古着は今後も1つのジャンルとして残り続けるだろうがブームはピークアウトし始めた
2023年8月18日 トレンド 0
関西では15日に台風が過ぎた。
この日は始発からJR西日本のほぼ全線が運休を決定していた。止まらないことで有名な近鉄電車も多くの路線が始発から運休を決めていた。
当方が住んでいる地域や大阪市内は当初の心配をよそに、風もあまりキツくなく、雨は降っているものの豪雨でもなかったため、全く被害は無かった。
電車も動いていないし、豪雨ではないものの雨も降っているので終日、自宅に籠ってガンプラをいじっていた。13日・14日と墓参りが続いて疲れたということもあった。(笑)53歳の肉体は驚くほど疲れやすいのである。
気温は台風のおかげで35度の猛暑日ではなくなった。久しぶりに昼間も冷房を点けずに扇風機だけで過ごせた。16日以降も暑いことは暑いが猛暑日ではない。天気予報によると関西は21日の月曜日が最後の猛暑日となる予定で、やっと連日の猛暑地獄から抜け出せるのかと思うと、嬉しさがこみあげてくる。
とりわけお盆休み期間中の37度・38度の猛暑はひどかった。
さて、今年の7月・8月に買った洋服を思い返してみると、ベイクルーズストアで「秋以降に着用するため」に買った格安アウトレット品以外は、全て「吸水速乾」服ばかりだった。吸水速乾とは謳っていなくてもポリエステル高配合素材を選んで買った。トップスもボトムスもである。例外はジーユーで990円に値下がりした綿100%オックスフォードボタンダウンオーバーサイズ半袖シャツの白だけである。白い半そでシャツがあると便利ではないか、そういえば持っていなかったなあということだけで990円に値下がりしたので買った。ちなみに今は590円に値下がりしている。
ただ、吸水速乾にフォーカスして服を買うと、どれもこれも似たような感じの素材感とデザインになる。特にメンズカジュアルはほぼほぼ同質化してしまう。
またさらにいうと、今更、53歳で今まで着たことも無いような奇抜なデザインのカジュアル服を試したいとも思わない。もし買って似合わなかったときにはそれこそムダ金になってしまう。
おまけに手持ちの吸水速乾服も増えてきた。はっきりと言うと、多分もう買わなくても来年の夏は困らないほどの枚数になっている。
さすがにユニクロ、ジーユ―には飽きてきたし、アダストリアのドットエスティにも飽きてきた。ベイクルーズストアのアウトレット品はたしかに面白いデザイン物もあるが、「似合うかどうかわからないデザイン物」も数多くあって、気軽にたくさん買えるという代物ではない。
暑さによる大量発汗以外に、当方の洋服に対するテンションが常に低いのは、似たような物への飽きと、自身の容貌容姿に対する深い諦めとがある。
高い物を買えとか言ってる人もいるが、少ない収入なのに見栄を張ってまで高い服を買う意味を当方は全く感じない。買いたい人を否定する気はないが当方は買いたくない。高いブランド服を買うためにガンガン稼ぎたいとも思わない。それだけの話である。
20年以降、若者の間で「古着ブームが起きた」とメディアがはやし立てたように、古着の人気がある程度高まったのは、市場で圧倒的強さを誇るユニクロ、しまむら、ジーユーを筆頭とする低価格大規模ブランドへの「飽き」があったのではないかと当方は考えている。
もちろん、高い価格を支払えば、斬新なデザインのブランド服はあるだろうが、大多数の人にそういう消費意欲は無い。ユニクロ、しまむら、ジーユーの3ブランドの値下げ品よりは少し高くなるが、数千円から1万円強の値段幅で、「変わった服」を探すとなると古着という選択肢が生まれたのだろうと思えてくる。
行きつけのジョーシンの近隣に「ゲオ」があるのだが、その昔は息子たちを連れてこの「ゲオ」にビデオやDVDを借りに行ったものだが、今ではすっかりセカンドストリートになってしまっている。ゲオの看板は残っているが、古着を扱うセカンドストリートの店内面積がかなり広がっている。
動画配信サービスの台頭によってレンタルDVDという業種が斜陽となっているのはゲオに限らず、ツタヤも同様なので社会構造的な原因だといえる。そして、ここ数年でゲオ内に古着コーナーの面積が広がったのもある程度の古着需要の高まりを表しているとも取れる。
業界メディアでは盛んに「古着」をサステナビリティだとかブームだとか持ち上げて、古着ブームを盛り上げようとしていると感じられるが、当方には古着がユニクロ、しまむら、ジーユーに代わる大衆層の受け皿になるとは到底思えない。売上高1000億円のワークマンに代わる受け皿にすらなり得ないと思っている。
低価格ブランドでは物足りない人、何か1品か2品違う物が欲しい人、の受け皿として現状規模での維持、または微増から微減を繰り返す市場としては定着すると見ているが、マス層の受け皿になることはないだろう。
今回の繊研新聞の記事はそれを示しているのではないかと思う。今回の古着人気は22年を頂点としてピークアウトし始めているのではないだろうか。
古着の輸入量が減速 1~6月は過去最高の22年を7.3%下回る | 繊研新聞 (senken.co.jp)
財務省の貿易統計によると、23年1~6月の「中古の衣類その他の物品」(海外古着)の輸入量(速報値)が前年同期を下回った。古着の人気の広がりとともに、21、22年と連続して輸入量は過去最高を更新していたが、今年上期は前年同期比7.3%減の4628トンとなった。
とのことで、古着の輸入量は減っている。
一方、
数量は減少したものの、円安が続いたこともあり、金額は8.4%増の56億9000万円となった。古着1キロ当たりの輸入単価は約1229円で、前年同期の約1050円を上回った。輸入単価は22年3月から23年6月まで毎月1000円超が続いている。
とのことで、金額は伸びている。これは記事中で触れられているように円安が原因だと考えられるが、それ以外にも海外の物価高騰を背景とした古着の値上がりもあるのではないかと思われるので、23年通期でも金額は前年並みから微増で推移するのではないだろうか。
古着の輸入推移は表の通り、21年は8701トンと05年以来の8000トン超となり、最大の輸入量を記録。続いて22年は1万463トンとさらに伸びていた。
とのことだが、7・3%減の推移で下半期も続くとなると、23年の古着輸入量は9000トン台で落ち着きそうだ。
古着というには低価格ブランドの代替品の選択肢の一つにはなるだろうが、ある程度はファッションに興味のある人以外はひどく使いづらい商材である。
まず、店舗数が少なく、だいたいが繁華街や都心に固まっている。ということは、地方や郊外の人は「わざわざ」時間と交通費をかけて出かける必要があり、近隣のロードサイドにあるユニクロやしまむらよりハードルが高くなる。
また、商品の型数は多いが1型当たりの枚数は少ないので、商材を客がつぶさに把握することが難しい、常に店舗か一部のECサイトをチェックし続けないといけないということになり、手間と時間がひどく奪われてしまう。
こうなると、ファッションにさほど興味の無い人からすると、自宅近隣にあるユニクロ、しまむらか、通勤・通学途中にあるユニクロ、しまむら、ジーユーでいいということになってしまい、古着がこれらに取って代わるという未来は永遠に訪れない。
まあ、古着は今後も「1つのジャンル」として生き続けるだろうから、業界メディアも過剰に騒がず、適度に付き合っていればいいのではないかと思って眺めている。
ちなみに当方は古着が嫌いなので、多分買わないまま一生を終えることになると思う。