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南充浩 オフィシャルブログ

低価格で集めたお客は高額品を買わない

2014年10月8日 未分類 0

 ゴールデンウィークと7月・8月は、在庫処分販売店の店頭で販売員をこなした。
品物は大手通販各社の在庫品である。とにかく安い。
価格は190円からである。高くても3000円弱。
定価の75%オフ以下という感じの価格である。

店頭には190円とか、3枚で500円とかのワゴンが出してある。

ここまで安いと「安いからもう一枚買うわ」という反応があるかと思ったのだが、これが意外と少ない。
逆に念入りに自分の使える一枚を探す。また価格にさらにシビアであり、さらなる値引きを求めるという人が多かった。

さすがに190円をさらに値引きしろという人は皆無だったが、1000円くらいの商品なら間違いなく買うまでに躊躇がある。
2000円を越えるとかなり難しい。
これが有名なブランド品なら2000円とか3000円で軽く売れるのだろうが、何せ大手通販のPB商品ばかりである。そう簡単には2000~3000円の商品は売れない。

よくよく考えてみると、平均価格数百円の店内で2000円というのは「破格に高い商品」だと感じられる。
安さを売りにしてお客を集めると、安さを求めるお客しか集まらない。
ということは、さらなる低価格要望が増えるということである。

店頭に立つとそのことがわかるのだが、本部や経営陣はそのことをわかっているのだろうか。
断っておくと、筆者が問いかけたいのはこの店の経営陣ではない。
なぜなら彼らは分かっていてやっているからだ。

筆者が問いかけたいのは量販店、GMS、低価格ブランドの経営陣である。

消費者は価格が安い方が喜ぶし、同じ物なら安い方で買う。
これは間違いないが、この処分店のお客と同じで、低価格で集客すると低価格が好きなお客が集まる。
無料で集めたお客は無料が好きなお客である。

ということはそういうお客を集めると、さらなる低価格を追求しなくてはならくなるし、他店がさらに低価格になればそちらに移るということである。

お分かりいただけているだろうか?

販促コンサルタントの藤村正宏さんのブログにこんなエントリーがある。

ジュースとフルーツがその日の買い物を決める-ディスプレイは重要 
http://www.ex-ma.com/blog/archives/1359

「良いスーパー」「人気のあるスーパー」の入り口には何が陳列されているか知っていますか?
あるいは「売れているドラッグストアー」の入り口には、どういう商品のコーナーになっているかわかりますか?

答えは、「それがなくても生活できる商品が並んでいる」ということ。

そうなんです、衝動買い志向の強い商品から、その日の買い物をスタートさせようとしているのです。

例えば、売り上げが伸びているスーパーは、まず最初に色とりどりの果物や、クリスマス、バレンタイン、雛祭りなど季節感に溢れた装飾性の強い商品を並べています。
ちゃんと考えているドラッグストアーでは、化粧品から始まっています。
これは来店したお客さまに「今日は必要なものしかかわないぞ」という気持ちを起こさせないための工夫なんですね。

まず「絶対に必要ではないが、生活に潤いを持たせる商品」を目に入れてもらう。
そうすると、無意識のうちに、お客さまの心とお財布の紐を緩めているのです。

逆に、一番初めにお店に入ったときに生活必需品、例えばトイレットペーパー・洗剤などを置いておくと、消費者は無意識に「今日は生活必需品しか買わないぞ」と思ってしまうんです。
財布の紐を締め、身構えてしまうんです。
来店したお客さまの頭では、入店と同時に、サーチエンジンが作動しているということです。

とある。

で、このブログの本文を読んでもらえればわかるが、入り口に果物を並べているスーパーは売れやすいとある。なぜなら多くの果物は生活必需品ではないからだ。

これが事実だとすると、店頭ワゴンに1000円とか500円とかのTシャツを山盛りにするのは悪手だということになる。
そういう物が好きなお客を集めてしまう可能性が高いからだ。
もしくは、そういう物を重点的に探すようになってしまうからだ。

低価格品で集客して、中価格・高価格品を販売するという手法はそもそも無理があるのではないか。

久しぶりの赤字を計上した日本マクドナルドだが、100円マックとか無料コーヒーで集客しておいて700円内外もするセットを売ろうとしている。
これは土台無理な話である。
100円マックや無料コーヒーで集まるお客は100円マックや無料コーヒーが好きなお客であり、700円のセットが欲しいと思っているお客ではないからだ。

在庫処分の投げ売り店の店頭に立ってみてそんなことをつらつらと考えた。

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