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南充浩 オフィシャルブログ

「ネット通販をやれば必ず売れる」という時代ではなくなったという話

2023年4月21日 ネット通販 0

流通小売業界における「ネット通販を開始したら無条件で売れる」という盲信もそろそろ終わってきているのではないかと思う。

当たり前だが、ネット通販でも実店舗同様に好調店・横ばい店・不調店の3種類が出現している。

また大手だから好調とも限らないというのも実店舗と変わらない。

一例を挙げるとするとこの記事である。

セブン&アイ子会社のEC売上は軒並み前年割れ | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

 

セブン&アイ・ホールディングスは、2023年2月期連結業績で子会社が手がける主要なEC事業の売上高を公表した。

セブンネットショッピングのEC売上高は前期比8.8%減の230億1800万円。2022年9月22日付でギフトの取り扱いをセブン‐イレブン・ジャパン運営のギフト専用サイト「セブン-イレブンネットギフト」に移管したことが減収に影響した。

イトーヨーカ堂のEC売上高は同35.7%減の39億900万円。ネットスーパー売上高は同3.5%減の349億2300万円。

そごう・西武のEC売上高は42億2300万円で同16.7%減。

 

とのことである。

この3店舗を見るに限り、セブンアイグループのネット通販の現状は惨憺たる有様だといえる。セブンイレブンとネットスーパーは売り上げ規模がそこそこ大きいので、不調時があっても仕方が無いといえる部分もあるだろうが、イトーヨーカドーとそごう・西武はひどい。

売上規模が小さい割にその減少率が高い。

要するに消費者からほとんど必要とされていないということになる。

 

そもそも、総合スーパーと百貨店のネット通販で一体誰が何を買うと想定されているのだろうか?当方は自分の生活に照らし合わせるとそれが皆目分からない。

当方は自分の生活に照らし合わせると総合スーパーにおいて食料品は必要不可欠だと思っている。実際にイズミヤとか西友で食料品を買うこともある。

しかし、それ以外の商品については今のところ当方の生活には必要が無いことが多い。衣料品はユニクロ・ジーユー・アダストリアあたりで十分だし、雑貨は100均で済む。家電類は家電量販店、自転車は自転車屋で買う。となると、総合スーパーでは当方にとって食料品以外はほとんど必要が無い。まあ、たまにグンゼとか旧レナウンインクなどの量販店向け卸売り衣料品メーカーの商品は購入するが。それ以外全く必要無い。

 

次に百貨店だが、全ジャンルで必要としていない。利用するとすると、法事や葬儀のお返しを送る際だけである。何だかんだ言っても百貨店商品券を返礼するのが最も無難で最も価値を感じてもらいやすいと52歳の当方は感じている。(そうではないという人がいてもそれはそうだろうとは思うが)

あとは、中元や歳暮でコーヒーやビール、ハム、カルピスなどの詰め合わせを贈るくらいだろうか。しかし、その中元・歳暮ももう20年くらい送っていない。

となると、百貨店のネット通販で買う物が無い。

実店舗ならまだ利用することはある。葬儀・法事の返礼はギフトカウンターで対面接客してもらった方がやりやすいし、こちらに知識のない部分も教えてもらえる。

自分は食べ物にはこだわらないのでデパ地下は利用しないが、好きな人ならデパ地下は必要不可欠だろう。

 

しかし、それをネット通販で利用するかというとそういう人は少ないのではないかと思う。当方はまず利用しない。

ファッション好きな人は、実店舗の百貨店を利用するだろうが、それは百貨店平場ではなく、各ブランドのコーナーだったりテナントショップだったりするだろう。

となると、百貨店ネット通販で買う物なんて無いのではないか。

 

今のご時世、著名ブランドはもれなく通販サイトを持っているから、ブランドファンはわざわざ百貨店サイトで買うよりもそちらで買うか、割引きクーポンを乱発するZOZOのようなモールで買うかのどちらかではないだろうか。

3年前の夏、電動ファン付きベストを試してみたくて、ワークマンは売り切れていたので、そごう・西武のサイトで12000円バッテリー込みの別注商品を買ってみた。価格的にはワークマンよりも少し高いくらいで割安感があったのと、買おうと思った時期が遅くてそごう・西武のサイトくらいしか残っていなかったからである。

ただ、それ以降はそごう・西武のサイトでは物を買っていないし、何なら閲覧すらしていない。

 

百貨店が注力している洋服分野だが、自分には百貨店価格の服はもう必要ないし、もし欲しくなったらそのブランドの通販サイトかクーポンやポイントがたまるZOZOやAmazon、楽天のような大型モールで買う。それ以外の雑貨なら1円の商品でも送料無料のヨドバシカメラあたりを使う。

もちろん、当方とは生活スタイルが異なる人が多々おられることは承知しているので、そうではないという人も多数おられるだろう。

自分の生活に照らし合わせると、総合スーパーと百貨店のネット通販は全く必要性が無く、食料品という1点のみで総合スーパーの方が百貨店よりもわずかに必要性を感じるという話しである。

セブンアイのイトーヨーカドーとそごう・西武のネット通販売上高の低さと減少率の大きさはそれを物語っているのではないだろうか。

ちなみに

今回の発表では「セブンミール」「アカチャンホンポ」「ロフト」のEC売上高は非公表。

だそうで、実際はどのような状態なのか興味深い。

 

ただ、ネット通販をやれば売れるということは幻想にすぎず、大手だからネット通販も成功するとも限らないという格好の事例とはいえるだろう。

 

総合スーパー、百貨店ともにネット通販をやるのであれば、商品構成に相当のオリジナリティを持たせないと難しいだろうし、UIの使い勝手やデザイン性などももっと工夫を凝らす必要があるだろう。

ただ、くどくて申し訳ないが、総合スーパーと百貨店のネット通販が大きく伸びる未来が愚鈍な当方には全く見えない。

 

 

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