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南充浩 オフィシャルブログ

日本から旗艦店が無くなるGAPの衰勢

2023年6月19日 企業研究 0

世の中のほとんどの事物は代替可能だと感じる。

どれほど大げさに廃止が騒がれていても、いざ実際に廃止されてみると、代替物で何となく問題が無いという場合が多い。

当方の衣料品の買い場にしても、独立した2010年当時と比べて減っている。いつの間にかブランドが廃止になったところもあるし、何となくこちらがあまり買いに行かなくなったブランドもある。

現在、当方が買っている衣料品は、実店舗では圧倒的にジーユーとユニクロである。ネット通販だとドットエスティとベイクルーズストアである。あと実店舗ではたまに無印良品とワークマンを利用する。

以上である。

ジーユー、ユニクロだけでは飽きるところをドットエスティとベイクルーズストアの商品を差し込むことで飽きを免れている。

2010年当時だとこのラインナップにワークマンとベイクルーズストアは入っておらず、逆にGAP、ライトオン、ジーンズメイト、ベネトン、チャオパニックティピーあたりが入っていた。

2010年代後半から品揃えがショボくなったと感じられ、徐々に購買頻度が下がり、2020年には一度も売り場に行くことすらなくなった。

これらの商品を買わなくなって何か不便があるかというと、それは全くない。当方の生活に何の支障もない。

 

その結果、いつの間にかジーンズメイトの天王寺店は閉店撤退していた。GAPは心斎橋店が縮小移転してしまったが何の問題も無い。ベネトンも大阪市内では店舗が無くなったが何の不自由もない。

ライトオンは今でもあべのキューズモール3階にあるが、2010年代と比べると2020年以降は、低価格商品を激減させた反動からか、店舗の賑わいが無くなってしまっている。

 

さてそんな中、GAPの国内最後の旗艦店が閉店することが発表された。

GAPが「フラッグシップ銀座店」を7月に閉店、唯一の旗艦店 不景気ニュース – 不景気.com (fukeiki.com)

「ギャップジャパン」は、東京・銀座4丁目にある旗艦店の「GAPフラッグシップ銀座」を2023年7月31日に閉店すると発表しました。

2011年に開業の同店は、晴海通りに面した地上1階~4階の店舗で、現在では国内で唯一となる旗艦店として営業しているものの、店舗戦略の見直し策として今回の決定に至ったようです。

同社は、2019年に東京・原宿の旗艦店を閉店していました。また、ギャップはイギリスの全店舗を閉店したほか、主力の北米でも店舗数を大幅に削減するなどのリストラを進め、オンラインに経営資源を集中しています。

 

とのことである。

大阪市内でいえば、心斎橋店は縮小移転したし、HEP店も閉店してしまった。現在当方の生活圏内で見かけるGAP店は縮小移転した心斎橋店くらいで、2010年当時と変わらない規模は、天王寺にあるあべのHOOP店くらいだが、そのHOOP店も当方はほとんど行かなくなってしまった。

 

2020年頭から始まったコロナ禍がGAPを苦境に追い込んだと捉える向きも多いが、コロナ禍がGAPに不振の追い打ちをかけたことは否めないが、記事にもあるように東京・原宿店を閉店したのはコロナ禍が始まる前の2019年のことだから、GAPは2010年代半ば以降売れ行き不振が強まっていたと考えるべきだろう。そして、GAPが売れ行き不振に陥った原因とコロナ禍は何の関係も無いということである。

自分が買い物をする立場での視点なので、メンズ中心になることはご容赦いただきたい。

メンズで言うならGAPの商品はベーシックなTシャツとジーンズ、チノパンばかりで面白味、新鮮味が無い。それだけではなく、そういうベーシックなTシャツ、ジーンズ、チノパンならGAPが無くとも国内には代替品が掃いて捨てるほどある。

代表はユニクロである。またライトオン、ジーンズメイト、各地のチェーン店に代表されるジーンズ専門店もある。となると、消費者からするとGAPが必要不可欠という状況にはならない。

さらにいえば、撤退する前の旧アメリカンイーグルも似たような商品構成とクオリティだったので、GAPという三文字に特別の思い入れがなければそちらを買っても全く何の問題も無いということになる。

恐らくは全店閉店となったイギリスでも似たような状況で、イギリス人からすればGAPが無くても何の問題もなく、代替ブランドは数多くあるという状況なのではないかと思う。

 

それにしてもGAPといいアメリカンイーグルといいアバクロンビー&フィッチといいホリスターといいオールドネイビーといい、当方の目から見ればアメリカのカジュアルブランドはどれもこれも似たように見える。唯一違うのは胸に輝くロゴマークだけの差しかないように見える。

その似たような同質化したブランドが併存してそれなりの売上高を稼げているのだからアメリカ人の嗜好はあのテイストに異常に偏っていて同質化しているといえるのではないかと当方は見ている。

 

さて、先にオールドネイビーが日本から撤退してしまったGAPだが、当時からバナナリパブリックも同時に撤退するのではないかと業界内では噂をされていた。この噂は外れたが、バナナリパブリックの日本国内での存在感は一貫してことのほか薄い。そして、GAPもかなり薄くなってしまっている。両ブランドの存在感がさらに薄まったとき、日本から撤退することになるのではないかと見ている。

撤退時期が3年後なのか5年後なのか10年後なのかは部外者たる当方にはわからないが、15年後に残っていることは絶対にあり得ないのではないかと思う。

日本やイギリスの不振に比べてオールドネイビーと合わせて堅調を維持しているGAPというブランドは、北アメリカのローカルブランドだったということだろうし、今後は北アメリカローカルブランドとして存続していくのではないかと思って眺めている。

 

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