味ナシ

    今となっては「ごく普通の日本人像」です

    問題はこの先で、

    ・定期的に100キンに行かない
    ・スマホ家電に興味なし
    ・本も買わない

    という若者がすさまじい勢いで増えています

    もちろんファッションに興味なし
    それも生まれたときから

    となると、がらん堂になった百貨店・ファッションビルに
    100キンやらオフプライスストアを入れても
    商売になる訳がありません

    したがって、単に「ターミナル駅にあります・便利です」
    というだけでは、テナントが入りません

    人口減よりも恐ろしい現象ですよ
    「何も興味がない・何も買わない消費者の登場」というのは

    軽飲食ぐらいじゃないのかな
    立地の良さだけで商売になるのは

    ドトールで2時間くち開けてボーッとしている
    お年寄りの若者版が出てくるんでしょう

    オーダーするのは700円也の限定かき氷ではなく
    最低単価の商品です

    もちろんPC持ち込みでイキったり資格試験の勉強も
    しません。ただボーッとスマホをいじるだけです

    こういう層は、バックから靴までワンストップで済む
    ハニーズがラクちんで良いようです

    下着を含め1.5万もあればよそ行きのカッコウまで
    揃いますしね

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ