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南充浩 オフィシャルブログ

あれは謙遜ではない

2014年10月6日 未分類 0

 さまざまなファッションイベントに対して、一般人からは「ファッション専門学校にスポンサードしてもらえないか」という意見をよく耳にする。
他方、学校関係者からは「学校は資金的余裕がないから」という言葉をよく耳にする。

さて、どちらの方が正しいのか。

一部の例外を除いて、専門学校は一般のイメージとは異なり、資金的余力はあまりない。

ファッション専門学校に勤務した経験からいうと本当に台所事情は厳しい。
先日もブログで書いたように、大阪府内の学校を例に採ると、来年のファッション専門学校への入学者総数は1600人強である。
トップの学校が400人、2位の学校が300数十人の入学者数である。

年間授業料も学校によってピンキリだが、大阪府の場合はだいたい100万円くらいである。
もちろん100万円を越える学校もあるし、100万円を下回る学校もある。

例えば400人入学する学校だと、400×100万円で4億円の新規収入が見込めることになる。

この400人入学する学校の全校生徒数は、多くて1000人、少なければ900人内外である。
とすると、全校生徒数による年間収入はだいたい10億~9億円というところになる。

それだけあればかなり余力があるのではないかと思われるが、教員、職員の人件費、広告宣伝費や多少の設備費などを計算するとけっこう余力は少なくなる。
教員や職員の数を削れば利益は増えるが、それでは生徒に対するサービスがさらに劣化するので、やみくもには減らせない。
すき家のワンオペみたいな極限までの削減は不可能なのである。

で、少子化の影響とか、さまざまな要因で入学者数は毎年変化する。
トップの学校だってたまたま50人くらい少なくなることもあるのだが、その場合、売上高を挽回するには来年の4月まで1年間待たねばならなくなる。

これは法人としてはなかなかにキツい。
1年間売上高を回復するチャンスがない。

通常の卸売り業務とか店頭小売業務なら、今月の売り上げ不振を来月挽回するということが可能だが、専門学校の場合は年に1度しかその機会が訪れない。

専門学校を運営する法人には二種類あって、学校法人と株式会社がある。

学校法人の場合、自前の物件での学校関係以外の事業を行うことはかなりハードルが高い。
株式会社の場合はそうではない。

例えば、賃貸物件を使ってのフランチャイズで学校や教室を増やすことは株式会社の場合であれば可能だが、学校法人では難しい。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140929/271853/?P=4

今話題の予備校、代々木ゼミナールの凋落をリポートした記事だが、以下のような一文がある。

そこでナガセは「民間企業」である強みを生かしていく。対し3大予備校は学校法人だ。つまり制度上、学校法人では御法度になっている賃貸物件でのフランチャイズ展開が可能になる。ナガセはこれを1992年から開始した。わずか1年半で加盟校は全国300校を超え、現在、全国883校にまで拡大している。これらの校舎には、対面で教える形式の教室はない。

とのことであり、ナガセというのは東進ハイスクールの運営会社である。

株式会社ならこういう運営も可能なのだが、学校法人は自前の物件が前提となるから、これは不可能である。
予備校業界でいうと、駿台、河井塾、代々木ゼミナールは学校法人だからこの形式は採れない。

一方、株式会社だっていろいろとデメリットがある。
ファッション業界にも株式会社運営の学校があるが、どうしても利益至上主義になりがちである。

また通学する生徒は、定期券購入などで学割は使えない。
学割が使えるのは学校法人へ通う生徒に限られる。

まあ、そんなわけで学校関係者、とくに学校法人関係者が言うところの「専門学校にはあまり資金的余裕がない」というのは謙遜でもなんでもなくてほぼ事実なのである。

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