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南充浩 オフィシャルブログ

産業資材分野も怖い

2014年10月9日 未分類 0

 近年、国内の生地製造業者にはアパレルやインテリアに見切りをつけて産業資材を強化する企業がある。
産地の中には、もともとから産業資材を会社売上高の何割かで占めてきた企業もある。

産業資材は、1メートルあたりの生地値は安いが、大量に発注が来る。
何千メートルとか何万メートルという受注がある。
またトレンドなんて存在しないので、毎シーズン違う色柄を考える必要もない。

実も蓋もない言い方をすれば、極小ロットを求められる国内アパレルや、サンプル反だけ製造させられて本注文は価格の安い海外工場に発注するようなインテリア企業なんてアホらしくて相手にしていられないと言うことになる。

生地工場の製造ラインにとっては大ロットはありがたい話だから、近年、産業資材を強化したいと考える工場が増えても当然である。

産業資材とは何かというとシートベルトだったり、ファックス機の排紙口にある謎のピラピラしたものだったり、カーシートの生地だったり、液晶を磨く研磨布だったりとさまざまである。

さて、先日、某産地企業の方と立ち話した。
この企業は何年か前から産業資材分野に力を入れている。

立ち話程度に最近の産業資材分野の状況について尋ねてみた。

すると、

その分野で新技術が開発されたため、今期の受注量は激減しているのだという。
これはなかなかに厳しい。
ただ、救いは、新技術はまだまだ不安定であるため、従来の技法に戻る可能性もあるという。
そうなると、また受注は最低でも前年並みに戻りそうだ。

しかし、この話を聞いたときに、産業資材分野も怖いと感じた。
新技術が確立されれば、昨年までの受注がゼロになってしまう可能性がある。
ゼロになってしまえば、前年までがなまじ大ロットだっただけに工場の生産ラインに与える打撃はすさまじい。」
まったく工場の生産ラインが動かない事態だってあり得る。

一方、極小ロットしか発注のない国内アパレル向けの生地なんて、少々なくなろうが生産ラインに与える影響は軽微である。

そういう意味では、1メートルあたりの価格がめちゃくちゃに安いこと以外は良いこと尽くしのように見える産業資材分野にも意外な落とし穴があったと言える。

まあ、衣料品向けの生地需要なんて今後も伸びる要素なんてほとんど見当たらないから、産業資材分野を強化するのは当然の選択と言えるが、そこでも何らかのリスクヘッジは常に考える必要がある。

それにしてもクールジャパン運動とかジャパンメイドブームとかに冷や水を浴びせるようで申し訳ないが、工員が確保できなくなりつつある国内繊維製造業は今のままでは存続できなくなるだろう。
それらのムーブメントは「日本製」を打ち出すことに主眼が置かれすぎているように思えるが、現在、一部の工場を除いて日本人の工員はほとんど確保できない。
オール日本人の工場の多くは超高齢化しており、工員の最低年齢は60歳という工場も珍しくない。
若い日本人の工員を確保できている工場は本当に一部である。

若い工員を確保できている工場の多くは外国人研修生制度に頼っている。
ただし、海外からの研修生が未来永劫あるわけではない。志望者がいなくなれば終わりである。
各国が経済発展すれば、繊維製造業で研修したいという奇特な人はいなくなる。

どちらにせよ、国内の繊維製造業の多くは存続の危機にある。

さて、そんなわけで今日も業界は平常運転である。

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