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南充浩 オフィシャルブログ

地方郊外への出店で無印良品が苦戦に陥る理由

2023年6月22日 未分類 3

我が地元には食品に関しては「スーパー万代」がある。すべての品目ではないが、多くの品目ではかなり安く最安値の品目も珍しくない。スーパー玉出と比べても安い品目がある。酒に関しては西友の方が10円くらい安いという感じである。

他方、ドラッグストアも食品を強化しており、競合が起きている。都心型ドラッグストアでも食品は多く見られるが、当方の住んでいるような郊外だとドラッグストアの食品は食品スーパーに近い品ぞろえになっている。

当方の地元ではスギ薬局と、クスリのアオキが進出してきて、それなりに賑わっている。ただ、当方は食品に関してはスーパー万代に一本化しているが、先日、亡くなった弟の妻に尋ねてみたところクスリのアオキもかなり食品の買い場として多用しているとのことだった。

当方は、薬やそれに類する雑貨類は15%オフクーポンが定期的に配られるので昨年夏ごろからスギ薬局を頻繁に利用するようになった。

逆にスーパー万代もドラッグストアのような商品、例えば歯磨き粉やら蚊取りリキッドなんかも販売しており、ときどきスギ薬局より安い商品を見つけることもある。

 

当方の生活でいえば、食品はスーパー万代、医薬品やそれに類する雑貨類は15%オフのスギ薬局という感じで、他の地域住民だとそこにクスリのアオキを併用しているといえる。

あと、ここにダイソー、セリア、キャンドゥの100均大手のどれかがあれば衣料品以外の商品は不自由なくそろってしまうことになる。

 

衣料品に関していえば、国道沿いのユニクロ、しまむら、アベイルあたりが現在の地域住民の受け皿となっているという状況にある。

 

自分や自分の住んでいる地域住民の消費行動を考えてみたときに、ここに「無印良品」が割って入れる要素はほとんど無いのではないかと思えてならない。

無印「ユニクロ出身社長」地方大量出店の成算 規模拡大へ舵切るも「2期連続減益」で正念場 | 専門店・ブランド・消費財 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

今まで都心部や大型ショッピングモール内への出店が多かった無印が、地方・郊外出店へと舵を切っている。

とのことだ。

以前にもご紹介した通り、良品計画は新たに就任した堂前社長が3兆円計画をブチ上げ、その実行方法として食品スーパー的な立ち位置で地方郊外への出店を強化すると発表していた。この記事はそれの検証記事だといえる。

だが、当方は自分の地元での生活を鑑みた場合、そこに食品、雑貨で無印良品が割って入れる余地が全く無いということを改めて感じたわけである。

衣料品なら利用する可能性はあるが、それでもユニクロ、ジーユーと比べると当方の優先頻度は下がる。ファッション要素で考えてみてもドットエスティの値下げ品やベイクルーズストアのアウトレット価格品の方が優先度が高い。近所の溝掃除やランニング用ならワークマンである。

となると、衣料品ですら当方にとっては無印良品は後回しにされるブランドということになってしまう。もちろんこれが全ての人に当てはまるとは思っていないが、当方と同様に考える人は決して少数派ではないだろうと思っている。

 

これまで国内の無印は、駅前やショッピングモールなど人口集中地区への出店が多かったが、来店頻度が月2~3回程度にとどまっていた。中計では地方・郊外を含め生活圏にも出店することで客層、来店頻度を拡大させる戦略を進めている。

たとえば食品スーパーの近くなら週2~3回の来店が見込める。冒頭のような地場の食品スーパーに隣接する形で積極出店を進めることで、無印の来店頻度を上げることを狙う。

 

とあるが、現在の流通業界の供給状態なら、地方郊外で無印良品が無いと困るという人は少ないのではないかと思う。食品に関していえば、食品スーパーが柱であり、それの対抗馬として郊外型の食品も揃えるドラッグストアということになる。逆に食品スーパーは一部ドラッグストア寄りの商品も揃え始めている。

衣料品なら、しまむら、アベイル、ユニクロが地方のロードサイドのシェアを相当占有しているのではないかと考えられる。

それを裏付けるように無印良品の業績は厳しい。

しかし効果はまだ出てきていない。出店に注力中の600坪型店舗(郊外店の標準サイズ)は、1坪当たり月商が10万円にとどまる。

4月13日に発表した良品計画の2023年8月期第2四半期累計決算は、売上高が前年同期比15.9%増の2833億円だった一方、営業利益は同46%減の101億円へ大幅に落ち込んだ。急激な円安と原材料価格の高騰が最大の要因で、国内事業を中心に苦戦が続く。

今年1月と2月には春夏商品の約2割で値上げを行ったが、今2023年8月期の業績予想は2期連続の営業減益へ下方修正を余儀なくされた。その後も販売動向は振るわず、国内既存店売上高は4月が前期比85.8%、5月が同84.1%の低空飛行が続く。

とのことだ。

ちなみに今年5月の月次速報でも、既存直営+オンラインの売上高は対前年比15・9%減、客数は同17・0%減、客単価が同1・4%減と苦戦している。新店も含めた直営全店+オンラインも売上高が同5・4%減、客数が同7・4%減、客単価が同2・1%増と売上高、客数ともに苦戦している。

新店も含んだ売上高が前年を5%以上も割り込んでいるということは相当に売れ行きが悪いということになる。

部門別に見ても

衣料品・雑貨 既存店売上高同7・9%減、 直営全店売上高同3・0%増

生活雑貨 既存店売上高同18・9%減 直営全店売上高同9・8%減

食品 既存店売上高同22・9%減 直営全店売上高同9・2%減

と衣料品・雑貨は幾分持ち直しつつあるといえるが、これまで無印良品を支えてきた生活雑貨と食品が大きく崩れている。

この状態で地方郊外への出店を増やしてみたところで効果は出ないだろう。

 

そもそも、記事中でもあるように、低価格ブランドに位置づけられるものの無印良品はイシキタカイ系のイメージが強くファッション要素が高い。そんなブランドがベタな食品スーパーに隣接した店を出したところで、「近所だから週に2~3度覗いて見ようか」という客はそんなに現れないだろう。それより、食品スーパーの近隣にあるスギ薬局やクスリのアオキを覗く確率の方がはるかに高いだろう。

食品スーパーの近隣に出店した場合、無印良品の競合は衣料品ならアベイル、しまむら、ユニクロ、ワークマンとなり、食品や生活雑貨はスギ薬局、クスリのアオキ、それから百均大手ということになる。そしてそれらに地元住民はイシキタカイ系オシャレ感などさらさら求めていない。そのため、このまま地方郊外への出店を強化すればするほど無印良品は厳しい状況に追い込まれるだろう。

この記事の文末にグラフが掲載されているが、売上高は増え続けているのに対して、営業利益は下がり続けている。これは今回の出店ラッシュによって売上高は増えているが、不採算だということを示している。

当方は、売上高3兆円構想は早々に挫折し、目標変更を余儀なくされると見ている。

 

そんな無印良品の化粧水をどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2023/06/22(木) 1:47 PM

    『前橋中央通り商店街の地元名産品コーナー。スタッフや市の観光課などへヒアリングを行い情報収集した。「無印の存在を地域住民に広めていきたい」と下田香絵店長』

    という記事内のキャプションが、もう学生が始めたお店のノリのようで末期ですねw
    売上増えて営業利益減ってるというのも、記事内では円安と原価の高騰とか説明されていますが、それにしても酷いありさまですね。衣料品も、ユニクロより意識高い系でちょっとはオサレって感じも遠のいて、左翼のヴィーガンとか着てそうなイメージになっちゃった感があります。日本の人口は減り続けるんだから、売上3兆円とかいう目標を立てること自体が間違いで、高収益体制にしないと傾くんじゃないっすかね?と、底辺ビンボー人は思います(´・ω・`)

  • 忍者猫 より: 2023/06/25(日) 7:27 AM

    近所の商店街では、学生の模擬店みたいな、素人が集まってはじめました!というようなお店が増えているように思います。
    でもビジネスのサイズや資本金の調達方法によっては、それもありなのでしょうね。大手さんと同じようなことをしなければならないわけでもないですし、違法行為してなければ良いのでしょう。

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/06/26(月) 10:35 AM

    >無印の競合は衣料品ならアベイルしまむらユニクロワークマン
    >食品や生活雑貨はスギ薬局クスリのアオキに百均大手

    本当に的確な表現です。だが・しかし、無印かんけー者は

    「おれさまたちわ、いっぽ先をいく無印だから
     ウニクロ?はぁ~??
     ドラッグストア?はぁ~??
     100均?はぁ~??
     俺さまたちと同じミンゾクではないねぇ~w」

    と思っているに違いありません。私、この説に自信があります

    ドラッグストア銀座、低価格SPA銀座エリアに
    あえて出店攻勢を続けているでしょう?

    んでもって、実際は、無印テイストwあふれるウニクロの
    ピーコ品やらNB商品のデスカウントやらに殺られる訳です

    そらそうです
    30M歩けば2割3割安くて似た商品が売っているんだからww

    さいしゅーてきには、BEAMSみたいになるんじゃないのかな?

    ふつーの人はビームスコラボのAEON商品やセカンドレーベル
    しか買った事がなくて、一部のヲタがビームスfで買う程度

    ワンピ1枚3万のセレクトショップな無印「上質」wwと
    無印コラボのAEONな式服の並立になるんでしょう、な・・・

    雑誌等で騒ぐ割には無印信者はそもそも存在ない
    ぎょーかい人が想定する1/5もいないと思いますよ
    けど店舗数は想定客数の3倍4倍ある訳で
    そら商売になる訳ないわな

    ちゅうわけで、あとは熱心な信者の客単価を上げるしか
    生き残り策はありません

    でもね、無印カフェでランチして、筆記具も着る物も
    ぜんぶ無印で、ついでに家も無印なんてダサすぎるよwww

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