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南充浩 オフィシャルブログ

セシルマクビーは役割を終えたのか?

2014年10月7日 未分類 0

 ちょっとおもしろいなと思ったことがある。

セシルマクビー、販路別に立て直し
http://www.senken.co.jp/news/cecilmcbee-md/

これは繊研プラスに掲載された時の見出しである。
掲載日時は9月29日である。

これがファッションスナップドットコムに転載される。

「セシルマクビー」が危機、立て直し急ぐ
http://www.fashionsnap.com/the-posts/2014-10-01/cecilmcbee/

これは10月1日に転載された時の見出しである。

転載だから内容はともに同じ。

どちらがインパクトが強いかというとファッションスナップドットコムである。

先日、某ウェブメディア担当者にお会いしたが、その際、彼が言っていたことがある。
完全に正しいかどうかはわからないが一理あると思うので、書き出してみたい。

「ウェブメディアはより直截的な見出しを付ける。そうしないとクリックして記事本文を読んでもらえないから」

であり、この例はまさしくそれに則っているといえる。
どちらの見出しがわかりやすいか、クリックをして記事を読みたくなるかというとファッションスナップドットコムの方である。

拙ブログもときどき転載されるのだが、「そこまで直截的な見出しに変えなくてもな~」と感じることは少なくなかったのだが、彼の理論に従うとなるほど変えられても当然である。

紙媒体からウェブへの進出が増えているが、紙媒体気分で見出しを付けたところで読者数は増えないということである。

さて、中身を見てみる。

ジャパンイマジネーションは、基幹ブランド「セシルマクビー」の立て直しを急ぐ。売り上げが前年実績を割り続け、「歯止めがかからなくなっている状態。自社の最大の問題点」(木村達央会長)として、商品開発やMD、店装に至るまで修正する。

 今期(15年1月期)に入っても、全店ベースの売り上げが、前年比10%以内で減少する月が続いている。現在の店舗数は50店。販路がヤング向け、OL向けファッションビル、百貨店、SCと幅広いにもかかわらず、商品MDが一本化していた。

とある。
販路がヤング向けとOL向けがあり、さらにファッションビル、百貨店、ショッピングセンターと分かれているのになぜMDが一本化できるのだろうか?
それぞれ顧客層も価格帯もテイストも異なる。
一本化できると考えたブランド側の経営判断は明らかにおかしい。
これでは前年割れを続けても当然だろう。

続けて

今秋から、ヤング向け、OL向け、郊外SCの販路別に店舗MDを配置し、立地に合った商品を開発する。店装も、黒い壁にシャンデリアを飾った華やかなものが主流だったが、白を基調にしたシンプルなタイプや、ポップなデザインなど、立地に合わせてイメージを変える。

とあるから、実際に全販路のMDや店舗内装をほぼ統一していたようだ。
明らかに判断基準がおかしい。

ところで、業界の先輩から「セシルマクビーの役割は終わっている」という指摘を受けた。
これはブランドビジネスを考える意味では重要な問いかけである。

セシルマクビーが109で大人気を博していたのは今から十数年前である。
最近はあまり名前を聴かない。「ココルル」なんていうブランドも大人気だったが最近ではさっぱり名前を聴かない。
セシルマクビーというブランドが商業施設で「集客装置の役割」を果たしていた時代は終わったといえる。

109は全般的に凋落傾向が続いており、ヤングレディースブランドも全般的に苦戦が続いている。
ある業界人にいわせると、「ヤングで元気なのはバロックリミテッドジャパンとマークスタイラー、それと「スナイデル」のマッシュスタイルラボくらいではないか」というような状況にある。

さて、話を戻すと十数年前に人気を博したブランドということは、当時の顧客層は30代半ば~40代前半くらいになっている。

年月が経過してブランドの人気が失速した際に、考えうる方策は2通りある。
現在のメイン顧客層に合わせてブランドのターゲット年齢層を上げるか、ブランドをリニューアル(もしくは新ブランドを立ち上げて)してその時代のヤング層に向けてもう一度発信するか、である。

セシルマクビーの場合はどちらの対策も中途半端だったのではないかと思う。
だから売上高の減少が止まらないということになる。

場合によってはブランド名さえ捨て去らねばならない。

例えば、かつては燦然と輝いていたナショナルブランドはたくさんある。
しかし、人気が凋落したまま長期間が過ぎてしまうと、そのナショナルブランド名は多くの消費者にとって「ダサいブランド」として認識されてしまう。
これを払しょくするためにそのブランド名を捨て去らねばならないことがある。

ブランドビジネスはそのあたりの機微を敏感に捕まえて対応しなくてはならないが、大ヒットしたブランドは過去の栄光に浸りきって対応が鈍いということが往々にしてある。

全販路、全ターゲットのMDや店舗内装を画一化していたなんていうのはその最たる例だろう。

新たな「役割」を作れるかどうかが、セシルマクビーの売り上げ回復には不可欠な視点だろう。

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