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南充浩 オフィシャルブログ

どの業界も大手企業の物量作戦と戦うためには尖った特色が必要

2023年5月22日 お買い得品 0

今日はガンプラの話でも書いてみる。興味の無い人は読まない方が良いだろう。

ガンプラの品不足解消云々というのはまた別にまとめてみたいのだが、発売日の朝一番にジョーシンに並べば必ず入手できるような感じにはなってきた。

長年毎月ガンプラを組み立てているとだんだんと飽きてくる。当方は飽き性なのである。

そこで先日、バンダイ以外のメーカーのプラモデルを買ってみた。グッドスマイルカンパニーというメーカーの「モデロイド」というシリーズである。

バンダイがあまり立体化しないようなアニメロボットをモデル化して発売しているという特色がある。

で、まだ組み立てていないのだが、魔動王グランゾートに登場したスーパーアクアビートという機体を買ってみた。定価4800円がエディオンで3600円にまで下がっていて、さらにお誕生日ポイントなんかも含めて2800円くらいまで値下げして購入した。

そのエディオンにはほかにも多数のモデロイドシリーズが並んでいたのだが、この機体はあまり売れ行きが良くないのか値下がりしていた。他の機体は値下がりしていない物がほとんどだった。

 

で、バンダイのガンプラに比べると、定価が高いと感じる。4800円という価格はバンダイのガンプラなら結構大きいサイズとか結構凝った作りの商品につけられるレベルである。

お手軽に買える144分の1ハイグレードシリーズなら安ければ800円程度、現在の標準価格でも1000~2000円くらいで、3000円を越えるハイグレードはかなりの凝った物になっている。

 

モデロイドシリーズだと3600円の値下がりが安い部類で、基本的には4000円台後半から8000円くらいが中心価格帯となっている。

このモデロイドと同等の価格帯はガンプラだとハイグレードよりも大きいサイズで凝った作りのマスターグレードである。

ざっくりとガンプラの方が体感的に30%くらい安いわけで、さらに言うと、色分けもほぼ完ぺきでパーツ分割も正確となっている。

言ってみれば割安なのに高品質ということになる。

 

では、なぜそれが実現できるのかというと、圧倒的な数量と資本力である。

バンダイの直近の決算は売上高が11・3%増の9900億円となった。恐らく今期は売上高1兆円に到達するだろう。まずはこの大きな資本力である。

 

次に数量に関してだが、このところ、ガンプラの新製品発売日は田舎の道路沿いのジョーシンですら20数個~40個くらい入荷する。当方が買ったあとも10数個残っていることがざらである。もっともその日のうちに完売はするのだが。

で、先日ジョーシンの店員に尋ねたところ、大型店の大和郡山店や名古屋店なんかは80個くらいずつ入荷しているそうである。

ジョーシンだけでもこれだけ入荷している上に、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、エディオン、ヤマダ電機などの大型家電量販店各店にも同様に入荷(ヨドバシは他店より10倍くらい多く入荷)しているのだから、合計すれば新製品を一挙に何十万個以上出荷していると考えられる。

 

プラモデルも工業製品なので、製造する数量が多ければ多いほど、1個当たりの製造コストは引き下げられる。その結果、割安な定価設定をしても利益が確保できるということになる。

洋服と同じである。

 

当方には一人、タビオにガンプラ仲間がいるのだが、彼とはガンプラの割安さについて話すことが多い。彼の表現を借りると「ガンプラは玩具業界のユニクロ製品」と言える。

他社メーカーの商品と買い比べてみてわかるのだが、たしかにその通りで、高品質なのに割安感がある。ただ、激安ではないのでシーインとは異なるといえる。まあ、シーインは高品質商品も少ないし。

 

そうなると、ガンプラを擁するバンダイはますます強くなる。

何せ高品質商品が割安で買えるのだから。

 

洋服業界もそうだが、マス層はユニクロとジーユー、しまむら辺りに抑えられてしまっている。玩具業界でも一兆円に手が届きかけているバンダイの影響力は年々大きくなっている。プラモデルだけで言っても高品質割安価格で猛威を振るっている。

そうなると、他のメーカーはバンダイとは異なる商品を高く売るしかない。

グッドスマイルカンパニーのモデロイドシリーズなんてその典型ではないかと思う。バンダイが商品化していない物、商品化していてもあまり力が入っていない作品をプラモ化している。だから、当方のようなケチでも高くても買うようになってしまう。

タカラトミーもトミカのミニカーが古くからファンがいるし特色があるし、ゾイドシリーズなんていうのもある。

ある意味で差別化した強い商品を持っている。

ただ、タカラトミーも資本力は大きい。

 

小資本で特色ある高い商品を企画販売しているというのは、海洋堂とかボークスとかそういう存在になるのではないかと思う。ただ、これらがバンダイやタカラトミーほどの大企業になることは不可能である。

 

さて、現在の衣料品業界に話を戻すと、ファーストリテイリングやしまむら、その他の低価格大手企業と価格競争をしたくないのであれば、高価格でなおかつ特色ある商品を発売しなくてはならない。ただし、高くて変わっている物はマス層には需要がないから大企業化することは不可能であるとそういう割り切りが必要なのではないかと思う。

高くて変わった物を企画販売しながら大手企業化したいというのは、そんな虫の良い話はこの世には存在しない。いやはや難しい時代である。

 

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