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南充浩 オフィシャルブログ

他人と被りたくないけど愛好者と集まりたいという二律背反するブランド顧客のめんどくさい嗜好

2023年6月9日 トレンド 1

ファッションに関する嗜好というのは面白い(興味深いけどめんどくさい)物だと思わせる記事があった。

アウトドアブランドで“ロゴが目立たない服”が増加、ロゴ隠しデザインが好評 (fashionsnap.com)

 

SNSなどで目を引く“ロゴドン”アイテムが増えている一方で、アウトドアブランドではロゴが目立たないアイテムを求める動きが強まっている。特に高価格帯のダウンなどの重衣料で、人と被ることを懸念する声が多く挙がっているという。

「カナダグース(CANADA GOOSE)」は、北極圏の地図が描かれた左肩の「赤いワッペン」がトレードマークとして知られているが、メインの購買層となる30~40代の女性や、40~50代の男性から「ロゴが目立たない落ち着いたアイテム」を求める声が多かったことから2023年秋冬シーズンにボディと同色のワッペンを施したアイテムを増やした。

ブランドの認知度が上がったことで、街中で“赤ワッペン被り”が起こってしまうことから、特別性を求める傾向が強くなり、一部アイテムにボディと同トーンのワッペンを施したところ顧客から好評だったという。

 

(ウールリッチの)アークティックパーカのアニバーサリーモデルでは、ジップやマジックテープでブランドロゴが見え隠れする仕様を採用した。一部の20~30代からは「ロゴを目立たせたい場面もある」という需要もあるためロゴ入りのアイテムも製作はするが、今後もブランドのベースにある落ち着いたデザインを維持していく方針だ。

 

とのことである。

自分にはこのような微妙な心理は持ち合わせていないから全く理解ができない。それこそロゴが恥ずかしいならロゴのないユニクロかジーユーの商品でいいんじゃねえの?と思う。

ガチアウトドアをするならユニクロ、ジーユーの商品では心もとないが、市街地でデイリーに使う程度なら機能的にもユニクロ、ジーユーの商品で十分である。

 

まあ、しかし、この微妙な消費者心理とそれをくすぐったりなだめたりするのが本来のブランドビジネスなのだろうといえる。

 

この記事ではカナダグースとウールリッチの取り組みが伝えられているが、ロゴやワッペンという点においてはモンクレールやノースフェイスあたりはどうなのだろうかと思ってしまう。あれこそ人と被りまくりである。あれは気にならないのだろうか?

ちなみに当方は、ユニクロ、ジーユーの商品が人と被るがあまり気にならない。何なら

「お揃いですね。自分は790円に値下げされたときに買ったんですが、何円で買いましたか?まさか定価で買ったんですか?(笑)」

といつも声をかけたくなるほどである。

 

5月末に、1年越しでワークマンの防水ランニングシューズ(税込み1900円)を買ったのだが、関西が6月1日に梅雨入りしてから雨の日はほぼ毎回着用している。先日、小雨の降る日、これを履いて電車に乗っていたら、前の座席のオジサンも同じ物を履いていた。期せずしてペアルックになったわけである。

 

 

逆にブランドの人気ぶりが比例する形で「被りまくっている」のがノースフェイスである。あの四角いリュックを筆頭にTシャツ、マウンテンパーカ、ダウンとオールシーズンでかなりの人があのロゴの商品を着ており、一時期のユニクロのウルトラライトダウン並みに被っている。値段は超高額というわけではないが、めちゃくちゃ安いというわけでもないから、この辺りの着用者の心理はどうなのだろうか。モンクレールもあのワッペンを付けたダウンを着ている人をしょっちゅう見かける。ノースフェイスやモンクレールの顧客は被りが気にならないとすると、カナダグースの客は特別にめんどくさい奴がそろっているということになる。

 

この記事に対してかなり短く的確に表したツイートがこちらだと思う。

 

 

見せたいけど過度には目立たせたくない、そして他人と被りたくない。

ならユニクロかジーユーの無地品でええやんけという話になるが、それは「ユニバレ・ジーユーバレは安物を着ていると思われるから嫌だ」という消費者心理に対して、カナダグースやウールリッチは対応しているということで、愛用者ではない当方からすると「めんどくせえ奴ら」としか思えないが、これこそがブランドビジネスの根幹なのだろう。

ラルディーニなどの欧州高級ブランドでわざわざアクティブワークスーツを購入する層も「ワークマンやアオキの安物を着ていると思われたくない」というところが大きいのだろうと思う。実際のところ使用されている合繊素材なんてワークマンもラルディーニもさして大きくは変わらないのだが。

 

とはいえ、一方では同じブランドを愛好する仲間を求めるという習性も一般大衆にはある。だからカナダグースにしろノースフェイスにしろ、過去にブームとなった全ブランドはそれが相乗効果となって売れ行きがさらに増えた側面もある。本当に被りが嫌ならカナダグースなんてそもそも買わないだろうし、別にタトラスでもドゥクラッセでも構わないのではないかと思う。

この辺りの人間の心理というのは本当にめんどくさい。だから当方は人間という生き物が好きではない。

 

まあ、そんなわけで、被りたくないという心理と同じブランドの愛好者を見つけて集まりたいという二律背反する消費者心理をいかに上手くいなして買わせるかというのがブランドビジネスの神髄でこの処理に長けたブランドが長く愛されるブランドになるのだろうと思う。

当方はノースフェイスのマウンテンパーカからロゴだけを取り除いたようなデザインのジーユーのウインドプルーフ(要するに防風)マウンテンパーカが定価4990円から1990円に値下がりしたので、今年11月以降の着用に備えて買ったのだが、それで十分であり、他人との被りは気にならないという話である。

 

そんなカナダグースをどうぞ~。これで他人と被りまくろう

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/06/09(金) 12:32 PM

    そう考えると、ウニクロは、いうなれば

    「これまで市場に出回った全ての服をアーカイブして
     サイズ・色柄展開を拡大して再販している存在」

    だと思うんです。ただこれはものすごく手間がかかります

    こなれてきたのはここ5年間で、
    10年前はかなりおかしな商品が多数ありました

    となると、向かうところ敵なしですよね・・・

    オール・ウニクロのコーディネイトは、思いのほか
    普遍性がある内容だと思いますよ

    でなきゃ関西人で渋チンで多シュミwなせいで
    服にカネかけない南サンがウニクロで物を買い続けませんw

    私はどちらかというと「めんどくせーからいーや」で
    ウニクロになったクチかなぁ・・・

    くだらないコダワリを捨てると人生ラクになるもんですww

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