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南充浩 オフィシャルブログ

アパレルとの協業ブランド立ち上げは量販店の最後の挑戦か?

2023年5月25日 売り場探訪 1

店頭に並んでいる「物」が同じだった場合、その店で買う決め手となるのは、

1、価格が安い

2、ポイントがたくさん貯まる(貯まりやすい)

3、店舗の利便性(自宅から近い、職場から近いなど)

 

という理由が上位を占めるのではないかと思う。

少なくとも当方が選ぶ理由の上位3つはこれである。

一方で、アパレル経営者やコンサルタントは「丁寧な接客」とか「接客サービス」で売れ行きが向上する(かもしれない)というメッセージを表向きに発することが多い。

そういうことはゼロではないだろうが、当方は自分の行動規範と照らし合わせると接客だとか接客マナーだとかそういうことは上に挙げた3つの要因よりもランクは下位になるので、同様の人が多いのではないかと思っている。

 

転売ヤーによってAmazonではガンプラが買いにくくなり、当方は自転車で15分くらいのところにあるジョーシンに買い場を変えた。2020年時点ではまだ在庫が豊富に残っていたということと定価から20%オフで売っていたからだ。その後、新商品発売前に並ぶとだいたい買えるという状況になり、特に2021年以降は毎月、新製品発売時には開店5分前から並んでいる。

そんなジョーシンだが6月6日から、ガンプラの値引きを20%から10%にするというお知らせがあった。

相変わらず転売ヤーを全く規制しないAmazonでの購買に戻ることは無いが、この値引き率だとヨドバシカメラの方がお得ではないかと考え始めている。ヨドバシカメラも10%オフくらいなのだが、ポイントはジョーシンよりも10倍多い。

ヨドバシのポイントは購入金額の約10%、ジョーシンのポイントは購入金額のやく1%である。

点灯購買価格が同じならヨドバシで買った方がポイントが貯まりやすい。500ポイント、1000ポイントくらいはすぐに貯まる。となると、ヨドバシカメラで買った方がポイントを使った値引きがやりやすいということになる。

そんなわけで当方は今、ジョーシンとヨドバシカメラの使い分けを真剣に検討している。

 

これはいささか極端な例だが「物」自体が同じだとこういう買い方になる場合が多い。衣料品の場合も同様で、例えば「ナショナルブランド」と呼ばれるくらいの著名なブランドの商品だと「物」自体は同じだから、価格を比較されて購入されるケースが多い。

特にネット通販が発達した現在なら価格比較しやすい。実店舗同士だけでなく、ネット通販との価格比較もやりやすい。

仮にリーバイス501を買おうと思うと、ネットで価格比較が可能になるから、よほどのコダワリが無い人は最も安いサイトで買えば良い。また実店舗でも店頭価格を比較して最も安い店舗で買えば良いということになる。

メーカー型のブランドショップやSPA型ショップになると、原則的にこの限りではなくなる。(売れ残って値下げされることはある)

なぜなら、そのブランドの商品はその店でないと買えないからである。ユニクロの商品はユニクロ店舗かユニクロの通販サイトでないと買えない。

 

元来仕入れ型小売だった百貨店、量販店はそれがやりにくかったが、百貨店、特に伊勢丹は「別注」というやり方で商品の独自性を持たせようとしている。(付き合わされるメーカーはあまり美味しくなさそうだが)

量販店は、PBというやり方で衣料品の独自性を持たせようとしてきたが、イトーヨーカドーが実用衣料は撤退を決断してしまったし、イオンの「トップバリュ」も食品その他はまだしも衣料品はさほど効果は出ていない。その他の量販店も衣料品PBにおいては芳しい評判を耳にしない。

そんな状況もあってか、ここに来て量販店がアパレルと協業してブランドを立ち上げたケースが増えている。

イズミとアダストリアがそうだったように、イオンリテールとタキヒヨーも同様の取り組みを21年から開始している。21年の記事である。

タキヒヨー イオンリテールと共同で「ラボスペック」立ち上げ | 繊研新聞 (senken.co.jp)

 

そして現在は

タキヒヨー カジュアルウエア店舗増やす | THE SEN-I-NEWS 日刊繊維総合紙 繊維ニュース

タキヒヨーとイオンリテールが協業して企画・販売を行う紳士・婦人カジュアルウエア「ラボスペック」の扱い店舗が増えている。2021年3月から関東圏の24店舗で販売を開始し、現在は紳士55ショップ、婦人は57ショップを展開する。

となっている。

イオンとしてはトップバリュの衣料品がさほど話題にもならないのだから、タキヒヨーとのラボスペックを拡大せざるを得ないという事情も手伝っているのだろう。

商品はどんな感じなのか、通販サイトで見てみたが、ユニクロより500~1000円高い感じで、画像の撮影方法がイマイチだからなのか、それとも物自体がそうなのかはわからないが、メンズはちょいダサいユニクロと言った感じで、レディースはあんまりイキってない無印良品という感じ、という印象を受けた。

当方自身としてはこの商品を買うつもりはあまりないが、世の中にはユニクロに入店することに気後れを感じるという人もいるので、そういう人の受け皿にはなり得るのかなとも思った。

 

今後、大手量販店とアパレルの協業ブランドというのは増えそうだし、量販店の衣料品売り場をテコ入れしたいのなら、もうこの手しか残っていないのではないかと思う。ただし、効果が出るかどうかは正直分からない。かなり難しいミッションだと思っているが、量販店側からすると最後の挑戦というところになるのだろうか。

 

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/05/25(木) 12:06 PM

    滝グループをアパレル扱いするのは無理があると思います

    いとちゅ~様と同じグループじゃないのかな?

    要は繊維業が生業だった今では繊維よりの総合商社で
    OEMその他で最終製品にもからんでますというレベルです

    それはさておき・・・

    系列で銀行をするようになってから
    超大手の小売業は資金がダブつくいっぽうです
    そして、どこも以下の経路をたどります

    1.好感度・高価格業態にちょっかいをだす
    2.上記業態が失敗する
    3.消費財市場のボリューム減&価格低下が同時に起きる
    4.祖業・本業は苦しくなるが、資金力はまだある
    5.投資会社と化す

    イオンのカネを一番欲しがっているのはミツビシでしょう

    イオンが自社運営の店舗を切って
    投資で先でも消費財関連を切るタイミングはいつか?

    みものですね

    マァ小売りなんざどの業態にちょっかいだそうが
    失敗してもたかがしれた金額で済むのがいいよな
    楽天みたいにインフラ系の事に手を出したら
    祖業を含めすべて吹っ飛びますからね

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