
機能性素材の関心が高まるに連れて気になること
2023年8月21日 品質検査 1
皆さんこんにちは!
USです。
お盆休みもあったので随分ご無沙汰しております。
台風一過で秋らしい空気になるのかなと思いきや、まだまだ8月中旬、最高気温が35℃を超える猛暑日はなさそうですが30℃を超える暑い日はまだまだ続きそうです。
気温の高さもあり、アパレル各社の月次概況を見ると夏物商材の動きも良かったようです。以下いくつか抜粋してみました。
『当月は、気温の上昇に伴い、機能性アイテムが良く動いたことと、夏セールが好調だったことで夏物商品の販売が順調に推移しました。』(ハニーズ7月 月次より)
『アイテム別では、夏向けの機能性素材を使用した定番のパンツが男女とも引き続き好評で、さらさら素材のブラウスや接触冷感のサマーニットも好調です。』(アダストリア 7月月次より)
『アイテム別では、プチプラのTシャツから異素材デザインカットソーまで、イージーケアや接触冷感のカットソーが好評でした。』(ワールド6月月次より)
各社の月次を眺めていると機能素材に言及されていることに気づきました。
南さんもよくブログで『夏は吸水速乾Tシャツしか着たくない。』と書かれておりますが、一般消費者の方にもこれは浸透しており購買行動に現れている結果だと思います。
我々試験に携わる者としては、機能性商品が増えることで、それを評価する仕事が増えるのでこの傾向は有り難いな、と感じております。
そんな機能素材について先日気になる物を発見しました。
カケンテストセンターさんがはっ水性と接触冷感性について機能性を謳っている商品を試買して調査を実施したということです。
試買調査を実施しました(はっ水性・接触冷感性) | 一般財団法人カケンテストセンター (kaken.or.jp)
詳しくはHPを見ていただければと思いますが、結果は残念ながら100%基準達成ではなく、はっ水性で100件中3件、接触冷感性で104件中8件、がそれぞれ一般基準未達になっておりました。一般基準未達の商品は、立派な優良誤認になってしまうのでリコール対象になってしまいます。カケンテストセンターさんがその後どのような対応をされたのか興味深いですね(笑)
それはさておき、個人的にこの結果は非常に残念です。たまたま購入した物が一般基準を下回る物機能を発揮していない場合、その機能性に対しての信頼を損なうこととなり、きちんと物作りをされている方の迷惑になります。また消費者の期待を裏切る事にもなるのでぜひやめて頂きたいところです。
販売者側はこのようなことを未然に防ぐため、納入者に対して機能性試験報告書の提出を求める、納入された商品で試験に出し性能を確認しておく、等の対策をしておいた方が良いです。消費者側はこのような商品を購入しないために信頼のおけるショップから購入する以外方法がないので販売者側の責任は重大です。
今回抜き打ちであった接触冷感性は、セルロース系化学繊維に接触冷感性のある事が多いです。業者によってはセルロース系の化学繊維が使われているだけで接触冷感を安易に謳っているケースもあると聞きます。また、はっ水性については少し水を掛けて弾くという理由で安易にはっ水性を表示したと考えられます。
実際は効果がゼロではないにしろ、試験で定量的に評価すると効果を謳えるレベルではないという時点で優良誤認粗悪品になってしまうのできちんと試験で定量的に評価する様にしましょう。
以上USでした!
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カケンテストセンターのリンクが404のようなので、ググってみましたが
接触冷感性ってちゃんとJISとかで試験方法が決まってて数値で測定できるんですね。
衣料品ド素人の私なんかは、テキトーに冷やっとしますよー、くらいのモノだと思ってたので驚きですw
そして、それでもインチキ業者もいるという現実(ノ∀`)