
商品の検索キーワードをイキった用語だけで登録していませんか?
2023年5月31日 ネット通販 0
ネット通販で服を買うという作業もだいぶと手慣れてきた。
また服以外の商品を買うこともだいぶと手慣れてきた。買うのは主にプリンターのトナー、用紙、除草剤、その他文具雑貨類である。リーボックの靴もだいぶとネット通販で買った。
洋服と靴だけはサイズが合うかどうかという最大の難問があるが、その他商品はその心配はほとんどない。文具雑貨が多少小さかろうが大きかろうが使えれば良いわけである。
で、雑貨類・文具類・家電類を含めるともうネット通販サイトは無数にある。当方でさえ、とりあえずは実店舗で商品が見つからなけばネット通販サイトを検索してみる。
そうするとネット通販サイトも無数に表示されるが、結局いつも使うサイトはほぼ決まっている。
使うサイトの決め手となるのは何だろうというと、
1、安い
2、ポイントが貯まりやすい(次の値引きに活かせる)
3、自分にとって使いやすい・操作しやすい・商品が見つけやすい
あたりが、理由となる。
「安い」ということに反発を覚える人もおられるようだが「同じ商品」を「わざわざ高い方」で買う人はよほどの変わり者で少数派である。多くの人は「同じ商品」があれば安い方で買う。
アンケート的でもその結果が証明されている。
好きになるECサイトの要素、1位「安い」・2位「商品が見つけやすい」 | 通販通信ECMO (tsuhannews.jp)
15歳~69歳の男女1035人に聞いた。それによると、ユーザーが「また使いたい」「好きになる」ECサイトの要素として最も多かったのは「価格が安い」の68.8%。「商品が見つけやすい」が55.9%で続いていた。
である。
「安い」ということは改めて述べるまでもなく、商品が見つけやすいということに対して今回は考えてみたい。そしてこれは衣料品通販サイトやニュースメディアサイトでも重要な要因といえる。
衣料品通販サイト、ファッション通販サイトに限らず、探す際にはキーワードで検索する場合がほとんどである。これはニュースメディアサイトも同様だ。しかし、自分の思いつくキーワードを入力しても検索に全く引っかからなかったり、かなり下位に表示されたりすることも多い。
ここが非常なストレスになる。もちろん、キーワードを入力する当方の言葉のチョイスが間違っている可能性も高いが、それでもこの検索のブレを防ぐことはサイトにとってはかなり重要だといえる。
NTTレゾナント(株)が29日発表した独自調査『ECサイトの利用動向』の結果によると、商品の探し方は「キーワード検索」が67%と、重要性が再確認された一方、検索時に入力するキーワードに悩むユーザーも62%を上回っていたことが明らかになった。
記事中にもこういう一節がある。
で、ここで思い出すのが、EC関連のアドバイザーをしている深地雅也さんのかつての言葉である。当方のオリジナルでない場合は極力出典を明らかにするのがポリシーである。
彼によると
「ファッションブランドのECサイトは、検索キーワードの登録が不十分である場合が多い」
とのことだった。
例えば、ファッション業界人はデニム生地で作られた5ポケット型ズボンのことを最近では「デニム」と呼ぶことが増えている。当方はハッキリ言って生地名と商品名の区別ができにくくなるからあまり好きな風潮ではないのだが。
そうすると、検索キーワードとして「デニム」とのみ登録するファッション通販サイトが結構多いとのことだった。
しかし、一般的には「デニム」以外に「ジーンズ」や「ジーパン」という言葉を使ってその商品を指す人が相当数いる。世の中はファッション業界人とファッションメディア系業界人だけで成り立っているわけではない。
当方は極力、普段から「ジーンズ」と呼ぶようにしているし、当方よりも年配層では「ジーパン」と呼ぶ人も相当数いる。
そうすると、検索キーワードにも「デニム」「デニムパンツ」以外に「ジーンズ」「ジーパン」と登録しておく必要性があるということになる。
これを案外登録していないサイトも多いと言われている。
そうすると、ジーンズやジーパンでは検索に引っかかりにくかったり引っかからなかったりするから、実店舗で言うところの機会損失が起きるわけである。
これは他の商品でも同様だろう。
最近のファッション業界人は「ニット」と呼ぶことが多いが、当方はなるべく「セーター」と呼ぶようにしている。当方より年配層は「セーター」呼ばわりする人は多い。そして当方を含む年配層は人口が多い。
となると、イキって「ニット」だけをキーワードとして登録していると、「セーター」というキーワード検索を行う人口の多い層をみすみす逃してしまいやすいということになる。
また、「ベスト」も同様だろう。イキって「ジレ」だけを登録していると「ベスト」や「チョッキ」でキーワード検索を行う年配層を取りこぼす可能性が高い。
さらにいえば、当方は「タートルネック」は「トックリ」も検索キーワードに登録すべきだと思うし、「コーデュロイ」は「コール天」も検索キーワードに登録しておくべきだと思っている。
併せて、かわいい・きれい・シンプルなどの「商品のイメージ」(23.9%)や、結婚式・大掃除などの「利用シーン」(12.0%)といった、通常のキーワード検索ではうまく目的の商品にたどり着きづらいような切り口もみられた。
ともある。
業界人同士では「オシャレ感」のあるキーワードだけで会話することは仕方のないことだといえるが、衣料品の買い手は業界人ではなく、業界とは無縁の一般大衆であることがほとんどである。となると、大口顧客である業界外の人達がわかりやすいような検索キーワードを重要視することは当たり前といえる。世の中は少数のオシャレな人、イシキタカイ人だけで構成されているのではなく、大口客はそうではない人達なのである。
どの分野の商売でも「顧客の立場になって考える」ことは原理原則である。衣料品商売も大口顧客の立場になって考えることは当然だといえる。衣料品不振の原因の一つには、業界人が大口顧客の立場で物を考えられていないということもあるのかもしれない。